強度行動障害の支援計画シート・支援手順書の記入例、記録の書き方と実地指導対策【放デイ・児発】
実地指導対策の決定版!
強度行動障害児支援加算の「正しい記録の書き方」と
そのまま使える「文例テンプレート」を完全公開します。
結論から言います。加算算定の要件を満たし、返還リスクを回避するために必要なのは「構造化された支援手順」と「事実に基づく記録」の2点だけです。
しかし、多くの現場では書き方が自己流になっており、実地指導で指摘を受けるケースが後を絶ちません。
本記事では、サービス管理責任者であり「強度行動障害支援者養成研修(実践研修)」を修了した筆者が、行政が求める記録の正解を体系化しました。
あわせて、国が示している公式様式(参考1・参考2)に沿った「支援計画シート」と「支援手順書 兼 記録用紙」の記入例を、放課後等デイサービスの1日ぶんで全欄公開しています。公式の記入例は26歳・生活介護の成人事例しかなく、放デイ・児発でそのまま使えるものが存在しないため、子どもの1日に置き換えた形で作り直しました。
- 「書くことがない日」でも、加算要件を完璧に満たす記録が書けるようになる。
- 難解な「生物・心理・社会」の分類で、もう二度と迷わなくなる。
- 明日からスタッフ全員が、実地指導に強い統一された記録を残せるようになる。
- 「おおむね3か月に1回」の見直しを、記録から拾った数字で書けるようになる。
- 「身体ブロックで阻止」と書いた日に何をするか(身体拘束の記録と減算)がわかる。
「記録業務の時間を減らしつつ、事業所を守りたい」。
そんな管理者の願いを叶える具体的なノウハウとテンプレートを、全てここに置いておきます。ぜひ現場のマニュアルとしてご活用ください。


- 支援計画シートの4つの欄と3つの視点を、1人の子の記入例で確認
- 支援手順書の書き方と、様子欄の丸・三角・バツの記入例
- 3か月ごとの見直しの書き方と、記録で気をつける点
記入例の欄を一つずつ見返したいときはこの記事を、全体の流れをつかみたいときは動画を、と使い分けてください。
- なぜ「記録」が命なのか?強度行動障害児支援加算の返還リスク
- 【令和6年度改定対応】加算の単位数と、シートに関する3つの要件
- 全ての土台はここにあり!「支援計画シート」作成完全ガイド
- その様式で合っていますか?「支援計画シート」と「支援手順書 兼 記録用紙」の出どころ
- まずは材料集め!「インテーク(情報の収集・整理)」の書き方
- 最重要!「3つの視点」で行動の背景を読み解く
- 仮説から「支援課題」を導き、具体的な「戦術」へ
- 【完全記入例】支援計画シート(放課後等デイサービス・小学4年生)
- 見落としがち!「おおむね3か月に1回」の見直しはこう書く
- 【保存版】コピペで完成!場面別「支援手順書」書き方テンプレート
- 【完全記入例】支援手順書 兼 記録用紙(放デイの1日ぶん)
- 空欄は絶対NG!「チェック」欄の正しい判定基準
- 「特変なし」は卒業!書くことがない日の満点記録術
- 感情は捨てる!トラブル発生時の「事実記録」完全攻略
- 「身体ブロックで阻止」と書いた日にやること 身体拘束の記録
- 最後が肝心!「連絡事項」の活用と「修正ルール」完全ガイド
- 当日の机に何を並べるか 運営指導(実地指導)直前チェック
- よくある質問 強度行動障害の支援計画シートと記録
- この記事を読んだ人がよく見ているサービス
- まとめ:その1行が、利用者と事業所を守る「最強の盾」になる
なぜ「記録」が命なのか?強度行動障害児支援加算の返還リスク
現場で汗を流している私たちにとって、目の前のお子さんの支援が最優先であることは言うまでもありません。パニックになっているお子さんを落ち着かせ、安全を確保し、少しでも笑顔で過ごしてもらう。その瞬間の関わりこそが私たちの仕事の本質です。
しかし、あえて厳しいことを言わせてください。
「記録のない支援は、
行政において『支援していない』のと同じ」
これは私がサービス管理責任者として、そして一人の支援者として、最も痛感している現実です。
強度行動障害児支援加算は、その専門性と困難さゆえに高い報酬単価(単位数)が設定されています。それは裏を返せば、「それに見合うだけの証拠(エビデンス)を厳格に残しなさい」という国からのメッセージでもあります。
ここでは、なぜ記録がこれほどまでに重要なのか、実地指導(監査)の視点から解説します。
加算算定の根拠は「毎日の記録」にある
よくある誤解が、「判定スコア(確認票)で20点以上あるから大丈夫」という認識です。確かにスコアは入り口として必要ですが、それだけで加算が認められるわけではありません。
強度行動障害児支援加算の要件は、単に対象児を受け入れていることではなく、以下の要件を満たすことに対して支払われます。
強度行動障害支援者養成研修修了者を配置し、適切な計画に基づいた支援を行ったこと
もし実地指導で調査官にこう聞かれたら、どう答えますか?
「この日、加算を算定していますが、具体的にどのような専門的な支援を行いましたか?記録を見せてください」
この時、「記憶にはあります」「確かにやりました」という言葉は通用しません。公費(税金)を使っている以上、客観的な証拠が必要です。
万が一、記録が白紙だったり、「特変なし」の一言で済まされていたりした場合、最悪のケースでは「不正請求」とみなされ、過去に遡って加算報酬の全額返還を求められるリスクがあります。数百万円単位の返還命令が出れば、事業所の存続自体が危ぶまれる事態になりかねません。
実地指導でチェックされる3つのポイント
では、実地指導において調査官は記録のどこを見ているのでしょうか?私の経験や厚労省のガイドラインに基づくと、大きく分けて以下の3点がチェックされます。
🔍 重要チェックポイント
計画書で「パニック時はクールダウンスペースへ誘導する」と決めているのに、記録にその記述が全くなければ、「計画倒れ」と判断されます。「計画にある支援を、実際に今日やったのか」という整合性が厳しく見られます。
「暴れていたので対応した」では不十分です。「いつ(何時何分)、どのようなきっかけで(トリガー)、どのような行動が起き(ターゲット行動)、誰がどう介入し、結果どうなったか」が書かれている必要があります。
特に基礎研修修了者が支援を行う場合、実践研修修了者が適切に助言や確認を行っているかどうかも重要なポイントです。記録の中に「〇〇(実践研修修了者)に報告し、助言を受けた」といった記述があることで、チームとして要件を満たしている証明になります。
記録を書くことは、決して「事務作業」ではありません。
自分たちの行った質の高い支援を証明し、
事業所とスタッフを守るための「盾」なのです。
【令和6年度改定対応】加算の単位数と、シートに関する3つの要件
記録の話に入る前に、「そもそも何を求められている加算なのか」を一度そろえておきます。令和6年度の報酬改定で、強度行動障害児支援加算は「対象児を受け入れたら算定できる加算」から「計画をつくり、その計画どおりに支援したことを示す加算」へ性格が変わりました。記録が命になったのは、この改定が理由です。
単位数と対象(児童発達支援・放課後等デイサービス)
| サービス | 対象児(児基準) | 配置が必要な研修修了者 | 単位数 | 開始から90日以内 |
|---|---|---|---|---|
| 児童発達支援 | 20点以上 | 実践研修 修了者 | 200単位/日 | +500単位/日 |
| 放課後等デイサービス(Ⅰ) | 20点以上 | 実践研修 修了者 | 200単位/日 | +500単位/日 |
| 放課後等デイサービス(Ⅱ) | 30点以上 | 中核的人材養成研修 修了者 | 250単位/日 | +500単位/日 |
「児基準」とは、国の告示(こども家庭庁長官が定める児童等)の表で、行動障害の内容ごとに見られる頻度等を1点〜5点に当てはめて出した合計点のことです。対象になるのは、この合計が20点以上(放課後等デイサービス(Ⅱ)は30点以上)であると市町村が認めたこどもです。事業所や保護者がつけた点数だけで対象になるわけではありません。確認票の様式や聞き取りの方法、受給者証への書き方は市町村ごとに違うので、支給決定をしている市町村に確認してください。
点数は入り口の条件にすぎません。点数を満たしていても、次の3つが欠けていれば加算の根拠を失います。
求められている3つのこと
個別支援計画とは別に、行動障害の背景分析と具体的な支援手順をまとめた書類を作ります。作成者は実践研修(放デイⅡは中核的人材養成研修)の修了者です。
作りっぱなしは認められません。留意事項通知では、少なくとも3か月に1回程度の頻度で見直すこととされています。状態が変われば随時です。
基礎研修修了者が支援に入る場合は、実践研修修了者が実際の様子を観察して確認します(おおむね支援2回につき1回以上)。この確認の跡が記録に残っている必要があります。
出典:児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成24年厚生労働省告示第122号、令和6年こども家庭庁告示第3号による改正後)、こども家庭庁長官が定める児童等(平成24年厚生労働省告示第270号)、「強度行動障害を有する児者への地域の支援体制整備の促進について」(令和6年6月27日 こ支障第162号/障障発0627第1号、こども家庭庁支援局障害児支援課長・厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長)をもとに整理。見直し頻度・確認頻度は令和6年度報酬改定の留意事項通知に基づく運用です。
全ての土台はここにあり!「支援計画シート」作成完全ガイド
強度行動障害児支援加算において、「支援手順書 兼 記録用紙」が毎日の航海日誌だとすれば、「支援計画シート」は目的地へ向かうための「海図(設計図)」です。実地指導では、「記録の内容が、この計画シートに基づいているか?」という整合性が厳しく問われます。
なぜ「個別支援計画書」とは別に作るのか?
