【2026年9月29日の福祉ニュース】介護の補足給付、預貯金確認の事務軽減に素案など4件
きょう9月29日、厚生労働省で「介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場」の第4回が開かれ、中間とりまとめの素案が出ました。介護施設に入る低所得の人の食費・居住費を軽くする「補足給付」で、市町村が毎年やっている預貯金の確認をどう軽くするか、という話です。あわせて、職員の働き方の事例、11月のケアラー支援シンポジウム、被災した子ども食堂への助成と、きょう出た4件をまとめました。素案の話は窓口の事務のことに見えますが、行き着く先は、施設に入っている人とその家族が毎年そろえる通帳のコピーです。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①補足給付の 預貯金確認 |
事務を軽くする方策を9項目で整理。認定証の有効期限を2年にする運用は29保険者が実施済み | 検討中 (素案・たたき台) |
| ②介護職の 週休3日制 |
社会福祉法人かなえ福祉会で介護士の73.1%が週休3日を選択。年間休日は165日 | 公表済み (法人の発表) |
| ③長崎県ケアラー 支援シンポジウム |
11月14日(土)13:30〜。基調講演のみライブ配信、全体は後日アーカイブ | 申込受付中 |
| ④被災した 子ども食堂 |
熊本県宇城市の子ども食堂に40万円の助成。炊飯器や食器の買い直しに | 実施済み |
制度の話は①だけで、まだ素案(資料には「素案・たたき台」と明記)の段階です。②〜④は法人・県・助成団体がそれぞれ公表した事実で、変わる性質の話ではありません。
①検討中補足給付の預貯金確認、事務を軽くする9つの方策が素案に

何が出たのか
厚生労働省老健局は2026年9月29日(火)10時からの「介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場」(第4回)に、中間とりまとめ(素案)を示しました。検討の場は、令和7年12月25日の社会保障審議会介護保険部会の意見(まず補足給付での預貯金確認事務の実態を把握し、保険者との実務的な検討の場を設けるべき)を受けて作られたもので、市の介護保険担当課長等3名、町村の担当課長等2名と厚労省で構成されています。5月27日の第1回から数えて、今回が4回目です。
補足給付(特定入所者介護サービス費)は、低所得の人が介護保険施設などを使うときの食費・居住費を軽くする給付です。認定を受けるには、所得の要件に加えて預貯金額が基準以下であることが必要で、市町村は申請内容が本当かを確かめるために、必要に応じて金融機関へ照会しています。認定証の有効期限は8月1日から翌年7月31日までの1年が基本で(アンケートも令和6年8月1日〜令和7年7月31日を有効期限とする申請を集計)、令和3年度には、市区町村の判断で有効期限を設定できることが明確化されています。素案の前半は、全国の保険者に行ったアンケートの結果です。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 補足給付の認定者数 | 約85万人(令和6年度末時点) |
| アンケートの回答 | 全国1,574保険者のうち1,566保険者(回答率99.5%) |
| 事務に従事した職員 | 計3,882人(1保険者あたり中央値2人) |
| 負担限度額認定の申請 | 計1,094,033件(うち認定1,042,305件・不認定51,728件) |
| 預貯金額の変動による不認定 | 8,019件 |
| 金融機関へ照会した保険者 | 794保険者(約51%)。照会した被保険者は34,534人、照会の結果の不承認は3,778件 |
| 金融機関の回答にかかる日数 | 本店等一括照会で平均17.0日/オンライン預貯金照会で平均9.3日 |
| オンライン預貯金照会を使った保険者 | 198保険者(約13%) |
| 認定証の有効期限を2年にする運用 | 29保険者が実施、うち27保険者が事務負担の軽減に「寄与した」と回答 |
出典:介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場(第4回・令和8年9月29日)資料1「中間とりまとめ(素案)」
そのうえで後半に、事務負担を軽くする方策が9つ並びました。見出しには「素案・たたき台」と書かれています。
| 方策 | 中身(素案の記述から) |
|---|---|
| ①オンライン預貯金照会の活用促進 | 国が、ExcelのマクロやRPAの活用を含む導入のポイントや先行事例を自治体・金融機関に情報提供する |
| ②非課税年金の照会業務の負担軽減 | 令和8年7月31日付通知で示した、マイナンバーの情報連携を使った算出方法の活用を進める。自動化に向けて介護保険システムの標準仕様書の見直しを検討 |
| ③介護情報基盤の活用 | 令和10年4月1日から本格運用予定の介護情報基盤を使い、限度額認定証の発行をやめる案を、運用状況を見ながら検討 |
| ④認定証の更新時期の変更 | 更新を9月か10月に遅らせる案。負担割合証(8月更新)との重なりは避けられるが、問い合わせが増える懸念もあり両論を併記 |
