登録施設介護支援のケアプランに利用者負担、外部ケアマネの55.9%は地域支援「特に何もしていない」(10/28給付費分科会)、11月1日の福祉ニュース
今日は厚生労働省・こども家庭庁から新しい発表はありません。
そこで、今週10月28日の第272回 介護給付費分科会で出た登録施設介護支援を、資料に沿って詳しく見ます。登録制の対象になる住宅型有料老人ホームの入居者を担当する、新しいケアマネジメントの仕組みです。
10月28日の記事では、ケアマネ1人あたり利用者44人・地域生活相談員の配置といった基準案の骨組みを見ました。今回は、同じ資料に載っている実態調査の数字、ケアプランに生じる利用者負担、逓減制の扱い、いまの居宅介護支援事業所からの移り方の4つを取り上げます。
行き着く先は、住宅型ホームの入居者を担当しているケアマネ事業所の請求事務と、ケアプランに書く欄です。
| 論点 | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①実態調査 | ホーム併設以外のケアマネ127人のうち、入居者の地域との関わりの支援を「特に何もしていない」が55.9% | 公表済み(速報値) |
| ②利用者負担 | 法律上、計画費は費用の「百分の九十」。運営基準案に「利用者負担額の受領」が入った | 法律は成立済み・基準は検討中(変わり得る) |
| ③逓減制 | 居宅介護支援との合計人数で判断し、低い単価は登録施設介護支援の利用者全体に分散して適用する案 | 検討中(変わり得る) |
| ④移り方 | いま居宅介護支援の指定がある事業者は、施行日から6年を超えない範囲で「指定を受けたもの」とみなす | 法律は成立済み・施行時期は想定段階 |
②と④の土台は改正介護保険法(社会福祉法等の一部を改正する法律・令和8年法律第51号)に書かれています。基準と報酬の中身は分科会の対応案で、単位数はまだ出ていません。
①外部ケアマネの55.9%が、入居者の地域との関わりを「特に何もしていない」(厚生労働省資料)
公表済み新しく義務になる「地域生活相談」が、いまの現場ではほとんど手つかずだと分かる数字です。
三菱総合研究所の調査(速報値)に出た数字
厚生労働省は資料2の中で、令和8年度老人保健健康増進等事業「住宅型有料老人ホームにおけるケアマネジメントの在り方に関する調査研究事業」(株式会社三菱総合研究所)の速報値を示しました。対象は、住宅型有料老人ホームの入居者を担当する介護支援専門員と、住宅型有料老人ホームです。
| 聞いたこと | 回答 | 割合 |
|---|---|---|
| 入居者の地域との関わりについての支援 | 特に何もしていない | 55.9% |
| 入居者を地域のどこにつないでいるか | 地域包括支援センター | 35.4% |
| 〃 | 特にない | 34.6% |
| ホームによるケアプラン作成への関与 | ホーム側の関与はない | 38.6% |
| 地域との関わりのケアプランへの記載 | 特に記載していない | 半数近く |
| 入居者の介護サービス利用状況(ホーム側) | 全ての入居者について把握している | 9割のホーム |
ケアマネへの質問はホーム併設以外の介護支援専門員(n=127)、ホームへの質問は住宅型有料老人ホーム(n=354)。出典:第272回 介護給付費分科会 資料2 p.19〜24
つなぎ先には、地域包括支援センターのほか、NPO・ボランティア団体、高齢者等終身サポート事業の民間事業者、成年後見制度を挙げた人もいました。ホーム併設のケアマネでは「ケアプランが画一的になりやすく、利用者ごとの意向や課題を反映しにくい」という回答が多かった、とも書かれています。
「地域生活相談」は、この空白を埋めるために置かれる
対応案では、地域生活相談として、地域資源の把握とリスト化、利用者への情報提供と参加の促し、外出の障壁を除く支援の調整、実施先やホームとの連絡調整、利用状況の把握の5つを挙げています。その検討状況と支援内容をケアプランに位置づけ、実施状況を記録することも運営基準に足す案です。
いま「特に記載していない」が半数近くということは、多くの事業所で、この欄は白紙から書き始めることになります。個人的には、地域包括支援センター以外のつなぎ先を、ふだんから何か所把握できているかが最初の分かれ目になると感じています。基準案の骨組み(人員・管理者・運営基準)は10月28日の福祉ニュースの表にまとめています。
②ケアプランに利用者負担、計画費は費用の「百分の九十」(改正介護保険法第47条の2)
確定負担が生じる仕組み自体は法律に書かれています。いくらになるかは、これからの報酬の議論次第です。
条文と運営基準案に書かれていること
改正後の介護保険法第47条の2は、市町村が「登録施設介護サービス計画費」を支給し、その額を、厚生労働大臣が定める基準で算定した費用の額の「百分の九十に相当する額」と定めています。資料2は、この条文を参考資料として載せています。
そのうえで、運営基準の対応案に「法定代理受領サービスに該当する指定居宅介護支援を提供した際には、その利用者から利用者負担額の支払いを受けること」を追加するとしています。訪問介護の利用料の受け取りと同じ書き方の規定です。
分科会で出ていた、事務と公平さの指摘
資料がまとめた分科会の意見には、利用者負担の導入で新しく生じるケアマネの業務として「請求事務、債権管理、支払が困難な利用者への説明や調整等」が挙がっています。「住む場所によってケアプラン作成費用の自己負担の有無の違いがあることは本来あるべきではない」という意見も載っています。
これまでケアプランの費用を利用者に請求していなかった事業所にとっては、請求書・領収書・未収の管理を一から用意することになります。入居者や家族への説明の言葉も、単位数が出る前に考えておいた方がよさそうです。
