※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

ご家族向け
PR

子どもの偏食はいつ治る?3タイプの見分け方と、小さじ1杯から始める対応法

子どもの偏食 3タイプの見分け方
ユイン
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
スポンサーリンク

「白いごはんと唐揚げしか食べません」「野菜は一切、口に入れません」——保育士として、そして放課後等デイサービスのサービス管理責任者として、この相談は毎月受けます。4人の子どもを育てている自分の家でも、同じことで悩んできました。

最初に、いちばん多い誤解を壊しておきます。「大きくなれば勝手に食べるようになる」は、データ上そうなっていません。厚生労働省の調査を見ると、ほかの食事の困りごとは年齢とともにはっきり減るのに、偏食だけが減らないのです。だから「待つ」だけの対応は、多くの家庭で外れます。

この記事では、偏食を3つのタイプに切り分けて、タイプごとに違う手を打つという方法をまとめました。医療機関が公開している段階的な進め方も使います。根性論も、「これさえ食べさせれば」の裏ワザもありません。そのかわり、今日の夕食から変えられることだけを書きます。

スポンサーリンク

結論|偏食は「待てば消える」タイプの困りごとではない

遊び食べは年齢とともに減るのに偏食だけ減らないことを示す年齢別の棒グラフ

厚生労働省の「平成27年度 乳幼児栄養調査」は、2〜6歳児の保護者に「現在子どもの食事について困っていること」を聞いています。年齢別に並べると、はっきりした差が出ます。

「子どもの食事で困っていること」年齢別(厚生労働省 平成27年度 乳幼児栄養調査)
困りごと 2〜3歳未満 3〜4歳未満 4〜5歳未満 5歳以上
偏食する 32.1% 30.6% 32.9% 28.5%
遊び食べをする 41.8% 27.4% 23.2% 14.4%
むら食い 33.4% 27.1% 25.5% 18.6%
食べるのに時間がかかる 23.3% 32.4% 37.3% 34.6%
特にない 13.0% 16.8% 16.4% 22.5%

回答者は2〜6歳児の保護者(複数回答)。同調査の図16より。

読み方はこうです。遊び食べは41.8%から14.4%へ、3分の1に減ります。むら食いも33.4%から18.6%へほぼ半減します。ところが偏食だけは、32.1%から28.5%にしか減っていません。

遊び食べやむら食いは「発達すれば収まる」種類の困りごとです。でも偏食はそうではない。年長さんになっても、3〜4人に1人の家庭が偏食で困り続けている。これがデータの示す現実です。

ついでにもうひとつ。5歳以上でも「困っていることは特にない」は22.5%しかありません。約8割の家庭が、何かしら食事で困っています。あなたの家だけではありません。

この記事の結論
  • 「待てば治る」は偏食には当てはまらない。意図的に手を打つ必要がある
  • 偏食は3タイプある。①感覚のタイプ ②食への関心が低いタイプ ③こわい体験があるタイプ。タイプが違えば、有効な手も違う
  • まず確認するのは「好き嫌いの数」ではなく「体重と成長」。ここが崩れていなければ、急がなくていい
  • 進め方は「小さじ1杯」から。においを嗅げただけでも一歩です

偏食は3タイプある|まず、わが子がどれかを見分ける

偏食の3タイプ(感覚のタイプ・関心が低いタイプ・こわい体験のタイプ)の比較

ここが、この記事でいちばん大事なところです。「偏食」とひとくくりにするから、対応がちぐはぐになります。

医療の世界には「回避・制限性食物摂取症(ARFID)」という診断名があります。獨協医科大学埼玉医療センター子どものこころ診療センターが公開している資料では、ARFIDの発症の仕方にいくつかのパターンがあることが整理されています。

生来小食で食事に関心がなく低体重となるタイプ。食べ物の味や食感、においなどの感覚に過敏があり偏食が強く栄養量が十分に取れないタイプ。さらには、食事に関係した出来事、例えば肉をのどに詰まらせたとか、たくさん食べた後に気持ち悪くなり大量に嘔吐した(窒息、嘔吐など)ことにより、食事や飲み込むことが恐くなるタイプなどが知られています。

獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター「回避・制限性食物摂取症(ARFID)とは」

これは診断がつく子だけの話ではありません。診断の域に入らない、いわゆる「ふつうの偏食」の子も、この3つのどれかに寄っていることがほとんどです。現場で何十人と見てきて、この枠で整理すると打つ手が決まる、という実感があります。

タイプ1|感覚のタイプ(いちばん多い)

味・食感・におい・見た目・温度のどれかに強く反応するタイプです。

感覚タイプのサイン
  • 食べ物が混ざるのを嫌がる(丼もの、カレー、炒め物がダメ。単品なら食べる)
  • 同じ食材でも調理法で結果が変わる(生のトマトはダメだがケチャップはOK、など)
  • 食感の表現が具体的(「ぶよぶよする」「すじがある」「口に残る」)
  • 色や見た目で判断して、口に入れる前に拒否する
  • 食事以外にも感覚の偏りがある(服のタグ、靴下の縫い目、大きな音、手が汚れるのを嫌がる)

最後の項目に心当たりがあるなら、食事だけの問題ではない可能性があります。

このタイプに「一口だけ食べてみなさい」は逆効果です。本人にとっては「食べたくない」ではなく「感覚として無理」だからです。大人でいえば、苦手な虫を手に乗せろと言われているのに近い。がんばりの問題にしてはいけません。

有効なのは食材を変えずに「形」を変えることです。刻む、すりおろす、裏ごしする、いつもより柔らかくする、逆にカリカリに焼く。同じ食材でも通る形が見つかることがよくあります。

タイプ2|食への関心が低いタイプ

そもそも食べることに興味が薄く、小食で、食事より遊びを優先する子です。「嫌い」なのではなく「どうでもいい」に近い。

関心が低いタイプのサイン
  • 空腹を訴えることがほとんどない
  • 好きなものでも量が少なく、途中で席を立つ
  • 体重の増えがゆるやか、または横ばい
  • おやつや飲み物なら口にする

このタイプでいちばん効くのは、実は調理の工夫ではなく生活リズムの調整です。前述のARFID資料が引用している国際的な摂食症の学会(AED)の方針にも、「食事のときに食欲がなくならないように、おやつなどは自由に食べすぎず、規則的な食事を心がけます」という項目が入っています。

食べないから心配で、おやつやジュースで埋める。すると食事の時間に空腹がない。だからまた食べない——この循環に入っている家庭が、本当に多いです。心当たりがあるなら、まず飲み物を水やお茶に変えるところから。それだけで食事量が変わる子がいます。

タイプ3|こわい体験があるタイプ

のどに詰まらせた、食べたあと激しく吐いた、食中毒になった。そうした一度の強い体験のあとから、食べること自体が怖くなるタイプです。

見分け方ははっきりしていて、「ある時期を境に、急に食べる物が減った」という経過をたどります。それまで食べていたものまで食べなくなるのが特徴です。じわじわ偏っていくタイプ1・2とは、経過がまったく違います。

このタイプは家庭の工夫だけで押し切らないでください。恐怖が背景にあるので、無理に食べさせると悪化します。前述の資料でも、急性・亜急性に発症した場合は低血糖や脱水を生じて緊急入院が必要になることがあると注意喚起されています。心当たりがあれば、早めに小児科に相談してください。

対応の前に|「急ぐべき偏食」かどうかを先に判定する

タイプが見えたら、次は急ぐかどうかの判定です。ここを飛ばして工夫に走ると、必要な受診が遅れたり、逆に必要のない焦りで親子とも消耗したりします。

判断の基準は、食べられる品目の数ではありません。前出のARFID資料は、関わり方の基本方針をこう書いています。

もっとも大切なことは、体重が減少せず、子どもであれば成長に必要な栄養量が十分摂取できることです。

獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター「回避・制限性食物摂取症(ARFID)とは」

つまり基準は体重と成長です。「野菜を食べない」ことそのものではありません。

受診を考える目安
状態 どうするか
体重が減っている/成長曲線から外れてきた 小児科へ。急ぐ
ある時期を境に急に食べる物が減った(タイプ3) 小児科へ。急ぐ
食べられる物が10種類を大きく下回り、増える気配がない 健診や小児科で一度相談
給食が食べられず、登園・登校をしぶっている 園・学校と相談。必要なら受診
品目は少ないが、体重も身長も曲線に沿って伸びている 急がなくていい。この記事の方法を気長に