「個別支援計画書があるのに、なぜ似たようなシートを作らなければならないの?」
そう思う方も多いでしょう。しかし、目的が明確に異なります。
「生活能力の向上」や「社会参加」など、中長期的な目標管理がメイン。
「行動障害(パニック等)の背景要因」を分析し、今日どう支援するかという具体的戦術を決めるもの。
要件1〜3と書類の関係を1枚で
文章だけだと関係がつかみにくいので、「スコア表から毎日の記録まで、何がどこにつながっているか」を図にしました。運営指導で見られるのは、この矢印が途中で切れていないかどうかです。
図1:強度行動障害児支援加算の全体像。スコアは入り口にすぎず、シート、手順書、記録、見直しの輪が回っていることが加算の根拠になります。
その様式で合っていますか?「支援計画シート」と「支援手順書 兼 記録用紙」の出どころ
現場でいちばん多い質問が「決まった様式はどこにあるんですか?」です。結論から言うと、国は統一様式を示していません。示されているのは「例」だけです。ここを知らないまま、他社の様式を借りてきて使い、欄の意味がわからず空欄になっている——という事業所をよく見ます。
(参考1)支援計画シートの欄構成
3つの列(プロセス)と3つの行(視点)が交差する表です。この記事でここまで説明してきた「インテーク、アセスメント、プランニング」「生物・心理・社会」は、様式そのものの構造です。思いつきの分類ではありません。
| インテーク (情報の収集・整理) | アセスメント (評価) | プランニング(支援計画) | ||
|---|---|---|---|---|
| 情報 見たこと、聴いたこと、資料などから | 理解・解釈・仮説 わかったこと、推測したこと | 支援課題 支援の必要なこと | 対応・方針 やろうと思うこと | |
| 生物的なこと | 疾患や障害、気質など | |||
| 心理的なこと | 不安、葛藤、希望、感情など | |||
| 社会的なこと | 家庭、施設・学校、地域資源など | |||
ヘッダーは「氏名」「支援計画者」の2つだけです。シンプルですが、作成者名の欄がある=誰が作ったかを問われる様式だということを忘れないでください。ここに実践研修修了者以外の名前が入っていると、それだけで要件を満たさなくなります。
(参考2)支援手順書 兼 記録用紙の欄構成
| 区分 | 欄 | 何を書くか |
|---|---|---|
| ヘッダー | 利用者名/サービス提供日/作成者名 | 誰の・いつの・誰が作った手順書か |
| 事業所名①②③/サービス名/時間/提供者名 | その日に関わる複数の事業所を並べて書く欄。放デイと居宅、学校と放デイのように支援が連続する場合に使う | |
| 本体 | 時間 | 活動の開始〜終了の時刻 |
| 活動 | 「来所」「班別活動」「昼食」など、場面の名前 | |
| サービス手順 | 職員がどう動くか。公式の例では「静養室(スケジュール)、手洗い、静養室(お茶休憩)、アラーム、作業室」のように、動線をそのまま矢印でつないでいる | |
| チェック | 手順どおりに実施できたかの確認欄 | |
| 様子 | その日に実際に起きたこと(=記録) | |
| フッター | 連絡事項/問い合わせ事項 | 職員間の申し送り。公式の例では「熊谷さんと動線が重ならないように注意してください」のように、他利用者との関係まで書かれている |
出典:平成26年3月31日 障障発0331第8号「重度訪問介護の対象拡大に伴う支給決定事務等に係る留意事項について」の(参考1)(参考2)。および各自治体(大阪市・吹田市・横浜市ほか)が配布している様式例。
様式(参考1)の読み方を図にすると
表だけを見ると9マスの記入欄に見えますが、この様式には「左から右へ読む」という向きがあります。ここを外すと、右端の「対応・方針」だけが立派で、左端の「情報」が空っぽという、いちばん指摘されやすい形になります。
図2:支援計画シート(参考1)の構造。縦の3視点は「もれをなくす軸」、横の4欄は「考える順番」です。右端だけ埋まっているシートは、根拠のない方針とみなされます。
まずは材料集め!「インテーク(情報の収集・整理)」の書き方
支援計画シートの左端にある「情報(見たこと、聴いたこと、資料などから)」の欄。ここを空白にしたり、適当に埋めたりしていませんか?
ここは、この後に行う分析(仮説立て)の「証拠」となる最も重要な部分です。
🔍 「情報」欄に書くべき3つのソース
-
👁️
見たこと(観察事実):
「毎日14時頃に落ち着きがなくなる」「特定の職員が近づくと離れる」など、誰が見ても明らかな行動の事実。 -
👂
聴いたこと(本人・家族の言葉):
「お母さんによると、家では入浴を嫌がるとのこと」「本人が『うるさい』と発言した」など。 -
📄
資料(過去の記録):
「学校時代の記録」「医療機関の診断書」「フェイスシート」などの客観的なデータ。
【超重要】アセスメントがない=指導対象です
実地指導で調査官が真っ先に見るのは、計画の中身よりも「その情報の鮮度」です。
- 利用開始時の古い情報のまま、何年も更新されていない。
- そもそもアセスメントシート自体が存在しない。
- 日付が空欄になっている。
利用者の状態は日々変化します。「アセスメント、計画、実施、評価」のサイクルが回っていないと判断されれば、減算や返還の対象となり得ます。
手元にない場合は、早急に作成・再評価(モニタリング)を行ってください。
ゼロから作らなくていい!「あるもの」を活用しよう
「忙しくて一から情報収集なんてできない…」という方も安心してください。あなたの事業所には、既に情報の宝庫があるはずです。
- 基本情報シート(フェイスシート):家族構成、成育歴、既往歴など
- サービス等利用計画書(案):相談支援専門員が作成したアセスメント
- 学校や前事業所の引き継ぎ資料:個別の指導計画など
まずはこれらを転記して整理するだけでも、立派なアセスメントの第一歩です。
最重要!「3つの視点」で行動の背景を読み解く

このシートの核となるのが、アセスメント(評価)欄にある「生物的」「心理的」「社会的」という3つの分類です。
ここがしっかりと埋まれば、一見理解不能な行動障害も「なるほど、だからそうしたのか」と腑に落ちるようになります。
しかし、実際に書こうとすると「これってどっちに書けばいいの?」と迷うことが必ず出てきます。
迷いをなくすための「判断基準」と「よくある間違い」を徹底解説します。
Q&A:どっちに書く?現場の「迷い」解消コーナー
「夜眠れていない」という事実は「生物」です。しかし、「翌日のイベントが楽しみで興奮して眠れない」なら原因は「心理」になります。
自閉症の特性と考えれば「生物」ですが、それを行うことで安心を得ている機能に着目すれば「心理」です。
厳密に分けることが目的ではありません。重要なのは「その要因が抜け落ちていないか」です。
仮説から「支援課題」を導き、具体的な「戦術」へ
3つの視点で情報を集め、行動の背景にある理由(仮説)が見えてきたら、次は「じゃあ、何を解決すればいいの?」というターゲットを設定します。これが「支援課題」です。
ここがズレてしまうと、どれだけ立派な支援方針を立てても効果が出ません。仮説から課題を導き出すプロセスのコツを解説します。
「支援課題」は「問題行動を止めること」ではない
よくある間違いが、課題の欄に「他害をなくす」「パニックを起こさない」と書いてしまうことです。これでは、本人に対する抑圧的な支援になりかねません。
支援課題とは、「本人が困っていることを解消する(ニーズ)」あるいは「環境側が解決すべきミッション」と捉えてください。
🔄 視点の転換:「困った行動」、「支援課題」
「大声を出さないようにする」
「不安な気持ちを、言葉やカードで適切に伝えられるようになる」
「安心して過ごせる静かな環境を確保する」
「脱走しない」
「外出したいという欲求を、安全な方法(散歩等)で満たす」
「見通しを持って活動に参加できるよう構造化する」
どれからやる?課題の優先順位
課題がたくさん出てきた場合、全てに手をつけるのは不可能です。以下の優先順位で絞り込みましょう。
- 命や身体の安全に関わること(自傷・他害・飛び出し等)
- 本人の不快感や苦痛を取り除くこと(感覚過敏・痛み・睡眠等)
- 生活の質(QOL)を上げること(楽しみ・好きな活動)
- 社会的なスキルや参加(ルール理解など ※ここは最後でいい!)
