個別支援計画とは?【保護者向け】放デイ・児発の計画書の見方、面談で伝えること、サイン前の確認ポイント【2026年版】
「放デイから『個別支援計画です。サインをお願いします』と渡されたけれど、どこを見ればいいの?」「面談で何を話せばいいのかわからない」。放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援(児発)に通い始めると、ご家族は半年に一度ほど、この書類を受け取ることになります。
先に結論をお伝えすると、個別支援計画は事業所が「この子に、何のために、どんな支援をするか」を書いた約束の書類です。法律で、作る前に保護者と子どもに面接すること、説明して文書で同意をもらうこと、6か月に1回以上見直すことが決められています。ご家族は、ただサインするだけの立場ではありません。
この記事では、個別支援計画のしくみと作られる流れ、計画書の見方、面談で伝えること、サインの前に確認したいポイントをまとめました。放デイを運営している立場から、事業所側の事情として知っておいてほしいこともお伝えします。
- 個別支援計画とは何か、受給者証の「利用計画」との違い
- 計画が作られる流れと、保護者が関わる場面
- 計画書の欄ごとの見方と「5領域」の意味
- 面談で伝えることと、サインの前の確認ポイント
- 事業所から見た個別支援計画と、納得できないときの相談先
結論 個別支援計画は「事業所の支援の約束」。保護者は作る側の一員
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 個別支援計画とは? | 放デイ・児発の事業所が、子ども一人ひとりの目標と支援の内容を書いた計画。正式には「放課後等デイサービス計画」「児童発達支援計画」 |
| 誰が作る? | 事業所の児童発達支援管理責任者(児発管)。保護者と子どもの面接が必須 |
| 見直しは? | 少なくとも6か月に1回。そのたびに説明と同意がある |
| 保護者がすること | 面談で家庭の様子と希望を伝える。説明を聞き、納得してからサインする |
| 受給者証の利用計画との違い | 利用計画(セルフプランなど)は生活全体の大きな計画。個別支援計画はその事業所の中の細かい計画 |
個別支援計画とは 事業所ごとに作る「支援の設計図」
個別支援計画は、放デイや児発の事業所が、通っている子ども一人ひとりについて作る計画です。子どもの今の様子、本人と家族の希望、1年後・半年後の目標、そのために事業所がする支援が書かれています。事業所の職員は、この計画をもとに毎日の支援をします。
作るのは児童発達支援管理責任者(児発管)
計画を作るのは、各事業所に置くことが決められている児童発達支援管理責任者(児発管)です。指導員が代わりに作ることはできません。作成の手順は国の運営基準(児童福祉法にもとづく基準の第27条など)で細かく決められていて、計画を作らずに支援をすると、事業所は報酬を大きく減らされます。
受給者証の「利用計画」とは別のもの
受給者証を申請するときに出した「障害児支援利用計画(案)」は、どのサービスを、どのくらい使うかという生活全体の計画です。相談支援専門員が作るか、保護者が自分で作ります(セルフプラン)。セルフプランについてはセルフプランとは?利用計画案の書き方と記入例で解説しています。
個別支援計画は、その利用計画をふまえて、事業所の中で何をするかを決める計画です。放デイを2か所使っていれば、個別支援計画も2つあります。学校で作る「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」も、また別のものです。

図:子どもの支援に関わる3つの計画
作られる流れ 保護者が関わるのは4つの場面

図:個別支援計画ができるまで
- 面談(アセスメント)。児発管が保護者と子どもに会い、家庭や学校での様子、得意なこと・苦手なこと、希望を聞きます。法律で面接が必須です。 保護者の出番
- 原案づくり。面談と、通い始めてからの様子の観察をもとに、児発管が計画の原案を作ります。
- 担当者の会議。支援にあたる職員が集まり、原案について意見を出し合います。子どもの意見が大切にされるように進めることも決められています。
- 説明と同意。児発管が保護者(と子ども)に計画を説明し、文書で同意をもらいます。ここがサインの場面です。 保護者の出番
- 交付。同意した計画の控えが保護者に渡されます。相談支援事業所を使っている場合は、相談支援専門員にも渡されます(令和6年度から義務)。 保護者の出番
- 支援とモニタリング。計画にそって支援をし、少なくとも6か月に1回、目標がどこまで進んだかを振り返って計画を見直します。このときも保護者との面接があります。 保護者の出番
最初の計画は、利用を始める前か、始めてすぐに作られます。そのあとは半年ごとに「面談、見直し、説明と同意」をくり返すのが基本です。
計画書の見方 欄ごとに何が書いてある?