母子健康手帳の成長曲線に点を打つだけで判定できます。月1回、体重計に乗せて記録するのがいちばん確実な「見張り番」です。

現場で相談を受けたとき、私がまず聞くのもここです。「成長曲線、どうなっていますか」。曲線に沿って伸びているなら、それは「栄養は足りている偏食」です。心配の総量を、いったん下げていい。

家庭でできる段階的アプローチ|「小さじ1杯」から始める

偏食対応の5つのステップと、小さじ1杯・週1〜3種類・においを嗅げたら褒めるというルール

ここからが実践編です。医療機関が公開している「ARFIDのためのステップ表」の考え方が、そのまま家庭でも使えます。診断のない子の偏食にも応用できる、いちばん再現性の高い方法です。

手順①|食べ物を5段階に仕分ける

紙に書き出します。頭の中だけでやらないでください。書き出すと「意外と食べている」ことに気づけて、それだけで親の気持ちが軽くなります。

5つのステップに仕分ける
  • ステップ1:いま不安なく食べられるもの
  • ステップ2:はじめにチャレンジできそうなもの
  • ステップ3:ステップ2のあとに試したいもの
  • ステップ4:少し心配だが、ステップ3のあとに試したいもの
  • ステップ5:今回は目標にしないもの

ステップ5を先に決めるのがコツです。「これは今は諦める」と決めておくと、親のほうが折れずに続きます。

仕分けは子ども本人と一緒にやってください。自分で「これなら」と選んだものは通りやすい。シールを貼ったり絵を描いたりして、表そのものを楽しいものにするとさらに続きます。

手順②|挑戦は「小さじ1杯」「週1〜3種類まで」

同じ資料に、挑戦のときのポイントが具体的に書かれています。これが、この記事でいちばん持ち帰ってほしい部分です。

挑戦のときの5つのルール
  • 新しい食べ物は小さじ1杯程度の少量から
  • スプーンを持てた、においを嗅げた、口に入れられた——小さなアクションでも十分に褒める
  • 問題なく食べられたと親子で納得したら、その食べ物はクリア
  • 次のステップは、いまのステップをほぼクリアしてから
  • 挑戦は焦らず、週に1〜3種類程度まで

同じ食べ物でも、刻む・いつもより柔らかくする・裏ごしするなどの工夫が有効、とも書かれています。

注目してほしいのは「においを嗅げただけでも褒める」という一行です。ゴールを「飲み込む」に置かない。皿に乗っていても怒らなかった、指で触れた、スプーンですくった。全部、進歩です。

保護者の方に「うちの子、全然進まなくて」と言われたとき、よく聞くと「一口食べたか、食べなかったか」の2択でしか見ていないことがほとんどです。2択にすると、ほぼ毎日が失敗になります。段階を5つに割れば、毎日どこかで成功が拾えます。続けられるかどうかは、ここで決まります。

手順③|1回でやめない。10回出しても平気だと思っておく

新しい食べ物を「1回出して食べなかったから、うちの子はこれがダメ」と結論づけないでください。拒否されることを前提に、同じものを、期間をあけて何度も食卓に並べます。食べなくても構いません。

大事なのは食べさせることではなく、「見慣れた食べ物」の数を増やすことです。初めて見る食べ物を警戒するのは、子どもとして自然な反応です。その警戒は、繰り返し出会うことで下がっていきます。

偏食対応でいちばん消耗するのは、実は「作る側」です

この方法の弱点を正直に書きます。「食べないものを、何度も作って出す」のは、作る人の気力を削ります。現場で相談を受けていても、家庭で続かなくなる理由の大半は、子どもではなく親のほうが先に折れることです。ここを根性でカバーしようとすると、だいたい失敗します。

