生活介護の報酬改定案、延長支援加算と欠席時対応加算を拡充へ(10/22検討チーム)|10月22日の福祉ニュース
10月22日(木)、厚生労働省の第66回「障害福祉報酬改定検討チーム」が開かれ、令和9年度の報酬改定に向けて、施設入所支援・生活介護・短期入所・療養介護の論点と「検討の方向性」が示されました。
論点は4サービスで合わせて12。生活介護の定員区分に91人以上を新設する案、地域移行の意向確認をしていない施設への減算を強める案、医療的ケアのある人が休んだ日の欠席時対応加算を広げる案などが並びました。
同じ日に山形県が発表した、企業の昼休みを使った就労継続支援B型事業所の製品販売会もあわせてまとめます。行き着く先は、施設の居室と日中の過ごし方、そして医療的ケアのある人を受け入れる事業所の看護体制です。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①施設入所支援 | 個室・ユニットへの報酬上の評価と、地域移行等意向確認未実施減算(1日5単位)の強化を検討 | 検討中(変わり得る) |
| ②生活介護 | 定員91人以上の区分を新設する案。延長支援加算と欠席時対応加算の拡充も | 検討中(変わり得る) |
| ③短期入所・療養介護 | 医療型短期入所の評価見直しと欠席時の加算。療養介護は中山間地域に限り定員下限(20人)の緩和を検討 | 検討中(変わり得る) |
| ④山形県のB型製品販売会 | 10月29日(木)正午〜午後1時、酒田市の企業の昼休みにB型2事業所がパンや野菜を販売 | 10月29日開催 |
決まっているのは④の開催日程だけです。①〜③は検討チームで示された「検討の方向性」で、単位数などの具体的な数字はまだ出ていません。強度行動障害のある人への支援は「次回以降の議題」とされています。
①施設入所支援、個室への評価と意向確認未実施減算の強化を検討(厚生労働省)
検討中施設入所支援の論点は6つ。いまは居室の形態で報酬が変わらない仕組みに、個室・ユニットの評価を入れる案と、令和8年度に義務化された意向確認をしていない施設への減算を強める案が中心です。
示された6つの論点と方向性
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部とこども家庭庁支援局障害児支援課が、10月22日の第66回検討チームに資料を出しました。施設入所支援の事業所数は2,529、利用者数は120,127人です(国保連 令和8年4月実績)。
| 論点 | 検討の方向性 |
|---|---|
| 1 居室の形態 | 個室・ユニットは多床室より業務量が増えるとして、居室の形態の違いに応じた報酬上の評価を検討 |
| 2 日中活動と住まいの分離 | 入所者が敷地外の日中活動事業所に通う場合に、施設がその事業所へ障害特性などを情報共有することへの評価(加算)を検討 |
| 3 高齢化・看取り | 高齢の障害者へのケアの在り方や職員のスキル・人員体制を整理したうえで、看取りを含む評価は引き続き検討 |
| 4 意向確認未実施減算 | 令和8年度から義務化されたことを踏まえ、減算設定の強化を検討 |
| 5 サテライト的な施設 | 定義や他サービスとの役割の違いを整理する。引き続きの検討課題 |
| 6 中山間・人口減少地域 | 特別養護老人ホームなど既存施設の空きスペースを使えるよう、特定地域サービスの制度などを活用した一定の基準緩和を検討 |
出典:第66回 障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年10月22日)資料「施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」
数字が出ているのは減算と、日中活動の場所です。資料には次のデータが載っています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 地域移行等意向確認未実施減算 | 1日につき5単位の減算(令和6年度改定で導入、令和8年度から義務化) |
| 減算の算定状況(令和8年5月分) | 9事業所/2,528事業所(算定率0.4%) |
| 施設として行う日中活動を、居住する建物内で利用 | 80.3% |
| 同じく、建物外だが敷地内で利用 | 14.1% |
| 多床室がある事業者のうち「今後の個室化の予定なし」 | 6割以上 |
出典:同資料。80.3%・14.1%・6割以上は令和6年度障害者総合福祉推進事業の調査結果として掲載されたものです。
