欠席時対応加算の記録例・文例30|台風と感染症の判断・要件【放デイ・児発】
「明日、休みます」
この電話一本で、配置したスタッフも用意した教材も宙に浮いてしまう。直前のキャンセルは、経営的にも精神的にも、現場にとって本当に痛いですよね。
損失を少しでも補填したい。でも「欠席時対応加算」は、運営指導で一番狙われやすい項目でもあります。「返還が怖くて請求できない」「記録になんて書けばいいかわからない」と、悩んでいる管理者さんも多いのではないでしょうか。
私は現役のサビ管・介護福祉士として現場に立ち、日々の上限管理事務も行っています。だからこそ、現場の痛みも、事務の複雑さも痛いほどわかります。
この記事では、単なる制度の解説はしません。監査に耐えうる「鉄壁の記録術」から、返還になるNGパターン、請求実務の流れ、保護者への「角が立たない伝え方」まで、明日から使える実務ノウハウだけを凝縮しました。
この記事の結論(学べること)
- ● 運営指導で指摘されない具体的な記録の書き方(NG例→OK例つき)
- ● 返還につながる算定NGパターン7選と回避策
- ● 支給量・他事業所・送迎加算など現場の疑問をQ&Aで全解決
- ● 保護者の信頼を損なわない伝え方のテンプレート
この記事を読んだ後のゴール
「これで合ってるかな?」とビクビクするのを終わりにして、
運営指導でも「どうぞ見てください」と胸を張れる自信を手に入れられる。
この記事の書き手と根拠について
筆者は放課後等デイサービスの現役サービス管理責任者(介護福祉士・保育士)で、日々の請求事務と上限管理事業所としての実務を担当しています。本文の制度部分は、厚生労働省の報酬告示および留意事項通知、各自治体が公表している運営指導の指摘事例を確認したうえで執筆しています。
※加算の運用や必要書類の様式は自治体によって取扱いが異なる場合があります。最終的な判断は必ず指定権者(都道府県・市町村)にご確認ください。
- 結論|欠席時対応加算の要点を30秒で【2026年度・令和8年度時点】
- 障害福祉の「欠席時対応加算」とは?要件・単位数・対象サービスを3分で整理
- 【サービス別】欠席時対応加算がある全サービスと、月8回の特例が使えるサービス
- 【コピペOK】運営指導で返還させない!欠席時対応加算の「記録」書式&文例集
- 【場面別・文例21】感染症も学校都合もこれで書ける!相談援助の記録文例
- 【判断表】台風・大雪・警報の日は算定できる?「誰が休むと決めたか」で全部決まる
- 【要注意】欠席時対応加算が算定できないNGパターン7選
- 支給量は減る?他事業所と被ったら?現場の「潜在的疑問」を全解決
- 【出典つき】公式Q&Aと通知で、ここまでは決着している
- 【請求実務】サービス提供実績記録票の書き方と「月4回」の管理術
- 【様式】記録票の9項目と、月4回・月8回を超えないカウント管理表
- 【上級編】知らないと損する!?現場の裏話&注意点
- 「休みなのにお金がかかるの?」保護者トラブルを防ぐ伝え方
- まとめ:正しい知識で「経営」と「支援」を守ろう
結論|欠席時対応加算の要点を30秒で【2026年度・令和8年度時点】
先に答えだけまとめます。2026年度(令和8年度)の報酬改定後も、欠席時対応加算の単位数と回数上限は変わっていません。厚生労働省が公表している「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」で、対象サービスを1つずつ確認した結果が下の表です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1回につき94単位(地域区分により約940〜1,100円) |
| 回数の上限 | 1人につき月4回まで |
| 月8回になる例外 | 重症心身障害児を支援する場合で、かつ定員充足率が80%未満のときのみ月8回。児童発達支援と放課後等デイサービスだけの特例で、生活介護や就労系にはありません |
| 連絡のタイミング | 利用予定日の前々日・前日・当日の急な連絡であること |
| 絶対に必要なこと | 相談援助を行い、その内容を記録に残すこと。欠席の連絡を受けただけでは算定できません |
| 欠席時対応加算(Ⅱ) | 令和6年度報酬改定で廃止済み(来所後すぐ帰宅した場合の加算)。令和8年度の算定構造にも記載はありません |
| 令和8年度改定での変更 | なし。「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」に欠席時対応加算の見直しは含まれていません |
運営指導で返還になるのは、ほぼ「記録」です。単位数や回数を間違える事業所はあまりありません。指摘されるのは「欠席の理由は書いてあるが、こちらが何を相談・助言したのかが書かれていない」というパターンです。記録の書き方だけ知りたい方は、この記事の記録シートのひな形と文例集まで飛んでください。
障害福祉の「欠席時対応加算」とは?要件・単位数・対象サービスを3分で整理