一本の線で繋がる!完成形イメージ
ここまで揃えば、あとは「対応・方針(具体的なアクション)」を決めるだけです。
左(情報)から右(方針)まで、論理が破綻せずに繋がっているか確認しましょう。
| ① 理解・解釈・仮説 (なぜ起きる?) |
② 支援課題 (何を目指す?) |
③ 対応・方針 (具体的にどうする?、手順書へ) |
|---|---|---|
|
音が予測できない場所(公園など)に行くと、恐怖からパニックになるのではないか? (生物的・心理的要因) |
安心できる静かな環境を確保し、外出への恐怖感を減らす |
|
このように、「仮説(理由)」があるから「課題(ターゲット)」が決まり、そのための「方針(手段)」が決まる。この一貫性が、強度行動障害支援の質を決めます。
【完全記入例】支援計画シート(放課後等デイサービス・小学4年生)
ここからが本題です。公式様式(参考1)の欄構成そのままに、放課後等デイサービスの事例で全マスを埋めた記入例を載せます。成人の生活介護の例ではイメージしづらかった部分が、そのまま置き換えられるはずです。
- 氏名
- Kさん(小学4年生・男子/仮名)
- 障害
- 自閉スペクトラム症、重度知的障害。発語はなく、要求は職員の手を引く(クレーン)で表現する
- 児基準
- 22点(放課後等デイサービス/強度行動障害児支援加算Ⅰの対象)
- 利用
- 週4日(火・水・木・金)
- 支援計画者
- 〇〇 〇〇(強度行動障害支援者養成研修 実践研修 修了)
- 気になっている行動
- ① 到着直後に他児の髪を引っぱる ② トイレの水を流し続けて15分以上戻らない ③ 16時台に床に寝転んで帰りの準備に移れない
生物的なこと(疾患や障害、気質など)
| 情報 見たこと・聴いたこと・資料 | 理解・解釈・仮説 | 支援課題 | 対応・方針 |
|---|---|---|---|
| ・抗てんかん薬を朝夕服用。母から「午後に眠そうにしている日がある」 ・掃除機とハンドドライヤーの音で両耳をふさぐ(観察) ・排便が2〜3日に1回(連絡帳) ・学校の記録に「暑い日は水分をとらないまま活動が続かなくなる」 |
・予測できない大きな音(掃除機・他児の泣き声)で覚醒が一気に上がる聴覚過敏がある ・他害があった日を振り返ると、排便がない日と眠気が強い日が重なっている ・「気持ち」より先に、体調が引き金になっている可能性が高い |
不快な音と身体の不調を減らし、落ち着いて過ごせる体調を整える | ・来所時に排便・睡眠・服薬の3点を連絡帳で確認し、その日の活動量を決める ・掃除機はKさんの帰宅後(17:30以降)にかける ・イヤーマフをKさん専用棚に常置し、本人が自分で取りに行ける位置にする ・15:05に水分をとる時間を固定する |
心理的なこと(不安、葛藤、希望、感情など)
| 情報 | 理解・解釈・仮説 | 支援課題 | 対応・方針 |
|---|---|---|---|
| ・スケジュール表の写真カードを自分ではがし、握って持ち歩く(観察) ・前事業所の引き継ぎ資料に「他害のたびに腕を押さえて制止していた」との記載 ・水を流している間は表情が穏やか(観察) ・初めての職員が正面から近づくと後ずさりする |
・カードを持ち歩くのは「見通しを手放したくない」という表れと考えられる ・「正面から人が来る=止められる」と学習している可能性がある ・水は本人にとって数少ない、自分で選べる安心の手段になっている |
・不安なときに自分で安心を取り戻せる方法を増やす ・「止められる」以外の関わりを積み上げる |
・写真カードを本児専用のリングにまとめ、持ち歩ける形にする(回収しない) ・接近は必ず側面から。正面に立たない ・水遊びを禁止せず、「水のコーナー」を1日2回・各5分、タイマー付きで予定に組み込む ・制止が必要になる場面は事前に手順を決め、必ず複数職員で対応する |
社会的なこと(家庭、施設・学校、地域資源など)
| 情報 | 理解・解釈・仮説 | 支援課題 | 対応・方針 |
|---|---|---|---|
| ・下校時刻が曜日で異なる(火・木は14:05、水・金は15:10) ・送迎車の座席が日によって変わっている ・母は下の子の育児があり、通院同行が難しい ・相談支援専門員から「土曜のショートステイを検討中」と情報 ・16時台は職員配置が手薄になる |
・到着時刻と座席が日替わりであることが、1日の最初のつまずきになっている ・16時台の行動は、職員が減って見通しの提示が抜ける時間帯と重なっている。本人の問題ではなく体制の問題 ・家族の負担が限界に近く、家庭での支援強化は現実的でない |
・来所から活動開始までの流れを毎日同じにする ・16時台の体制を先に決めておく ・家族が休める時間を確保する |
・送迎車の座席を最前列左に固定し、送迎表に明記する ・下校時刻が違う日は、前日のうちに写真カードの並びを差し替えておく ・16:00〜16:30はKさん担当を1名固定で配置し、シフト表に記載する ・通院同行と土曜の預け先について、相談支援専門員と調整の場を持つ |
② 対応・方針が、そのまま明日の手順書に落とせる粒度になっている。「配慮する」「見守る」で終わらせず、時刻・場所・人数・道具まで書いています。
③ 社会的なことの欄に、事業所側の課題を正直に書いている。「16時台は職員が手薄」は書きにくいことですが、ここを書かないと環境調整の記録が残りません。
書き終わったら確認する7項目
- 作成者名は実践研修修了者になっているか(放デイⅡなら中核的人材養成研修修了者)
- 作成日・見直し日が入っているか。前回の見直しから3か月以上あいていないか
- 「情報」欄が、観察・聴き取り・資料の3種類から集められているか
- 「理解・解釈・仮説」が、左の「情報」に書いた事実だけから導かれているか(情報にない話が出てきていないか)
- 「支援課題」が、行動を止める表現になっていないか
- 「対応・方針」が、そのまま支援手順書の1行にできる具体さになっているか
- 個別支援計画と別立ての書類になっているか(同じ内容のコピーになっていないか)
強度行動障害の支援記録がつらいのは、量ではなく「思い出しながら書く」時間です。行動の前後・支援者の関わり・本人の様子——支援が終わって2時間後に思い出そうとすると、そこで15分が消えます。
記録の時間:文字起こしされた文章から、この記事の「事実記録」の型に整えて手順書へ落とす
強度行動障害の記録は「事実だけを書く」のが鉄則ですが、話し言葉はどうしても感情が混ざります。だからこそ、いったんテキストにしてから型に整える手順が効きます。頭の中で整えながら書くより速く、しかも主観が抜けます。
※氏名はイニシャルにする、事業所の情報管理規程で外部サービスの利用可否を確認する——この2点は必ず先に決めてください。
音声からの文字起こしを無料プランで試す見落としがち!「おおむね3か月に1回」の見直しはこう書く
シートを立派に作っても、見直しの跡が1行も残っていない事業所が本当に多いです。ここは要件2そのものなので、作成日しか入っていないシートは「作りっぱなし」と判断されます。しかも見直しは、書き方さえ決めておけば1人あたり15分で終わる作業です。
見直しは「書き直し」ではなく「答え合わせ」
見直しでいちばん多い失敗が、日付だけ新しくして中身をそのまま残すやり方です。これは更新ではなく、更新したように見せた書類になってしまいます。
やることはシンプルで、3か月ぶんの記録用紙を見返して「立てた仮説は当たっていたか」を確かめるだけです。当たっていれば続ける、外れていれば仮説から作り直す。それを1枚に残します。
記録から拾う4つの数字
感覚で「落ち着いてきた気がする」と書くと、それは主観です。手元の記録用紙から数えられる数字を使うと、見直しが一気に説得力を持ちます。
| 拾う数字 | どこから数えるか | 見直しに書く形 |
|---|---|---|
| チェック欄の内訳 | 3か月ぶんの「〇/△/×」の数 | 「9スケジュール×54日のうち、×が集中したのは帰りの準備(18回)」 |
| 対象行動の回数 | 様子欄に書いた行動の出現回数 | 「他害は6〜7月で14回、8月は4回」 |
| 時間帯の偏り | 行動が起きた時刻 | 「14回のうち11回が16:00〜16:30に集中」 |
| 環境が変わった日 | 連絡事項欄・シフト表 | 「担当固定を始めた8/5以降、同時間帯の発生は2回」 |
