【障害福祉】令和6年度報酬改定で義務化された研修、全部把握してますか?サビ管パパが徹底解説!
この記事でわかること
- ▶減算に直結する義務化研修と、その法定頻度(サービスの種類による違いつき)
- ▶そのまま使える年間スケジュール例と、総点検チェックリスト
- ▶運営指導で「未実施」と判定される研修報告書のNG事例と、その直し方
- ▶減算になると年間いくら失うのか、金額ベースの目安
令和6年度の報酬改定で、これまで「努力義務」だった研修や委員会が次々と完全義務化されました。対応を間違えれば減算という厳しい現実に、頭を抱えている管理者の方も多いのではないでしょうか。
現場からは「結局、どの研修をいつやればいいのか」「パート職員にも必要なのか」という、悲鳴に近い声が聞こえてきます。4人の子どもを育てながら働く私も、そのプレッシャーを日々肌で感じています。
私はサービス管理責任者・介護福祉士・保育士の資格を持ち、福祉の現場で10年以上、この変化を最前線で見てきました。だからこそ、曖昧な理解ではなく、確実な根拠に基づいた対策が不可欠だと痛感してきました。この記事では、厚生労働省・こども家庭庁の通知や運営基準をもとに、絶対に外せない義務化研修と委員会の頻度を完全網羅してまとめています。
2026年度時点の最新情報です
障害福祉サービス等報酬改定は原則3年ごと。令和6年度(2024年度)改定で定められたこれらの義務は、令和7年度・令和8年度もそのまま有効です。次の改定は令和9年度(2027年度)の予定なので、この記事の内容は当面の実務基準としてそのまま使えます。
結論:義務化されている研修・委員会はこの6つだけ

細かい話に入る前に、まず結論からお伝えします。任意や推奨レベルのものを全部外し、法令(指定基準・運営基準)でやらないとアウトなものだけに絞ると、押さえるべきは次の6つです。現場や行政書士の解説で「法定研修」と呼ばれているのも、おおむねこの範囲です。
| 項目 | 最低限やること | やらないとどうなるか |
|---|---|---|
| 1. 虐待防止 | 研修・委員会 各年1回以上+指針+担当者 | 虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%) |
| 2. 身体拘束等の適正化 | 研修・委員会 各年1回以上+指針 | 身体拘束廃止未実施減算(通所・訪問系1%/入所・居住系10%) |
| 3. 業務継続計画(BCP) | 計画策定+研修・訓練 各年1回以上(障害者支援施設は各年2回以上) | 業務継続計画未策定減算(通所・訪問系1%/入所・居住系3%) |
| 4. 感染症対策 | 委員会 概ね3か月に1回以上+指針+研修・訓練 各年2回以上(訪問系・相談系などは委員会6か月・研修訓練 各年1回) | 運営基準違反(文書指導・改善勧告) |
| 5. 非常災害対策(避難訓練) | 消防計画に基づく訓練(多くの事業所で年2回) | 運営基準違反・消防法違反 |
| 6. 安全計画 (児童発達支援・放デイ等のみ) |
計画策定+職員研修・訓練 各年1回以上+保護者への周知 | 運営基準違反(運営指導の重点確認項目) |
まず、この3点だけ確認してください
- ▶1〜4はすべて「研修・委員会・指針」の3点セット。どれか1つ欠けただけで減算になります
- ▶研修はすべて「定期実施」に加えて新規採用時にも実施が必要です
- ▶回数はサービスの種類で違います。減算の重さは「通所・訪問系」か「入所・居住系」か、感染症対策の回数は「訪問系・相談系」かそれ以外かで決まります
注意:この記事の回数は「国の最低基準」です
感染症対策の回数は、ネット上では「委員会6か月に1回・研修年1回」と書かれていることがありますが、それは訪問系・相談系などの回数です。放デイ・児発・生活介護・就労系・グループホームなどは委員会3か月に1回・研修と訓練は年2回です。最終的には自分の指定権者(都道府県・政令市・中核市)が出している集団指導資料を必ず確認してください。迷ったら多い方に合わせておけば、指摘されることはありません。
なぜ今、「研修・委員会」がこれほど厳しく言われるのか

「書類作成に追われて、肝心の利用者さんと向き合う時間がない」「人手不足なのに、会議ばかり増やしてどうするんだ」。現場からはそんな声が聞こえてきますし、私自身、サビ管としてシフト調整に頭を抱える夜もあります。
しかし、国がここまで「義務化(=やらないと減算)」に踏み切ったのには、無視できない深刻な背景があります。理由を知っているかどうかで、職員への伝え方が根本から変わります。
理由1:施設従事者による虐待の通報件数が過去最多を更新し続けている
「うちはアットホームな事業所だから虐待なんてありえない」。そう思っていませんか。しかし、厚生労働省の最新調査(令和6年度分・令和7年12月公表)では、障害者福祉施設従事者等による虐待の相談・通報件数は5,870件と過去最多を更新しました。
| 年度 | 相談・通報件数 | 虐待判断件数 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 2,865件 | 632件 |
| 令和3年度 | 3,208件 | 699件 |
