【2026年9月24日の福祉ニュース】訪問系サービスの報酬改定論点など3件
連休明けの今日、厚生労働省で障害福祉サービス等報酬改定検討チームの第63回が開かれました。令和9年度改定に向けて、サービス別の議論の最初に訪問系サービスが取り上げられ、居宅介護から重度障害者等包括支援まで8つの論点に「検討の方向性」が付いて出ています。
あわせて、連休前の9月18日に出ていた有料老人ホームの登録制の基準案と、9月16日公表の高年齢者活躍企業コンテストの入賞企業を拾いました。3件に共通するのは「同じ建物に住む人へのサービス」と「経験の長い職員をどう扱うか」です。行き着く先は、減算の要件、職員の研修修了の記録、そして夜間の体制です。
今日の3件を、30秒で
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①訪問系サービスの報酬・基準 | 重度訪問介護にも同一建物等減算を設ける案。行動援護の経過措置は減算付きで3年延長の案 | 検討中(変わり得る) |
| ②有料老人ホームの登録制 | 登録基準の案で、居室は原則個室・1人13㎡以上、夜間はオンコール体制 | 検討中(変わり得る) |
| ③高年齢者活躍企業コンテスト | 入賞29社。最優秀賞はシニアと障害のある従業員のペア就労も評価。10月9日のフォーラムは受付中 | 公表済み・受付中 |
①と②はどちらも「案」の段階で、決まったことはまだありません。③は入賞企業が確定済みで、表彰式を兼ねたフォーラムの申込が開いています。
検討中①訪問系サービス、報酬改定検討チーム第63回で8つの論点
何が出たのか
厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは2026年9月24日、第63回の会合で「訪問系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」を示しました。議題は令和9年度障害福祉報酬改定に向けた訪問系サービスです。資料は論点ごとに「現状・課題」「論点」「検討の方向性」の3段で書かれていて、方向性はすべて「〜してはどうか」という提案の形です。
| サービス | 論点 | 検討の方向性(案) |
|---|---|---|
| 訪問系共通 | ピアサポートの専門性の評価 | 訪問系サービスでも、ピアサポートの専門性を評価することを検討 |
| 訪問系共通 | 支援に欠かせない自動車での移動 | 運転中の時間は算定対象にできないまま、公共交通機関が少ない地域などで支援場所までの自動車移動を評価することを検討 |
| 居宅介護 | 同一建物等減算の要件 | 同一建物等に住む障害者へのサービス提供の実態を踏まえて見直し |
| 居宅介護 | 家事援助の適正な利用 | 家事代行サービスとは違うことを周知し、計画相談のモニタリングなどで必要性を確認 |
| 重度訪問介護 | 同一建物等の居住者への提供 | 居宅介護と同様に同一建物等減算の仕組みを設けることを検討 |
| 同行援護 | 盲ろう者向け通訳・介助員の経過措置 | 研修の一部免除で受講機会が確保されたとして、経過措置の廃止を検討 |
| 行動援護 | サービス提供責任者・従業者の経過措置 | 減算措置を設けたうえで、令和9年3月31日時点の従事者に限り3年間延長 |
| 重度障害者等包括支援 | サービスの在り方 | 効果を周知し、実施状況を引き続き注視 |
判断の材料として資料に載っている数字は、次のとおりです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 居宅介護の同一建物等減算(10%)の算定率 | 5.38%(令和6年4月)→5.77%(令和7年4月)→6.07%(令和8年4月) |
| 同(15%減算)の算定率 | 0.04%→0.08%→0.10%(同じ3時点) |
| 減算を算定している事業所のうち、減算対象の利用者が90%以上の事業所 | 67.8% |
| 居宅介護(家事援助)の利用者数 | 122,658人(令和3年度)→132,880人(令和7年度)。利用する精神障害者は区分2・3が約8割 |
| 重度訪問介護で、同一建物の集合住宅への訪問が80%以上の事業者 | 10.7%(20%未満は57.9%) |
| 行動援護の経過措置該当者 | サービス提供責任者590人中71人(12.0%)、ヘルパー1,910人中256人(13.4%) |
| 期限内に本来の要件を満たせるか(該当者がいる事業所) | 「可能」31.5%、「難しい」「わからない」各25.8% |
| 同行援護の経過措置で支援を受けている利用者 | 33人(令和8年4月) |
| 重度障害者等包括支援 | 事業所9カ所、利用者37人(令和8年4月) |