様式は事業所ごとに違いますが、令和6年度からはこども家庭庁の参考様式をもとにした形が多くなりました。主な欄と、ご家族に見てほしいところをまとめます。

図:計画書のここを見る
| 欄 | 書いてあること | 見てほしいところ |
|---|---|---|
| 本人・家族の意向 | 子どもと家族の希望 | 面談で話したことが入っているか。子ども本人の言葉もあるか |
| 総合的な支援の方針 | 1年ほどを見通した、事業所としての見立てと方針 | 家庭や学校での生活もふまえた内容になっているか |
| 長期目標 | おおむね1年で目指す姿 | 家族が望む方向と大きくずれていないか |
| 短期目標 | おおむね6か月で目指す姿 | 「できたかどうか」がわかる書き方か |
| 支援目標・支援内容 | 項目ごとの具体的な目標と、事業所がする工夫 | どんな活動をするのか、イメージできるか |
| 達成時期・担当者 | いつまでに、誰が | 達成時期は最長6か月。1〜3か月の目標もあってよい |
| 留意事項 | 配慮すること、算定する加算など | アレルギーや苦手な刺激など、大事な配慮が抜けていないか |
| 支援の時間(別表) | 曜日ごとの利用時間の目安、延長の予定 | 実際の下校時間やお迎えの時間と合っているか |
目標の「よい書き方」と「ぼんやりした書き方」
いちばん大事なのは目標の欄です。半年後に「できた・まだ」と振り返れる書き方になっているかを見てください。
| ぼんやりした書き方 | 振り返りやすい書き方 |
|---|---|
| 社会性を伸ばす | おやつの時間に、となりの子に「どうぞ」と渡せる |
| 気持ちを落ち着ける | いやなことがあったとき、カードで「休みたい」と伝えられる |
| 宿題をがんばる | 予定表を見てから、自分で宿題を始められる |
ぼんやりした目標がまちがいというわけではありません。ただ、具体的になっているほど、家でも同じ場面で声をかけやすくなります。気になったら「家ではどんな場面で見ればいいですか」と聞いてみてください。
5領域と「本人支援・家族支援・移行支援」とは
令和6年度から、計画には「5領域」とのつながりを書くことになりました。5領域とは、子どもの発達を見るときの5つの見方です。

図:5領域と4つの支援
| 5領域 | たとえば |
|---|---|
| 健康・生活 | 食事、トイレ、着替え、生活のリズム |
| 運動・感覚 | 体の動かし方、手先の使い方、音や光への敏感さ |
| 認知・行動 | 見通しを持つ、順番や時間がわかる、こだわりとのつき合い方 |
| 言語・コミュニケーション | 言葉で伝える、話を聞く、カードや身ぶりで伝える |
| 人間関係・社会性 | 友だちとの遊び、ルールを守る、集団での過ごし方 |
目標ごとに5つの欄を全部埋める必要はなく、ひとつの支援が複数の領域にまたがっていてもかまいません。あわせて、計画には次の項目を書くことになっています。
- 本人支援。子ども本人への支援(必ず書く)
- 家族支援。子育ての相談、きょうだいへの配慮など、家族への支援(必ず書く)
- 移行支援。保育園・学童・地域の活動など、ほかの子どもたちの中で過ごすための支援(必ず書く)
- 地域支援・地域連携。学校や病院など関係機関との連携(必要に応じて書く)
家族支援の欄は、ご家族が「事業所にどんな相談ができるか」を知る手がかりにもなります。療育で何をするのかの全体像は療育とは?児童発達支援でやることもあわせてどうぞ。
面談(アセスメント)で伝えること
計画の質は、面談でどれだけ子どもの様子が伝わったかで大きく変わります。事業所が見ているのは、子どもの1日のうちの数時間だけだからです。

図:面談で伝えたい5つのこと
家や学校で困っている場面
「落ち着きがない」より、「宿題のプリントを出すと、5分で席を立つ」のように、いつ・どこで・どうなるかを伝えます。
得意なこと、好きなこと
電車、工作、体を動かすことなど。好きなことは、支援の入り口になります。
家でうまくいった関わり方
「先に予定を見せると切りかえられる」「3つ以上言うと伝わらない」など、家で見つけたコツは事業所にとって大事な情報です。
本人の気持ちと、家族の希望
子どもが「やりたい」「いやだ」と言っていること、家族が「1年後にこうなっていたらうれしい」と思うこと。本人の意見を大切にすることは、法律でも決められています。
面談では、話しているうちに伝えたかったことを忘れがちです。上の5つを1行ずつメモしておくだけで十分です。連絡帳や写真を見せながら話すのもおすすめです。
サインの前に確認したい5つのポイント

図:サインの前の5つのチェック
- 今の様子が合っているか。子どもの状態や課題が、家で見ている姿とずれていないか。
- 家族の希望が入っているか。面談で話したことが、意向や目標に反映されているか。
- 目標が振り返れる書き方か。半年後に「できた・まだ」がわかるか。
- 支援の中身がイメージできるか。どんな活動で、どんな工夫をするのか。家でできることも書かれているか。
- 曜日と時間が実際と合っているか。別表の利用時間が、下校やお迎えの時間と合っているか。
わからない言葉や、違うと感じるところがあれば、サインの前に聞いてかまいません。計画は、説明を受けて同意してはじめて正式なものになります。直してほしいところがあれば、その場で伝えましょう。