| 令和4年度 | 4,104件 | 956件 |
| 令和5年度 | 5,618件 | 1,194件 |
| 令和6年度 | 5,870件(過去最多) | 1,267件(過去最多) |
出典:厚生労働省「令和6年度 障害者虐待事例への対応状況調査」(令和7年12月公表)
虐待判断件数を事業所種別で見ると、共同生活援助31.6%、障害者支援施設19.2%、放課後等デイサービス12.4%、生活介護11.3%。特定のサービスだけの問題ではありません。
理由2:虐待の発生要因1位が「教育・知識・技術の不足」だから
ここが、研修が義務化された最大の理由です。同じ調査で市区町村が判断した「虐待の発生要因」は、次のような結果でした。
- ▶教育・知識・介護技術等に関する問題 67.5%
- ▶倫理観や理念の欠如 60.2%
- ▶職員のストレスや感情コントロールの問題 58.7%
- ▶人員不足や人員配置の問題、関連する多忙さ 29.8%
ポイント
上位3つは、すべて研修で埋められる領域です。国が「研修をやらない事業所からは報酬を減らす」という強い手段に出たのは、データ上、研修不足が虐待の最大要因だと示されているからです。職員に説明するときは、この数字をそのまま伝えると納得感がまるで違います。
理由3:二度と繰り返さないための「誓い」
私たちが忘れてはならない出来事があります。
- ▶相模原障害者施設殺傷事件(2016年):元職員による犯行という事実は業界に衝撃を与え、防犯対策だけでなく「職員のメンタルヘルス」「権利擁護の意識」を根本から問い直す契機となりました。
- ▶送迎バス置き去り事案(2021年・2022年):保育所での事故に続き、障害福祉サービスでも同様のリスクが指摘され、安全装置の設置と「安全計画」の策定義務化につながりました。
これらの規制は、書類を増やすための嫌がらせではありません。「もう二度と、あんな悲しいニュースを見たくない」という社会全体の意志の表れだと、私は受け止めています。
理由4:最後は「職員(あなた)」を守るため
サビ管パパの本音
知識がないまま現場に出て、良かれと思ってやったことが虐待と認定されたらどうなるでしょうか。その職員は職を失い、一生消えない傷を負うことになります。
「それはダメだと教わっていなかった」。そんな不幸な職員を出さないために、事業所には「教える義務」があるのです。
研修は面倒な義務ではなく、大切なスタッフを加害者にも被害者にもさせないための「防具」です。この視点で職員に話すと、参加率が驚くほど変わります。
迷ったらここを見る!義務化研修・委員会カレンダー
「研修をやる余裕なんてない」というのが現場の本音だと思います。だからこそ、ここでは任意や推奨レベルの研修を一切省き、やらないとアウト(減算・指導対象)な研修だけをリストアップしました。
1. 未実施だと「減算」になる4つの義務
これらは努力目標ではありません。実施していない場合、報酬から直接引かれる項目です。最優先で年間計画に入れてください。
| 研修項目 | 法定頻度 | 減算リスクと根拠 |
|---|---|---|
| 減算対象 虐待防止 |
研修 年1回以上 委員会 年1回以上 +新規採用時にも研修 |
虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%) 研修・委員会・指針整備・担当者配置のいずれかが欠けると減算。全サービス種別で必須です。 |
| 減算対象 身体拘束等の適正化 |
研修 年1回以上 委員会 年1回以上 +新規採用時にも研修 |
身体拘束廃止未実施減算(通所・訪問系は1%、入所・居住系は10%) 令和6年度改定で減算額が大幅に引き上げられました。「うちは拘束していない」事業所にも委員会・研修の実施義務があります。 |
| 減算対象 業務継続計画(BCP) |
研修 年1回以上 訓練 年1回以上 障害者支援施設は各年2回以上 |
業務継続計画未策定減算(通所・訪問系1%、入所・居住系3%) 感染症編・自然災害編の両方が必要。計画を作るだけでは足りず、研修と訓練の実施記録まで求められます。 |
| 基準違反 感染症対策 |
委員会 概ね3か月に1回以上 研修 年2回以上 訓練 年2回以上 訪問系・相談系などは委員会6か月に1回、研修・訓練 各年1回以上 |
直接の減算項目ではありませんが、運営基準違反として文書指導・改善勧告の対象。BCP(感染症編)の研修・訓練と一体的に実施しても差し支えありません。 |
注意:ここを間違えている事業所がとても多い
感染症対策の回数は、訪問系・相談系とそれ以外で倍違います。放デイ・児発・生活介護・就労系などの通所系も、グループホームや障害者支援施設と同じく委員会3か月に1回・研修と訓練は年2回です。BCPの研修・訓練は年1回以上で、年2回以上なのは障害者支援施設です。ネット上の情報は介護保険の基準と混ざっていることが多いので、必ず障害福祉の基準で確認してください。
2. 【障害児支援のみ】放デイ・児発等の追加義務
児童発達支援・放課後等デイサービス等は、上記の4つに加えて「安全計画」関連が令和6年4月から完全義務化されています。
| 研修・訓練項目 | 法定頻度 | リスクと根拠 |
|---|---|---|
| 児童必須 安全計画の周知(研修) |