③逓減制は居宅介護支援と合算、低い単価は利用者全体に分散する案(第272回 介護給付費分科会)
検討中45件・60件を超えた分だけ単価が下がる今のやり方を、登録施設介護支援では使わない案です。
いまの居宅介護支援の逓減制
居宅介護支援では、介護支援専門員(常勤換算)1人あたりの取扱件数が45件(居宅介護支援費(Ⅱ)は50件)以上になると45件目(50件目)から、60件以上になると60件目から、超えた部分にだけ低い単価がかかります。
| 区分 | 適用される件数 | 要介護1・2 | 要介護3・4・5 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援費(ⅰ) | 45件未満の部分 | 1,086単位 | 1,411単位 |
| 居宅介護支援費(ⅱ) | 45件以上60件未満の部分 | 544単位 | 704単位 |
| 居宅介護支援費(ⅲ) | 60件以上の部分 | 326単位 | 422単位 |
居宅介護支援費(Ⅱ)(ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置を行う場合)は50件から逓減し、(ⅱ)527・683単位、(ⅲ)316・410単位。出典:第272回 介護給付費分科会 資料2 p.15(第259回 資料6の再掲)
なぜ「全体に分散」なのか
対応案は、人数の判断は居宅介護支援との合計で行うとしつつ、超えた部分にだけ低い単価をかける今のやり方は、利用者負担を受け取る登録施設介護支援では「利用者間で負担額が異なることになる」と書いています。そのため、低い単価を登録施設介護支援の利用者全体に分散して適用する仕組みを提案しています。
同じ登録施設介護支援の利用者の間で、払う額に差が出ないようにするための設計です。ただ、居宅介護支援と合わせて人数を数えるので、自宅の利用者を多く持つ事業所ほど、ホームの入居者全員の単価が下がりやすくなる点は気になりました。基本報酬は「地域生活相談を実施すること」と「集合住宅であること」を踏まえて設定するとされていて、上がるのか下がるのかはまだ読めません。
④居宅介護支援の指定があれば当面「みなし」、期間は施行日から6年以内(改正法附則第18条)
確定いまの居宅介護支援事業所は、新しく指定を取り直さなくても当面は続けられます。
法律で決まっている移り方
- 施行の際に居宅介護支援の指定を受けている者は、施行日から6年を超えない範囲で政令で定める日までの間、登録施設介護支援の指定を受けたものとみなす(改正法附則第18条。別段の申出をした場合を除く)
- 介護予防支援も同じ扱い(改正法附則第19条)。地域包括支援センターは、登録施設介護予防支援の一部を登録施設介護支援事業者に委託できる
- 登録施設介護支援の指定を受けると、居宅介護支援事業所としての指定も受けたものとみなす(改正後介護保険法第85条の11)
施行時期について、資料は「有料老人ホームの登録制の施行後、既存の有料老人ホームの移行に係る経過措置期間が終了する時期を想定」と書いています。登録制そのものの段取りは、10月12日の福祉ニュースで検討会のまとめを見ています。
みなしの間に決めておくこと
分科会の意見には、ホームに入居した利用者を同じケアマネが担当し続ける場合、居宅介護支援事業所が新たに登録施設介護支援事業者になる必要があり、それが全国規模で起きて対応できるのか、という指摘もあります。みなしの期間は、その移行の混乱を和らげるためのものです。
担当している利用者のうち何人が住宅型ホームに住んでいるか、地域生活相談員を兼務で置くのか別に置くのかは、単位数が出る前でも数えられます。外部の事業所が参入しにくい報酬だと、ホーム併設の事業所に利用者が集まるおそれがある、という意見も資料に載っています。
今日のまとめ
4つの論点は、住宅型ホームの入居者のケアプランを「ホームから独立した立場で、地域につないで、費用の一部を本人から受け取って」つくる仕組みに変える、という一本の線でつながっています。調査では地域との関わりの支援が手つかずの事業所が半数を超えていて、そこに新しい業務と新しい請求事務が同時に来る並びです。
次に見ておきたい日程です。
- 11月2日(月)15:00〜17:00……第4回 困難な問題を抱える女性への支援に関する検討会(基本方針の見直しに向けた論点)
- 11月2日(月)16:30〜18:30……第5回 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方に関する検討会(YouTubeでライブ配信。前回までの論点は10月31日の福祉ニュース)
- 次回以降の介護給付費分科会……登録施設介護支援の基本報酬・加算の単位数
参考にした一次情報
- 第272回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(厚生労働省(令和8年10月28日))
- 資料2 登録施設介護支援・登録施設介護予防支援(改定の方向性)(PDF)(厚生労働省老健局(令和8年10月28日))
- 第4回 困難な問題を抱える女性への支援に関する検討会を開催します(厚生労働省)
- 「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方に関する検討会」(第5回)を開催します(厚生労働省)
③の逓減制の扱いと、②・④に関わる運営基準・報酬の中身は、介護給付費分科会で示された対応案の段階です。資料にも今後の議論で変わり得ると明記されています。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