施設で働く側が先に確かめておくこと
減算を受けているのは2,528事業所のうち9事業所。義務化2か月目の令和8年5月分で0.4%なので、減算の対象になっていない施設がほとんどです。そのうえで減算を強めるという方向なので、狙いは「形だけ整えている施設」のほうにあると読めます。
個人的に気になったのは、日中活動の80.3%が「住んでいる建物の中」という数字です。論点2の加算は、施設が外の事業所に入所者の情報を渡すことを評価する案なので、外の生活介護や就労系の事業所にとっても、受け入れの段取りが変わる話になります。
②生活介護、定員91人以上の区分を新設する案と延長支援加算の拡充(厚生労働省)
検討中生活介護の論点は3つ。いまは81人以上がすべて同じ区分の基本報酬に91人以上の区分を足す案、医療的ケアのある人の受け入れを支える加算の見直し、特別支援学校を卒業したあとの夕方の居場所への対応です。
3つの論点で何を変えようとしているか
生活介護の事業所数は13,353、利用者数は310,513人(国保連 令和8年4月実績)。資料は、費用額・利用者数・事業所数とも毎年度増えていると書いています。
| 論点 | 検討の方向性 |
|---|---|
| 1 利用定員の区分 | いまは「81人以上」がひとつの区分。91人以上の新たな区分を設けるなど、事業規模に応じた評価の強化を検討 |
| 2 医療的ケア者への支援 | 常勤看護職員等配置加算の見直しを検討。医療的ケア者などが欠席した場合の欠席時対応加算の拡充を検討 |
| 3 障害児施策からの移行 | 卒業後の夕方以降の預かり・居場所のニーズを踏まえ、延長支援加算の拡充を検討(強度行動障害・医療的ケアのある人の場合も)。日中一時支援事業所などと連携した支援に新たな評価。生涯学習の実施を努力義務に |
出典:第66回 障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年10月22日)資料
延長支援加算は、いまは次の4段階です。拡充の幅はまだ示されていません。
| 1日の所要時間 | 単位数 |
|---|---|
| 9時間以上10時間未満 | 100単位 |
| 10時間以上11時間未満 | 200単位 |
| 11時間以上12時間未満 | 300単位 |
| 12時間以上 | 400単位 |
出典:同資料に引用された報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第6の11。所要時間8時間以上9時間未満の生活介護の前後に日常生活上の世話を行い、通算9時間以上になった場合に算定します。
事業所の負担と家族の負担、どちらに効くか
論点3は、資料の書き方でいうと「家族負担の軽減の観点も含め」た話です。放課後等デイサービスの時間帯がなくなる卒業後に、夕方の居場所が切れるという指摘を、延長支援加算と日中一時支援との連携で埋めようとしています。
欠席時対応加算の拡充は、医療的ケアのある人は体調や受診で休みやすく、休んだ日と戻ってくる日に医療機関や家族との調整が増える、という理由が付いています。休みが続く利用者の対応記録をどう残しているかは、いまのうちに見直しておいてよさそうです。欠席時対応加算の記録の書き方は欠席時対応加算の記録例と要件にまとめています(放課後等デイサービス・児童発達支援向けの記事です)。
③短期入所は医療型の評価見直し、療養介護は定員下限20人の緩和を検討(厚生労働省)
検討中短期入所の論点は医療的ケア児者への支援の1つ、療養介護は日中活動と中山間地域の定員の2つです。短期入所には、通所サービスと同じような欠席時の加算を設ける案が入りました。
短期入所と療養介護で示された方向性
資料によると、短期入所の事業所数は6,968(うち福祉型強化520、医療型398)、利用者数は69,195人。療養介護の事業所数は258、利用者数は21,176人です(いずれも国保連 令和8年4月実績)。
| サービス・論点 | 検討の方向性 |
|---|---|
| 短期入所 1 医療的ケア児者 | 医療型短期入所の供給体制を強める観点から評価を検討。体調不良で利用を取りやめた場合も、他の通所サービスと同様に欠席時の対応を加算で評価することを検討。介護老人保健施設・介護医療院が実施する場合の手続きをさらに簡素化 |
| 療養介護 1 日中活動 | 日中活動の企画・実施を担う職員を置き、利用者ごとに日中活動のプログラムを作っている場合の新たな評価(加算)を検討 |
