【2026年9月18日の福祉ニュース】令和9年度障害福祉報酬改定の4つの論点など4件
きのうときょう、障害福祉と介護保険の部会が続けて開かれました。どちらも令和9年度に向けた土台づくりの回です。数字と日程がまとまって出てきたので、福祉の現場で押さえておきたい4件を整理しました。制度の話ですが、行き着く先は加算の要件や日々の記録、そして職員の給与です。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①令和9年度 障害福祉報酬改定 |
論点は4つ。現場に近いのは「サービスの質の確保」 | 検討中 (変わり得る) |
| ②生産性向上 ガイドライン |
令和8年度中に策定。告示ではないが、改定の前に手本が出る | 検討中 |
| ③介護保険の 2割負担 |
判断基準の見直しは2026年度中に結論。線引きは未定 | 検討中 |
| ④介護経営DB | 令和8年10月ごろ報告受付を再開。期限は12月末ごろ | 確定 |
決まったことは④だけです。①〜③は検討段階で、資料にも「今後の議論で変わり得る」と明記されています。この記事では、決まったことと検討中のことを分けて書きます。
①検討中令和9年度の障害福祉報酬改定、4つの論点が示された

何が出たのか
厚生労働省とこども家庭庁は、2026年9月17日の社会保障審議会障害者部会(第159回)に、令和9年度障害福祉報酬改定の議論の状況を報告しました。示された主な論点は4つです。
- 持続可能なサービス提供体制の確保
- 希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応
- サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保
- 地域差や人口減少への対応等
資料には、議論の前提になる数字も並びました。
| 項目 | 数字 | 比較 |
|---|---|---|
| 利用者数 | 約170万人 | 障害福祉サービス等 |
| 国の予算額 | 約2兆3千億円 | 障害者自立支援法の施行時と比べて約4.5倍 |
| 令和6年度の改定率 | +1.12% | — |
| 改定後の総費用額 | +12.1% | 内訳は一人あたり+6.0%/利用者数+5.8% |
改定率が+1.12%なのに、総費用額は+12.1%伸びています。単価より利用の広がりのほうが効いている、という読み方ができる並びです。なお資料には、この論点は現時点のもので今後の議論で変わり得ると明記されています。
現場にどう効いてくるか
現場にいちばん近いのは3つ目の「質の確保」です。資料は、本来の制度趣旨に沿わない形で加算を算定する事業者や、質が十分に確保されていないまま参入してくる事業者に触れています。そのうえで、必要な支援を行っていない事業者ではなく、質の高い支援に資源が向かうような見直しが要ると書かれました。想定される検討事項には、運営基準や算定要件のあり方、管理者等の要件や研修が挙がっています。
障害児支援の項目では、児童発達支援センターの中核機能の強化、インクルージョンと地域連携の推進、家族支援、医療的ケア児や重症心身障害児への支援の充実が並びました。
個人的には、支援計画と記録が「質の証拠」として見られる場面が、これまでより増えるだろうと感じています。
②検討中障害福祉の生産性向上ガイドライン、令和8年度中に策定へ
何が出たのか
同じ部会で、「障害福祉分野における人材確保・生産性向上に関する検討会」の設置が報告されました。第1回は令和8年7月28日に開かれています。背景にあるのは、令和9年4月1日に施行される障害者総合支援法の改正等です。人材確保や生産性向上を通じた質の高いサービスの確保と経営基盤の確立を、国および都道府県の責務として位置づけました。
| いつ | 何が起きるか |
|---|---|
| 令和8年7月28日 | 検討会の第1回を開催(済) |
| 令和8年度中 | 「障害福祉分野における生産性向上ガイドライン」を策定 |
| 令和9年3月ごろ | 「障害福祉現場における生産性向上推進フォーラム」で成果を周知 |
| 令和9年4月1日 | 改正障害者総合支援法等の施行 |
検討事項には、処遇改善加算の取得促進に向けた取組方針、仕事の魅力発信に関する戦略的な広報、都道府県の支援体制への伴走支援も入りました。
現場にどう効いてくるか
ガイドラインは告示ではないので、これ自体で加算が動くわけではありません。ただ、報酬改定の論点には「生産性向上の取組を推進するための方策」が検討事項として挙がっています。策定が令和8年度中、改定が令和9年度なので、先に手本が出て、後から評価の枠組みが来る順番になります。
処遇改善加算の取得促進が検討事項に明記された点も見ておきたいところ。加算を取っていない事業所や下位の区分にとどまっている事業所には、都道府県の支援体制を通じた働きかけが回ってくる可能性があります。