年1回以上 採用時も必須 |
令和6年4月から完全義務化。策定した安全計画を職員全員に研修で周知し、保護者にも周知する必要があります。 |
| 児童必須 安全計画に基づく訓練 |
年1回以上 | 災害時の避難訓練とは別枠です。「不審者対応」「行方不明時の捜索」「遊具事故への対応」など、事業所ごとのリスクに応じた訓練が求められます。 |
| 送迎あり 送迎バス安全装置の管理 |
毎運行時 | 送迎用バスの安全装置未設置減算 装置の設置だけでなく、日々の所在確認と記録が必要です。 |
3. 運営基準で義務付けられている項目
減算には直結しませんが、指定基準に明記されており、運営指導で必ず確認される項目です。「やっていません」と答えると文書指導の対象になります。
| 研修項目 | 頻度の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| ハラスメント防止 | 年1回推奨 | 運営基準に「必要な措置を講じなければならない」と明記。相談窓口の設置周知とセットで行うのが鉄則です。 |
| プライバシー保護・秘密保持 | 年1回推奨 | 秘密保持義務に基づくもの。SNS利用のリスク管理は必須テーマです。 |
| 事故発生・再発防止 | 年2回程度推奨 | 運営基準「事故発生の防止のための措置」。ヒヤリハット報告会と兼ねて実施すればOKです。 |
| 非常災害対策(避難訓練) | 年2回以上 (消防計画による) | 消火訓練・避難訓練のこと。BCP(自然災害編)の訓練と一体的に実施できます。 |
| 倫理・法令遵守 | 年1回推奨 | 運営規程や従業者への指導に基づくもの。虐待防止研修の中に組み込むことも可能です。 |
4. 効率重視!最低限の年間スケジュール例
義務だけをパズルのように組み合わせた、最短ルートの計画表です。「★」は減算リスクのある最重要項目、「●」は児童系必須項目を表します。
| 時期 | 研修テーマ(セット実施案) | 運用メモ |
|---|---|---|
| 4月 | ★虐待防止(研修+委員会)+倫理・法令 ★感染症対策委員会(1回目) ●安全計画の周知 | 年度初め。虐待防止委員会と安全計画の周知をまとめて開催し、感染症の委員会は1年の進め方を決める場にします。 |
| 6月 | ★感染症対策(研修1回目+訓練1回目)+食中毒 ★感染症対策委員会(2回目・7月の職員会議でも可) | 梅雨時期に合わせて実施。嘔吐物処理の実技を入れれば「訓練」としてもカウントできます。 |
| 9月 | ★BCP(研修+訓練)+防災訓練1回目 ★感染症対策委員会(3回目) | 防災の日に合わせて実施。BCPの読み合わせ(机上訓練)と避難訓練を同日に行うと1日で2つ埋まります。 |
| 11月 | ★感染症対策(研修2回目+訓練2回目)+事故防止 ●安全計画に基づく訓練 | 冬の感染症対策。児童系はここで「不審者対応」「行方不明時の捜索」の訓練を組み込みます。 |
| 1月 | ★身体拘束適正化(研修+委員会)+ハラスメント ★感染症対策委員会(4回目) | 権利擁護の文脈でセットに。「拘束しない支援」と「職員間の言葉遣い」を同時に見直します。 |
| 3月 | 防災訓練2回目+プライバシー保護 | 年度末に個人情報管理を再確認。訓練は年2回必要なので、ここで必ず消化します。 |
チェック:年6回の集まりと、職員会議での委員会で埋まります
「研修が多すぎて回らない」と感じている事業所ほど、1テーマ1回ずつ別々に開催しています。上の表のように関連テーマを2つずつ束ねれば、研修・訓練は年6回の集まりで済みます。感染症の委員会は3か月に1回なので、ふだんの職員会議の一部を「感染対策委員会」として開き、議事録を分けて残すのが現実的です。訪問系・相談系なら、感染症の研修・訓練は年1回、委員会は年2回で足ります。ただし、束ねるのは「開催日」であって「記録」ではありません。この違いが次の章の核心です。
5. 減算になると、1年でいくら失うのか
「1%なら大したことない」と思われがちですが、減算は改善が確認されるまで毎月続くのが怖いところです。月間報酬額から逆算してみましょう。
| 事業所の例 | 該当する減算 | 年間の減収イメージ |
|---|---|---|
| 放デイ(月間報酬300万円) | 虐待防止1% | 月3万円 × 12か月=約36万円 |
| 放デイ(月間報酬300万円) | 虐待防止+身体拘束+BCPの3つが未実施=3% | 月9万円 × 12か月=約108万円 |
| グループホーム(月間報酬800万円) | 身体拘束10% | 月80万円 × 12か月=約960万円 |
※あくまで報酬額から機械的に計算した目安です。実際の減算の起算月・終了月の取扱いは指定権者にご確認ください。
注意:入所・居住系は桁が変わります
令和6年度改定で、入所・居住系の身体拘束廃止未実施減算は5単位から所定単位数の10%へ引き上げられました。グループホームや障害者支援施設にとっては、年1回の委員会をうっかり飛ばしただけで経営が傾きかねない水準です。1年で最も優先すべき会議だと考えてください。
サビ管・児発管の更新研修も忘れずに
