【2026年10月9日の福祉ニュース】定期巡回の報酬に新評価案、夜間対応型の統合に向けてなど5件
きょう10月9日、厚生労働省で第269回の介護給付費分科会が開かれ、令和9年度の介護報酬改定に向けて、サービスごとの「対応案」が初めて出ました。昨日の時点では議題の名前しか分かっていなかった定期巡回・夜間対応型訪問介護・小規模多機能・看護小規模多機能・認知症グループホームの5サービスについて、何を評価し、何を見直すのかが資料に書かれています。
同じ日に政府は「令和8年版 過労死等防止対策白書」を閣議決定し、茨城県取手市はBCP(業務継続計画)の未策定減算をかけずに請求していた通所介護事業所への処分を公表しました。長野県からは、地域の見守りやボランティアで高齢者を支えてきた人たちへの知事表彰の知らせです。行き着く先は、少ない人手で夜も日中も支える仕組みを、報酬と職場づくりの両方でどう組み直すか、です。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①定期巡回・夜間対応型訪問介護 | 夜間対応型の統合(猶予は令和11年3月まで)に向け、24時間の通報・相談対応と日中の支援を行う事業所に新たな報酬上の評価を設ける案 | 検討中 (変わり得る) |
| ②小多機・看多機・グループホーム | 身寄りのない独居高齢者を地域資源とつなぐ体制の評価、要介護1・2と3以上の単位数のバランス見直し、グループホームの「地域の拠点」機能の評価などの案 | 検討中 (変わり得る) |
| ③過労死等防止対策白書 | 令和7年度の精神障害の労災請求は「社会保険・社会福祉・介護事業」が706件、支給決定も151件で、どちらも業種別(中分類)で最多 | 公表済み |
| ④取手市の行政処分 | BCP未策定減算をかけずに請求した地域密着型通所介護に、指定の一部効力停止6か月(新規受入停止・報酬上限7割) | 処分決定 |
| ⑤長野県の社会福祉表彰 | 高齢者福祉に功績のあった2名と1団体に知事表彰。表彰式は10月17日(土) | 公表済み |
決まったことは③④⑤です。①②は分科会に出た「対応案」の段階で、ここから議論されて変わり得ます。
①検討中夜間対応型の統合は令和11年3月まで。定期巡回に「24時間の通報・相談対応+日中の支援」を評価する案
何が出たのか
厚生労働省老健局は10月9日の第269回介護給付費分科会に、資料1「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護(改定の方向性)」を出しました。夜間対応型訪問介護は廃止して定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合することが決まっていて、資料は令和11年3月までを猶予期間としています。論点は3つです。
| 論点 | 対応案(資料の書き方を短くしたもの) |
|---|---|
| ①必要な介護サービスを提供できる体制 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(Ⅲ)で、必要に応じて24時間の通報・相談対応機能を確保し、日中の支援を行う事業所の取組に新たな報酬上の評価を設けてはどうか。日中の随時訪問に応じる訪問介護事業所へのインセンティブは、訪問介護の回で議論予定 |
| ②職員配置と利用者確保 | 新規開設時に利用者の確保が難しいなど、やむを得ない場合に訪問介護員等の配置基準の見直しを検討してはどうか。区域外でのサービス提供の評価は別の回で議論予定 |
| ③住まいの形態に合わせた報酬 | 同一建物減算を含め、高齢者住まいへのサービス提供の在り方を扱う回で議論予定 |
出典:第269回社会保障審議会介護給付費分科会(令和8年10月9日)資料1
資料には、老人保健健康増進等事業の調査(株式会社NTTデータ経営研究所、速報値)の数字も載っています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 定期巡回事業所の統合後の見通し(n=125) | 統合する予定がないため影響はない 60.0%、課題はあるが経営を継続できる見込み 17.6%、問題なく継続できる見込み 12.0% |
| 「継続は厳しい」「廃止の可能性がある・廃止予定」の割合 | 一般市町村 12.8%、中山間地域等 12.0%、都市部 6.6% |
| 統合時の報酬上の経過措置(激変緩和措置等)の必要性(n=22) | 非常に必要 50.0%、やや必要 22.7% |
| 定期巡回の新規開設を阻害する要因(n=97、令和7年度調査) | 必要な利用者数や職員数の見通しが立てづらい 80.4%(最多) |
出典:第269回介護給付費分科会 資料1。統合関連は令和8年度、開設阻害要因は令和7年度の老人保健健康増進等事業(いずれも株式会社NTTデータ経営研究所)
現場にどう効いてくるか
昨日の記事では、この回の議題が5サービスだと分かった段階まででした。きょうの資料で、統合の受け皿になる定期巡回に「夜だけでなく日中も支える事業所を評価する」という方向が出ました。夜間対応型を使っている人の日中の支えは、主に訪問介護が担っていると資料にも書かれていて、訪問介護の側にも話が及ぶ作りです。