③検討中介護保険部会、2割負担の判断基準と第1号保険料を議論

何が出たのか
9月18日の午後、社会保障審議会介護保険部会(第136回)が開かれました。議題は「第1号保険料の在り方」と「持続可能性の確保(給付と負担)」です。
| 項目 | いまの数字 | 創設時との比較 |
|---|---|---|
| 第1号保険料 (65歳以上) |
全国平均 月6,225円 (第9期) |
第1期は2,911円。2倍を超えた |
| 第2号保険料 (40〜64歳) |
一人あたり月6,202円 (令和7年度) |
令和8年度は6,360円の見込み |
| 介護給付費の総額 | 14.3兆円 (令和7年度予算ベース) |
創設時の4.0倍 |
| サービス利用者数 | — | 創設時の3.5倍を超える |
利用者負担が2割になる「一定以上所得」の判断基準の見直しは、経済財政運営と改革の基本方針2026(令和8年7月21日閣議決定)で2026年度中に結論を得るとされました。第10期の介護保険事業計画期間が始まる令和9年度の前までに結論を出す時間割です。
対象をどこで線引きするかは、まだ決まっていません。「2割になる」と決まった話ではない点に注意してください。
現場にどう効いてくるか
障害福祉サービスの利用者家庭に直接効く話ではありませんが、福祉の現場で働く側には効きます。第2号保険料は40歳を過ぎた職員の給与から引かれるお金です。事業所としては、親の介護を抱えた職員から相談が来る場面を想定しておきたいところ。2割負担の線引きが動けば、介護費用の見通しが変わる家庭が出てきます。制度の名前は違っても、同じ家計の中で起きていることです。
④確定介護事業者の経営情報データベース、10月に報告受付を再開
何が出たのか
同じ部会の資料4は、介護サービス事業者経営情報データベース(介護経営DB)の現状報告でした。令和6年4月に始まった制度で、原則すべての介護サービス事業者が毎会計年度の終了後に収益と費用を都道府県へ報告します。
| 項目 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 請求実績のある事業所 | 219,788件 | 令和5年度 |
| 報告があった数 | 108,800件 | — |
| サービスごとに分けた報告 | 38,228件 | 36.0% |
| まとめての報告 (複数サービス・法人単位) |
— | 64.0% |
按分処理が必要なデータが想定を超えたため、令和7年4月から受付を止めていたところです。システム改修を終え、再開します。
| いつ | 何をするか |
|---|---|
| 令和8年10月ごろ | 報告の受付を再開 |
| 令和8年12月末ごろ | 報告期限 |
| 令和8年度から | 介護サービスごとの延べ床面積に加え、医療と障害福祉サービスの延べ床面積も報告項目に追加予定 |
| 令和9年4月以降 | 分析結果を部会へ報告 |
現場にどう効いてくるか
介護と障害福祉を同じ法人で運営しているなら、ここは読んでおいた方がよさそうです。延べ床面積が報告項目に加わるため、事業ごとの面積を出せる状態にしておく必要があります。図面や賃貸借契約書を探すところから始まる事業所もあるはず。10月の再開から12月末の期限までは3か月ほどなので、年末の事務と重なります。
骨太方針2026では、次期の介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定にあたり、経営データベースの整備・活用を含めて検討するとされました。報告した数字が、改定の材料として戻ってくる流れです。
今日のまとめ
4件を横に並べると、共通しているのは順番です。まず実態を数字で押さえ、それから配り方を決める。障害福祉では総費用の伸びが論点の前提に置かれ、介護保険では保険料と給付費の推移が示されました。経営DBの報告再開も、同じ作業の一部と言えます。
- 令和8年12月ごろ……令和9年度障害福祉報酬改定の改定案がまとまる
- 令和8年度中……障害福祉分野における生産性向上ガイドラインの策定
- 令和8年12月末ごろ……介護経営DBの報告期限
- 2026年度中……介護保険2割負担の判断基準について結論
どちらも障害福祉サービスの運営基準や加算の要件につながります。年内は、団体ヒアリングの意見がどう論点整理に反映されるかを追いかけます。
参考にした一次情報
- 第159回社会保障審議会障害者部会の資料について|厚生労働省(令和8年9月17日)
- 第136回社会保障審議会介護保険部会の資料について|厚生労働省(令和8年9月18日)
※①〜③は検討段階の内容です。資料にも、今後の議論で変わり得ると明記されています。最終的な取り扱いは、厚生労働省・こども家庭庁の公表資料でご確認ください。