見直し欄の記入例(そのまま使える型)
様式に見直し欄がない場合は、シートの余白か別紙に、次の4行を書き足すだけで構いません。決まった様式はないので、事業所で1つ型を決めてしまうのが最速です。
【確認した記録】6/10〜9/11 の支援手順書 兼 記録用紙 54日ぶん
【結果】「16時台の行動は職員が減る時間帯と重なっている」という仮説に沿って、8/5から同時間帯の担当を1名固定に変更した。変更前(6/10〜8/4)の他害は11回、変更後(8/5〜9/11)は2回。仮説は妥当だったと判断する。
【次の3か月】担当固定を継続。あわせて、切り替え3分前のカード予告を集団活動以外の場面にも広げ、次回はおやつ後の切り替え場面を重点的に記録する。
【見直し者】〇〇 〇〇(実践研修修了者)
【確認した記録】6/10〜9/11 の支援手順書 兼 記録用紙 54日ぶん
【結果】「水のコーナーを予定に組み込めばトイレでの長時間滞在は減る」という仮説を立てたが、滞在時間に変化はなかった(平均14分から13分)。一方で、滞在が長い日は連絡帳に「前夜の睡眠が短い」との記載がある日と重なっていた(8日中6日)。要因は水そのものではなく睡眠と体調にある可能性が高いと考え直す。
【次の3か月】「生物的なこと」の欄に睡眠の情報を追加し、連絡帳の睡眠時間を毎日記録欄に転記する。母の同意を得たうえで、主治医への情報提供も検討する。
【見直し者】〇〇 〇〇(実践研修修了者)
見直しのタイミングを忘れないしくみ
- シートの作成日を見て、3か月後の日付をその場でカレンダーに入れる(作った日にやってしまうのが確実)
- 個別支援計画のモニタリング月とずらさない。同じ月に寄せると、記録を読み返す作業が1回で済む
- 状態が大きく変わった日(入院、転校、担任交代、服薬変更など)は、3か月を待たずにその場で見直す
- 見直しの結果、手順を変えたなら支援手順書も同じ日に差し替える(シートだけ更新して手順書が古いままだと、整合性を問われます)
出典:見直しの頻度は令和6年度報酬改定に係る留意事項通知に示された「おおむね3か月に1回以上」の運用に基づきます。見直しの様式・記載項目は国から統一様式が示されていないため、上記は記載項目の一例です。自治体の運営指導基準で様式が指定されている場合はそちらに従ってください。
【保存版】コピペで完成!場面別「支援手順書」書き方テンプレート
支援手順書の「サービス手順(計画)」欄は、「利用者が何をするか」ではなく、「職員がどう動くか」を書く欄です。
強度行動障害のある方は、環境や関わり方が少しでも変わると状態が不安定になります。職員が「いつ・どこで・どのように関わるか」を手順として統一することが、行動障害を抑制する支援そのものです。
「利用者が〇〇した」という記述は記録欄(様子欄)に書くもの。手順書には「職員が〇〇する」という主語で書くことを徹底してください。
- フォーマットは標準的な「時間・活動・サービス手順」の3列構成です。
- 利用者名・場所・具体的な道具名など、緑色に相当する固有の部分は必ず書き換えてください。
- 条件分岐(もし〜なら)を充実させるほど、誰が担当しても同じ対応ができ、実地指導の評価も高まります。
| 時間 | 活動 | サービス手順(計画)— 職員の動き — |
|---|---|---|
| 9:00〜9:15 | 受け入れ・身支度 |
①
玄関で出迎え、表情・歩行・姿勢を視認する
送迎担当から体調の申し送りを受け、今日の状態を把握してから室内へ誘導する判断を行う
②
ロッカーまで先導し、手順書カードを正面から提示する
何をするかを言葉より先に視覚で示す。カードを見た後は本人のペースを待ち、急かさない
③
手洗い場へ誘導し、側面に立って手順を視覚的に示す(手順ポスター指さし)
正面に立つと威圧感になるため必ず側面に位置する。声掛けは最小限にとどめる
④
居室へ誘導後、バイタルを測定し連絡帳の特記事項を確認する
家庭での様子(睡眠・食事・体調変化)を把握し、その日の支援強度を判断する材料にする
⑤
スケジュールボードを一緒に指さし確認し、本日の流れを見通し提示する
「次に何が起きるかわからない」という不安が行動障害の引き金になる。見通しの提示が最大の予防策
|
- もし 表情が険しい・不穏が見られる場合バイタル測定を後回しにし、好きな場所で5分間そのまま待機する。「待てる」姿勢を見せることで安心感を与える
- もし 玄関で動かない・座り込む場合声掛けをやめ、視野に入らない位置に退く。タイマーを提示し「○分したら中に入ろう」と一言だけ伝える
- もし 送迎車から降りない場合無理に促さず、好きなぬいぐるみや人形を視界に入れながら扉の外で待つ
- もし 手洗いを強く拒否する場合ウェットティッシュを差し出し、手洗いの代替として対応。記録には「ウェットティッシュで代替実施」と記載する
| 時間 | 活動 | サービス手順(計画)— 職員の動き — |
|---|---|---|
| 10:00〜11:00 | アルミ缶潰し(例) |
①
本人が着席したことを確認してから課題セットをテーブルに置く
先に置かない。着席前に課題があると混乱・衝動行動の引き金になる
②
作業中は斜め後方に立ち、視覚的プレッシャーをかけない位置で待機する
正面での見守りは監視と受け取られることがある。「あと○個」と残量を都度伝えることで終わりの見通しを補う
③
終了数(20個)に達したら「終わり」カードを手渡し、片付けを促す
口頭だけの「終わり」は伝わりにくい。カードで物理的なゴールを示すことが混乱防止になる
④
休憩エリアへ先導し、好きなお茶を提供しながら具体的な称賛を伝える
「全部できたね」など作業完了の事実を言葉で伝える。この積み重ねが活動への参加意欲につながる
|
- もし 離席が見られた場合、個数に関わらず「終わり」カードを提示して活動を終了させる。無理な着席促しは強い拒否に発展するため行わない
- もし 道具を投げようとした場合道具をさりげなく手の届かない位置へ移動させ、声掛けは最小限にしてクールダウンエリアへ静かに誘導する
- もし 大きな声や独語が増えてきた場合イヤーマフを手渡し、刺激源となっている他の利用者を遠ざけるか、職員自身が間に入って遮断する
- もし 作業開始自体を拒否した場合作業を切り替え、好みの感覚遊びやDVD等の代替活動を提供する。「自由時間として対応」と記録する
| 時間 | 活動 | サービス手順(計画)— 職員の動き — |
|---|---|---|
| 13:30〜14:30 | 散歩・買い物 |
①
出発前に行き先の写真カードを提示し、今日の行程を説明する
「どこへ行くかわからない」状態は不安を高める。目的地・おやつ購入の流れをカードで可視化する
②
外出中は半歩先を歩き、交差点や人混みの手前で立ち止まって安全を確認してから進む
後ろからの誘導は本人の視界に入らず不安を招く。先導することで「次に何が起きるか」を本人に伝える
③
スーパーでは本人の隣に並び、選択肢は2択で絞って提示する
棚の前に一人で立たせない。選択肢が多すぎるとフリーズ・混乱が起きる
④
公園ではタイマーをセットし、「あと3分」「あと1分」と段階的に終了を予告する
突然の「終わり」は強い拒否反応を引き起こす。時間の見える化(タイマー提示)が切り替えをスムーズにする
|
- もし 公園に他の子どもがいた場合、入園せず、「今日は車で回ろう」とBコースに切り替える旨をカードで伝え、そのまま施設周辺ドライブに変更する
- もし 外出中に急な音や刺激で不穏兆候が出た場合イヤーマフを即座に差し出し、人通りの少ない裏道(Aルート)へルートを変更して早期帰所する
- もし スーパーで目的の商品がなかった場合代替品の写真を2枚見せ、どちらかを指さしで選んでもらう。拒否があればその場で購入をやめ穏やかに退店する
- もし 急な走り出しが起きた場合追いかけず、視野に入る位置に素早く回り込み、穏やかに立つ。追跡は興奮を高めるため絶対に行わない
| 時間 | 活動 | サービス手順(計画)— 職員の動き — |
|---|---|---|
| 12:00〜13:00 | 昼食・歯磨き |
①
食堂へ誘導し、着席を確認してから食器を配膳する
着席前に食器が並んでいると衝動的に手が出る。配膳のタイミングをコントロールすることが最初の予防策
②
食事中は背後1〜2mの位置に立ち、視線を直接合わせないようにして待機する