急な欠席連絡。スタッフの配置も済んでいるし、おやつや教材も用意している。あーあ、とため息をつきたくなる瞬間です。私たち現場の人間にとって、直前のキャンセルは運営的にも精神的にもダメージが大きいですよね。
しかし、この欠席時対応加算は、単なるキャンセル料ではありません。急な事態に見舞われた利用者やご家族に対し、専門職として適切な相談援助を行ったことを評価する大切な報酬です。
まずは、この加算の基本となる単位数と、絶対に外せない算定要件を確認していきましょう。ここを曖昧にしたまま請求すると、運営指導で返還対象になりかねませんので、しっかり押さえておきます。
対象となるサービスと単位数【94単位】
欠席時対応加算は、通所系の障害福祉サービスと障害児通所支援で幅広く算定できます。対象となるのは、主に次のサービスです。
欠席時対応加算を算定できる主なサービス
- 放課後等デイサービス/児童発達支援
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
※本記事では、放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援B型などを中心に、現場の運用に踏み込んで解説します。
\ たかが1,000円、されど1,000円 /
単位数:1回につき 94単位
(地域区分によりますが、約1,000円前後です)
もし定員10名の事業所で、月に20回の急な欠席があったとしましょう。この加算を適切に算定できれば月額約2万円、年間では24万円もの差が生まれます。
この資金があれば、子どもたちの新しい教材を買ったり、職員へ還元したりすることも可能です。
逆に言えば、「怖いから請求しない」という判断を続けると、本来受け取れるはずの報酬を毎年20万円以上取りこぼしているということになります。正しく理解して、正しく算定する。それが管理者の仕事です。
算定するための3つの絶対条件
厚生労働省の報酬告示や留意事項通知に基づき、算定には以下の3つの条件がすべて揃っている必要があります。一つでも欠ければ算定できません。
条件1 急な欠席連絡であること
利用する日の「前々日、前日、または当日」に連絡があった場合を指します。
例:10月10日の利用予定 → 10月8日以降のキャンセル連絡ならOK。10月7日以前の連絡はNG。
条件2 理由が急を要するものであること
基本的には「急病、怪我、体調不良」などが該当します。
※旅行、学校行事、あらかじめ決まっていた定期通院は原則NGです。
最重要 相談援助を行っていること
単に「了解しました」と電話を切るのはNG。
体調確認や次回利用の調整など、専門的な相談援助を行い、記録に残す必要があります。
さらに見落とされがちなのが、この3条件の大前提です。それは「その日が、もともと利用予定日であったこと」。個別支援計画や利用予定表で利用日として位置づけられていない日は、そもそも「欠席」になりません。運営指導では、実はここを最初に確認されます。
月4回まで。重症心身障害児は「定員充足率80%未満」のときだけ月8回
この加算は無制限に取れるわけではありません。以下のルールがあります。
原則:1人の利用者につき、月4回まで
もし月に5回以上の急な欠席があっても、請求できるのは4回分だけです。
その月のご利用予定日数に関わらず(毎日利用でも週1利用でも)、上限は一律4回となります。
例外:重症心身障害児を主に受け入れる事業所は月8回まで
重症心身障害児に対して児童発達支援・放課後等デイサービスを行う事業所では、その月に事業所を利用した児童の数を「利用定員 × その月の営業日数」で割った利用率が80%未満だった場合に限り、月8回を限度として算定できます。
※重心型の事業所は欠席の影響を強く受けるため設けられた特例です。該当する場合は毎月、利用率の計算根拠も残しておきましょう。
【令和6年度報酬改定】欠席時対応加算(Ⅱ)は廃止されました
ここは意外と知られていないポイントなので、必ず押さえてください。
令和6年度の報酬改定より前、放課後等デイサービス・児童発達支援には、「来所したものの、体調不良などですぐに帰宅した場合」に算定できる欠席時対応加算(Ⅱ)がありました。しかし、この加算(Ⅱ)は令和6年度報酬改定で廃止されています。
改定前
欠席時対応加算(Ⅰ)=急な欠席の連絡+相談援助
欠席時対応加算(Ⅱ)=来所後すぐに帰宅した場合
令和6年度改定以降
欠席時対応加算(Ⅰ)のみ
(Ⅱ)は廃止。短時間利用は時間区分に応じた基本報酬で評価
古いマニュアルや、改定前に作られたブログ記事をそのまま参考にしていると、すでに存在しない加算を請求してしまうという事故が起きます。事業所内の請求マニュアルが改定前のままになっていないか、この機会に確認しておくことを強くおすすめします。
【サービス別】欠席時対応加算がある全サービスと、月8回の特例が使えるサービス
「うちのサービスでも算定できるのか」「就労Bと生活介護で要件は違うのか」——ここを正確に書いている記事がほとんどないので、令和8年度の報酬算定構造を全ページ確認して、欠席時対応加算が設定されているサービスを漏れなく拾いました。
| サービス | 単位数 | 上限 | 重心の月8回特例 |
|---|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 94単位 | 月4回 | あり |
| 児童発達支援 | 94単位 | 月4回 | あり |
| (旧)経過的児童発達支援(難聴児・重症心身障害児・医療型) | 94単位 | 月4回 | あり |
| 生活介護 | 94単位 | 月4回 | なし |
| 自立訓練(機能訓練) | 94単位 | 月4回 | なし |
| 自立訓練(生活訓練) | 94単位 | 月4回 | なし |
| 就労移行支援/就労移行支援(養成) | 94単位 | 月4回 | なし |
| 就労継続支援A型 | 94単位 | 月4回 | なし |
| 就労継続支援B型 | 94単位 | 月4回 | なし |
| 就労選択支援 | 94単位 | 月4回 | なし |
逆にいうと、短期入所・共同生活援助(グループホーム)・施設入所支援・居宅介護などの訪問系には、欠席時対応加算そのものがありません。通所して支援を受けることが前提の加算だからです。
就労選択支援も対象です(令和7年10月に始まった新サービス)
比較的新しいサービスなので見落とされがちですが、就労選択支援にも欠席時対応加算(94単位・月4回)が設定されています。短期間で回す支援なので1回の欠席の重みが大きく、ここを算定できていない事業所は確認してください。
放デイだけ、請求ソフトに「欠席時対応加算(Ⅰ)」と出ることがある
ここで混乱する人が多いのですが、令和8年度の報酬算定構造では、放課後等デイサービスだけ「欠席時対応加算(Ⅰ)」という枝番つきの名称のまま記載されています(他のサービスは「欠席時対応加算」)。(Ⅱ)が廃止された後も(Ⅰ)の表記が残っているためで、請求ソフトの画面に「(Ⅰ)」と出ても間違いではありません。中身は今回説明している94単位・月4回の加算と同じものです。
就労系・生活介護の管理者の方へ。「重心なら月8回」という情報がネット上に条件なしで出回っていますが、これは児童発達支援と放課後等デイサービスにしかない特例です。しかも児童系であっても、その月の定員充足率が80%未満だった場合に限られます。充足率の計算根拠(利用延べ人数 ÷ 利用定員 × 営業日数)を毎月残しておかないと、運営指導で月8回分をまとめて返還——という事態になります。
【コピペOK】運営指導で返還させない!欠席時対応加算の「記録」書式&文例集