個人的には、新規開設を阻む要因の1位が「利用者数や職員数の見通しが立てづらい」80.4%だった点が一番重いと感じました。配置基準の緩和案はそこへの答えですが、まだ「検討してはどうか」の段階です。夜間対応型を運営している事業所は、経過措置がどう書かれるかを次の回まで追っておいた方がよさそうです。
②検討中小多機・看多機・グループホームの対応案。看多機の外部入浴は1回平均11,376.7円を事業所が負担
何が出たのか
同じ第269回分科会で、厚生労働省は資料2〜4として小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の改定の方向性も示しました。主な対応案は次のとおりです。
| サービス | 対応案(資料の書き方を短くしたもの) |
|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護(資料2) | 身寄りのない独居高齢者などを支えるため、生活支援・権利擁護・民間サービスなど地域の多様な主体と連携体制をつくることへの評価を検討(看多機も同様)。要介護1・2の軽度者と要介護3以上の中重度者の単位数のバランスなど、基本サービス費の在り方を検討 |
| 看護小規模多機能型居宅介護(資料3) | 機械浴に対応していない事業所が外部の訪問入浴介護を使う場合、1回1万円以上(平均11,376.7円)を事業所が負担している実態がある。費用のすべてを事業所負担にせず、療養通所介護等の減算方法を参考に、利用者の状態像に応じて報酬を調整してはどうか |
| 認知症対応型共同生活介護(資料4) | ボランティア参加の支援、若年性認知症の人への就労支援、入居者の本人発信・社会参加の推進など、認知症の人が主体的に暮らし続けられるまちづくりにつながる事業所の取組を評価してはどうか |
出典:第269回社会保障審議会介護給付費分科会(令和8年10月9日)資料2・資料3・資料4
看多機の資料では、利用者の退所や死亡で利用者数が急に減った場合に、人員配置の基準になる「前年度の平均利用者数」をどう解釈するかも論点に挙がっています。こちらは横断的事項を扱う回で議論する予定とされています。
現場にどう効いてくるか
小多機の「身寄りのない独居高齢者を地域資源とつなぐ体制の評価」は、10月8日に書いた身寄りのない高齢者等の相談体制の話と同じ方向を向いています。死後事務や入院手続の受け皿を社会福祉法の側で作り、介護報酬の側では、そこへつなぐ事業所を評価する、という組み合わせに見えます。
看多機の入浴の件は、1回1万円を超える費用を事業所がかぶっていた、という具体的な数字が資料に出たこと自体が大きいと思います。ただ、対応案は「報酬を調整する(減算方法を参考に)」なので、事業所の負担が減るのか、利用者側の算定が変わるのかは、この先の書き方次第です。
③公表済み過労死等防止対策白書。精神障害の労災請求、社会福祉・介護事業が706件で業種別1位
何が出たのか
政府は10月9日、「令和8年版 過労死等防止対策白書」を閣議決定し、厚生労働省が公表しました。白書は今回で11回目です。第1章では、過労死等の労災請求件数が増えている要因を業種別に分析していて、精神障害の事案では「医療、福祉」の件数が最も多く、中分類では「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多いとしています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 社会保険・社会福祉・介護事業の労災請求件数 | 706件(うち女性521件)。業種別(中分類)で1位。2位は医療業の578件 |
| 社会保険・社会福祉・介護事業の労災支給決定件数 | 151件(うち女性117件)。業種別(中分類)で1位。2位は医療業の139件 |
| 「医療、福祉」の労災請求件数(自殺以外) | 1,254件。雇用者100万人当たり140.3件で、業種別で最も多い |
| 「医療、福祉」の労災支給決定件数(自殺以外) | 290件。雇用者100万人当たり32.4件で、業種別で最も多い |
出典:令和8年版 過労死等防止対策白書(令和8年10月9日公表)第1章。元データは厚生労働省「過労死等の労災補償状況」
白書の概要版では、「医療、福祉」の労災決定件数を出来事の類型別に見ると「対人関係」が最も多いとしています。全業種のまとめとしても、「対人関係」や「パワーハラスメント」など職場環境に関するものが近年多く、とくに「対人関係」は令和5年度以降大きく増えていると書かれています。
現場にどう効いてくるか
「福祉の職場はしんどい」という話を、国の白書が業種別の件数で裏づけた形です。しかも原因の最多は長時間労働ではなく「対人関係」でした。10月1日に施行されたカスハラ対策の義務化と合わせると、利用者や家族、職員同士の関係で傷ついた人を、どこが受け止めるのかを事業所として決めておく時期に来ていると感じます。
点検できることとしては、相談窓口が「管理者だけ」になっていないか、面談の記録が残っているか、ハラスメントの相談を受けたあと誰が何をするかが決まっているか、あたりから見ておくとよさそうです。
④処分決定取手市、BCP未策定減算をかけずに請求した通所介護に一部効力停止6か月。返還額は25,330円
何が出たのか
