【2026年9月28日の福祉ニュース】就労系サービスの報酬改定論点15項目など5件
今日(9月28日・月曜)の午前、厚生労働省の障害福祉報酬改定検討チームが第64回を開き、就労系サービスの論点を出しました。先週の訪問系に続くサービス別の回で、就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援・就労選択支援の5つを一度に扱っています。同じ時間帯に、こども家庭庁でも特別養子縁組の支援を話し合う専門委員会が第5回を開きました。
そこで今日は、この2つの会議に、埼玉県が公表した介護施設2か所の行政処分、10月15日まで申込が延びた研修、障害のあるランナーを支える団体への寄贈の話を加えて5件をまとめました。就労系の資料は125ページありますが、行き着く先は「生産活動シート」という1枚の書類と、それを事業所のホームページに載せるかどうかです。
今日の5件を、30秒で
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①就労系サービスの報酬改定 | 論点は横断9+サービス別6の計15。B型にも「生産活動の収支≧工賃総額」を指定基準に入れ、生産活動シートをホームページで公表する案 | 検討中(変わり得る) |
| ②特別養子縁組の支援 | 第5回で論点イメージの修正案。「成立前」「成立後」「出自を知る権利」「支援機関」の柱で整理し直した | 検討中(変わり得る) |
| ③埼玉県の行政処分 | 特養と老健の2か所に介護報酬3割減額・3か月。老健は入所者17人への虐待と管理者等の黙認が理由 | 処分済み(10月1日から効力) |
| ④独立型社会福祉士研修 | 申込期限を9月24日から10月15日(木)まで延長。定員45名、受講費は計15,850円 | 10月15日締切 |
| ⑤障害者ランナー支援団体への寄贈 | 尿ケア用具「タイムシフト」を認定NPO法人へ寄贈。寄贈式は10月4日(日)11:30、宝塚市総合福祉センター | 10月4日寄贈式 |
決まっているのは③の処分と、④⑤の日程です。①②は審議の途中で、①の資料には「本日の議論等も踏まえ、さらに論点を追加する予定」と書かれています。
検討中①就労系サービスの報酬改定、論点は15。B型にも「生産活動の収支が工賃総額以上」を求める案
何が出たのか
厚生労働省の障害福祉報酬改定検討チームは9月28日、第64回で「令和9年度障害福祉報酬改定に向けて(就労系サービス)」を議題にしました。資料「就労系サービスに係る報酬・基準について」は、就労系サービス全体に関わる横断的な論点9つと、サービス別の論点6つ(A型1、B型1、就労定着支援1、就労選択支援3)で組まれています。24日の第63回(訪問系)の続きで、訪問系の8論点は9月24日の記事でまとめています。
| サービス | 事業所数 | 利用者数 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 20,401 | 432,419人 |
| 就労継続支援A型 | 4,330 | 87,251人 |
| 就労移行支援 | 2,724 | 38,588人 |
| 就労定着支援 | 1,859 | 20,709人 |
| 就労選択支援(令和7年10月〜) | 452 | 1,033人 |
論点のうち、事業所の書類と数字に直接かかわるものを抜き出すと次のとおりです。いずれも資料の「検討の方向性」欄に「〜してはどうか」の形で書かれている提案です。
| 論点 | 提案の中身 |
|---|---|
| 横断 論点1 就労移行支援体制加算(就労継続支援) | 就労定着者の「数」ではなく「定員などに対する割合」で評価。同じ就職先への計上は上限(例:5人まで)、運営法人・関係法人への就職は0.5人分 |
| 横断 論点2 移行・定着の支援 | 一般就労後の一定期間(6か月を想定)は、送り出した事業所が支援の回数・内容に応じて報酬を算定できる仕組みに |
| 横断 論点7 会計区分(B型) | 「生産活動の収支が利用者に支払う工賃の総額以上となること」を指定基準に。法人の資金や寄付から払った分は平均工賃月額の計算から除く |
| 横断 論点8 情報公表 | A型・B型は生産活動シートとスコア表の公表を義務に(A型のスコア表は義務付け済み)。第三者評価は努力義務に |