| 療養介護 2 中山間・人口減少地域 | 中山間・人口減少地域に限り、療養介護の定員下限(現行20人)を緩和することを検討 |
出典:第66回 障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年10月22日)資料。社会福祉法上、定員の下限は20人で、政令で定めるものは10人以上とされている、という説明も添えられています。
医療型短期入所について資料は、主な実施主体が病院で、治療を目的とする診療報酬と比べてレスパイトを目的とする障害福祉報酬の評価が低く、受け入れが広がりにくいという指摘を挙げています。
医療的ケアのある人を受け入れる側に何が来るか
②の生活介護と③の短期入所に共通しているのは、「利用がない日でも看護体制を保つ費用がかかる」という同じ理由で、欠席時の評価を足そうとしている点です。医療型398事業所という数の少なさを考えると、評価を上げる方向自体ははっきりしています。
一方で、どのくらいの単位になるかはまだ書かれていません。なお、障害児支援関係の議論は、10月28日のこども家庭審議会障害児支援部会で検討チーム第65回までの分が報告される予定です(10月21日の福祉ニュースで日程をまとめています)。
④企業の昼休みにB型事業所が製品販売、10月29日に酒田市で(山形県)
10月29日開催山形県の共同受注センターが企業と就労継続支援B型事業所をつなぎ、企業の従業員向けに昼休みの1時間だけ販売会を開きます。
販売会の中身
山形県健康福祉部障がい福祉課(障がい者活躍・賃金向上推進室)が10月22日に発表しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 令和8年10月29日(木)正午から午後1時 |
| 場所 | 株式会社プレステージ・インターナショナル 山形BPOパーク内(山形県酒田市京田4丁目1-1) |
| 販売事業所 | 特定非営利活動法人はんどめいど糸蔵楽、就労継続支援施設 もみの木(いずれも就労継続支援B型事業所) |
| 内容 | 事業所で製造したパン、野菜等を従業員向けに販売 |
| きっかけ | 山形県共同受注センターのマッチング |
出典:山形県 報道発表資料「企業の昼休みを活用した就労継続支援B型事業所による製品販売会の開催」(令和8年10月22日)。従業員向けの販売会のため、一般の方は対象外です。
真似できるのは「共同受注窓口」を通すところ
県の資料は、この取り組みを工賃向上のための企業連携の事例として発信し、さらなる受注機会の拡大につなげたいとしています。事業所が1か所ずつ企業に営業するのではなく、県の共同受注センターが間に入ったのがこの事例の要点です。
販売先を広げたいB型事業所は、自分の県に同じような共同受注の窓口があるか、企業とのマッチングまでしているかを、県の障害福祉の担当課に確かめてみる価値があります。
今日のまとめ
①〜③の12論点を並べると、「施設の中で完結させない」「医療的ケアのある人を地域で受け止める」の2本が通っています。居室の個室化、敷地外の日中活動、卒業後の夕方の居場所、医療型短期入所。どれも、いまの報酬では手間に見合わないとされてきた部分に評価を足す案です。
④は制度の話ではありませんが、B型事業所の売り先を県の窓口が広げた具体例として置いておきます。
次に見ておきたい日程です。
- 10月28日(水)15時……第22回こども家庭審議会障害児支援部会(検討チーム第65回までの障害児支援関係の議論を報告)
- 10月29日(木)正午……山形県のB型事業所の製品販売会(ここは決まっています)
- 次回以降の検討チーム……強度行動障害の状態にある人への支援などを議題にする予定
- 令和9年4月……令和9年度障害福祉報酬改定
参考にした一次情報
- 第66回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料|厚生労働省(令和8年10月22日)
- 施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫(PDF)|厚生労働省・こども家庭庁(令和8年10月22日)
- 企業の昼休みを活用した就労継続支援B型事業所による製品販売会の開催|山形県(令和8年10月22日)
①〜③の施設入所支援・生活介護・短期入所・療養介護の報酬・基準の案は検討チームで示された「検討の方向性」の段階で、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