説明がないまま「サインだけお願いします」と渡されたり、同意の日付を空けておくように言われたりすることがあります。同意の日付は、計画がいつから有効になるかを示す大事な記録です。説明を受けた日に、日付も自分で書くのが基本です。急ぐ理由があるなら、事業所に聞いてみてください。
モニタリング(見直し)とは 半年ごとの振り返り
モニタリングは、計画どおりに支援が進んでいるか、目標がどこまで達成できたかを振り返ることです。児発管は、少なくとも6か月に1回、保護者と子どもに面接して結果を記録し、必要なら計画を変えます。
事業所によっては、面談の前にアンケートで家庭での様子を聞いたり、3か月ごとに中間の振り返りをしたりしています。ご家族からは、次のようなことを伝えてください。
- この半年でできるようになったこと(家・学校で)
- 新しく出てきた困りごと
- 学年が上がる、転校する、きょうだいが生まれるなどの生活の変化
- 支援の内容や目標について合っていないと感じること
半年を待たなくても、大きな変化があったときは計画を見直してもらえます。そのときに相談すればかまいません。
事業所から見た個別支援計画 知っておいてほしいこと
ここからは、放デイを運営している立場から、事業所側の事情をお伝えします。ご家族が知っておくと、やりとりがしやすくなることです。
計画が切れると、事業所は報酬を大きく減らされる
有効な計画がない期間に支援をすると、事業所は「個別支援計画未作成減算」を受けます。基本報酬が、2か月目までは30%、3か月目からは50%減ります。説明や同意の記録がない場合も対象になりえます。事業所が「期限までにサインを」と急ぐのは、このためです。そのぶん、面談やサインの日程にはなるべく早めに応じていただけると助かります。ただ、説明を省いてよい理由にはなりません。
計画に書けるのは、事業所がほんとうにできることだけ
職員の数や活動の内容、ほかの子どもとの組み合わせには限りがあります。「マンツーマンで毎回〇〇を」と希望されても、できないことは計画に書けません。書いたことは守る約束だからです。希望がかなわないときは、「どこまでならできるか」を一緒に考えさせてください。
利用時間と加算も計画に書かれる
令和6年度から、放デイ・児発の報酬は計画に書いた支援の時間で区分が決まるしくみになりました。下校時間や習いごとで利用時間が変わるときは、早めに伝えてください。また、家族支援加算など算定する加算も留意事項に書かれます。加算の分も利用料の計算に入りますが、ご家族の負担は月ごとの上限額までです。料金のしくみは放課後等デイサービスの料金で解説しています。
日数や曜日を増やす約束は、計画ではできない
計画に「週4回」と書いても、受給者証の日数(支給量)と事業所の空きがなければ通えません。日数のしくみは放課後等デイサービスは週何日使える?をご覧ください。
また、事業所は年に1回、保護者向けのアンケート(保護者評価)を取り、結果を公表することになっています。計画や支援について感じていることは、ここで伝えることもできます。
説明がない・納得できないときは
「送迎のときに計画書を渡されて、サインして持たせてくださいと言われただけ」「内容が変わったのに説明がない」。こうした声は、ネットの相談サイトでも見かけます。本来は、児発管が説明して同意を得ることが決められています。次の順で相談してみてください。
- 児発管に、説明の時間をお願いする。「内容を聞いてからサインしたい」と伝えます。電話やオンラインでもかまいません。
- 相談支援専門員に相談する。相談支援事業所を使っているなら、計画は専門員にも届いています。事業所との間に入ってもらえます。
- 市区町村の障害福祉の窓口に相談する。事業所を指導する立場の窓口です。セルフプランの方はここが相談先になります。
- 運営適正化委員会に相談する。都道府県の社会福祉協議会に置かれた、福祉サービスの苦情を受ける窓口です。
それでも合わないと感じるときは、事業所を変えることもできます。選び直すときのポイントは放課後等デイサービスの選び方にまとめています。
よくある悩み
「専門用語が多くて、読んでもよくわからない」
わからないのは当然です。「この言葉はどういう意味ですか」「家ではどんな場面のことですか」と聞いてください。ご家族にわかる言葉で説明するのも、児発管の仕事です。
「毎回ほとんど同じ内容で、意味があるのかと思う」
目標が続くことはありますが、半年たっても同じ文のままなら、「この半年で何が進みましたか」「次は何を目指しますか」と聞いてみましょう。振り返りの話が具体的に返ってくるかどうかは、事業所を見るひとつの目安になります。
「困りごとが並んでいて、読むとつらい」
計画には課題を書く欄があるので、どうしても苦手なことが目立ちます。「得意なことも書いてほしい」と伝えてかまいません。強みから組み立てた目標のほうが、子どもも取り組みやすくなります。
「家での様子を正直に話すと、家庭が責められそう」
面談は家庭を評価する場ではありません。家で大変なことほど、支援を考えるうえで大事な情報です。話しにくいことは「今日はここまで」と区切ってもかまいません。
「2か所の放デイで、計画の目標がばらばら」
事業所どうしは、何もしなければ相手の計画を知りません。それぞれの計画の控えを見せ合ってもらうか、相談支援専門員に調整をお願いしましょう。セルフプランで2か所以上を使っている場合は、事業所どうしが情報を共有するしくみ(事業所間連携加算)もあります。