| 横断 論点9 就労選択支援の対象 | 予定どおり令和9年4月以降、新たにA型を使う人も就労選択支援で課題を把握した人を対象に |
| A型 論点1 スコア方式 | 「支援の質」の得点配分を高める。赤字の事業所の割合は令和5年度37.4%→令和6年度19.3% |
| B型 論点1 スコア方式の導入 | 平均工賃月額だけでなく、支援時間・障害の程度・地域連携・第三者評価など8項目で評価。年間開所日数は269日を上限に |
| 就労定着支援 論点1 | 離職後に再就職した人を定着者として数えられる期間を「1か月以内」から「3か月以内」に |
| 就労選択支援 論点2 | 特定事業所集中減算の水準を引き下げ(例:現行8割→3割)、関連法人まで広げる |
現場にどう効いてくるか
個人的にいちばん重いと感じたのは、B型の「生産活動の収支が工賃総額以上」です。A型にはすでにある考え方ですが、B型に指定基準として入ると、生産活動の赤字を報酬で埋めて工賃を払う形は認められなくなります。あわせて「生産活動シート」を作り、指定権者に出し、ホームページにも載せる案なので、帳簿の上で生産活動会計をきちんと分けていない事業所は、今のうちに1年分の収支を並べてみておくとよさそうです。
もう一つは、就労定着支援の「1か月→3か月」です。短い離職と再就職は珍しくないので、ここは働く側の感覚に近い見直しだと思います。一方、A型では令和9年4月から就労選択支援を経た人が新しい利用者の前提になります。9月17日の障害者部会に出た雇用と福祉の役割分担の中間とりまとめと並べて読むと、「一般就労が見込める人は雇用へ、そうでない人は福祉で」という線引きを、報酬の側から支える論点が並んでいることが分かります。
検討中②特別養子縁組の支援、第5回で論点を「成立前・成立後・出自を知る権利・支援機関」に組み直し
何が出たのか
こども家庭庁のこども家庭審議会 社会的養育・家庭支援部会のもとに置かれた「特別養子縁組に関する支援の在り方に関する専門委員会」は、9月28日10時から第5回を開きました。議題は「これまでの議論を踏まえた論点イメージの修正案」と「総論的課題」です。第1回は令和7年11月26日で、今年は3月4日、3月27日、7月6日に続く5回目になります。
資料1(こども家庭庁支援局家庭福祉課)は、論点を「総論的課題」「成立前の支援」「成立後の支援」「出自を知る権利の保障」「支援機関及び関係機関」に分けて並べ直しています。委員の意見として、民間あっせん機関では申立てまで平均2か月程度かかり、その間は育児休業が使えないこと、養親希望者の手数料を1世帯60万円補助する事業を実施している自治体が少ないことなどが載っています。各項目には「アンケート調査及びヒアリング結果を踏まえて更に検討」と付いています。
現場にどう効いてくるか
福祉の現場と重なるのは、成立後の支援の部分だと感じました。資料には、養子縁組が成立すると里親としての登録を続けない家庭もあり、児童相談所や里親支援センターの役割がはっきりしていない、という指摘があります。保育園や学校、自治体の窓口で養親子が苦労した経験が多いという声も載っていて、子どもに関わる機関が共通して持つべき視点が総論の論点に入りました。障害のある子の縁組では、費用や支援が養育里親と比べて整合していないという委員の発言もあります。まとめの時期はまだ示されていないので、次回以降の資料を追いかけます。
処分済み③埼玉県、特養と老健の2か所に介護報酬3割減額・3か月の処分。老健は入所者17人への虐待
何が出たのか
埼玉県は9月28日、介護保険法に基づき、県内の介護保険施設2か所の運営事業者に行政処分を行ったと公表しました。処分日はいずれも令和8年9月24日、効力停止期間は令和8年10月1日から12月31日までです。
| 項目 | 介護老人福祉施設 | 介護老人保健施設 |
|---|---|---|
| 事業所 | 特別養護老人ホームおきな(行田市) | 公設宮代福祉医療センター介護老人保健施設六花(宮代町) |
| 運営法人 | 社会福祉法人枚方療育園 | 公益社団法人地域医療振興協会 |
| 処分内容 | 指定の一部効力停止(介護報酬3割減額)3月 | 許可の一部効力停止(介護報酬3割減額)3月 |
| 根拠法令 | 介護保険法第92条第1項第4号 | 介護保険法第104条第1項第3号 |
| 処分理由(県の記載) | 令和7年9月に介護職員が入所者に虐待を行った。介護職員が適切な手続きを経ずに身体拘束を行った | 令和6年から令和7年8月にかけて介護職員及び看護職員が入所者17人に虐待を行った。管理者等が黙認していた |