| ⑤金融機関照会の効率化 | 全件照会は想定していない。疑義のある人・サンプル調査・2年に1度などの工夫を、アンケート結果として周知 |
| ⑥添付書類の簡素化 | 継続入所で預貯金に大きな変動がない人などは、通帳の写しを毎年求めなくてもよい。適正な判定ができる範囲で認められることを明確化 |
| ⑦郵送・オンライン申請の活用 | 申請の勧奨時に、郵送申請やマイナポータル等での電子申請を案内する |
| ⑧有効期限を2年とする運用 | 令和3年度に市区町村の判断で設定できると明確化済み。メリット・デメリットの両方を踏まえ、各保険者で導入を検討 |
| ⑨各種事務処理の効率化 | 認定証の一括処理、AI・RPAでの入力削減、申請書への被保険者情報の印字など |
出典:同 資料1「中間とりまとめ(素案)」2.預貯金等の確認事務の負担軽減の具体的な方策
また「基本的な方向性」として、正確に資産を把握するには、預貯金にマイナンバーを付番してすべての金融機関に照会できる仕組みが必要で、国は将来的にその導入を目指して付番等を進めるべき、とも書かれています。
現場にどう効いてくるか
申請する側から見ると、いちばん近いのは⑥と⑧です。通帳の写しを毎年出さなくてよくなる、認定証の更新が2年に1回になる。素案のメリット欄には、有効期限を2年にした自治体で「利用者・家族の窓口来所の頻度が減ることで施設側から好意的な反応があった」とあります。施設で更新の案内や書類集めを手伝っている職員にとっても、負担が減る方向の話です。
ただ、どれも国が一律に決める形ではなく、「地域の実情に即して」各保険者が取り入れるかどうかを決める書き方になっています。2年運用を実際にやっているのは、回答した1,566保険者のうち29。デメリットとして、有効期間の途中で預貯金や所得が変わったときの過誤調整が増えた、という声も並んでいます。自分の地域の保険者がどう動くかは、しばらく個別に見ていくしかなさそうです。
この検討は、介護保険の「一定以上所得」(2割負担)の判断基準の見直しの中で、預貯金をどう勘案するかという議論から来ています。2割負担の議論は9月18日の介護保険部会をまとめた回で扱いました。今回の会議が開かれることは先週のまとめの日程表に入れていたもので、中身が出たのは今回が初めてです。個人的には、素案が最後に「預貯金へのマイナンバー付番」まで書いている点は、事務の効率化の話で終わらない含みがあると感じています。
②公表済み介護士の73.1%が週休3日を選ぶ法人、年間休日は165日
何が出たのか
社会福祉法人かなえ福祉会(本部:名古屋市東区)は2026年9月29日、2022年から段階的に入れてきた「週休3日制」の運用実績を公表しました。週休2日制と週休3日制から職員が選ぶ仕組みで、週休3日制を選んでも給与は週休2日制と変わらないとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 介護事業の8施設(名古屋・京都)、介護事業職員数358人 |
| 週休3日制を選んだ介護士 | 73.1%(2026年9月現在) |
| 年間休日 | 165日 |
| 3連休の取得 | 週休3日制を選んだ職員のうち、毎月平均59% |
| 5連休の取得 | 週休3日制を選んだ職員のうち、45%が年1回以上 |
| 今後 | 2027年4月、横浜市都筑区に9施設目の特別養護老人ホーム「すないの家 都筑」を開設予定 |
出典:社会福祉法人かなえ福祉会 プレスリリース(2026年9月29日)。1日の勤務時間の扱いは発表に記載がありません。
現場にどう効いてくるか
シフト勤務の職場で「毎月3連休」が半数を超えている、というのが目を引く点です。一方で、この発表には1日あたりの勤務時間をどう扱っているかが書かれていません。自分の事業所で検討するなら、そこが最初に確かめるところだと思います。
選択制にしているので、長い日勤が合わない人は週休2日のままでいられます。人手の話は、募集を増やすより辞めない形を作るほうが先、という考え方の一つの実例として読んでおきたい発表です。夜勤や勤務形態ごとの働き方は、介護の夜勤の給料と施設選びの記事でも整理しています。
③申込受付中長崎県ケアラー支援シンポジウム、11月14日(土)に開催
何が出たのか
長崎県は2026年9月29日、「長崎県ケアラー支援シンポジウム2026」の開催を告知しました。家族の介護や世話を担う人(ケアラー)を支えるためのシンポジウムで、県は11月を「長崎県ケアラー支援月間」としています。
| 名称 | 長崎県ケアラー支援シンポジウム2026 |
|---|---|
| 主催 | 長崎県(福祉保健部 長寿社会課) |
| 日時 | 2026年11月14日(土)13:30~16:00 |
| 形式 | 会場:長崎県庁行政棟312~314会議室(長崎市尾上町3番1号)。基調講演のみライブ配信、テーマ別セミナーを含む全体の映像は後日アーカイブ配信 |
| 内容 | トークセッション(基調講演)「家族の介護、そのときどうする?」井本憲作氏(親の介護の入口案内人)・長船なお美氏/テーマ別セミナーA「地域と職場のケアラー支援」/セミナーB「ヤングケアラー支援について」(登壇者調整中)。セミナーは申込時にA・Bのどちらかを選択 |