運営指導で調査官が真っ先に見るのは、加算の算定根拠となる記録です。「電話を受けただけ」の事務連絡では、残念ながら報酬は認められません。
そこで、「絶対に指摘されない記録フォーマット」と、状況別の具体的な文例を用意しました。
記録に残すべき必須項目9選
支援記録(業務日誌)には、最低限以下の9つの項目が網羅されている必要があります。
- 連絡があった日時(日付と時刻)
- 連絡者(母、父、本人など)と続柄
- 連絡手段(電話、メール、LINEなど)
- もともとの利用予定日
- 欠席の理由(具体的な症状や状況)
- 利用者の当日の心身の状況
- 相談援助の内容(ここが最重要)
- 次回の利用予定や連絡の取り決め
- 当月の算定回数(何回目か)
+ 対応した職員名(記録者と対応者が違う場合は両方)
最初の記録シートから「利用予定日」と「当月の算定回数」を欄として持っておくと、月4回の上限オーバーという事故がほぼ起きなくなります。地味ですが、返戻を減らす効果が一番大きい工夫です。
「相談援助」と認められる中身は、この3点セット
- 状況の把握:体温、食事や水分の摂取、機嫌、睡眠など具体的に聞き取る
- 助言・指示:受診の目安、休養の取り方、家庭での過ごし方を専門職として伝える
- 次回利用の調整:いつから利用できそうか、次回来所時の配慮を一緒に決める
この3つが揃っていない記録は、どれだけ丁寧な言葉で書かれていても「事務連絡」と判断されます。
【保存版】そのまま使える記録シートのひな形
エクセル等で管理する場合、以下のような枠を作っておくと記入漏れが防げます。このまま印刷して手書き用シートとしても使えます。
2. 助言・対応:
【ケース別】記入例(見本)4パターン
上記のフォーマットに実際に記入した例です。新人職員さんへの指導用として、そのまま印刷して配っていただいて構いません。
ケース1:発熱・体調不良(最も多いパターン)
今朝から38.5度の発熱あり。喉の痛みを訴えており、食欲がなくぐったりしているため欠席。
①水分の摂取状況を確認。イオン飲料は少しずつ飲めているが、食事は摂れていないとのこと。
②無理に食事はさせず、脱水を防ぐためこまめな水分補給を優先するよう助言。近隣でインフルエンザが流行しているため、午後も解熱しなければ受診を検討するよう伝えた。
ケース2:メンタル不調・行き渋り(放デイなどで多い)
昨日の学校でのトラブルを引きずり「行きたくない」とパニックになっているため欠席。
①現在は自室にこもっているとのこと。無理に来所させず、自宅でクールダウンする時間を設けるよう提案。
②保護者に対し、本人が落ち着いて話し出すまでは無理に理由を聞き出さず、見守るよう助言した。
ケース3:きょうだいの感染症で自宅待機(本人は元気)
同居する弟がインフルエンザA型と診断され、本人にも感染の可能性があるため自宅待機となり欠席。本人に発熱はないが、朝から少し咳が出ている。
①本人の体温(36.8度)と咳の頻度を確認。現時点で発熱はないが、今夕と明朝の検温をお願いした。
②他の利用者への感染拡大を防ぐため、発症した場合はすぐに連絡いただくよう依頼。自宅で過ごす間、退屈しないよう本人が好きな塗り絵の課題を提案した。
ケース4:就労継続支援B型・当日の体調不良
昨夜眠れず、朝から強い倦怠感と頭痛があるため欠席したいと本人より申し出。
①睡眠状況と服薬状況を確認。処方薬は飲めているが、就寝が午前3時になったとのこと。
②本日は無理をせず休養するよう伝え、次回の通院時に睡眠のリズムについて主治医へ相談するよう助言。生活リズムの立て直しについて、次回来所時にサビ管と面談する時間を設けることを提案した。
【NG→OK】1行で終わる記録を「通る記録」に書き換える
実際に運営指導で指摘されやすいのは、悪意のある記録ではなく「忙しくて一行で済ませた記録」です。よくある3つのNG記録を、そのまま書き換えてみましょう。
NG例1
「10/15 欠席 発熱のため。お大事にとお伝えした。」
OK例1
「10/15(火)8:30 母より電話。38.5度の発熱と咽頭痛あり。水分はイオン飲料を少量摂取できているが食事は不可。脱水予防のため水分補給を優先するよう助言し、午後も解熱しなければ受診を検討いただくよう伝えた。明日の利用可否を本日17時に再確認することとした。(対応:鈴木)」
NG例2
「母より欠席の連絡。家庭の都合とのこと。了解した。」
OK例2
「11/6(水)7:50 父より電話。同居の弟がインフルエンザと診断され自宅待機のため欠席。本人の体温は36.8度で発熱はないが咳が少しあるとのこと。今夕と明朝の検温を依頼し、発症時はすぐ連絡いただくようお願いした。自宅で過ごす間の活動として塗り絵の課題を提案。(対応:田中)」
※「家庭の都合」のままでは急を要する理由か判断できません。何が起きたのかまで書くのが鉄則です。
NG例3
「LINEにて欠席連絡あり。既読にて確認。」
OK例3
「11/12(火)8:15 母よりLINEで欠席連絡。同アプリ上で体温・食欲・睡眠を確認し(37.8度、食欲なし、夜間覚醒あり)、解熱剤使用のタイミングと受診の目安を返信。本人が落ち着いてから改めて様子を伺うため、15時に電話することを合意。(対応:山本/トーク履歴を印刷し記録に添付)」
サビ管からのポイント
判断基準はシンプルです。「その記録だけを読んだ第三者が、何を聞き、何を助言し、次にどうするかを説明できるか」。ここさえ満たしていれば、多少文章が拙くても指摘されることはまずありません。様式(フォーマット)を整えておけば、誰が電話に出ても聞くべきことが揃います。

