【2026年10月8日の福祉ニュース】身寄りのない高齢者の死後事務支援、市町村の相談体制に財政支援を要求など5件
きょう10月8日までに、厚生労働省が翌日10月9日(金)に開く2つの場の案内と資料を出しました。ひとつは第269回の介護給付費分科会で、令和9年度の介護報酬改定に向けて、定期巡回やグループホームなど5つのサービスの議論が始まります。もうひとつは第188回市町村セミナーで、「頼れる身寄りがいない高齢者等」の相談体制をどう作るかの行政説明資料が先に公開されました。
あわせて、10月9日に申込が締め切られる厚生労働省の「心のサポーター養成研修」、リハビリ関連9団体が障害福祉の報酬について初めて共同で出した要望、11月のねんりんピック美術展の受賞決定を取り上げます。行き着く先は、ケアマネジャーや相談員が「本来の業務ではないけれど断れない」と抱えてきた仕事を、どこに渡せるようになるのかです。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①厚労省「心のサポーター養成研修」(企業向け) | 10月21日(水)14時〜16時、Zoom、無料、定員300名(予定)。申込締切は10月9日(金) | 10月9日締切 |
| ②第269回介護給付費分科会 | 10月9日(金)13時〜16時。定期巡回・夜間対応型訪問介護・小多機・看多機・認知症グループホームの5サービスが議題 | 検討中 (改定の議論はこれから) |
| ③身寄りのない高齢者等の相談体制 | 死後事務支援などを第二種社会福祉事業に位置付ける改正法の施行に向け、市町村への支援事業を令和9年度概算要求(地域支援事業1,858億円の内数+事項要求) | 法律は確定 (予算は要求段階) |
| ④リハ関連9団体の共同要望 | 病院や通所リハでの自立訓練(機能訓練)の評価を求める要望を9月29日に提出。導入済みの施設は1%にとどまる | 要望提出 (国の決定ではない) |
| ⑤ねんりんピック美術展 | 応募493点から78点の入賞が決定。大会は11月7日(土)〜10日(火)、埼玉県で開催 | 決定済み |
決まっているのは①⑤の日程と、③の土台になる改正法(令和8年法律第51号)です。②は議論が始まる段階、③の市町村向け事業は概算要求の段階、④は団体の要望で、どれも今後変わり得ます。
①10月9日締切厚労省の「心のサポーター養成研修」、10月21日にオンラインで。定員300名・無料
何が出たのか
厚生労働省は、10月10日の世界メンタルヘルスデーに合わせて、企業を対象にした「心のサポーター養成研修〜こころの変化に気づける職場へ〜」を開きます。職場で身近な人の不調に気づき、話を聴いて相談先につなぐ役割を「心のサポーター」と呼び、受講した人はその認定を受けます。研修は共通研修と選択研修の2部構成で、選択研修のテーマは「ストレスコーピングでセルフケア」です。
| 名称 | 企業向け「心のサポーター養成研修〜こころの変化に気づける職場へ〜」 |
|---|---|
| 主催 | 厚生労働省 |
| 日時 | 令和8年10月21日(水) 14時から16時まで |
| 形式 | オンライン(Zoom) |
| 対象 | 人事担当者、産業保健スタッフ、職場におけるメンタルヘルス施策の推進に直接関与する方 |
| 定員・費用 | 300名(予定)・無料 |
| 申込期限 | 令和8年10月9日(金) |
| 申込先 | 世界メンタルヘルスデーJAPAN2026(厚生労働省)のページにある申込フォーム |
出典:厚生労働省 世界メンタルヘルスデーJAPAN2026 特設ページ(2026年10月8日確認)。Zoomの参加URLと資料は、申込後に別途案内されます。
同じページでは、10月10日(土)の日没から東京タワーや東京都庁舎など全国のモニュメントをシルバーとグリーンに点灯するライトアップ(主催はシルバーリボンジャパンなど)や、9月15日〜11月30日の「自治体ここサポ応援キャンペーン」も案内されています。
現場にどう効いてくるか
対象は職種で書かれていて、会社の種類は限られていません。福祉の事業所でも、職員の休職や離職の相談を受ける人事担当や管理者なら、内容はそのまま当てはまります。2時間・無料・オンラインなので、元を取りやすい研修だと思います。