| ピアサポート研修の修了者(延べ) | 11,408人(令和8年4月30日現在) |
居宅介護の同一建物等減算は平成30年度改定で入ったもので、いまは「事業所と同じ敷地・隣接の建物に住む人」が10%、「それ以外の建物で利用者が月20人以上」が10%、「同じ敷地・隣接の建物で月50人以上」が15%の減算です。資料は、20人の線を下回る定員のシェアハウスなどに障害者を集めてサービスを提供している例を挙げています(戸建てに3〜5人、アパートに10人程度の定員)。
前回からの差分
9月20日の記事では、第63回が訪問系サービスを議題にすることまでしか分かっていませんでした。今回、中身が「減算を広げる」「経過措置を閉じる/延ばす」「評価を足す」の3方向に分かれていることが見えました。改定全体の論点の立て方は9月18日の記事で整理しています。
現場にどう効いてくるか
いちばん影響が大きそうなのは、重度訪問介護への同一建物等減算です。いまは減算の仕組みそのものがないので、集合住宅に利用者がまとまっている事業所は、居宅介護と同じ線引きが入った場合に何人が対象になるかを先に数えておいた方がよさそうです。
行動援護は、延長されても「令和9年3月31日時点の従事者に限り」で、しかも減算付きという案です。これから採用する人には経過措置が使えない前提で、行動援護従業者養成研修の受講計画を立てておくのが安全だと個人的には感じています。自動車移動の評価とピアサポートの評価は、地方の事業所や当事者スタッフのいる事業所にとっては前向きな話ですが、単位数や要件はまだ何も出ていません。
検討中②有料老人ホームの登録制、9月18日の検討会で登録基準の案
何が出たのか
厚生労働省老健局は2026年9月18日、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の第9回で、資料「登録制の施行に向けた対応について」を示しました。登録制は、6月25日に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)で老人福祉法に入ったもので、施行日は公布から2年を超えない範囲で政令で定める日とされています。
| 区分 | 案の内容 | 基準の強さ |
|---|---|---|
| 人員 | 管理者・生活相談員は1名以上。介護・看護職員は提供する介護等に支障のない体制(原則、夜間を除きホーム職員が常駐)。夜間・緊急時はオンコールで対応できる体制(一定の経過措置期間を設ける案) | 従うべき基準 |
| 設備 | 居室は原則個室、入居者1人あたり13㎡以上。既存建物を使うホームには当面の特例 | 参酌する基準 |
| 運営 | 虐待の防止・身体的拘束等の適正化、事故発生時の対応、BCP策定、協力医療機関、看取りを行うなら看取り指針 | 従うべき基準(一部参酌) |
| 契約 | 併設・関連の介護事業所や医療機関の利用を契約条件にしない、利用を条件に家賃を下げない、ケアマネジャーやかかりつけ医の変更を強要しない | 省令で定める基準 |
| 対象 | 中重度の要介護者に加え、認知症の日常生活自立度Ⅲ以上の要介護者や、特掲診療料の施設基準の別表7・8に当たる人を入居対象とするホーム | 案 |
資料が示す今後の進め方は、第10回を10月頃、秋頃に取りまとめて社会保障審議会介護保険部会へ報告、年内に政省令を公布(予定)です。登録の対象にならないホームにも、登録基準とおおむね同様の「遵守すべき事項」を定める案が出ています。
現場にどう効いてくるか
資料は、登録制の対象を入居要件で判断するため、既存のホームの大半が対象になるとしています。住宅型のホームに訪問介護や居宅介護支援を併設している法人は、契約書と重要事項説明書に「併設事業所の利用が前提」と読める書き方が残っていないかを、いまのうちに見直しておくのがよさそうです。有料老人ホーム事業と介護サービス等の事業の会計を明確に区分する案も入っているので、経理の区分けも早めに手をつけた方が楽だと思います。
公表済み③高年齢者活躍企業コンテスト入賞29社、表彰フォーラムは10月9日
何が出たのか
厚生労働省と独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は2026年9月16日、令和8年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業を公表しました。応募64編から29社が入賞し、内訳は厚生労働大臣表彰6社(最優秀賞1、優秀賞2、特別賞3)、JEED理事長表彰23社(優秀賞11、特別賞11、クリエイティブ賞1)です。理事長表彰の入賞企業一覧には、社会福祉法人調布市社会福祉事業団(東京都)、社会福祉法人ケアマキス(愛知県)、社会福祉法人三翠会(兵庫県)の3法人も並んでいます。