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欠席時対応加算でいちばん多い返還理由は「記録がない」ですが、その手前でつまずいている事業所も多いはずです。欠席連絡を職員の私物スマホで受けていると、着信履歴が個人の端末に残り、送迎中の職員が受けた連絡が事業所に共有されないまま消えていきます。- 連絡先を事業所名義の1台に集約すると、着信日時・相手が端末に残り「連絡を受けた事実」の裏づけになる
- 誰が受けても同じ端末に履歴が残るので、記録票への転記漏れが減る
- 職員の退職時に、保護者の連絡先を私物端末から確実に切り離せる(個人情報保護の体制として説明しやすい)
【場面別・文例21】感染症も学校都合もこれで書ける!相談援助の記録文例
前の章の4パターンだけでは、現場で起きる欠席の半分もカバーできません。ここでは実際に事業所へ入ってくる連絡を21場面に分けて、そのまま記録票に写せる文例を並べました。台風・大雪の5場面は次の章にまとめてあるので、本記事全体では30場面ぶんになります。
文例はすべて「①状況の確認 ②助言・利用の促し ③次回の調整」の3点セットで書いてあります。この3つのうちどれかが欠けている記録は、どれだけ丁寧な言葉で書かれていても運営指導では「事務連絡」と判断されます。逆に言えば、この型さえ守れば3行で十分です。
① 体調・病気が理由のとき(8場面)
場面01 インフルエンザと診断された
次回に向けて確認したこと:解熱の見込み/学校の出席停止解除日/再開初日は活動量を落とすこと
場面02 新型コロナウイルスに感染した
次回に向けて確認したこと:同居家族の体調/療養解除の予定日/再開時の送迎座席の配慮
場面03 感染性胃腸炎(嘔吐・下痢)
次回に向けて確認したこと:受診結果と診断名/症状消失の日時/再開初日のトイレ介助の配慮
場面04 溶連菌感染症
次回に向けて確認したこと:抗菌薬の内服開始時刻/登校可否/服薬の様子
場面05 てんかん発作があり受診した
次回に向けて確認したこと:受診結果と処方変更の有無/緊急時対応票の更新要否/次回の活動量
場面06 入院することになった
次回に向けて確認したこと:入院期間の見込み/相談支援専門員への情報共有の同意/退院後の体力面の配慮
場面07 服薬の変更で様子を見たい
次回に向けて確認したこと:変更後の薬剤名と用量/日中の覚醒状態/次回の活動プログラムの調整
場面08 予防接種のあとの発熱
次回に向けて確認したこと:解熱の見込み/接種部位の状態/次回の導入活動の組み立て
② 学校・家庭の事情が理由のとき(7場面)
場面09 学級閉鎖・学年閉鎖になった
次回に向けて確認したこと:学級閉鎖の期間/本人と家族の症状の有無/再開日の目安
場面10 朝の登校しぶりが強く、学校も欠席した
次回に向けて確認したこと:きっかけとなった出来事/学校との情報共有の同意/次回のクールダウン場所の確保
場面11 保護者が急病で送迎できない
次回に向けて確認したこと:保護者の回復見込み/緊急時の送迎の可否/短時間利用への振り替え希望
場面12 きょうだいの急な発熱で外出できない
次回に向けて確認したこと:家庭内の感染状況/本人の体調/次回の個別対応の時間確保
場面13 急な弔事が入った
次回に向けて確認したこと:帰省の期間/移動中の見通しの持たせ方/再開日の情緒面の確認
場面14 当日に受診の予約が取れた
次回に向けて確認したこと:受診科と目的/所見の共有の可否/計画見直しの要否
場面15 【NG例】前から決まっていた家族旅行
次回に向けて確認したこと:(算定しない旨を記録に明記/加算のカウントには含めない)
③ 連絡の受け方がイレギュラーだったとき(6場面)
場面16 本人(高校生)から直接電話があった
次回に向けて確認したこと:保護者への確認が取れた時刻/家庭の見守り体制/本人の自己申告を認める関わり
場面17 祖父母から連絡があり、保護者と連絡が取れない
次回に向けて確認したこと:保護者へ連絡が取れた時刻/家庭内の連絡役/次回の連絡経路の取り決め
場面18 留守番電話に「休みます」だけ入っていた
次回に向けて確認したこと:折り返しの発信時刻/通話で確認できた内容/次回利用日
場面19 メッセージアプリに一言だけ届いた
次回に向けて確認したこと:電話をかけ直した時刻/確認できた症状/記録の保存方法
場面20 送迎の車内で体調不良になり、自宅へ戻った
次回に向けて確認したこと:中止を合意した時刻/引き渡しの状況/サービス提供実績記録票の扱い
場面21 学校へ迎えに行ったら保健室にいた
次回に向けて確認したこと:学校から聞き取った経過/保護者と合意した対応/次回の連絡方法
共通の注意:どの場面でも、記録に「連絡を受けた時刻」「連絡してきた人」「連絡手段」の3点が入っていないと、運営指導で「いつ・誰から受けた連絡か確認できない」と指摘されます。文例をコピーして使うときは、この3点だけは必ず自事業所の実際の値に置き換えてください。
【判断表】台風・大雪・警報の日は算定できる?「誰が休むと決めたか」で全部決まる
欠席時対応加算でいちばん判断に迷うのが、台風・大雪・警報の日です。ここは感覚で決めると危険で、結論は国の取扱いではっきりしています。
出典:厚生労働省の事務連絡にもとづく取扱いとして、沖縄県「欠席時対応加算の取り扱い」に掲載されている内容(沖縄県公式サイト)。同趣旨の案内は他の自治体でも公表されています。
つまり判断軸は「誰が休むと決めたか」の一点です。事業所が閉めると決めた日は算定できず、事業所は開けていたが利用者側が休むと決めた日は算定できる。天候そのものではなく、意思決定の主体で決まります。
9パターンで見る、算定できる日・できない日
| その日の状況 | 算定 | 理由と、記録で押さえる点 |
|---|---|---|
| 前日に事業所が「明日は台風のため閉所」と決定し、全家庭に連絡した | 不可 | サービス提供体制そのものが確保されていないため。閉所の決定日時と連絡手段を記録し、加算の算定記録票は起票しない |
| 当日の朝に事業所判断で閉所を決め、順次連絡した | 不可 | 前日か当日かは問わない。判断したのが事業所である限り対象外。閉所判断の根拠(警報の発表時刻・自治体の要請等)を業務日誌に残す |
| 事業所は通常どおり開所・職員も出勤していたが、保護者が「危ないので休ませます」と判断した | 可 | 利用者側の判断による急な欠席。開所していた事実と相談援助の内容を残す |
| 暴風警報で学校が休校になり、保護者判断で欠席した(事業所は開所) | 可 | 学校の休校と事業所の開所は別物。休校を理由に自動的に不可にはならない |
| 開所していたが、大雪で送迎車を出せないと事業所から伝え、保護者も来所手段がなく欠席になった | 要確認 | 送迎の中止を事業所が決めている以上、指定権者によって判断が分かれる。自力来所は可能である旨を案内したかを記録し、迷う場合は事前に指定権者へ確認する |
| 自治体から地域一斉の休業要請が出て、それに従って閉所した | 不可 | 結果として事業所を開けていないため。要請の文書名・受領日時を保存する |
| 地震・停電で開所できず、当日朝に閉所を連絡した | 不可 | 閉所の理由が災害であっても扱いは同じ。BCPの発動記録とあわせて残す |
| 開所していたが停電で空調が使えず、保護者と相談して欠席とした | 可 | 開所しており、保護者と合意のうえで利用を中止した形。相談の経過をそのまま記録する |
| 台風が近づいており、3日前に「金曜は休ませます」と連絡があった | 不可 | 連絡が利用予定日の前々日より前のため、タイミングの要件を満たさない |
「事業所は開けていた」を証明する5点セット
台風の日の算定は、運営指導で「本当に開所していたのか」を必ず確認されます。あとから用意できない書類ばかりなので、その日のうちに揃えてください。
| 残すもの | 何の証明になるか |
|---|---|
| 出勤簿・タイムカード | 職員が実際に出勤し、支援体制が確保されていたこと |
| 当日の業務日誌 | 開所時刻・在籍職員・当日の判断の経過 |
| 保護者への一斉連絡の送信履歴 | 「本日は通常どおり開所していますが、無理な来所はお控えください」と案内した事実 |
| 来所した利用者がいればその記録 | 実際にサービスを提供していたこと(1人でもいれば強い) |
| 警報の発表・解除の時刻メモ | 判断の合理性。気象台の発表時刻を控えておく |
一斉連絡の文面に気をつけてください。「本日は危険ですのでお休みください」と事業所から送ってしまうと、実質的に事業所都合の休業と読まれかねません。「通常どおり開所しています。ご家庭の判断で無理のない対応をお願いします」という書き方であれば、開所の事実と利用者側の判断の両方が残ります。
台風・大雪の日にそのまま使える記録文例5本
場面22 暴風警報で学校が休校、保護者判断で欠席
次回に向けて確認したこと:警報の発表時刻/家庭での過ごし方/通学路の安全
場面23 前日に「明日は台風なので休みます」と連絡
次回に向けて確認したこと:翌日の開所予定を伝えたこと/停電時の備え/明後日の利用可否
場面24 大雪で保護者が送迎できない
次回に向けて確認したこと:開所と送迎の状況を伝えたこと/自力来所の可否/次回の連絡方法
場面25 停電で空調が使えず、相談のうえ欠席とした
次回に向けて確認したこと:こちらから提案した経過/合意した時刻/復旧後の連絡
場面26 【NG例】事業所判断で閉所した日
次回に向けて確認したこと:(閉所の決定経過を記録/加算は算定しない/翌日の利用意向を確認)
【要注意】欠席時対応加算が算定できないNGパターン7選