よくある質問
Q. 個別支援計画の控えはもらえますか?
もらえます。同意した計画は保護者に交付することが決められています。手元にない場合は、事業所にお願いしてください。
Q. 面談に子どもも参加したほうがいいですか?
法律では、保護者と子どもの両方に面接することになっています。年齢や様子に応じて、短い時間だけ同席する、別の日に職員が本人の話を聞くなど、事業所と相談して決めてかまいません。
Q. 計画の内容に納得できないとき、サインを断ってもいいですか?
納得できないまま同意する必要はありません。どこが違うのかを伝えて、直してもらいましょう。ただ、計画が決まらないと事業所は支援を続けにくくなるので、早めに話し合いの場を持つことをおすすめします。
Q. 計画は半年ごとに必ず変わるのですか?
少なくとも6か月に1回の見直しは必須ですが、見直した結果、同じ目標を続けることもあります。その場合も、見直したことの説明と同意があります。
Q. 学校の「個別の教育支援計画」と同じものですか?
別のものです。学校の計画は学校が、放デイの計画は事業所が作ります。どちらも保護者の同意をもとに関係機関と共有できるので、両方の控えを持っておくと、支援の方向をそろえやすくなります。
Q. 事業所の職員向けの書き方も知りたいです
事業所の方向けに、5領域ごとの記入例をまとめた個別支援計画の記入例と書き方もあります。受給者証の手続き全体は受給者証の申請方法をご覧ください。
- 自閉スペクトラム症(ASD)とは(特徴・年齢別のサイン・相談先)
- ADHD(注意欠如・多動症)とは(子どもの特徴と、家庭でできる工夫)
- 学習障害(LD)とは(読む・書く・計算のつまずきと学校での配慮)
- 折れ線型自閉症とは(できていたことができなくなったとき)
- 発達グレーゾーンとは(診断がつかないときの相談先と支援)
- 療育とは(児童発達支援でやること・費用・始め方)
- 発達検査とは(検査の種類・受け方と結果の見方)
- 言葉の遅れが気になるとき(年齢別の目安・原因・家庭でできること)
- 知的障害とは(子どもの特徴・療育手帳・学校の選び方)
- 発達性協調運動症(DCD)とは(不器用さのサインと、家庭と学校でできる工夫)
- 場面緘黙とは(家では話せるのに外で話せない子の支援)
- 吃音とは(言葉がつまる・くり返すときの関わり方)
- チック症とは(まばたき・咳払いが続くときの関わり方)
- 放課後等デイサービスはいつから探す?(運営側から見た受け入れの決まり方)
- 放課後等デイサービスは週何日使える?(受給者証の日数の決まり方と増やし方)
- セルフプランとは?(利用計画案を自分で作る書き方と記入例)
まとめ
- 個別支援計画は、事業所が子どもごとに作る「目標と支援の約束」。作るのは児発管
- 法律で保護者と子どもへの面接、説明と文書での同意、6か月に1回以上の見直しが決まっている
- 見るところは意向・目標・支援内容・利用時間。目標が振り返れる書き方かを確認する
- 面談では困る場面・得意なこと・家でのコツ・学校や病院の情報・本人の気持ちを伝える
- わからないことはサインの前に聞く。日付が空いた書類にはサインしない
- 納得できないときは、児発管、相談支援専門員、市区町村、運営適正化委員会の順に相談する
個別支援計画は、事業所だけで作るものではなく、ご家族と一緒に作っていく書類です。家でのちょっとした気づきが、計画をその子に合ったものにします。次の面談のときは、メモを1枚持って臨んでみてください。