茨城県取手市は10月9日、株式会社ウェイブ・ジャパンが運営する「ミュージックデイ あした音 とりで」(地域密着型通所介護・第1号通所事業)に、介護保険法第78条の10と第115条の45の9に基づく行政処分を行ったと公表しました。
| 処分日 | 令和8年10月9日 |
|---|---|
| 処分の内容 | 指定の一部効力停止6か月(新規利用者の受入停止及び介護報酬支払額の制限(報酬上限7割)) |
| 期間 | 令和8年10月9日から令和9年4月8日 |
| 理由1:不正請求 | 指定開始時から令和8年7月まで業務継続計画を策定しないまま、業務継続計画未策定減算を適用せずに介護給付費を請求し、受領した |
| 理由2:不正な手段による指定 | 機能訓練指導員の配置が困難になり人員基準に違反していたが、市に報告せず運営を開始した |
| 返還額 | 25,330円(不正請求額18,093円+加算金7,237円。加算金は100分の40) |
出典:取手市「市指定事業者に対する行政処分について」(2026年10月9日更新)
現場にどう効いてくるか
返還額は2万5千円ほどでも、処分は6か月の新規受入停止と報酬7割です。金額の大小ではなく、「BCPを作っていないのに減算をかけなかった」ことが不正請求として扱われた、という点を読んでおきたい件です。業務継続計画未策定減算は、介護でも障害福祉でもすでに適用されています。
点検するなら、BCP(感染症と自然災害の両方)が策定済みか、策定日が記録で示せるか、指定申請時の人員配置と実際の配置が合っているか、変わったときに届け出ているか、の3点です。
⑤公表済み長野県、地域で高齢者を支えてきた2名・1団体に知事表彰。表彰式は10月17日
何が出たのか
長野県は10月9日、令和8年度社会福祉表彰(知事表彰)の表彰式を行うと発表しました。対象は、地域でのグループ活動やボランティア活動などで高齢者福祉の増進に顕著な功績があった2名と1団体です。
| 名称 | 令和8年度社会福祉表彰(知事表彰) |
|---|---|
| 受賞 | 2名及び1団体 |
| 日時 | 令和8年10月17日(土曜日)10時00分から |
| 場所 | 下諏訪総合文化センター(諏訪郡下諏訪町4611-40)。2026信州ねんりんピック「文化・芸術交流大会」の中で実施 |
出典:長野県「令和8年度社会福祉表彰(知事表彰)の表彰式を実施します」(令和8年10月9日)
現場にどう効いてくるか
表彰の理由は、制度のサービスではなく、地域のグループ活動やボランティアです。②で見たように、国も小多機やグループホームに「地域の多様な主体とつながること」を求め始めています。事業所の外で高齢者を見守っている人や団体がどこにいるかを知っておくことは、そのまま連携先の名簿づくりになります。地域ケア会議や運営推進会議に、こうした活動をしている人を呼べないかを考えるきっかけにもなります。
今日のまとめ
5件を並べると、「人手が足りない中で、誰に何を担ってもらうか」が共通していました。①②は報酬の上で、夜と日中の支え手や地域の資源とのつなぎ役を評価しようとしています。③は、その担い手の側が対人関係で傷ついている数字、④は、BCPのような「書類の義務」を後回しにしたときの代償です。⑤は、制度の外で支えてきた人たちがいることを示しています。①②は対応案の段階なので、次の分科会でどこまで残るかを見ていきます。
次に見ておきたい日程
- 2026年10月13日(火)……第23回成年後見制度利用促進専門家会議(ここは決まっています)
- 2026年10月17日(土)10:00……長野県社会福祉表彰の表彰式(ここは決まっています)
- 2026年11月7日(土)〜10日(火)……ねんりんピック彩の国さいたま2026(ここは決まっています)
- 2027年4月8日……取手市の処分による一部効力停止の終了日(ここは決まっています)
- 2029年3月(令和11年3月)まで……夜間対応型訪問介護の定期巡回への統合の猶予期間
参考にした一次情報
- 第269回社会保障審議会介護給付費分科会 資料|厚生労働省(令和8年10月9日)
- 資料1 定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護(PDF)|厚生労働省老健局(令和8年10月9日)
- 資料2 小規模多機能型居宅介護(PDF)|厚生労働省老健局(令和8年10月9日)
- 資料3 看護小規模多機能型居宅介護(PDF)|厚生労働省老健局(令和8年10月9日)
- 資料4 認知症対応型共同生活介護(PDF)|厚生労働省老健局(令和8年10月9日)
- 「令和8年版 過労死等防止対策白書」を公表します|厚生労働省(令和8年10月9日)
- 令和8年版 過労死等防止対策白書(本文・概要版)|厚生労働省(令和8年10月9日)
- 市指定事業者に対する行政処分について|取手市(令和8年10月9日)
- 令和8年度社会福祉表彰(知事表彰)の表彰式を実施します|長野県(令和8年10月9日)
①定期巡回・夜間対応型訪問介護と②小多機・看多機・グループホームの対応案は、分科会に「〜してはどうか」の形で示された検討段階のもので、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