ここが、この記事で一番読んでいただきたいパートです。
運営指導で返還を求められるケースには、はっきりとした「型」があります。逆に言えば、この7つさえ避けられれば、欠席時対応加算で指摘を受けることはほとんどありません。
運営指導で実際に指摘される7つのNG
NG1/利用日の3日以上前に連絡があった
対象は前々日・前日・当日の連絡のみ。「早めに連絡してくれた誠実な保護者ほど算定できない」という、少し切ないルールです。連絡日が記録に残っていないと、この時点で説明ができません。
NG2/あらかじめ分かっていた欠席だった
学校行事、家族旅行、毎月決まっている定期通院などは「急を要する理由」に当たりません。当日に連絡が来たとしても、前から予定されていたものは算定できないと考えてください。
NG3/連続欠席を日数分まとめて算定した
「インフルエンザで今週いっぱい休みます」という1回の連絡に対して3日分・4日分を算定するのは典型的な返還事例です。1回の連絡・1回の相談援助につき1回が原則。日ごとに改めて連絡を受け、その都度相談援助を行い記録した場合のみ、それぞれ算定できます。
NG4/同じ日に他事業所を利用していた
併用しているお子さんで最も多いミスです。実際にサービスを提供した事業所の実績が優先されるため、キャンセルされた側は算定できません。国保連の突合で判明し、後から返戻になります。
NG5/事業所都合で休みにした日に算定した
台風で事業所側が閉所を決めた日、職員の急病で受け入れができなかった日などは、そもそもサービス提供体制が確保されていないため算定できません。
NG6/曜日を決めて機械的に算定していた
「この方は毎週水曜が休みがちだから、水曜は加算を入れておく」といった運用は、実態のない請求=不正請求と判断されます。監査に発展しやすい、最も重い類型です。
NG7/相談援助をしていない・記録が残っていない(最多)
「了解しました」で電話を切る、LINEに既読スタンプだけ返す、記録が「欠席(発熱)」の一行だけ。どれも相談援助の実施を証明できません。指摘件数としては、これが圧倒的に多いのが実情です。
もし指摘されたらどうなる?返還までの流れ
「指摘されたら即刻取り消し」ということはまずありません。多くの場合、次のような段階を踏みます。
- 運営指導当日に口頭で確認・指摘を受ける
- 後日、文書(改善指導書・是正勧告)が届く
- 期限までに改善報告書を提出する
- 不適切な算定分について過誤申立て(自主返還)を行う
- 悪質と判断された場合のみ、監査・指定取消等へ移行する
大切なのは、指摘を受けた時点で慌てて記録を書き足さないことです。後から作成した記録は、書式や筆跡ですぐに分かります。素直に「相談援助は行っていたが記録が不十分だった」と説明し、様式の改善と職員研修をセットで報告するほうが、はるかに心証は良くなります。
なお、運営指導では加算だけでなく、身体拘束廃止未実施減算のような減算項目や、必要な研修の実施状況もあわせて確認されます。加算の記録だけを整えるのではなく、書類全体を年に一度は棚卸ししておくと安心です。

支給量は減る?他事業所と被ったら?現場の「潜在的疑問」を全解決

ここからは、教科書的なマニュアルにはあまり詳しく書かれていないけれど、現場では頻繁に直面する疑問についてお答えします。
保護者への説明や、他事業所との調整で迷わないよう、私が実際に現場で判断している基準をQ&A形式でまとめました。
Q1. 欠席時対応加算を使うと、受給者証の「支給日数」は消化されるの?
これは保護者の方が一番心配されるポイントです。「休んだのに日数を使われてしまったら、行きたい日に行けなくなるのでは?」と不安になられることがあります。
安心してください。欠席時対応加算は、あくまで「加算」であり、サービスの「利用日数」にはカウントされません。
例えば、月に10日の支給決定を受けているお子さんがいたとします。
その月、実際に10回利用して、さらに別に1回急な欠席があった場合でも、その欠席分に対して加算を算定することは可能です。利用日数10日 + 欠席加算1回 という請求になります。
保護者への伝え方
「お休みされた日の分は、利用できる日数(チケット)は減りませんのでご安心ください。ただ、急な対応への費用として数百円の自己負担(1割負担の場合)だけ発生します」とお伝えすると、納得していただきやすいです。
Q2. 同日に「他事業所」を利用していた場合は?
これは請求事務でのミスナンバーワンです。特に複数の事業所を併用しているお子さんの場合に注意が必要です。
例えば、A事業所(放デイ)を利用予定だったけれど、急遽キャンセルして、その日にB事業所(放デイや日中一時など)を利用したというケースです。
障害福祉サービスのルールでは、原則として「実際にサービス提供を行った実績」が優先されます。そのため、同じ日にどこかの事業所を利用している事実があれば、キャンセルされた側の事業所は欠席時対応加算を請求することはできません。
後で「知らなかった」とならないよう、他事業所と併用している利用者の場合は、月末の実績確認の際に「あの日、そちらを利用されましたか?」と確認連携を取るのが確実です。相談支援専門員さんに間に入ってもらうのも有効です。
Q3. 同日に「病院(医療機関)」を受診した場合は?
体調不良で欠席する場合、その足で病院に行くことはよくありますよね。医療機関の受診は障害福祉サービスではないため、同日であっても問題なく算定できます。
むしろ、記録の中に「午前中に小児科を受診し、インフルエンザA型の診断を受けた」といった具体的な受診内容が書かれていると、欠席理由の正当性がより強固になります。
受診結果を聞き取ることも大切な「相談援助」の一つですので、積極的に確認して記録に残しましょう。
※ただし、あらかじめ予定されていた定期通院による欠席は「急を要する理由」に当たらないため算定できません。あくまで急な体調不良に伴う受診が対象です。
Q4. 3日連続で休んだら、3回分算定できるの?
「インフルエンザなので今週いっぱいお休みします」という連絡を月曜に1回受けただけで、火・水・木の3日分を算定する。これは運営指導で必ず指摘される、典型的な返還パターンです。
算定の単位は「欠席した日数」ではなく「相談援助を行った回数」です。日ごとに改めて連絡を取り合い、その都度状況を確認して助言を行い、それぞれ記録を残しているのであれば、その回数分を算定できます。
現場での実践例
インフルエンザで長期に休まれる場合、私は「明日の夕方、また様子をお聞かせください」と次の連絡の約束を必ず取り付けます。これは加算のためというより、回復状況を把握して復帰の準備をするために必要な支援だからです。結果として、日ごとの相談援助記録が自然に残ることになります。
Q5. 欠席した日の「送迎加算」は算定できる?
送迎加算は、実際に送迎を行った実績に対して算定するものです。欠席した日は送迎そのものが発生していないため、当然ながら算定できません。
まれに「迎えに行ったが玄関先で欠席と言われた」というケースがありますが、この場合も利用者を乗せて事業所へ送迎していない以上、送迎加算の対象にはなりません。欠席時対応加算の要件(急な連絡・相談援助・記録)を満たしていれば、そちらのみを算定します。
Q6. きょうだいの発熱や、保護者の急病が理由でも算定できる?
要件は「利用者本人が病気であること」ではなく、「急病等のやむを得ない事情で急に利用を中止したこと」です。きょうだいの急な発熱で送迎ができない、保護者が急病で対応できない、といった事情も対象になり得ます。
ただしこの場合こそ、記録の書き方が問われます。「家庭の都合」で済ませてしまうと、急を要する事情だったのか判断できません。何が起きて、なぜ急に利用できなくなったのかを具体的に書き、あわせて本人の状況(発熱の有無、自宅での過ごし方)も確認して記録に残しておきましょう。
Q7. 連絡がなく、事業所から電話して欠席が分かった場合は?
来所予定の時間になっても現れないため事業所から連絡したところ、「すみません、熱が出ていて」と判明する。現場ではよくある展開です。
この場合も、当日に利用中止が確認され、体調確認や次回利用の調整といった相談援助を行って記録していれば、算定して差し支えないと解されています。記録には「事業所から連絡した」旨と、その理由(来所予定時刻を過ぎても来所がないため)を明記しておきましょう。
※この取扱いは自治体によって見解が分かれる場合があります。無連絡欠席が続くケースは、あわせて安否確認や関係機関との連携も必要になりますので、迷ったら指定権者に確認してください。