正面からの視線はプレッシャーとなりパニックの引き金になる。背後待機が原則。詰め込みが見られた時だけ「一口ずつ」と静かに声掛けする
③
食事終了後、「ごちそうさま」カードを提示して下膳を促す
口頭のみでは伝わりにくい。カード提示で「食事の終わり」を視覚的に示す
④
歯磨きの場所まで先導し、側面に立って手順ポスターを指さしながら見守る
介助は最小限にとどめ、自力でできる部分はやってもらう。仕上げ磨きは本人の様子を見て判断する
|
- もし 食器を投げようとした場合声をかけず素早く食器を遠ざけ、一度下膳する。「落ち着いたらまた持ってくるね」と一言だけ伝え、5分後に再提供を検討する
- もし 詰め込み食いが続く場合一度に出す量を小皿1枚分に減らし、食べ終わったら次を出す方式に切り替える
- もし 隣の利用者へ手が出そうな場合職員が間に入り物理的に遮断する。席の間隔を広げるか、パーテーションを設置して視覚的な仕切りを作る
- もし 歯磨きを強く拒否した場合うがいのみで対応し、記録に「歯磨き拒否のためうがいにて代替実施」と記載する。無理な介助は噛み付きに発展するため行わない
「利用者が手洗いをする」ではなく「職員が手洗い場へ誘導し、側面に立って手順ポスターを指さす」。職員の動きが書かれていることが、専門的支援の証明になります。
「見守る」ではなく「背後1〜2mの位置で待機する」「着席後に配膳する」。具体的であるほど、誰が担当しても支援の質が均一になり、実地指導での評価が上がります。
「〇〇したら△△する」だけでなく「なぜならば□□だから」まで書けると、支援の根拠(アセスメントとの整合性)が一目で分かり、実地指導で根拠を問われた際の回答になります。
-
「利用者が〜する」ではなく「職員が〜する」という主語になっているか?
-
職員の「立ち位置・距離・タイミング」が具体的に書かれているか?
-
使用するツール(カード・タイマー・イヤーマフ等)が明記されているか?
-
条件分岐(もし〜なら、こうする)が各場面に最低3項目以上あるか?
-
支援計画シート(アセスメント)の仮説・支援課題と手順の内容が一致しているか?
-
毎日の記録の「様子欄」が、この手順書の動きと対応する内容になっているか?
【完全記入例】支援手順書 兼 記録用紙(放デイの1日ぶん)
前の章で作った「対応・方針」を、そのまま1日の流れに落としたものがこれです。公式様式(参考2)と同じ「時間/活動/サービス手順/チェック/様子」の5列で、Kさんの木曜日(下校14:05)を1日ぶん書き切りました。
ヘッダー欄の記入例
| 利用者名 | Kさん | サービス提供日 | 2026年9月10日(木) | 作成者名 | 〇〇 〇〇 (実践研修修了者) |
|---|---|---|---|---|---|
| 事業所名① | 放課後等デイサービス〇〇 | サービス名 | 放課後等デイサービス | 時間/提供者名 | 14:05〜17:30/△△ △△ |
| 事業所名② | 〇〇小学校 特別支援学級 | サービス名 | (学校・連携先) | 時間/提供者名 | 〜14:05/担任 □□ |
| 事業所名③ | 〇〇相談支援事業所 | サービス名 | 障害児相談支援 | 時間/提供者名 | —/相談支援専門員 ◇◇ |
本体(時間/活動/サービス手順/チェック/様子)
| 時間 | 活動 | サービス手順(職員の動き) | チェック | 様子 |
|---|---|---|---|---|
| 14:05〜 14:20 | 到着 | 【スケジュール1:到着】送迎車(最前列左に着席)、玄関(靴の履き替え)、荷物棚、手洗い、本児コーナー(カードリング確認) ・迎えは側面から。正面に立たない ・降車前に連絡帳で睡眠・排便・服薬を確認し、その日の活動量を決める | □ | |
| 14:20〜 14:45 | 荷物・水分 | 【スケジュール2:荷物と水分】本児コーナー(水分・専用コップ)、トイレ、本児コーナー(休憩5分)、アラーム ・水分は毎日同じコップ・同じ席で ・トイレに5分以上とどまる場合は、声をかけず入口の横に立ってタオルを差し出す | □ | |
| 14:45〜 15:05 | おやつ | 【スケジュール3:おやつ】手洗い、おやつ席(左端固定)、片づけ、本児コーナー ・他児との間は1席あける ・食べ終わったら必ず本児コーナーに戻ってから次の活動へ | □ | |
| 15:05〜 15:15 | 水のコーナー① | 【スケジュール4:水のコーナー】洗面所(水5分・タイマー提示)、タオル、本児コーナー ・やめさせる時間ではなく、予定として入れている時間。タイマーが鳴ったら職員は何も言わず蛇口の横に立ち、タオルを差し出す | □ | |
| 15:15〜 15:50 | 個別課題 | 【スケジュール5:個別課題×2】本児コーナー(課題15分)、休憩5分、アラーム、本児コーナー(課題15分) ・課題は終わりが目で見てわかるもの(かごに入れ切ったら終わり)を用意する ・掃除機はこの時間帯にかけない | □ | |
| 15:50〜 16:00 | 休憩 | 【スケジュール6:休憩】本児コーナー(イヤーマフ自由)、水分 ・イヤーマフは専用棚に置き、本人が自分で取りに行くのを待つ | □ | |
| 16:00〜 16:30 | 集団活動 | 【スケジュール7:集団活動】本児コーナー(カード提示)、活動室(端の席)、本児コーナー ・この時間帯はKさん担当を1名固定で配置する(シフト表参照) ・活動の切り替え3分前に、担当がカードで予告する | □ | |
| 16:30〜 16:50 | 水のコーナー② 帰りの準備 | 【スケジュール8:帰りの準備】洗面所(水5分・タイマー提示)、タオル、本児コーナー(荷物)、靴の履き替え ・床に寝転んだ場合は起こさず、視界に入らない位置に下がって1分待つ。その後、荷物カードだけを提示する | □ | |
| 16:50〜 17:30 | 送迎 | 【スケジュール9:送迎】玄関、送迎車(最前列左)、自宅 ・乗車位置は固定。座席が変わる日は前日に写真で予告する | □ |
・写真カードのリングはKさんが持ち歩きます。回収しないでください。
・火曜・木曜は下校が14:05です。前日のうちにカードの並びを差し替えてください。
・16:00〜16:30はKさん担当を1名固定で配置します(シフト表参照)。
・9/10(木)は〇〇(実践研修修了者)が15:00〜16:30に同席し、手順どおり実施できているかを確認します。
もうひとつの型:「工程型」の支援手順書
ここまでの様式は1日の流れを追う「時間割型」です。一方、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の演習で使われるのは、ひとつの場面を工程に割って書く「工程型」です。欄はこうなっています。
| 工程 | 本人の動き | 支援者の動き・留意点 | 本人の様子(記録) |
|---|---|---|---|
| 事前準備 | — | おやつ席の左端を空けておく。専用コップを定位置に置く。掃除機を片づける | |
| 手を洗う | 手洗い場へ行き、蛇口をひねる | 側面に立ち、手順ポスターを指さす。声かけは1回まで | |
| 席につく | 左端の席に座る | 先に座って待たず、本人が座ってから隣に座る | |
| 食べる | おやつを食べる | おかわりカードを机の右に置く。言葉で促さない | |
| 片づける | 皿をワゴンに運ぶ | ワゴンの位置を毎回同じにする | |
| 休けいする | 本児コーナーに戻る | 戻れたことを、その場で一度だけ伝える |
| 使い分け | 時間割型(参考2) | 工程型(実践研修の演習) |
|---|---|---|
| 向いている場面 | 1日の動線をそろえたいとき。加算の書類として提出するとき | 特定の場面だけ崩れるとき(おやつ、トイレ、帰りの準備など) |
| 強み | 1枚で1日が見える。記録欄と一体で運用できる | 「どの工程でつまずいたか」まで特定できる |
| 弱み | 細かい工程は書ききれない | 枚数が増える。1日の全体像は見えない |
おすすめは、時間割型を基本の1枚にして、崩れている場面だけ工程型を1枚足すやり方です。最初から全場面を工程型で作ると、書く量に現場が耐えられません。支援手順書に決まった様式はない(研修資料にも「支援手順書に決まった様式はありません」と明記されています)ので、この組み合わせは自由に決めて構いません。