事業所の研修ではありませんが、サビ管・児発管の更新研修は実践研修修了の翌年度から5年ごとの年度末までが期限です。1日でも過ぎると要件を満たさなくなり、事業所は人員欠如減算という致命的なダメージを受けます。自分の更新時期は必ずカレンダーに入れておきましょう。実務経験の数え方に不安がある方は、サビ管の実務経験要件を図解した記事もあわせてご覧ください。
【要注意】せっかくやったのに無効!?研修報告書の「NG事例」

ここからは、運営指導(実地指導)で実際に指摘されやすい「残念な研修報告書」を解説します。真面目に研修を行っても、記録の方法が間違っていると「実施した事実が確認できない」として減算対象になります。監査担当者がどこを見ているのか、その裏側まで知っておきましょう。
NG1:「虐待防止」と「身体拘束」を1枚の報告書にまとめている
最も頻発するミスです。「権利擁護研修」などの名目で、虐待防止と身体拘束適正化をまとめて1枚の報告書にしていませんか。同日にセットで行うこと自体は効率的で良いのですが、報告書まで1つにまとめるのは非常に危険です。
なぜダメなのか
行政担当者の視点
「虐待防止のチェックリストには『通報義務の周知』が必要で、身体拘束のチェックリストには『三要件の確認』が必要です。1枚にまとまっていると、それぞれの必須項目が網羅されているか確認できません。別々に管理してください」
行政の担当者は、虐待防止と身体拘束で全く別の評価シートを持っています。1枚で両方を兼ねようとすると、どちらかの要件が漏れていると判断されやすく、最悪の場合「未実施」扱いされます。
対策:内容はコピペでも良いので「ファイル」を分ける
同じ時間の研修でも、「虐待防止研修報告書」と「身体拘束適正化研修報告書」の2枚を出力し、それぞれ別のファイルに綴じてください。タイトルと重点項目(虐待なら通報フロー、拘束なら廃止の指針)を少し変えるだけで大丈夫です。
NG2:参加者が「職員一同」になっている
参加者欄に「職員一同」とだけ印字して済ませていませんか。これは証拠能力ゼロです。運営指導では必ず出勤簿(タイムカード)と研修報告書の突合が行われます。
行政担当者の視点
「この日、AさんとBさんは公休ですよね。『職員一同』とありますが、休みの日にわざわざ出勤して受けたのですか。それとも虚偽の記録ですか」
こう突っ込まれた時に明確な回答ができなければアウトです。特に、パート職員や登録ヘルパーを含めた全従業者が対象であることを忘れてはいけません。
対策:署名簿と「欠席者フォロー」の記録を残す
- ▶当日の参加者は、別紙の名簿にチェックを入れるか署名をもらう
- ▶欠席者には後日資料を配り「○月○日 資料確認済み」のサインをもらうか、伝達研修を行った記録を追記する
ここまでやって初めて「全員実施」と認められ、減算を確実に回避できます。
NG3:「定期研修」と「採用時研修」が混ざっている
意外と盲点なのが、新入職員向けの採用時研修です。運営基準では、定期的な研修とは別に採用時(勤務開始の直前または直後)の研修実施が義務付けられています。
これを年間の定期研修ファイルに混ぜて保管していると、監査の時に大混乱します。4月1日入社の職員に対し次の定期研修が10月だった場合、「入社してから半年間、虐待防止の研修を何もせずに現場に出していたのですか」と指摘されます。
対策:個人別ファイル(人事記録)で管理する
採用時研修の記録は、全体の研修ファイルではなく職員ごとの人事ファイルに綴じるのが鉄則です。入社時のオリエンテーションで「虐待防止」「秘密保持」「倫理規定」を説明し、そのチェックリストを1枚入れておくだけで監査対応は完璧になります。
NG4:研修の開催日が全部「年度末」に固まっている
「3月に慌てて全部やった」パターンです。日付だけを見れば法定回数は満たしています。しかし担当者は、実施日と出勤簿・議事録・利用者記録を並べて見ています。
3月の同じ週に研修5本と委員会4本の記録が並んでいれば、形式的な実施を疑われるのは当然です。また、感染症対策委員会は「おおむね3か月に1回以上」(訪問系・相談系などは6か月に1回以上)と間隔まで指定されているため、年度末にまとめると回数を満たしていても基準違反になります。
対策:年度当初に「年間研修計画」を1枚作って掲示する
計画を先に立てて掲示しておけば、実施漏れが目に見えます。運営指導でも「計画→実施→記録」の流れが揃っている事業所は、それだけで印象が変わります。前章のスケジュール例をそのまま使ってください。
NG5:「委員会」と「研修」の記録が同じ1枚になっている
虐待防止も身体拘束も、求められているのは委員会(検討する場)と研修(教育する場)の両方です。この2つは目的が違うため、記録も別々に必要です。
- ▶委員会の記録に必要なもの:開催日時、出席委員(役職)、検討事項、決定事項、周知方法
- ▶研修の記録に必要なもの:開催日時、場所、講師、使用資料、参加者名簿、欠席者フォロー
そのまま使える「研修報告書」の必須項目
A4・1枚で構いません。実施日時/場所/テーマ/講師(担当者)/使用資料名とページ/参加者(署名または名簿)/欠席者と後日フォローの記録/研修中の写真1枚/次回の課題。この9項目が揃っていれば、どの自治体でも通用します。全研修でこのフォーマットを共通化し、穴埋め式にしておくのが最短ルートです。
採用時の研修、現場では具体的に何をすれば合格?