全部やる必要はありません。「食べなくても、作るのがしんどくない状態」を1つだけ作れれば、この方法は続きます。

逆効果になりやすい5つの対応

強制・隠して混ぜる・交換条件・比較・完食強要という逆効果になりやすい5つの対応

良かれと思ってやっていることが、偏食を固定させてしまうことがあります。現場でも家庭でも、よく見かける5つです。

やめたほうがいい5つ
やりがちな対応 なぜ逆効果か
「一口だけ食べなさい」と強制する 感覚タイプには生理的に無理な要求。食卓そのものが嫌な場所になる
嫌いな食材を刻んで隠して混ぜる バレたときに「親は自分をだます」という学習が残り、全体の警戒が上がる
「食べたらデザート」と交換条件にする 「その食べ物は我慢して食べる価値のないもの」というメッセージになる
きょうだいや友達と比べる 食べないことが自己否定と結びつく。いちばん回復に時間がかかるパターン
食べ終わるまで席を立たせない 時間が延びるほど食欲は落ちる。「食事=拘束」の記憶になる

2つ目の「隠して混ぜる」は誤解されやすいのですが、本人が納得している形状の工夫(刻む・裏ごしする)は問題ありません。ダメなのは「隠して、だます」ことです。

この5つをやめるだけで食べるようになる、という話ではありません。でも「これ以上こじらせない」効果は確実にあります。偏食対応は、進めることと同じくらい、悪化させないことが大事です。

発達が気になる子の偏食は「わがまま」ではなく感覚の問題として見る

放課後等デイサービスに通ってくる子どもたちを見ていて、はっきり言えることがあります。発達に特性のある子の偏食は、タイプ1(感覚)に寄っていることが圧倒的に多いです。

そして、その子たちの偏食は食事だけで完結していません。服のタグを切らないと着られない、砂遊びで手が汚れると固まる、雨の日に長靴を履くのを嫌がる、教室のざわざわで耳をふさぐ。食べ物の好き嫌いは、その一部として出てきていることが多いのです。

食事以外でも見られる感覚の偏り(チェック)
  • 服のタグ、靴下の縫い目、セーターの素材を嫌がる
  • 手や顔が汚れるのを極端に嫌がる/逆にまったく気にしない
  • 大きな音、特定の音(トイレの乾燥機、掃除機、運動会のピストル)を怖がる
  • においに敏感で、特定の場所に入れない
  • 歯みがきを強く嫌がる(口の中の感覚)

3つ以上あてはまるなら、偏食だけを切り離して対応しても伸び悩みます。

こうしたサインが重なる場合、「食べさせる」方向の努力よりも、感覚全体の環境を整えるほうが結果的に早いことがあります。歯みがきが平気になったら食べられるものが増えた、という子も実際にいます。口の中の感覚が同じ土俵にあるからです。

発達の特性そのものが気になり始めている段階なら、まず相談先を整理するところからです。年齢別のチェックリストと窓口は子供の発達障害を早期発見するには?年齢別チェックリストと相談先完全ガイドにまとめました。1歳半健診で「様子を見ましょう」と言われた段階の方は1歳半健診で「様子を見ましょう」と言われたら|次の3か月でやることのほうが近いはずです。

スポンサーリンク

園・学校の給食とどう付き合うか

家庭で工夫していても、給食が壁になるという相談は非常に多いです。ここは制度の側にも書かれていることがあるので、知っておくと交渉がしやすくなります。

文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」(平成31年3月)は、給食の時間の指導について次のように述べています。

食物アレルギー、肥満、やせなど児童生徒の健康状態はさまざまであり、また、偏食傾向や食事マナーの状況、食べる速度や噛む力などについても個別に指導する必要があります。

文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」第5章

さらに、栄養教諭の役割としてこうも書かれています。

給食の時間の指導において一人一人の児童生徒の特性を考慮し、その指導が画一的にならないよう配慮する必要があります。

同上

つまり「全員同じ量を完食させる」ことは、国の手引が求めている指導ではありません。偏食は「個別に指導する必要がある」ものとして、食物アレルギーや肥満と並べて書かれています。また同じ手引には、食事の量や食べる速度、嗜好等について個別に把握し、必要があれば「少しずつ根気よく」対応する、という表現もあります。

園・学校に相談するときの伝え方
  • 「わがままではなく感覚の問題です」と最初に言う——これを言わないと「家庭のしつけ」の話にされることがあります
  • 食べられるものと食べられないものを紙で渡す——口頭だと担任が変わると消えます
  • 「減らしてから盛ってほしい」と量で交渉する——残す前提より、最初から減らすほうが本人の負担が小さい
  • ゴールを共有する——「完食」ではなく「給食の時間を嫌いにならないこと」を目標に置いてもらう
  • 担任だけでなく栄養教諭・養護教諭にも話を通す。手引でも連携が前提になっています