ただ、締切はあす10月9日(金)です。利用者の支援の研修ではなく、働く側を支える研修なので、受けるなら職員の面談を実際にしている人が行くのがよさそうです。
②検討中介護給付費分科会が10月9日に第269回。定期巡回やグループホームなど5サービスの議論へ
何が出たのか
厚生労働省老健局老人保健課は10月8日、第269回社会保障審議会介護給付費分科会を10月9日(金)13時〜16時にWeb会議で開くと告知しました。議題は「令和9年度介護報酬改定に向けて」で、個別サービスとして次の5つが並んでいます。
| サービス | メモ |
|---|---|
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 令和7年12月25日の介護保険部会の意見では、夜間対応型訪問介護を廃止して定期巡回と統合するとされています |
| 夜間対応型訪問介護 | |
| 小規模多機能型居宅介護 | |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
出典:第269回社会保障審議会介護給付費分科会 開催案内(厚生労働省、令和8年10月8日)。統合の記述は「介護保険制度の見直しに関する意見(概要)」(令和7年12月25日 社会保障審議会介護保険部会。第188回市町村セミナー資料に収録)
傍聴席は設けず、YouTubeでライブ配信されます。資料は当日10時までに厚生労働省のサイトに載る予定です。
現場にどう効いてくるか
9月30日の第268回では改定の「基本的な視点(案)」が出ただけで、サービスごとの論点は日程未定でした。今回から、いよいよ個別サービスの話になります。最初にまとめて扱われるのが地域密着型の5つで、どれも小さな事業所が多く、夜間や24時間の人員配置に悩んでいるサービスです。
夜間対応型訪問介護を運営している事業所は、統合の話が報酬の上でどう扱われるかを、あすの資料で最初に確認しておいたほうがよさそうです。資料は出た時点では「論点」で、結論ではありません。
③法律は確定身寄りのない高齢者の死後事務支援は第二種社会福祉事業に。市町村の相談体制づくりに財政支援を要求
何が出たのか
厚生労働省は10月7日、10月9日(金)13時〜16時30分に開く第188回市町村セミナー(オンライン・会場の併用)の資料を公開しました。老健局認知症施策・地域介護推進課の行政説明「地域における頼れる身寄りがいない高齢者等に係る相談支援体制の整備について」では、社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)の中身と、市町村向けの新しい支援事業が示されています。
改正法では、頼れる身寄りがいない高齢者等への日常生活支援、入院・入所の手続支援、死後事務支援を、利用者のうち一定割合以上に無料または低額で提供する事業を、第二種社会福祉事業に位置付けます。施行日は「法律の公布後2年以内に政令で定める日」と「令和9年4月1日」の2段階です。あわせて、地域包括支援センターの総合相談支援事業、生活困窮者自立相談支援事業、障害者相談支援事業でも、身寄りのない高齢者等からの相談に対応することを明確にするとしています。
| 加算の対象 | 額(資料の表記) |
|---|---|
| 生活支援コーディネーター等を包括センターに置き、一連の支援プロセスを進める | 8,000千円 |
| 地域ケア会議に他分野・他機関(法律専門職、金融機関、交通事業者など)が参画 | 20千円/1回 |
| 他の会議(成年後見制度に係る協議会など)との連携体制をつくる | 300千円/1連携先 |
| 検討体制(ワーキング)を設置する | 833千円/1包括 |
| 財源・交付率 | 地域支援事業1,858億円の内数+事項要求。国38.5%(実施主体は市町村) |
出典:第188回市町村セミナー 行政説明1「地域における頼れる身寄りがいない高齢者等に係る相談支援体制の整備について」(厚生労働省老健局、令和8年10月7日公開)
同じ資料には、背景になる調査の数字も載っています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 「日頃のちょっとしたことの手助け」で頼れる人が「いない」 | 高齢単独男性世帯 23.1%、高齢単独女性世帯 7.2%、総数 9.4%(国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」2022年7月) |