出典:平成26年3月31日 障障発0331第8号(参考2)支援手順書 兼 記録用紙(例)の欄構成、および強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の演習資料「支援手順書/記録用紙」の欄構成。記入内容は本記事の事例に合わせて作成したものです。
空欄は絶対NG!「チェック」欄の正しい判定基準
たかがチェック、されどチェック。ここが空欄だと「支援放棄(ネグレクト)」を疑われます。
また、よくある勘違いが「〇(できた)の時は、様子欄は空欄でいい」という思い込みです。
チェック欄と様子欄はセットです。以下の基準で必ず両方を埋めてください。
| 記号 | 判定ルール | 右側の「様子欄」に何を書く? |
|---|---|---|
|
○ (またはレ点) |
計画通り実施した 手順書にある支援を行い、本人が活動に参加できた場合。 |
【必須】本人のポジティブな反応を書く 「問題なかった」で終わらせず、支援がどう役立ったかを書きます。 記述例: 「手順書を確認し、スムーズに取り組めた」 「声掛けにより笑顔で参加された」 |
| △ |
一部変更・短縮した 本人の状態や環境により、予定の一部を変更・短縮した場合。 |
【必須】変更した「理由」を書く なぜ計画通りに行かなかったのか、その原因(事実)を書きます。 記述例: 「集中力が続かず5分で終了した」 「雨が降り始めたためコースを短縮した」 |
| × |
中止・未実施 強い拒否、体調不良などで活動自体を行わなかった場合。 |
【必須】中止した「理由」を書く ここを空欄にすると「支援忘れ」になります。 記述例: 「本人の強い拒否があり、意思を尊重して中止した」 「発熱のため実施せず」 |
A. 「実施したこと(チェック)」と「どうだったか(様子)」は別物だからです。
もし様子欄が空欄だと、後で読み返した時に「ただ機械的にこなしただけなのか?」「本人は楽しんでいたのか?嫌々だったのか?」が分かりません。
強度行動障害支援において重要なのは「本人が安定して過ごせたか」という結果です。
〇がついた日は、ポジティブな記録を残すチャンスです。
「落ち着いて参加できた」「笑顔が見られた」と書くことで、「私たちの支援(構造化)が本人に合っている」という成功の証明になります。
「特変なし」は卒業!書くことがない日の満点記録術
「今日はパニックもなく平和だった…書くことがない…」
そう思って「特変なし」と書いていませんか? 実はその平和こそが、あなたの支援の成果なのです。
実地指導で「何も支援していないのでは?」と疑われないための、平和な日の記録テンプレート(コピペ推奨)を公開します。
🚀 語尾を変えるだけ!プロっぽくなる言い換えリスト
いつもの言葉を少し変えるだけで、専門性がグッと上がります。
| いつもの表現(△) | ➡ | プロの表現(◎) |
|---|---|---|
| 見ていた | ➡ | 安全を確認しながら見守った |
| 楽しそうだった | ➡ | 笑顔が多く見られ、情緒が安定していた |
| 嫌がった | ➡ | 拒否の意思表示(発語・動作)があった |
感情は捨てる!トラブル発生時の「事実記録」完全攻略
パニックや自傷・他害が起きた時、「大変だった」「怖かった」「暴れた」と日記のように書いていませんか?
その記録では、何かあった時に「スタッフの対応は適切だったのか?」を証明できず、あなた自身を守れません。
緊急時こそ、感情を排除し、事実のみを淡々と書く技術が求められます。
🛡️ 自分を守る最強フレームワーク「ABC記録」
迷ったらこの3つの箱を埋めるだけで、完璧な記録になります。
🚑 【ケース別】トラブル記録テンプレート(コピペ推奨)
緊急時に文章を考える余裕はありません。以下の型に当てはめて書いてください。
✅ ポイント:止めたのか、保護したのか、介入方法を明確に。
✅ ポイント:誰を守ったか、どう防いだかを記録。
✅ ポイント:原因(音)と対処(イヤーマフ)の因果関係を書く。
🔄 「感情語」、「事実語」変換リスト
あなたの記録を「日記」から「公文書」に変える魔法の言い換え集です。
○ 手足を大きく動かした、物を投げた
○ 顔面が紅潮し、早口になった
○ その場に座り込み、両耳を塞いだ
○ 全身を震わせ、職員の後ろに隠れた
自傷や他害で身体的なダメージがあった場合、以下の3点を必ず記録に残してください。書いていないと「隠ぺい」を疑われます。
- 身体確認の結果:「右前腕に5cmの発赤あり」「出血なし」
- 医療処置:「看護師○○により冷却処置実施」「絆創膏を貼付」
- 家族への連絡:「17:00 母に電話にて報告し、様子観察の指示を受ける」

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ABC記録がうまく書けない一番の原因は、文章力ではなく時間差です。行動が起きてから記録を書くまでに数時間空くと、前後の状況(A)や職員の対応(C)の細部が確実に抜け落ちます。- 対応が落ち着いた直後に、スマホへ「何時ごろ・直前の状況・行動・対応・その後」を30秒だけ話しておく
- 記録の時間にテキスト化されたメモを見ながら、本記事のABC形式に整えて確定する
- ヒヤリハット・事故報告書、支援会議の議事録にも同じ流れが使える
「身体ブロックで阻止」と書いた日にやること 身体拘束の記録
ここは、強度行動障害の記録でいちばん抜けやすく、いちばん重い論点です。前の章で「身体ブロックにて阻止」という文例を出しましたが、身体に触れて動きを止めた記録を書いた日は、記録用紙に書いて終わりにはできません。別の手続きと記録が必要になる場合があります。
まず「緊急やむを得ない場合」の三要件を確認する
身体拘束等は原則禁止です。例外的に許されるのは、次の3つをすべて満たし、かつ組織として判断したときだけです。1つでも欠ければ、その対応は虐待として扱われます。
| 要件 | 意味 | 記録に書くときの言い方 |
|---|---|---|
| 切迫性 | 本人または他の利用者等の生命・身体・権利が危険にさらされる可能性が著しく高い | 「他児の顔面に向けて椅子を振り上げたため」のように、何が危険だったのかを具体的に |
| 非代替性 | 身体拘束以外に代替する方法がない | 「声かけ・距離の確保・他児の移動を先に行ったが間に合わず」と、先に試したことを書く |
| 一時性 | 行動制限が一時的である | 「前腕を約20秒間支え、離した」と、秒・分で書く |
身体拘束等を行った日に残す5項目
基準で求められている記録項目は決まっています。支援記録用紙の「様子」欄とは別に、身体拘束等の記録として残してください(様式は事業所で決めて構いません)。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 態様 | どの部位を、どうやって、誰が | 職員2名で、本児の前腕を両側から支え、他児から離した |
| 時間 | 開始と終了の時刻、または継続した秒数・分数 | 16:12〜16:13(約40秒) |
| 心身の状況 | そのときの本人の様子と、解除後の様子 | 実施中は身体を強くねじる動きあり。解除後は自ら本児コーナーへ移動し、3分後に着席 |
| 緊急やむを得ない理由 | 三要件(切迫性・非代替性・一時性)に沿って | 他児との距離が50cm以内で、椅子を持ち上げていた。声かけと他児の誘導を先に試みたが接近が早く、間に合わなかった |
| 手続き | 誰が判断し、誰に報告し、いつ委員会・家族に共有したか | サビ管〇〇が現場で判断。同日17:00に管理者へ報告、17:20に母へ電話報告。9/18の身体拘束適正化検討委員会に報告予定 |
NG記録とOK記録の違い
長く見えますが、書いている要素は「ABC記録+態様・時間・理由・手続き」だけです。前の章のABC記録の型を覚えていれば、足すのは時間と手続きの2行だけで済みます。
支援手順書に「押さえる」と書いてはいけません
ここは見落とされがちですが、重要です。支援手順書は「毎回この手順でやる」という計画です。そこに身体を押さえる対応を書き込むと、一時的な緊急対応ではなく「計画された恒常的な拘束」になってしまいます。
つまり、手順書には「拘束に至らないための手順」を書きます。それでも防げなかった例外が起きたときに、はじめて身体拘束等の記録が出てくる——この順番が正しい形です。