「明日から来るパートさん、とりあえず現場に入ってもらって、おいおい教えればいいか」。人手不足の現場ではこうなりがちですよね。私も痛いほど分かります。しかし、これこそが最大のリスクです。
虐待や不適切な身体拘束は、悪意がある人だけでなく「知識がない人」によって引き起こされるからです。前章で見たとおり、虐待の発生要因の1位は「教育・知識・技術の問題」でした。
注意:よくある勘違い「年1回の全体研修に参加させればOK?」
答えはNOです。虐待防止と身体拘束適正化の研修は、通知で「新規採用時にも必ず」とされています(感染症も訪問系以外は「必ず」。BCPは「望ましい」)。何日以内という決まりはありませんが、4月に入職した人に「次の全体研修は10月だからそれまで待ってね」では、その間の半年間、無防備な状態で利用者に接することになります。現場に入る前か、勤務初日のオリエンテーションで行うのが確実です。
採用時研修で教えるべき必須4項目
1時間も2時間も講義をする必要はありません。以下の4点を資料を使って説明し、「理解しました」という記録を残すことが重要です。
- ▶虐待の5類型と定義
殴る蹴るだけが虐待ではありません。言葉の暴力(心理的虐待)、無視(ネグレクト)、利用者の年金を勝手に使う経済的虐待について説明します。 - ▶身体拘束の三要件(切迫性・非代替性・一時性)
「転ぶと危ないからベルトをする」は原則禁止です。どうしても必要な場合の厳格なルール(三要件すべてを満たし、記録に残す等)を伝えます。 - ▶通報義務について
虐待を発見したら見て見ぬふりをせず報告・通報する義務がある、という障害者虐待防止法の内容を伝えます。組織の自浄作用のために不可欠です。 - ▶不適切なケア(グレーゾーン)の事例
「ちゃんとしなさい」「早くして」といった命令口調や子ども扱いする言葉遣いなど、事業所として許容していない態度を明確に伝えます。
忙しい管理者のための「時短・確実」実施テクニック
毎回管理者が1から10まで話すのは大変です。私は次の方法で効率化しています。
- ▶自治体・厚労省の公開動画を活用する:多くの自治体が虐待防止研修の動画を公開しています(15〜30分程度)。タブレットで視聴してもらうだけでも立派な研修です。ただし、視聴後の質疑応答は必ず行い、記録に残します。
- ▶読み合わせと署名をセットにする:重要事項をまとめたA4・1枚の資料を読み合わせ、最後に「上記内容を理解し、遵守します」の署名欄にサインをもらえば、そのまま監査資料として使えます。
サビ管パパの「ここだけの話」
「送迎ドライバーさんだから研修はいらないよね」。これもよくある落とし穴です。車内という密室は、不適切な発言や対応が起きやすい場所。ドライバー、調理員、事務員と、雇用形態に関わらず利用者に関わるすべての人に実施してください。それが、あなたの事業所を守ることに繋がります。
以下の記事で無料配布しています

「形だけ」の感染症対策・BCPは、いざという時に自分たちの首を絞める

日々の支援記録や請求業務に追われていると、感染症対策委員会やBCP訓練は後回しになりがちです。「とりあえず前回の議事録の日付だけ変えて保存しておこう」。そんな誘惑に駆られたことはありませんか。
しかし、形骸化した計画書は緊急時に何の役にも立ちません。それどころか、運営指導では「実態が伴っていない」として指摘の対象になります。ここでは、負担を減らしつつ実効性を持たせる方法を紹介します。
1. 感染症対策:委員会は「季節のリスク」を話す場にする
「委員会で何を話せばいいか分からない」という悩みには、カレンダー運用がおすすめです。毎回同じ話をするのではなく、季節ごとのリスクにテーマを絞ります。
- ▶春(4〜6月):食中毒対策。調理室の衛生管理チェック、お弁当持参時のルール確認。
- ▶夏(7〜9月):脱水予防と皮膚トラブル。プール活動がある事業所は水質管理。
- ▶秋(10〜12月):ノロウイルス・インフルエンザ対策。嘔吐物処理セットの中身と期限の確認。
- ▶冬(1〜3月):感染拡大時のゾーニング(隔離場所)の再確認。家族への協力依頼文の作成。
これなら「話すことがない」とはなりませんし、議事録にも具体的な議論の内容が残ります。通所系も入所系も委員会はおおむね3か月に1回以上なので、季節ごとに年4回、上の4つのテーマを1つずつ話し合う形にすると組み立てやすくなります。
2. BCP訓練:「机上訓練」こそが最強のツール
BCP訓練と聞くと、避難訓練のように利用者全員を誘導する大掛かりなものを想像していませんか。実は、厚生労働省のガイドラインでは机上訓練(シミュレーション)も正式な訓練として認められています。むしろBCPにおいては、体を動かすより頭を動かす訓練の方が有効な場合が多いのです。
おすすめの机上訓練シナリオ
「明日の朝、職員3人がインフルエンザで同時に欠勤したら?」これを職員会議の冒頭15分で話し合うだけです。
- ▶誰がシフトの穴を埋めるか