現場にどう効いてくるか
2件の処分理由には、制度上ここで止まるはずだった、という点がそれぞれ書かれています。1件目は「適切な手続きを経ずに」行った身体拘束です。身体拘束は、やむを得ない場合でも手続きと記録が前提になっています。2件目は「管理者等が黙認していた」で、期間は令和6年から令和7年8月まで、対象は17人に及んでいます。
介護でも障害福祉でも、虐待防止委員会と研修、担当者の配置はすでに義務になっています。自分の事業所で点検できるのは、委員会の議事録に「気になる関わり」が実際に上がってきているか、職員が管理者を通さずに通報・相談できる先を知っているか、の2つだと思います。黙認が問題になった件では、管理者に上げても止まらないときの逃げ道があったかどうかが分かれ目になります。
10月15日締切④独立型社会福祉士研修、申込期限を10月15日(木)まで延長
何が出たのか
公益社団法人 日本社会福祉士会 生涯研修センターは9月28日、「2026年度独立型社会福祉士研修」の申込期間を、当初の9月24日(木)から10月15日(木)まで延長したと公表しました。研修の修了は、独立型社会福祉士名簿登録の要件(全7項目)の1つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 2026年度独立型社会福祉士研修 |
| 主催 | 公益社団法人 日本社会福祉士会 生涯研修センター |
| 日時 | 事前課題・e-ラーニング:10月1日(木)〜10月31日(土)/オンラインスクーリング:12月6日(日)11:50〜17:30 |
| 形式 | オンライン(事前課題:e-ラーニング、スクーリング:Zoomミーティング) |
| 対象 | 都道府県社会福祉士会の正会員で、社会福祉士取得後のソーシャルワーク実践経験が5年以上あり、独立する意思のある者または独立した活動をしている者(すべてのプログラムを受講できること) |
| 定員・費用 | 45名/e-ラーニング視聴料3,850円+スクーリング受講料12,000円 |
| 申込期限 | 10月15日(木)まで(延長後) |
| 申込先 | 日本社会福祉士会 生涯研修センターの研修ページ(開催要項に申込フォームのURLあり) |
現場にどう効いてくるか
対象は、実務5年以上で独立を考えている社会福祉士に絞られています。個人で事務所を開いて活動したい人向けで、事業所として職員を送り出す研修ではありません。開催要項には、9月28日以降の申込では事前課題の取組期間が短くなることがある、10月14日(水)までのキャンセルは1,000円、15日以降は受講費の100%、と書かれています。受講の可否は10月上旬までにメールで届くので、迷っている人は早めに出したほうが事前課題の時間を確保できます。
10月4日寄贈式⑤障害のあるランナーの伴走を支えるNPOへ、尿ケア用具を寄贈。10月4日に宝塚市で寄贈式
何が出たのか
東京科学大学発のベンチャー、イントロン・スペース株式会社は9月28日、認定NPO法人ぽっかぽかランナーズに、男性用の尿ケア製品「タイムシフト(TIMESHIFT)」5日モデル(1個1,980円)と専用アンダーウェアを寄贈すると発表しました。寄贈式は10月4日(日)11:30から、宝塚市総合福祉センター1階の機能訓練室で開かれます。ぽっかぽかランナーズは、障害のあるランナーと伴走ランナーをマッチングしてマラソン大会への参加を支え、身体障害のある人に足こぎ車いすを貸し出している団体で、11月22日には「第8回ぽっかぽか共生マラソン大会」を予定しています。
現場にどう効いてくるか
外出やイベント参加のハードルとして、排泄の不安は支援の場でもよく話に出ます。今回は企業が製品を、NPOが参加の場を持ち寄った形です。地域の行事やレクリエーションで同じ悩みがあるなら、福祉用具のメーカーや地元企業に「試してもらう場」として声をかけてみる、という組み方は真似しやすいと思います。
今日のまとめ
就労系の論点も、埼玉県の処分も、書類と記録で外から確かめられる形にする方向を向いています。B型の生産活動シートの公表、就労選択支援での「本人が最終的に何を希望したか」の記録、処分理由に書かれた「手続きを経ない身体拘束」と「黙認」。どれも、事業所の中で起きていることを、指定権者や利用者があとから確かめられるかどうかの話です。