【出典つき】公式Q&Aと通知で、ここまでは決着している
ここまで書いてきた判断のうち、国の通知やQ&Aで結論が出ているものを、出典つきで整理します。運営指導で説明を求められたときに、この表をそのまま示せば話が早く済みます。
| 論点 | 結論 | 根拠 |
|---|---|---|
| 台風などの自然災害は「急病等」に含まれるか | 含まれる | ただし、あらかじめ施設を開かないことを決定・連絡していた場合は対象外。厚生労働省の事務連絡にもとづく取扱いとして各自治体が公表 |
| A事業所を欠席した子が、同日にB事業所へ通所した場合、A事業所は算定できるか | できない | 同日に異なる事業所が報酬を算定することは想定されていない。なおB事業所は基本報酬等を算定できる。令和6年5月17日 こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡 問22(参考:平成30年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1/平成30年3月30日 問109) |
| 放課後等デイサービスの欠席時対応加算(Ⅱ)はなぜ廃止されたのか | 時間区分の導入に伴う見直し | 令和6年度改定で支援時間による3区分が導入されたことに伴い廃止。開所時間減算については変更なく適用される(こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」) |
| いつまでの連絡なら算定できるか | 前々日・前日・当日 | 急病等により利用を中止した日の前々日、前日または当日に中止の連絡があった場合に算定可能 |
| 相談援助は訪問や面会が必要か | 不要 | 電話等により利用者の状況を確認し、引き続き利用を促すなどの相談援助を行い、その内容を記録することとされている |
| 単位数と回数の上限 | 94単位/回、月4回 | 主として重症心身障害児を通わせる事業所で、当該月の利用者数を「利用定員×当該月の営業日数」で割った数が80/100未満の場合は月8回まで |
| 開所時間減算の対象に加算は含まれるか | 含まれない | 減算は基本報酬についてのみ行われる(参考:平成27年度報酬改定に関するQ&A VOL.1/平成27年3月31日 問72) |
ひとつだけ注意。ここに挙げた論点以外、たとえば「送迎だけ中止した日の扱い」や「月の途中で重症心身障害児の利用率が80%を上下した場合の数え方」は、国の通知では明示されておらず、指定権者の運用に委ねられている部分です。判断に迷う論点は、算定してから指摘されるより、先に指定権者へ書面で照会して回答を保存しておくほうが確実に安全です。照会した日付・担当者名・回答内容を1枚にまとめて綴じておけば、それ自体が運営指導での説明資料になります。
【請求実務】サービス提供実績記録票の書き方と「月4回」の管理術

要件と記録が整っても、最後の請求事務でつまずくと結局お金は入ってきません。ここでは、連絡を受けてから入金までの流れを整理します。
サービス提供実績記録票への反映方法
欠席時対応加算は、支援記録に書いただけでは請求されません。サービス提供実績記録票への記載が必要です。
- 該当日の欄は「利用実績なし」として扱い、サービス提供の実績には含めません
- 実績記録票の「欠席時対応加算」欄に、算定する日は「1」を記載します(様式により記号は異なります)
- 月末に当月の算定合計回数を集計し、4回(重心特例は8回)を超えていないか確認します
- 保護者に実績記録票を確認・押印いただく際、欠席日の加算についても口頭で一言添えておくとトラブルを防げます
※実績記録票の様式は自治体ごとに異なります。お使いの様式の記載欄を必ず確認してください。
ここでよくあるのが、「支援記録には丁寧に書いたのに、実績記録票に反映し忘れて請求していなかった」という取りこぼしです。返還よりも痛くない失敗ですが、事業所の収入としては同じだけ損をしています。
月4回を超えないためのカウント管理術
上限オーバーは、月の後半に一気に欠席が重なったときに起こります。防ぐ方法はシンプルで、記録した瞬間に数えることです。
おすすめの管理方法
- 利用者名を縦、1〜31日を横に並べた「欠席加算カウント表」を月ごとに1枚用意する
- 相談援助を記録したら、その場で表にチェックを入れる(記録と同時が鉄則)
- 4回に達した利用者のセルに色を付け、5回目以降は「算定対象外」と明記して記録だけ残す
- 月末、この表と実績記録票を突き合わせてから請求データを作成する
ポイントは、5回目以降も相談援助と記録は普通に行うことです。加算が取れないから対応も記録もしない、というのは本末転倒ですし、支援の継続性という観点からも記録は残しておくべきものです。
返戻・過誤申立てになったときの対処
他事業所との重複や上限超過は、国保連の審査で返戻(エラー)として戻ってくることがあります。また、請求後に誤りに気づいた場合は、自ら過誤申立てを行って取り下げます。
慌てないための手順
- 返戻理由コードを確認し、どの利用者のどの日付が対象かを特定する
- 支援記録・実績記録票・カウント表を並べ、原因(重複/上限超過/要件不足)を切り分ける
- 自事業所の誤りであれば、市町村へ過誤申立てを行い、翌月以降に再請求する
- 同じ原因が再発しないよう、チェック工程を1つ足す(例:併給者リストの月末確認)
返戻そのものは事故ではありません。同じ返戻を繰り返すことが、運営指導で「組織的な管理ができていない」と評価される原因になります。原因と対策をメモに残しておくだけでも、印象は大きく変わります。