- ▶送迎ルートをどう短縮するか
- ▶給食・お弁当の発注をどう変更するか
これだけで立派な「BCP訓練」の実績になります。
チェック:証拠がなければ「やっていない」のと同じ
- ▶ホワイトボードに書き出した案をスマホで撮影する
- ▶参加者名簿を作成する
- ▶「机上訓練実施報告書」としてA4・1枚にまとめ、写真を貼り付ける
3. 感染症の研修とBCP研修は「一体的に実施」してよい
見落とされがちですが、通知では感染症のBCPに係る研修・訓練は、感染症の予防およびまん延防止のための研修・訓練と一体的に実施しても差し支えないとされています。同様に、自然災害のBCP訓練は非常災害対策の避難訓練と一体的に実施できます。
つまり、9月に「BCP読み合わせ+避難訓練」、11月に「感染症研修+嘔吐物処理訓練」を行えば、2日でBCP・感染症・非常災害の3領域が埋まります。ただしNG1・NG5と同じで、記録は領域ごとに分けて残してください。
なぜ私がここまでこだわるのか
私の事業所でも、過去に台風で停電したことがありました。その時、事前に「停電時は冷蔵庫の中身をどうするか」「保護者への連絡手段はLINEか電話か」を決めていたおかげで、パニックにならずに対応できました。
計画書は棚の奥にしまっておくものではありません。ボロボロになるまで使い込み、修正し続ける「生きたマニュアル」に育てていきましょう。
参考:厚生労働省「障害福祉サービス事業所等における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」資料
感染症対策の回数は、サービスの種類で決まります
| サービス | 委員会 | 研修 | 訓練 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護などの訪問系、重度障害者等包括支援、就労定着支援、自立生活援助、相談支援 | おおむね6か月に1回以上 | 年1回以上 | 年1回以上 |
| 上記以外(放デイ・児発・生活介護・就労移行・就労継続A型B型・短期入所・グループホーム・障害者支援施設・障害児入所施設など) | おおむね3か月に1回以上 | 年2回以上 | 年2回以上 |
感染症対策そのものには専用の減算はありませんが、運営基準の違反として指導の対象になります。感染症の業務継続計画(BCP)の研修・訓練は、感染症対策の研修・訓練と一体で行ってかまいません。
出典:名古屋市・岐阜市の集団指導資料をもとに作成。分け方は指定権者の資料で必ず確認してください。
【児童分野】「安全計画」と「送迎バス」は待ったなしの義務

ここからは、放課後等デイサービスや児童発達支援など、子どもを預かる事業所に特化した内容です。私は保育士として、また親として、この分野の規制強化を強く支持しています。障害のある子どもたちは、自分で「苦しい」「助けて」と言えないことが多いからです。
1. 送迎バスの安全装置:未設置は即減算
静岡県や福岡県の保育所で起きた、痛ましいバス置き去り事案。あれを対岸の火事だと思っている事業所は、もうないはずです。
注意:経過措置期間はすでに終了しています
送迎用バス(座席3列以上の車両等)への置き去り防止安全装置の設置は完全義務化されています。
- ▶設置していない場合:送迎用バスの安全装置未設置減算が適用されます。
- ▶毎日の義務:装置をつけるだけでは不十分です。運行後に必ず車内を確認し、装置の操作を行い、その実施を記録に残す必要があります。
「うちはワンボックスカーだから関係ない」という誤解も多いですが、定員や座席数によっては対象になります。必ず車検証を確認してください。
2. 安全計画:バスがなくても「全事業所」が対象
安全計画と聞くとバスのことばかり注目されますが、これはすべての児童通所支援事業所に策定が義務付けられています(令和6年4月から完全義務化)。事業所内での事故、散歩中の交通事故、食中毒、不審者対応。あらゆるリスクから子どもを守るための羅針盤を作る作業です。
安全計画に盛り込むべき3つの柱
- ▶安全点検の実施:遊具のネジは緩んでいないか、誤飲しそうなパーツは落ちていないか。毎日の点検項目を決めます。
- ▶職員・子どもへの教育:職員研修はもちろん、子どもたち自身にも交通ルールや避難の方法を伝える機会を設けます。
- ▶保護者への周知(最重要):策定した安全計画は、必ず保護者に周知しなければなりません。
私は、この「保護者への周知」を信頼関係構築のチャンスだと捉えています。「お預かりするお子さんの命を、私たちはこうやって守ります」と宣言することで、保護者の安心感は大きく変わるからです。
保育士・サビ管パパの独り言
子どもたちの予期せぬ行動は、私たちの想像を簡単に超えてきます。「ちょっと目を離した隙に外へ飛び出した」「おやつの袋を喉に詰まらせかけた」。そんなヒヤリハットを「運が良かった」で済ませず、安全計画という形にして共有すること。それがプロとしての責任です。