| 対象 | 県のページ・チラシに限定の記載なし(「今は介護をしていない方も、既に家族を支えている方も」と呼びかけ) |
| 定員・費用 | 県のページ・チラシに記載なし(問い合わせ先で確認を) |
| 申込期限 | 県のページ・チラシに記載なし |
| 申込先 | 長崎県の申込フォーム、または電話 095-895-2434(長寿社会課 地域包括ケア推進班) |
出典:長崎県「長崎県ケアラー支援シンポジウム 2026を開催します!」(2026年9月29日更新)および同チラシ
現場にどう効いてくるか
セミナーAには、長崎県介護支援専門員協会の「ワークサポートケアマネージャー」が登壇します。チラシの説明では、従業員が仕事と介護を両立できるよう企業を支援するケアマネジャーのことです。福祉の事業所は、職員自身が親の介護を抱えていることが珍しくない職場なので、管理者や人事の担当者が聞くと持ち帰れるものがありそうです。
当日の流れは、13:30に基調講演、14:45に休憩とセルフチェックシートの紹介、15:00からテーマ別セミナー、16:00終了。長崎県外から見たい場合、ライブ配信は基調講演だけなので、配信の視聴方法は申込時に確認しておくと確実です。
④実施済み被災した子ども食堂に40万円、炊飯器から絵本まで
何が出たのか
社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団は、「令和8年熊本地震」で活動拠点が被災した熊本県宇城市の「まがのふれあい食堂実行委員会」に、活動再開のための資金として40万円を2026年9月29日付で助成したと発表しました。拠点の曲野区公民館(宇城市松橋町曲野)では、大型冷蔵庫の転倒、調理台の損壊、食器類の破損、建具の脱落、壁面の損傷があったとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成額 | 40万円(2026年9月29日付) |
| 調理・配膳の設備 | 5升炊き炊飯器、食器類、大鍋・フライパン・電子レンジ等 |
| 居場所づくりの備品 | 本・絵本、プロジェクター、ボードゲーム、わたあめ・ポップコーンメーカー等 |
| 事務・広報 | プリンター |
| 食堂の規模 | 月1回開催、参加者は最多で約200人、実行委員は約30人 |
出典:社会福祉法人 朝日新聞厚生文化事業団 プレスリリース(2026年9月29日)
現場にどう効いてくるか
使い道の一覧に、炊飯器や鍋と並んで絵本やボードゲームが入っているのがこの助成の特徴です。食事を出す場所であると同時に、子どもが過ごす場所として立て直す、という中身になっています。
地域の居場所や食堂を運営している側から見ると、真似できるのは「何が壊れて、何を買い直すか」を品目の単位で並べている点です。災害のあとに民間の助成を探すとき、この形で必要なものが出せると話が早くなると思います。
今日のまとめ
きょうの4件を並べると、どれも「同じ人手で、どう回すか」の話になっています。補足給付の素案は、全国で3,882人が携わる認定事務をどう軽くするか。週休3日の法人は、358人の職員の休み方をどう組むか。ケアラー支援のシンポジウムは、働きながら家族を支える人をどう職場で支えるか。被災した子ども食堂は、約30人の実行委員で月1回の場をどう再開するか。制度の話が少ない日でしたが、人の手が限られている前提は、行政にも事業所にも地域にも共通しています。
次に見ておきたい日程です。
- 2026年11月14日(土)13:30〜16:00……長崎県ケアラー支援シンポジウム2026(ここは決まっています)
- 2027年4月……かなえ福祉会が横浜市都筑区に特別養護老人ホーム「すないの家 都筑」を開設予定
- 2028年(令和10年)4月1日……介護情報基盤の本格運用予定。補足給付の認定証の扱いもここに関わる
- 時期未定……補足給付の検討の場、中間とりまとめの確定版(今回は素案)
参考にした一次情報
| 資料 | 出どころ |
|---|---|
| 第4回介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場 | 厚生労働省(令和8年9月29日) |
| 資料1 中間とりまとめ(素案)(PDF) | 厚生労働省 老健局(令和8年9月29日) |
| 【介護士の73.1%が週休3日制を選択】 | 社会福祉法人かなえ福祉会(2026年9月29日) |
| 長崎県ケアラー支援シンポジウム 2026を開催します! | 長崎県 福祉保健部 長寿社会課(令和8年9月29日更新) |
| 【令和8年熊本地震】被災した「子ども食堂・子どもの居場所」の活動再開へ40万円を助成 | 社会福祉法人 朝日新聞厚生文化事業団(2026年9月29日) |
①の補足給付の負担軽減策は、厚生労働省の資料に「素案・たたき台」と明記された検討段階のもので、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。③のシンポジウムの申込方法・費用は、長崎県の申込フォームまたは問い合わせ先でご確認ください。