【様式】記録票の9項目と、月4回・月8回を超えないカウント管理表
ここまでの文例を実際の書類に落とし込むための様式です。記録票は「何を書くか」より「どこを見られるか」で作ると、運営指導で止まりません。
記録票の9項目と、運営指導で見られるポイント
| 項目 | 書く内容 | ここを見られる |
|---|---|---|
| 1. 受付日時 | 連絡を受けた日付と時刻(分まで) | 利用予定日の前々日〜当日に収まっているか |
| 2. 利用予定日 | 本来利用するはずだった日 | 実績記録票および個別支援計画の利用日と一致しているか |
| 3. 連絡者 | 母・父・祖父・本人など、続柄まで | 保護者以外からの連絡のとき、保護者への確認が取れているか |
| 4. 連絡手段 | 電話・折り返し電話・来所・メッセージアプリ等 | 文字だけのやり取りで終わっていないか |
| 5. 対応職員 | 受けた職員の氏名(フルネーム) | 実在の従業者で、その日に勤務しているか |
| 6. 欠席理由 | 「体調不良」で止めず、症状・経過まで | 「急を要する理由」と読めるか。予定されていた欠席でないか |
| 7. 当日の本人の状況 | 体温・食欲・機嫌・受診の有無 | 実際に状況を確認したことが分かるか |
| 8. 相談援助の内容 | 助言した内容と、利用を促した内容 | ここが最重要。事務連絡で終わっていないか |
| 9. 次回利用予定日 | 次に来る日、または決め方 | 「引き続き利用を促した」ことの裏づけになっているか |
9項目のうち、指摘の大半は6・8・9の3つに集中します。とくに8番は「お大事にとお伝えした」だけで終わっている記録が非常に多く、これは相談援助と認められません。助言(こうしてください)と、利用の促し(次はこうしましょう)を必ず1文ずつ入れてください。
月4回・月8回を超えないためのカウント管理表
回数の超過は、返還のなかでも特に多い指摘です。請求ソフトが自動で止めてくれるとは限らないので、紙かスプレッドシートで1枚、月ごとに持っておくのがいちばん確実です。次のような形にしておくと、月末に眺めるだけで危ない利用者が分かります。
| 利用者 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 上限 | 残 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A児 | 9/2 発熱 | 9/9 胃腸炎 | 9/17 台風 | — | 4回 | 1回 | 今月あと1回。翌月への繰り越しは不可 |
| B児 | 9/4 学級閉鎖 | 9/5 学級閉鎖 | 9/6 学級閉鎖 | 9/12 受診 | 4回 | 0回 | 以降の欠席連絡は記録のみ。算定しない |
| C児(重心) | 9/3 発熱 | 9/10 入院 | 9/11 入院 | 9/12 入院 | 8回 | 4回 | 当月の利用率が80%未満であることを月末に確認 |
上限を超えた分は「算定しない」だけで、記録を書かなくてよいわけではありません。5回目以降の欠席連絡でも、相談援助は通常どおり行い支援記録に残します。加算の算定記録票を起票しないだけです。ここを混同して記録ごと省いてしまうと、支援の継続性が見えなくなり、別の角度から指摘を受けます。
重症心身障害児で月8回になるかの計算
主として重症心身障害児を通わせる事業所では、次の式が80/100(80%)未満であれば月8回まで算定できます。
例:利用定員5人・営業日数22日の事業所で、当該月ののべ利用者数が80人だった場合 → 80 ÷(5 × 22)= 約0.72 となり80%未満。この月は月8回まで算定できます。判定は月ごとに行うため、先月8回だったから今月も8回、とはなりません。自事業所が対象になるか、また端数の扱いについては指定権者に確認してください。
サービス提供実績記録票への反映で、よくある食い違い
| よくある食い違い | どうなるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 実績記録票の欠席時対応欄と、記録票の枚数が合わない | 返戻または過誤申立て | 月末に「記録票の枚数=実績記録票の計上数」を突き合わせる担当を1人決める |
| 算定したのに保護者の確認印が漏れている | 実績の確認が取れていないと指摘 | 翌月初回の来所時に、前月分をまとめて確認してもらう運用にする |
| 欠席した日に送迎加算も計上している | 過誤請求 | 送迎は実際に乗車した日のみ。欠席日は自動で外れる設定になっているか確認する |
| 閉所した日に加算を計上している | 返還の対象 | 閉所日は請求ソフト側で休業日として登録し、そもそも入力できない状態にする |
【上級編】知らないと損する!?現場の裏話&注意点