| 地域ケア会議を踏まえて資源開発ができていると思う地域包括支援センター | そう思う 5.7%+ややそう思う 25.8%(2,217センターが回答) |
| 資源開発ができない理由(上位2つ) | センター職員の業務量過多・人員不足 66.3%、地域資源の不足 59.5%(1,466センター) |
出典:同上。センターの数字は令和7年度老人保健健康増進等事業(PwCコンサルティング合同会社)の中間結果をもとに厚生労働省が作成したもの
現場にどう効いてくるか
資料は、ケアマネジャーが救急車への同乗や死後の手続きを「法定外業務(いわゆるシャドウワーク)」として引き受けざるを得ない実態を、はっきり書いています。今回の改正は、その受け皿を第二種社会福祉事業として作り、相談の入口を包括・生活困窮・障害の相談支援にそれぞれ置く、という組み立てです。障害者相談支援事業も名前が挙がっているので、高齢の分野だけの話ではありません。
個人的には、加算のつけ方が「地域ケア会議に金融機関や交通事業者を呼んだら1回いくら」という作りになっているのが気になりました。事業所の側でできるのは、身寄りのない利用者の件で「誰が何をしたか」を記録に残し、地域ケア会議に出せる形にしておくことだと思います。10月6日の記事で紹介した成年後見制度利用促進専門家会議(第23回)も10月13日にあり、権利擁護の側の議論と並べて見ると流れがつかみやすくなります。
④要望提出リハ関連9団体が障害福祉報酬で初の共同要望。病院・通所リハでの自立訓練、導入済みは1%
何が出たのか
日本理学療法士協会は10月8日、全国リハビリテーション医療関連団体協議会の9団体が9月29日(火)に、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課へ要望書を共同で提出したと公表しました。障害福祉の報酬についてこの9団体が要望を出すのは初めてです。要望書の名前は「共生型サービスの推進に向けた医療・介護保険施設等における自立訓練(機能訓練)の提供の評価」で、令和9年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けたものです。
| 提出した9団体 | 回復期リハビリテーション病棟協会、全国デイ・ケア協会、日本言語聴覚士協会、日本作業療法士協会、日本訪問リハビリテーション協会、日本理学療法士協会、日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション看護学会、日本リハビリテーション病院・施設協会 |
|---|---|
| 要望の柱 | 指定手続きの簡素化、全国一律の運用指針の整備、制度の周知・啓発、報酬の見直し等 |
| これまでの経緯 | 令和6年度報酬改定で、病院・診療所(医療保険のリハビリ)と通所リハビリ事業所が、自立訓練(機能訓練)を共生型サービスまたは基準該当サービスとして提供できるようになった |
| 協会の調査(令和7年8月) | 導入済み 1%、導入予定 3%。導入済み・予定の施設の71%が手続きに困難を感じている(書類作成の負担、定款変更、行政手続きの時間など) |
出典:日本理学療法士協会「[政策活動レポート]リハ関連9団体で初となる障害福祉報酬の要望提出!」(2026年10月8日)
現場にどう効いてくるか
自立訓練(機能訓練)は、標準利用期間が原則18か月(頸髄損傷による四肢麻痺などは36か月)の障害福祉サービスです。制度の上では2年前から病院や通所リハでも提供できるのに、使っているのは1%。要望が「報酬を上げて」だけでなく「手続きを簡単に、全国で同じ運用に」から始まっているのは、そこが一番の詰まりだからだと読みました。
これは団体の要望で、国が決めたことではありません。ただ、介護保険のサービスを使っている障害のある人が、同じ場所でリハビリを続けられるかどうかに関わる話です。障害福祉の報酬改定の議論でこの論点が取り上げられるかは、検討チームの資料で追っていきます。
⑤決定済みねんりんピック美術展、応募493点から78点が入賞。大会は11月7日から埼玉で