書類作成は大変ですが、この一枚の計画書が、いつか誰かの命を救うかもしれません。
出典・参考:こども家庭庁「こどものバス送迎・安全徹底プラン」/こども家庭庁「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」
\放デイ・児発の記録まわりは、この2本もあわせてどうぞ/


【完全版】運営指導で指摘されないための「義務項目」総チェックリスト

研修だけやって安心していませんか。運営指導では、委員会の議事録や指針(マニュアル)の有無も必ずセットで確認されます。以下のリストを上から埋めていけば、減算リスクをゼロにできます。印刷して事務所に掲示するのがおすすめです。
1. 虐待防止(未実施減算あり)
- □虐待防止委員会の開催(年1回以上)/議事録の作成、責任者の設置
- □虐待防止研修の実施(年1回以上+採用時)/身体拘束とは別の報告書で記録
- □虐待防止の指針の整備/全職員への周知
- □虐待防止措置の担当者の配置/運営規程への記載
2. 身体拘束適正化(未実施減算あり)
- □身体拘束適正化検討委員会の開催(年1回以上)/拘束ゼロでも開催義務あり
- □身体拘束適正化研修の実施(年1回以上+採用時)/欠席者フォロー含む全職員の受講記録
- □適正化のための指針の整備/全職員・利用者への周知
3. 感染症対策(運営基準違反リスク)
- □感染対策委員会の開催(おおむね3か月に1回以上/訪問系・相談系などは6か月に1回以上)
- □感染症予防研修の実施(年2回以上/訪問系・相談系などは年1回以上。訪問系以外は採用時にも必ず)
- □シミュレーション訓練(年2回以上/訪問系・相談系などは年1回以上)
- □感染症対策の指針の整備/感染対策担当者の指名
4. 業務継続計画・BCP(未策定減算あり)
- □BCPの策定/感染症編・自然災害編の両方
- □BCP研修の実施(年1回以上/障害者支援施設は年2回以上)/計画書の読み合わせでOK
- □BCP訓練の実施(年1回以上/障害者支援施設は年2回以上)/机上訓練でも可
5. 非常災害対策
- □避難・消火訓練の実施(消防計画に基づき、多くの事業所で年2回)
- □非常災害対策計画の整備/地域との連携体制の確認
6. 【児童系のみ】安全計画
- □安全計画の策定/安全点検・教育・訓練・保護者周知を含む
- □安全計画の周知研修(年1回以上+採用時)
- □安全確保の訓練(年1回以上)/不審者対応、行方不明時の捜索など
- □保護者への安全計画の周知/送迎バスの所在確認記録
チェック:全項目に「実施日」を書き込めますか
□にチェックを入れるだけでなく、横に実施日を書き込んでみてください。日付が書けない項目が、あなたの事業所の穴です。今年度中に埋められるよう、今すぐ日程を仮押さえしましょう。
\欠席時対応加算・身体拘束廃止未実施減算も大丈夫ですか?/
\最低限の記録もしていない事業所が多いので確認を/


義務化研修のよくある質問(FAQ)

Q1. パート職員や送迎ドライバーも研修の対象ですか?
対象です。運営基準が求めているのは「従業者」全員であり、常勤・非常勤や職種を問いません。パート、登録ヘルパー、送迎ドライバー、調理員、事務員も含まれます。運営指導では、職員名簿と研修参加者名簿を突き合わせて確認されます。
Q2. 研修と委員会を同じ日にまとめて実施してもいいですか?
同日実施は問題ありません。むしろ推奨されるやり方です。身体拘束適正化の研修を虐待防止の研修の中で扱う形を認めている自治体もあります。ただし記録は分けておくのが安全です。委員会は「検討した場」、研修は「教育した場」として、それぞれの様式で記録を残す必要があります。
Q3. 動画視聴やオンライン研修でも認められますか?
認められます。厚労省や自治体が公開している研修動画の視聴も有効な研修です。ただし、視聴しただけで終わらせず、質疑応答や理解度確認(感想記入・小テスト等)とセットにして記録を残すことが重要です。委員会もテレビ電話装置等の活用が認められています。
Q4. 委員会は何人から成立しますか?管理者1人しかいません
人数の法定要件はありません。小規模事業所では管理者とサビ管、現場職員の数名で構成すれば十分です。また、他の事業所との合同開催や、既存の会議体と一体的に運営することも認められています。「人が足りないから開催できない」は理由になりません。
Q5. 年度途中で採用した職員の研修は、いつまでに行えばいいですか?
「何日以内」という決まりはありませんが、虐待防止と身体拘束適正化は「新規採用時にも必ず」とされているので、現場に入る前か勤務初日のオリエンテーションで行うのが確実です。「次の定期研修まで待つ」では採用時に行ったことになりません。採用時研修の記録は、全体の研修ファイルではなく個人の人事ファイルに綴じると、監査時に一発で提示できます。
Q6. 研修記録は何年保存すればいいですか?