減算の条件は「記録」だけではありません
身体拘束廃止未実施減算は、児童発達支援・放課後等デイサービスでも所定単位数の1%が減算されます。しかも次の4つはどれか1つでも欠けると減算で、拘束をまったく行っていない事業所でも対象になります。
- 身体拘束等を行った場合に、態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由などを記録している
- 身体拘束適正化検討委員会を1年に1回以上開催し、結果を職員に周知している
- 身体拘束等の適正化のための指針を整備している
- 身体拘束等の適正化のための研修を1年に1回以上(新規採用時にも)実施している
② 見つかった日について、身体拘束等の記録が別に残っているかを確認する。
③ 委員会の議事録・指針・研修記録の直近の日付を見る。1年以上あいていたら、今月中に開催してください。
出典:身体拘束廃止未実施減算の減算率(訪問系・通所系は所定単位数の1%)および4つの要件は、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に基づきます。緊急やむを得ない場合の三要件(切迫性・非代替性・一時性)および記録すべき事項は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律/児童福祉法に基づく指定基準および「障害者虐待防止法」に関する厚生労働省の解釈通知によります。具体的な運用(委員会の構成、様式、報告先)は自治体の運営指導基準で指定されている場合があるため、必ず指定権者の手引きを確認してください。
最後が肝心!「連絡事項」の活用と「修正ルール」完全ガイド
記録の最後にある「連絡事項」欄と、間違えた時の「修正方法」。
ここを適当に済ませていると、実地指導で「公文書としての信頼性がない」と指摘されます。細かいですが、プロとして絶対に知っておくべきルールです。
1. 「連絡事項」は未来への手紙
ここは単なる「感想」を書くメモ帳ではありません。「明日のスタッフを助けるための引き継ぎエリア」です。
ここに書かれた情報が、翌日のサービス手順(計画)を修正する材料になります。これが「PDCAサイクルが回っている」という証拠になります。
事故には至らなかったけれど「危ない!」と思ったこと。
好きなものが変わった、いつもと様子が違うなど。
うまくいった方法は全員でシェア!
2. 知らないと犯罪扱い?「修正」の鉄の掟
記録用紙は、5年間の保存義務がある公文書(証拠書類)です。
「間違えたから消して書き直そう」という軽い気持ちで修正液を使うと、実地指導では「改ざん(隠ぺい)」を疑われます。
🚫 絶対NGな修正集(これやるとアウト)
- 修正液・修正テープ:
「下に何が書いてあったか」が見えない状態は、証拠隠滅とみなされます。 - 黒塗り・ぐちゃぐちゃ消し:
見栄えが悪いだけでなく、やはり「隠そうとした」と疑われます。 - 消せるボールペン(フリクション等):
これが一番危険!
夏の車内やコピー機の熱でインクが透明になり、記録が「白紙」になってしまいます。必ず油性かゲルインクを使ってください。
⭕ 正しい修正手順(3ステップ)
間違えた内容が見える状態で、取り消すことがルールです。
間違えた文字の上に、定規を使ってきれいに二重線を引きます。
二重線にかかるように、書いた本人の訂正印(小さい印鑑)を押します。「誰が修正したか」の証明です。
※印鑑がない場合はフルネームサインでも可とする自治体もありますが、印鑑推奨です。
近くの余白に、正しい文字や数字を記入します。
Q. 数日後に書き忘れに気づいた!
余白に「※〇月〇日追記」と記入日を明記した上で、内容を書き足してください。
「後から気づいて誠実に修正した」という記録になります。
当日の机に何を並べるか 運営指導(実地指導)直前チェック
通知が届いてから当日までは、だいたい1か月前後です。ここまで整えてきた書類も、並べ方と説明の順番を決めていないと、その場で探すことになります。探している時間そのものが「管理できていない」という印象になるので、最後に当日の準備をまとめます。
照合される3点セット
調査官は書類を1冊ずつ読むのではなく、3つの書類を突き合わせて矛盾を探します。逆に言えば、この3つがつながっていれば、多少書式が違っても問題になりません。
図3:運営指導で照合される3点セット。矢印はすべて「矛盾がないか」の確認方向です。1枚ずつ完璧でも、つながっていなければ意味がありません。
机に並べる書類(強度行動障害児支援加算まわり)
| 書類 | 確認される点 | ありがちな不備 |
|---|---|---|
| 市町村の判定結果 (受給者証の記載・確認票の控え) | 市町村が20点以上(放デイⅡは30点以上)と認めたことがわかるか。判定し直した場合は新しい結果になっているか | 市町村の判定を確認しないまま、事業所でつけた点数だけで算定している |
| 研修修了証 | 実践研修(放デイⅡは中核的人材養成研修)の修了者が在籍しているか | 修了者が退職済み。コピーが手元になく原本も見つからない |
| 勤務実績表 | 算定日に修了者が実際に勤務していたか | 修了者の公休日に加算を算定している |
| 支援計画シート | 作成者、作成日、見直し日、個別支援計画と別立てか | 作成者欄が空欄。見直し日が1年以上前 |
| 支援手順書 兼 記録用紙 | 算定日すべてに記録があるか。チェック欄と様子欄が両方埋まっているか | 欠席日にも記録がある/「特変なし」だけの日がある |
| 身体拘束関係 | 指針・委員会議事録・研修記録・(あれば)拘束の記録 | 記録用紙に制止の記述があるのに、身体拘束の記録が存在しない |
| 個別支援計画 | 保護者の同意署名と交付日。シートとの整合性 | 交付日が支援開始日より後になっている |
直前1週間の自主点検12項目
全部やろうとせず、この順番で上から潰してください。上ほど、指摘されたときのダメージが大きい項目です。
- 算定した日すべてに、記録用紙が1枚ずつ存在する(欠席日に算定していない)
- 算定日に、研修修了者が勤務実績表上も出勤している
- 支援計画シートの作成者が、実践研修修了者の氏名になっている
- シートの見直し日が、直近3か月以内に入っている
- 記録用紙の「チェック」欄に空欄の日がない
- ×・△がついた日は、その理由が「様子」欄に書かれている
- 「特変なし」「変わりなし」だけで終わっている日が1日もない
- 記録に「押さえた」「制止」「ブロック」があった日は、身体拘束等の記録が別にある
- 修正箇所は二重線+訂正印で、修正液・フリクションを使っていない
- 基礎研修修了者が支援に入った日に、実践研修修了者の確認の記述がある
- 個別支援計画に保護者の同意署名と交付日が入っている
- 身体拘束適正化の指針・委員会議事録・研修記録が、直近1年以内の日付である
よくある質問 強度行動障害の支援計画シートと記録
現場やSNSで実際によく聞かれる質問をまとめました。自治体の運用で答えが変わるものには、その旨を書いています。
おすすめしません。様式を一体にすること自体は禁止されていませんが、一体にすると「強度行動障害に特化した分析と手順が、どこに書かれているか」が示しづらくなります。
とくに、個別支援計画の作成者はサビ管・児発管ですが、支援計画シートの作成者は実践研修修了者である必要があります。この2つが別人の場合、1枚にまとめると作成者名をどう書くかで詰まります。別立てにして、個別支援計画から「詳細は支援計画シートのとおり」と参照させるのが、いちばん説明しやすい形です。
支援計画シート等を作成できるのは実践研修(放課後等デイサービスⅡは中核的人材養成研修)の修了者です。基礎研修修了者だけの体制では、シートの作成者要件を満たせません。
ただし、基礎研修修了者が実際の支援に入ること自体は問題ありません。その場合は、実践研修修了者が支援の様子を観察して確認する必要があり、その確認の跡を記録に残します。「誰が作るか」と「誰が支援するか」は別の話だと整理してください。
作れます。実践研修修了者(放課後等デイサービスⅡは中核的人材養成研修修了者)は、常勤や専従である必要はなく、事業所に配置されていれば足ります。管理者や児発管が修了者でも算定できます。