何が出たのか
厚生労働省は10月8日、第38回全国健康福祉祭埼玉大会(ねんりんピック彩の国さいたま2026)を11月7日(土)〜10日(火)に開くことと、美術展の厚生労働大臣賞などの受賞者を発表しました。主催は厚生労働省、埼玉県、さいたま市、一般財団法人長寿社会開発センターで、スポーツ庁が共催します。
| 応募総数 | 493点(日本画79、洋画91、彫刻56、工芸89、書89、写真89) |
|---|---|
| 入賞 | 78点(6部門×13点。各部門に厚生労働大臣賞1、埼玉県知事賞1、さいたま市長賞1、長寿社会開発センター理事長賞1、金賞1、銀賞2、銅賞4、最高齢者賞2) |
| 厚生労働大臣賞の6人 | 80歳〜85歳(年齢は2027年3月31日時点) |
| 展示 | 埼玉県立近代美術館 地下1階 一般展示室1〜4。11月7日〜9日は10時〜17時、10日は10時〜16時。観覧無料 |
出典:厚生労働省「第38回全国健康福祉祭埼玉大会(ねんりんピック彩の国さいたま2026)の開催及び美術展における厚生労働大臣賞等の決定について」(令和8年10月8日)
現場にどう効いてくるか
美術展に出せるのは、60歳以上のアマチュアの未発表作品です。部門ごとに80代の受賞者が並び、最高齢者賞も男女1人ずつ用意されています。デイサービスや地域のサロンで書や写真を続けている人がいるなら、この条件を知っておくだけで、次の年に声をかけるきっかけになります。
昨日の記事で、障害者福祉施設の文化芸術活動で「発表」の割合が下がっている話を書きました。高齢の分野では、国の大会が発表の場を毎年用意している形です。
今日のまとめ
5件を並べると、「担い手がいない仕事を、誰に、どの制度で渡すか」が共通していました。③は家族が担ってきた死後事務や入院手続を第二種社会福祉事業へ、④は病院や通所リハが持っているリハビリの力を障害福祉へ、②は人手のかかる夜間・24時間のサービスを報酬の上でどう続けるか。①は、その仕事を担う職員の側を支える研修です。⑤の美術展は、地域で続けてきた活動に出口がある一例です。②はあす10月9日の資料、③は年末の予算案で、どこまで残るかが見えてきます。
次に見ておきたい日程
- 2026年10月9日(金)……心のサポーター養成研修(10月21日開催)の申込締切(ここは決まっています)
- 2026年10月9日(金)13:00〜16:00……第269回介護給付費分科会。資料は当日10時までに掲載予定(ここは決まっています)
- 2026年10月9日(金)13:00〜16:30……第188回市町村セミナー(ここは決まっています)
- 2026年10月10日(土)……世界メンタルヘルスデー。日没から全国でライトアップ(ここは決まっています)
- 2026年10月13日(火)……第23回成年後見制度利用促進専門家会議(ここは決まっています)
- 2026年11月7日(土)〜10日(火)……ねんりんピック彩の国さいたま2026・美術展(ここは決まっています)
- 2027年4月1日……改正社会福祉法の主な施行日(身寄りのない高齢者等への支援の一部は、公布後2年以内に政令で定める日)
参考にした一次情報
- 世界メンタルヘルスデーJAPAN2026|厚生労働省(2026年10月8日確認)
- 第269回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)を開催します|厚生労働省(令和8年10月8日)
- 第188回市町村セミナーの資料について|厚生労働省(令和8年10月7日)
- 行政説明1 地域における頼れる身寄りがいない高齢者等に係る相談支援体制の整備について(PDF)|厚生労働省老健局(令和8年10月7日)
- [政策活動レポート]リハ関連9団体で初となる障害福祉報酬の要望提出!|日本理学療法士協会(2026年10月8日)
- 第38回全国健康福祉祭埼玉大会の開催及び美術展における厚生労働大臣賞等の決定について|厚生労働省(令和8年10月8日)
②の介護報酬改定はこれから議論が始まる段階で、③の市町村向け支援事業は令和9年度の概算要求、④はリハ関連団体の要望です。いずれも決定前の段階で、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