次に見ておきたい日程です。
- 2026年10月1日(木)……埼玉県の2施設の介護報酬3割減額が始まる(12月31日まで。ここは決まっています)/独立型社会福祉士研修の事前課題が始まる
- 2026年10月4日(日)11:30……タイムシフト寄贈式・足こぎ車いす体験会(宝塚市総合福祉センター)
- 2026年10月15日(木)……独立型社会福祉士研修の申込締切(延長後。ここは決まっています)
- 2026年11月22日……第8回ぽっかぽか共生マラソン大会
- 2026年12月6日(日)……独立型社会福祉士研修 オンラインスクーリング
- 2027年4月……A型を新しく使う人に就労選択支援を前提とする取扱い(令和9年4月以降。「予定どおり」として検討チームに提案)
今週の審議会の並びは9月27日の記事(来週の日程)にまとめています。
参考にした一次情報
- 第64回障害福祉報酬改定検討チーム 資料|厚生労働省(令和8年9月28日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76389.html
- 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について」|厚生労働省(令和8年9月28日):https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001752771.pdf
- 第64回 議事次第|厚生労働省(令和8年9月28日):https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001752770.pdf
- 特別養子縁組に関する支援の在り方に関する専門委員会(第5回)|こども家庭庁(令和8年9月28日):https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/shakai_katei/tokubetsu-yoshi/b96b26c4
- 特別養子縁組に関する支援の在り方に関する専門委員会(開催状況)|こども家庭庁:https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/shakai_katei/tokubetsu-yoshi
- 介護保険法に基づく介護保険事業者に対する行政処分について|埼玉県(令和8年9月28日):https://www.pref.saitama.lg.jp/a0603/news/page/news2026092801.html
- 同 報道発表資料(PDF)|埼玉県 福祉部 高齢者福祉課:https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/287956/news2026092801.pdf
- 2026年度独立型社会福祉士研修 お申込み期間を延長しました|日本社会福祉士会 生涯研修センター(2026年9月28日):https://www.jacsw.or.jp/ShogaiCenter/info/2026-0928-1711-17.html
- 2026年度独立型社会福祉士研修 開催要項|日本社会福祉士会 生涯研修センター:https://www.jacsw.or.jp/ShogaiCenter/kenshu/senmon/documents/20260928_dokuritsu_kensyu.pdf
- 認定NPO法人ぽっかぽかランナーズへ10月4日「タイムシフト」寄贈式を開催|イントロン・スペース株式会社(2026年9月28日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000136382.html
①の就労系サービスの論点と②の特別養子縁組の論点は、審議の途中で示された提案・論点整理です。資料にも「本日の議論等も踏まえ、さらに論点を追加する予定」「アンケート調査及びヒアリング結果を踏まえて更に検討」と明記されていて、今後の議論で変わり得ます。④の研修の条件は主催者のページで最新の記載をご確認ください。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。



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