最優秀賞の株式会社エヴァーブルー(静岡県浜松市、交通誘導警備・施設警備)は、従業員65名のうち60歳以上が39名(59.9%)、70歳以上が32名(49.2%)で、定年はなく最高年齢は83歳です。表彰のポイントには、シニア従業員と障害のある従業員を同じ現場に配置する「ペア就労」で、互いの特性を生かした役割分担をしていることが挙げられています。
| 名称 | 令和8年度高年齢者活躍企業フォーラム |
|---|---|
| 主催 | 厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 |
| 日時 | 令和8年10月9日(金)13:00〜16:00 |
| 形式 | 会場(KABUTO ONE HALL&CONFERENCE、東京都中央区日本橋兜町7番1号 KABUTO ONE 4階)/ライブ配信。後日アーカイブ配信予定 |
| 内容 | 表彰式、上位入賞企業の事例発表、基調講演「高年齢者の安全配慮と健康管理」、トークセッション |
| 定員・費用 | 会場100人・ライブ配信500人・参加費無料 |
| 申込期限 | 申込ページに期限の記載なし(9月24日時点で受付中) |
| 申込先 | https://www.elder.jeed.go.jp/moushikomi.html |
現場にどう効いてくるか
福祉の事業所も、60代・70代の職員に支えられているところが少なくありません。入賞企業の取り組みには、経験年数や資格を名札で見える化する(エヴァーブルー)、所定労働時間が短く法定の対象外になる従業員にも定期健康診断を行う(四国アイビ)など、法人の規模を問わず真似しやすいものが含まれています。事例発表は大臣表彰の上位3社なので、人事や労務を担当している人がライブ配信で聞くと、就業規則を見直すときの材料になりそうです。
今日のまとめ
①の同一建物等減算と②の囲い込み対策は、同じ問題を障害と高齢の両側から見ています。住まいとサービスを同じ法人がまとめて提供するとき、効率よく回る分をどう報酬に反映し、利用者の選ぶ自由をどう守るか、です。①の経過措置と③のシニア雇用も、研修や資格の要件を満たしきれない経験者をどう扱うかという点でつながっています。
- 2026年9月25日(金)14:00〜16:30……第22回成年後見制度利用促進専門家会議。YouTubeでライブ配信。前段のワーキング・グループは9月22日の記事で紹介しています
- 2026年10月頃……有料老人ホーム検討会の第10回(案)
- 2026年10月9日(金)……高年齢者活躍企業フォーラム(表彰式)
- 2026年秋頃……有料老人ホーム登録制の取りまとめ、介護保険部会へ報告
- 2026年内(予定)……登録制に関する政省令の公布
- 2027年3月31日……行動援護・同行援護の従業者要件に係る経過措置の現行の期限(ここは決まっています)
参考にした一次情報
- 第63回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料|厚生労働省(令和8年9月24日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76339.html
- 訪問系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫|厚生労働省(令和8年9月24日):資料PDF
- 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第9回)の資料について|厚生労働省(令和8年9月18日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76302.html
- 登録制の施行に向けた対応について(資料2)|厚生労働省老健局(令和8年9月18日):資料PDF
- 令和8年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業が決定しました|厚生労働省(令和8年9月16日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76126.html
- 第22回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76199.html
①の訪問系サービスの方向性は検討チームに示された「〜してはどうか」という提案で、単位数や要件はこれから詰められます。②の有料老人ホームの登録基準も検討段階の案で、資料にも今後の検討等により政省令の規定ぶりは変更となる可能性があると明記されています。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


