有料老人ホームの登録制、令和9年12月施行の予定(10/9検討会まとめ)|10月12日の福祉ニュース
今日はスポーツの日(祝日)で、厚生労働省・こども家庭庁とも福祉分野の新しい発表はありません。
そこで今日は、10月9日(金)の「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」第10回で出た「登録制の施行に向けた対応について(まとめ)」を詳しく見ます。この資料で、登録制の施行時期が「令和9年12月」と示されました。
もう1件は、9月29日に公表された「令和8年版 厚生労働白書」です。障害福祉の事業所の赤字割合や、テクノロジー導入の課題が数字つきで並んでいます。行き着く先は、入居契約書・重要事項説明書の作り直しと、事務の時間をどこまで減らせるか、の2つです。
①有料老人ホームの登録制、施行は令和9年12月・既存ホームの移行は令和10年12月までの予定
検討中厚生労働省 老健局が検討会の議論を「まとめ」として出しました。政省令は年内に公布の予定で、細かい書き方はまだ変わり得ます。

10月9日の資料で決まった日程
登録制は、6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」で入った仕組みです。法律では施行日を「公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日」としていて、具体的な月は決まっていませんでした。
10月9日の資料(資料1 p.22)は、事業者・自治体の準備期間やシステム整備の期間を考えて、次の日程にする予定だと書いています。
| 時期 | 何が起きるか | 確度 |
|---|---|---|
| 2026年6月25日 | 改正法の公布 | 済み |
| 2026年秋頃 | 社会保障審議会 介護保険部会へ報告 | 予定 |
| 2026年内 | 政省令の公布 | 予定 |
| 令和9年12月 | 登録制の施行 | 予定 |
| 令和10年12月 | 既存の有料老人ホームが登録へ移るための経過措置(1年間)の終了 | 予定 |
出典:有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第10回)資料1 p.1・p.22(令和8年10月9日)。紹介事業者の優良事業者認定制度は、今年度に研究事業を行い来年度に開始する予定とされています。
登録が必要になるのは、どんな人を受け入れるホームか
登録制の対象は、入居者を守る必要性が高い人を受け入れるホームです。資料1 p.18では、中重度の要介護者を入居対象とするホームに加えて、次の2つも対象にするとしています。
- 要介護者で、認知症の日常生活自立度がⅢ以上の人を入居対象とするホーム
- 要介護者で、一定の医療ニーズがある人を入居対象とするホーム(範囲は解釈通知などで具体的に決める)
あわせて「食事の提供」の線引きも示されました。自立の入居者が各部屋のキッチンで自炊し、必要なときに自分の意思で併設の食堂を使う、といった形なら、老人福祉法第29条の「食事の提供」には当たらないとしています。
登録基準の中身(人員・設備・契約・運営)
基準は厚生労働省令で定め、都道府県などが条例をつくるときの基準になります。人員と運営は「従うべき基準」、設備は「参酌する基準」です。資料1の内容を短くして並べると、次のとおりです。
| 区分 | おもな中身 |
|---|---|
| 人員 | 管理者・生活相談員は1名以上(支障がなければ兼務可)。介護・看護職員は介護等の安定的な提供に支障がない体制(原則、夜間を除きホーム職員が常駐)。夜間・緊急時は職員の配置か、いわゆるオンコールで対応できる体制(経過措置あり)。食事を出すなら栄養士・管理栄養士の関与で献立をつくる |
| 設備 | 建築基準法・消防法に適合。居室は原則個室で、1人当たり13㎡以上。既存の建物は、代わりの措置を入居者に説明するなどしたうえで当面の特例あり。サ高住の登録を受けているホームはサ高住の登録基準による |
| 契約 | 次の3つを「不当な条件」として付けない:①併設・同一法人などの介護事業所、ケアマネ事業所、医療機関、薬局の利用を入居の条件にする/かかりつけ医やケアマネの変更を強いる ②それらを使えば家賃を下げるなどの優遇をする ③入院や心身の変化を理由に、合意なく部屋を替える・解約する |
| 運営 | 職員への定期研修、虐待防止・身体的拘束等の適正化、事故対応、BCP(業務継続計画)、協力医療機関、看取りをするホームは看取り指針。囲い込み対策として、ホーム事業と介護サービス事業の会計を分ける、紹介事業者に払う手数料を入居者の介護度などで変えない、など |
③の契約条件は、地方で使える事業所が限られていて、その事業所の利用が事実上欠かせない場合は、そのこと自体を不当な条件とはみなさない、と注記されています。新しく義務になるものには一定の経過措置期間を設けるとしています。出典:同検討会 第10回 資料1 p.7〜10
登録の対象にならない「届出ホーム」についても、入居者の尊厳や処遇はどのホームにも求められるとして、守るべき事項を登録基準と「概ね同様」に定めるとしています(資料1 p.11)。
特定施設・サ高住は申請が簡単に、登録システムで申請から公表まで
すでに特定施設(介護付きホーム)の指定やサ高住の登録を受けているホームは、行政の確認を一度受けているとして、申請を簡単にします。特定施設は事業所番号に、指定申請で出していない書類(紹介事業者の手数料の考え方、誓約書、入居契約の約款など)を足せば足りる、という整理です。
申請・審査・情報公表は、新しくつくる登録システムの上で完結させる方針です。公表の画面は、いまの介護サービス情報公表システムを改修して、条件検索や見やすさを上げるとしています。