ここまで読んでいただいた勉強熱心なあなたにだけ、さらに一歩踏み込んだ「現場のリアル」をお伝えします。
マニュアルには詳しく書いていないけれど、知っておかないと後で困る「台風時の対応」や「LINE連絡の落とし穴」についてです。
実は…「台風・大雪」の時は判断が分かれます
台風や大雪の予報が出ている時、加算が取れるケースと取れないケースがあるのをご存知でしょうか。ポイントは「誰が休むと決めたか」です。
加算NG(事業所都合)
「台風が来るので、事業所を閉所します」と事業所側が判断して休みにした場合。
※これは「サービス提供体制が確保されていない」ため、欠席時対応加算は算定できません。
加算OK(利用者都合)
事業所は開所してスタッフも待機しているが、保護者が「危険なので休ませます」と判断した場合。
※急なキャンセル(安全確保のための欠席)として扱われ、相談援助を行えば算定可能です。
この違いは非常に大きいです。事業所を開けて待機していたのに、結果的に全員キャンセルになった…という場合は、全員分の加算算定の可能性があります(もちろん要件を満たせばですが)。
その際は、「事業所は通常どおり開所していた」事実を証明できるようにしておきましょう。出勤簿、当日の業務日誌、「開所していますが、無理な来所はお控えください」と保護者へ一斉連絡した記録などが根拠になります。
便利だけど危険?「LINE・メール連絡」の落とし穴
最近はLINEで欠席連絡を受ける事業所も増えていますよね。便利ですが、ここに大きな落とし穴があります。
「既読スルー」や「スタンプ1個」では、相談援助とみなされない可能性が高いのです。
LINE連絡で加算を取るための鉄則
- 保護者からの「休みます」に対し、必ず具体的な文章で返信すること。
- 文面で「お熱は何度ですか?」「水分は取れていますか?」と質問を投げかけ、ラリー(やり取り)の履歴を残すこと。
- もし文章でやり取りが難しい場合は、「折り返し電話」をして相談援助を行い、その旨を記録に残すこと。
- トーク履歴はスクリーンショットや印刷で保存し、支援記録に添付しておくこと(機種変更や退職で消えるリスクを防ぐため)。
運営指導の際、連絡手段がLINEである場合は、そのトーク履歴の提示を求められることもあります。「了解スタンプ」だけで終わらせないよう、職員間で周知徹底しましょう。
上限管理事業所としての「ここだけの話」
あなたが上限管理を行っている場合、他事業所から「欠席時対応加算」の請求が上がってくることがあります。
この時、「利用者負担額」はどうなると思いますか?
実は、欠席時対応加算も「総費用額」に含まれるため、原則として利用者負担(1割負担)が発生します。
ただし、その利用者がすでに「負担上限月額(例:4,600円)」に達している場合、利用者の支払いは実質0円になります。
「休んだのにお金がかかるの?」とクレームになりそうな場合でも、上限額に達しているご家庭であれば、「今月は上限まで利用されているので、この加算による追加のお支払いはありません」と説明できれば、スムーズに納得していただけることが多いです。
「誰が記録するか」を決めておくと事故が消える
意外に思われるかもしれませんが、記録漏れの最大の原因は「担当が決まっていないこと」です。朝の忙しい時間に電話を取るのは、たまたま手が空いていた職員。その人が記録まで責任を持つのか、サビ管に引き継ぐのかが曖昧だと、記録は簡単に抜け落ちます。
事業所内で決めておきたい3つのルール
- 電話を取った人が記録まで書く(引き継ぎは情報が落ちるため原則しない)
- 記録は当日中に完了させる(翌日以降に書いた記録は具体性が落ちる)
- 算定の可否判断はサビ管・管理者が行う(現場職員に判断させない)
この3つを朝礼で共有し、新人研修の項目に入れておくだけで、記録の質は驚くほど安定します。加算の管理は、制度の知識よりもチームの運用ルールで決まる、というのが10年やってきた実感です。

「休みなのにお金がかかるの?」保護者トラブルを防ぐ伝え方

管理者や請求担当者が一番頭を悩ませるのが、この「保護者への説明」ではないでしょうか。
「利用していないのにお金を払うなんて納得できない」
そう言われてしまうと、心が折れそうになりますよね。しかし、伝え方ひとつで保護者の反応は劇的に変わります。
鉄則:契約時の「重要事項説明書」で握っておく
トラブルの9割は「聞いていなかった」から始まります。契約の際、重要事項説明書の加算一覧を読み上げるだけでなく、必ず以下のニュアンスを付け加えてください。
【契約時の説明トーク例】
「急な体調不良などでキャンセルされる場合、前々日までにご連絡いただければ費用はかかりません。
ですが、前日や当日の急なキャンセルの場合は、スタッフの人員配置が済んでしまっているため、『欠席時対応加算』として1回1,000円程度の1割負担(100円前後)が発生します。
その代わり、お休みの間も電話で様子を伺ったり、次の利用に向けた調整をしっかりさせていただきますね。」
ここで「キャンセル料です」と言い切るのではなく、「スタッフを確保している費用」であり「電話相談への対価」であることを伝えておくのがポイントです。
「ペナルティ」ではなく「安心料」に変える魔法の言葉
実際に請求が発生した月、保護者の方にどう伝えるか。私はいつもこう伝えています。
「お休みの日も、私たちは〇〇君と繋がっています」
「罰金」や「キャンセル料」という言葉は使わず、「安否確認」と「支援の継続」を強調します。
「お休みの日も、〇〇君の体調が心配で電話させていただきました。この加算は、来所できなくても私たちがサポート体制を整えていた証であり、〇〇君の安全を見守るための費用なんです」
こう誠実に伝えることで、「休んだのにお金を取られた」ではなく、「休んでいる間も気にかけてくれた」という信頼に変わります。
それでも苦情になったときの対応手順
丁寧に説明しても、納得いただけないことはあります。そんなときに感情的な言い合いにしないための手順を決めておきましょう。
- まず気持ちを受け止める:「そう感じられますよね」と否定から入らない
- 制度の位置づけを説明する:事業所が独自に決めた料金ではなく、国が定めた報酬であること
- その日に行った支援を具体的に伝える:「○時に○○について電話でご相談させていただきました」
- 重要事項説明書の該当箇所を一緒に確認する:契約時の説明に立ち返る
- 苦情受付の記録を残す:苦情解決の仕組みに沿って記録し、必要に応じて第三者委員へ報告
担当職員一人で抱え込ませず、管理者やサビ管が説明の場に同席することも大切です。「組織として説明している」という姿勢が伝わるだけで、多くの苦情は落ち着きます。
日頃の連絡帳や送迎時のやり取りで信頼関係ができていれば、そもそも苦情に発展しにくいものです。日々の伝え方については、連絡帳の書き方テンプレートもあわせて参考にしてみてください。

まとめ:正しい知識で「経営」と「支援」を守ろう

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
欠席時対応加算について、網羅的に解説してきました。最後に要点を振り返りましょう。
【この記事のまとめ】
- 単位数は1回94単位。原則月4回まで(重心型の特例で月8回の場合あり)。
- 算定条件は「前々日〜当日の連絡」「急な理由」「相談援助と記録」の3点セット。
- 大前提として、その日がもともとの利用予定日であること。
- 記録は「状況把握 → 助言・指示 → 次回調整」が揃って初めて相談援助と認められる。
- 連続欠席は1回の連絡につき1回。日数分の算定は返還対象。
- 他事業所利用日は算定不可だが、急な体調不良に伴う病院受診日はOK。
- 令和6年度改定で欠席時対応加算(Ⅱ)は廃止。古いマニュアルに注意。
- 保護者には「キャンセル料」ではなく「見守り・支援の対価」として伝える。
この加算は、事業所の経営を安定させるための権利であると同時に、利用者が来所できない時こそ専門職としての力を発揮するチャンスでもあります。
「たかが1,000円」とあなどらず、丁寧な記録と温かい対応を積み重ねてください。
その積み重ねが、運営指導で指摘されない強固な体制を作り、何より保護者からの深い信頼に繋がっていくはずです。
日々の業務、本当にお疲れ様です。この記事があなたの事業所の助けになれば、同じ福祉職としてこんなに嬉しいことはありません。
参考にした主な情報
- 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬告示」および留意事項通知
- こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定」関係資料
- 各自治体が公表している運営指導(実地指導)の指摘事例集
※制度は改定により変わります。請求前には必ず最新の通知と、指定権者である自治体の取扱いをご確認ください。

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個別支援計画の記入例【放デイ・児発】5領域対応の書き方と無料テンプレ
欠席時対応加算も、個別支援計画と支援記録の整合性が確認されます。計画側の書き方はこちら。