ただし、児発管が実践研修修了者である場合、支援計画シート等に基づいてお子さんに直接支援をするのは、児発管とは別の職員でなければなりません。記録用紙の支援者欄が児発管の名前ばかりになっていないか、確かめておいてください。
出典:こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」 VOL1 問18
放課後等デイサービスの個別サポート加算(Ⅰ)そのもの(ケアニーズの高い児=90単位、著しく重度の児=120単位)は、強度行動障害児支援加算とあわせて算定できます。
ただし、ケアニーズの高い児に基礎研修修了者を配置して支援したことで上乗せされる30単位(90から120単位)は、強度行動障害児支援加算を算定している場合は算定できません。同じ「研修修了者が関わる」ことへの評価が重なるためです。両方の条件にあてはまるお子さんは、個別サポート加算(Ⅰ)を90単位で請求します。
出典:こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」 VOL2 問7
電子記録で問題ありません。基準は「記録すること」を求めており、媒体を手書きに限定していません。むしろ電子記録のほうが、修正履歴が自動で残るぶん信頼性は高くなります。
確認しておくことは2つです。① 誰が入力したかが記録に残る設定になっているか(IDの共用をしていないか)。② 保存期間中、いつでも出力して提示できるか。運営指導では画面で見せるのではなく、印刷して提示を求められることが多いので、出力の形式は事前に試しておいてください。
加算は算定していないので、支援の記録は不要です。むしろ、欠席日に記録があるほうが重大な指摘になります(実際には支援していないのに記録がある=架空請求を疑われます)。
欠席時対応加算を算定する場合は、そちらの要件に沿って「相談援助を行った記録」を別に残します。支援手順書 兼 記録用紙とは別物なので、混ぜないでください。
起算点は、そのお子さんについて本加算の算定を開始した日です。サービスの利用を開始した日ではありません。利用の途中でスコアが基準に達して加算を始めた場合も、算定を始めた日から90日間です。
もうひとつ注意したいのが再利用のときです。90日間が終わったあとは、いったん利用を終了して同じ事業所で利用を再開しても、+500単位をもう一度算定することはできません。利用の初めに手厚い支援が要ることへの評価だからです。
ここは金額が大きく、後から返還になりやすい部分です。迷うケースは算定前に指定権者へ確認し、回答した担当者名と日付をメモに残しておいてください。
出典:こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」 VOL2 問5・問6
多くの自治体が条例で5年間としています。国の基準では2年とされている部分もありますが、条例で上乗せされているケースが一般的なので、自分の指定権者の条例を確認したうえで、長いほうに合わせてください。
起算点は「サービスを提供した日」ではなく「その完結の日」です。利用終了後も一定期間は保管が必要なので、退所したファイルをすぐ処分しないよう注意してください。
国から統一様式は示されていないので、自作で構いません。自治体が配っているのも、平成26年の通知にある(参考1)(参考2)を元にした「例」です。
ただし、指定権者が様式を指定している場合はそちらが優先です。また自作する場合でも、(参考1)の「情報/理解・解釈・仮説/支援課題/対応・方針」と「生物・心理・社会」の欄は、削らずに残してください。この欄構成そのものが、行政の想定する思考の流れだからです。
手順書の「サービス手順」欄はコピペで正解です。強度行動障害の支援は、毎日同じ手順であること自体が支援の中身だからです。日替わりの手順書のほうが、構造化ができていないと判断されます。
コピペしてはいけないのは「様子」欄です。ここが複数の日で一字一句同じだと、「書き写しただけ」と見なされます。手順は固定、記録は毎日変える——この使い分けを覚えてください。
×が続いていること自体は、返還の理由になりません。問題になるのは、×が続いているのに手順を変えていない場合です。
同じ×が2週間続いたら、それは本人の問題ではなく手順が合っていないというデータです。3か月を待たずにシートを見直し、「×が続いたため〇月〇日に手順を変更した」と残してください。×が並んだ記録と、それを受けた見直しがセットになっていれば、むしろPDCAが回っている証拠になります。
基本は開示に応じる方向で考えてください。支援の内容を保護者と共有することは、そもそも支援の質を上げます。記録を見せられない状態のほうが問題です。
注意点は、記録用紙には他のお子さんの名前が入っていることがあるという点です(連絡事項欄の「〇〇さんと動線が重ならないように」など)。そのまま渡さず、他児の情報を伏せた形で提示してください。事業所として開示の手順をあらかじめ決めておくのが安全です。
時間を作る前に、書く量を減らす設計を先にやってください。多くの事業所で、同じ内容を連絡帳・支援記録・日誌の3か所に書いています。
やることは3つです。① 手順書の「サービス手順」欄を完成させて固定する(毎日書くのは様子欄だけになる)。② 様子欄の型を事業所で統一する(ABC記録・3パターンの文例など、この記事の型で十分です)。③ 支援直後にメモを残す習慣にする。記録に時間がかかる最大の原因は文章力ではなく、思い出す時間です。
次期改定の内容は、この記事を書いている時点では確定していません。ただし、令和6年度改定の方向性(受け入れたら算定できる加算から、計画と記録で示す加算へ)は、今後さらに強まる見込みです。
いま整えておいて損がないのは、① 支援計画シートの作成と3か月ごとの見直しをルーティンにすること、② 記録の型を事業所で統一することの2つです。この2つは、様式や単位数が変わっても中身は無駄になりません。
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強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)を修了し、実際に記録と支援計画を回してきた職員は、実はかなり希少です。加算の算定要件に研修修了者の配置が入っているため、研修修了者を探している事業所は常にあります。- いま辞めるつもりがなくても、自分の経験がどの水準の条件で評価されるかは知っておいて損がない
- 見学時に「記録はいつ書いていますか」「ICTは何を使っていますか」と聞けば、書類負担の実態はすぐ分かる
- 条件を把握しておくと、今の事業所に体制改善を提案するときの材料にもなる
まとめ:その1行が、利用者と事業所を守る「最強の盾」になる
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
強度行動障害児支援加算における「支援計画シート」と「記録用紙」の書き方について、現場のリアルな悩みに寄り添って解説してきました。
正直、毎日の記録は面倒かもしれません。現場が忙しいのも痛いほど分かります。
しかし、あなたが書くその記録は、単なる行政への提出書類ではありません。
この記事の重要ポイント総復習
- ✔ 情報の鮮度:アセスメントは常に最新に。「いつの情報?」と突っ込まれないように。
- ✔ 3つの視点:「生物・心理・社会」で分析すれば、行動の理由が見えてくる。
- ✔ 構造化の徹底:手順は毎日コピペでOK。変わらないことが安心に繋がる。
- ✔ 事実を書く:「楽しそう」ではなく「笑顔が見られた」。主観を捨てて事実を残す。
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アセスメントの日付チェック
手元のファイルを見てください。日付が1年以上前なら、すぐに再評価(モニタリング)の予定を立てましょう。 -
「特変なし」禁止令を出す
明日のミーティングでスタッフに伝えてください。「平和だった日は、構造化がうまくいったと書こう」と。 -
テンプレートを共有する
この記事の例文を印刷して、スタッフルームに貼ってください。言葉が統一されるだけで、記録の質は劇的に上がります。
「記録のための支援」ではなく、「より良い支援のための記録」へ。
あなたのペンの力で、現場は必ず変わります。応援しています!
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