多くの自治体でその完結の日から5年間とされています(条例により2年としている自治体もあります)。運営指導では過去数年分をさかのぼって確認されるため、年度ごとにファイリングして書棚に並べておくのが安全です。
Q7. うちは身体拘束をしていません。それでも委員会は必要ですか?
必要です。ここを誤解している事業所が非常に多く、減算の典型例になっています。身体拘束廃止未実施減算は「拘束をしたかどうか」ではなく、委員会・研修・指針の3点セットを実施しているかどうかで判定されます。拘束ゼロの事業所こそ、「今年も拘束ゼロだった」と議事録に残すことが大切です。
Q8. 減算になったら、いつまで続きますか?
改善が確認されるまで継続します。1か月分だけで終わる話ではありません。指摘を受けてから慌てて研修を実施しても、その間の報酬は戻ってきません。起算月・終了月の具体的な取扱いは自治体によって運用が異なるため、指定権者の集団指導資料を必ず確認してください。
Q9. 研修の日に休んだ職員がいます。どうすればいいですか?
後日、同じ資料を使って個別に伝達研修を行い、その記録を残してください。運営指導では職員名簿と参加者名簿が突き合わされるので、欠席者が「受けていない」まま年度が終わると、全員に研修を行ったことになりません。
伝達研修の記録には、実施日・実施者・使用した資料・本人の署名(または理解度確認の回答)を残します。元の研修報告書の欠席者欄に「○月○日 伝達済み」と追記しておくと、1枚で全員分の受講が説明できます。
Q10. 研修の資料はどこで手に入りますか?
まずは国が公開している資料を使うのが確実です。虐待防止・身体拘束は厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」、感染症は「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」、BCPは「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」と「同 自然災害発生時の業務継続ガイドライン」が無料で公開されています。都道府県の集団指導資料や研修動画も、そのまま研修教材として使えます。
市販のテキストやeラーニングを使ってもかまいませんが、Q3のとおり「見ただけ」で終わらせず、自分の事業所の指針や過去の事例と結びつけて話し合う時間をとってください。使用資料の名前とページを報告書に書いておくと、運営指導で内容を説明しやすくなります。
まとめ:行政の合言葉は「記録がない=やっていない」

ここまで、たくさんの義務化項目についてお話ししてきました。最後に、私が運営指導の立ち会いで、行政の担当者から言われてハッとした言葉を共有します。
行政担当者の言葉
「管理者さんが熱心に取り組んでいるのは分かります。でも、記録がなければ、私たちは公費が適正に使われたと証明できないんです。だから『やっていない』と判断せざるを得ないんですよ」
厳しいようですが、これが現実です。口頭での説明は監査では一切通用しません。
その記録、5年後に見返して証明できますか
| よくある「減算リスク」記録 | 監査担当者が頷く記録 |
|---|---|
| 業務日報の備考欄に「17:00〜 職員会議実施。虐待防止について話し合った。」とだけ記載。 誰が参加したか不明/具体的な議論の中身がない/欠席者への対応が見えない |
A4・1枚の研修報告書に、日時・場所/参加者の署名または名簿/テーマ「身体拘束等の適正化について」/使用資料「○○県虐待防止マニュアル P10〜15」/実施中の写真1枚/欠席者の後日フォロー記録を記載 |
サビ管パパの「記録を楽にする」時短ハック
完璧を目指すと続きません。私は次の3つで効率化しています。
- ▶スマホで写真を撮る癖をつける:文字で100行書くより、ホワイトボードと参加者の風景写真1枚の方が説得力があります。
- ▶テンプレートを統一する:すべての委員会・研修の報告書フォーマットを共通化し、穴埋め式にします。
- ▶その場で印刷して保管する:「後でパソコンで清書しよう」は絶対にやりません。記憶が鮮明なうちに、手書きでもいいので記録してファイルに綴じます。
この記事のポイント
- ▶虐待防止・身体拘束・BCP・感染症の4つは、研修と委員会と指針の3点セットが揃って初めて「実施」と認められる
- ▶減算の重さは通所・訪問系と入所・居住系で違い、入所・居住系は身体拘束10%減算。感染症対策の回数は訪問系・相談系以外なら委員会3か月に1回・研修と訓練は年2回
- ▶児童系はさらに「安全計画」の策定・周知・訓練と、送迎バスの所在確認が必須
- ▶実施日は束ねてよいが、記録は必ず領域ごとに分ける
- ▶すべての研修で「日時・場所・内容・参加者・欠席者フォロー」を残す
最後に:書類は「自分たちを守る盾」になる
義務化、減算、監査。言葉だけ聞くと気が滅入りますが、これらの記録は何かトラブルがあった時、「私たちはやるべきことを、これだけちゃんとやっていました」と主張するための最強の武器になります。
現場で汗を流すスタッフのため、そして利用者の笑顔のために、管理者である私たちが守りの要として、書類という地味だけれど大切な仕事を積み重ねていきましょう。
私もまだまだ勉強中の身です。「こんな効率的なやり方があるよ」という方がいれば、ぜひSNSなどで教えてくださいね。一緒に、胸を張れる事業所を作っていきましょう。
\加算・記録の実務でつまずいたら、この3本/