契約書と重要事項説明書は、施行の前に見直しが要る
資料の工程表では、施行までの間にホーム側で「入居者説明・契約書類等の見直し・申請準備」をする流れになっています。特に契約の3つの不当条件は、いまの契約書に「併設の事業所を使うこと」に近い書き方が残っていないかを確かめておく部分です。
個人的には、夜間をオンコールで回しているホームの扱いが一番気になりました。検討会でも「オンコールでは火災に対応できない」という意見と「一律に厳しくすると運営できなくなる」という意見が両方出ていて、最終的に「配置又はオンコール」に落ち着いています。オンコールで行くなら、誰が何分で駆けつけるかを重要事項説明書に書ける形にしておくのがよさそうです。
届出をしていない有料老人ホームが全国に568件あった、という9月の数字は9月25日の記事でまとめています。登録制はその上に乗る仕組みなので、あわせて読むと流れがつかみやすいはずです。
②令和8年版厚生労働白書、障害福祉の事業所は43.6%が赤字(2024年度)
確定厚生労働省が9月29日に閣議報告して公表。第1部のテーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」です。
白書に載った、現場の数字
厚生労働白書は平成13年の発刊から数えて25冊目です。今回の第1部は、2040年を見据えて、テクノロジーを使いながら質の高いサービスを続ける現場の取り組みを取り上げています。白書では、基本的に障害福祉を想定して「福祉分野」「福祉の現場」という言葉を使うと断っています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 支える職員 | 介護サービス:約213万人/障害福祉サービス:約132万人 |
| 赤字割合(2024年度) | 病院(経常利益ベース)58.0%/介護サービス施設・事業所 37.5%/障害福祉サービス等施設・事業所 43.6% |
| 2040年までの人口 | 85歳以上:2025年→2040年で約300万人増/生産年齢人口:約1,100万人減 |
| 国民の受け止め | 医療・介護・福祉分野の将来の担い手不足に不安を感じる人は7割超(「不安」と「やや不安」の合計) |
出典:令和8年版厚生労働白書 概要 p.3〜6(令和8年9月29日公表)。赤字割合のもとは「令和7年度障害福祉サービス等経営概況調査結果」など。
障害福祉のテクノロジー導入、白書が挙げた5つの課題
介護分野は見守り・記録・情報共有を中心に導入が進んでいる、と書かれています。一方で障害福祉分野について白書が挙げた課題は次の5つです。
- 生産性向上の取り組みへの心理的ハードル
- 導入分野、事業所間での導入差
- 導入と運営の費用負担
- 導入後の定着
- 障害特性や支援環境との適合性
先進事例として、障害福祉からは2つが載っています。AI支援記録アプリで支援員が毎月行う業務153時間分(人件費換算で20万円分)を担っている株式会社パパゲーノと、23事業の請求業務を本部のパート職員1名でこなしている社会福祉法人フラットです。
「生産性向上」は人を減らす話ではない、と白書は書いている
白書は、生産性向上の目的を単なる効率化・省力化ではなく、空いた時間を直接の支援に回し、働きやすい職場にして人を確保することだと位置づけています。テクノロジーは入れるだけでは成果が出ず、既存業務への「追加」ではなく業務そのものの「再設計」が要る、とも書いています。
費用より先に「心理的ハードル」が課題の1つ目に置かれている点が気になりました。赤字が4割を超えるなかで、記録や請求の時間をどう減らすかは、報酬改定の議論とは別に事業所が自分で手を付けられる部分です。
なお、白書の「2040年頃の現場」のコラムは将来像の一例で、現行制度に基づくものではないと明記されています。介護側の報酬改定の動きは、10月9日の介護給付費分科会の記事で整理しています。
今日のまとめ
2件とも、人手が限られるなかで入居者・利用者への約束をどう守るかの話でした。①は夜間の体制やサービスの選び方を契約書と重要事項説明書で示すこと、②は事務の時間を減らして直接の支援に回すことです。
①はまだ政省令の前の段階ですが、施行月と経過措置の期間が資料に載りました。有料老人ホームに関わる事業者は、令和9年12月から逆算して準備の順番を決められるようになります。
次に見ておきたい日程です。
- 2026年秋頃……有料老人ホームの登録制、社会保障審議会 介護保険部会への報告(予定)
- 2026年内……登録制の政省令の公布(予定)
- 令和9年度……入居者紹介事業の優良事業者認定制度の開始(予定)
- 令和9年12月……有料老人ホームの登録制の施行(予定)
- 令和10年12月……既存ホームの移行に係る経過措置期間の終了(予定)
参考にした一次情報
- 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第10回)の資料について|厚生労働省(令和8年10月9日)
- 資料1「登録制の施行に向けた対応について(まとめ)」(PDF)|厚生労働省 老健局(令和8年10月9日)
- 参考資料1「登録基準に関する案と現行の標準指導指針等との比較」(PDF)|厚生労働省 老健局(令和8年10月9日)
- 「令和8年版厚生労働白書」を公表します|厚生労働省(令和8年9月29日)
- 令和8年版厚生労働白書 概要(PDF)|厚生労働省(令和8年9月29日)
①の有料老人ホームの登録制は、検討会の「まとめ」の段階です。施行日・経過措置期間は「予定」とされ、資料にも「今後の検討等により政省令等における具体的な規定ぶりについては変更となる可能性がある」と明記されています。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