給食がつらくて登園・登校をしぶり始めているなら、それは偏食の問題を超えています。食べる量より、行けるかどうかを優先してください。順番を間違えないことです。

栄養が心配なときの、現実的な逃げ道

「バランスよく食べさせなければ」という圧力がいちばん強いのが、この部分だと思います。ここも、医療側の方針を知っておくと楽になります。前出のARFID資料は、栄養量が極端に減ってしまった場合の対応をこう書いています。

牛乳、バナナシェイク、(飲む)ヨーグルト、プリン、ゼリー、アイスクリーム、白米、おかゆ、うどん、玉子焼き、フライドポテトなど、栄養量が多くて、お子さんがとりやすいもので栄養量を確保しましょう。

獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター「回避・制限性食物摂取症(ARFID)とは」

アイスクリーム、フライドポテト、プリン。「体に悪いもの」の代表みたいな顔ぶれが、医療機関の資料に堂々と並んでいます。優先順位が明確だからです。バランスより先に、まず量を確保する。

同じ資料には、食事で栄養をとることが難しい場合は市販の栄養補助食品や、医師が処方する栄養剤を使うのも良い方法だと書かれています。栄養量が確保できてから、食べられる種類に気を配る——この順番です。

順番を間違えないための3段階
  • 第1段階:量の確保。食べられるもので、体重が落ちない状態を作る。内容は問わない
  • 第2段階:種類を増やす。ステップ表で、小さじ1杯ずつ
  • 第3段階:バランスを整える。ここは最後でいい

多くの家庭が第3段階から始めようとして、うまくいかずに消耗しています。順番を入れ替えるだけで、だいぶ違います。

なお、サプリメントや栄養補助食品を使うかどうかは、体重や成長の状況を見たうえで、かかりつけ医と決めてください。ネットの情報だけで判断する場所ではありません。

4人育てて、わが家がやめたこと・続けていること

最後に、うちの話を少しだけ。4人いると、同じ食卓で同じものを出しても反応がまったく違います。よく食べる子、極端に偏る子、日によって変わる子。同じ育て方をしているのに、です。この時点で「親の関わり方が原因」という説明は、私の中では説得力を失いました。

やめたこと / 続けていること
  • やめた:全員に同じ皿を出すこと。取り分け式にして、自分で量を決めさせる形に変えました。「自分で選んだ」が入ると、残す量が減りました
  • やめた:食卓で食べ物の話をすること。「食べた?」「一口だけ」を全部やめたら、食卓が静かで平和になりました
  • 続けている:食べなくても、同じものを出し続けること。反応がなくても構いません。並んでいる、を続けます
  • 続けている:月1回の体重記録。これがあるので、食べない日が続いても「まだ大丈夫」と自分に言えます

一番効いたのは、2つ目の「食卓で食べ物の話をしない」でした。親が黙ると、子どもが食べ物以外の話を始めます。学校のこと、ゲームのこと。そのうち、話しながら片手でなんとなく口に運んでいる。食事に集中させようとするほど食べないというのは、現場でも家でも感じるところです。

よくある質問

Q. 偏食は何歳くらいで落ち着きますか?

A. 年齢で自然に落ち着くとは言いにくい、というのが調査データの示すところです。厚生労働省の乳幼児栄養調査では、遊び食べが41.8%(2〜3歳未満)から14.4%(5歳以上)へ大きく減るのに対し、偏食は32.1%から28.5%までしか下がりません。「もう少し待てば」と考えるより、この記事の方法で少しずつ種類を増やしていくほうが現実的です。

Q. 野菜をまったく食べません。栄養は大丈夫でしょうか?

A. まず成長曲線を確認してください。曲線に沿って体重・身長が伸びているなら、当面の緊急性は高くありません。曲線から外れてきている、あるいは体重が減っているなら小児科へ。判断の基準は「食べている品目の数」ではなく「体重と成長」です。

Q. 刻んで混ぜて食べさせるのはダメですか?

A. 「形を変える」のは有効です。「隠してだます」のは避けたほうがいいです。ARFID資料でも、刻む・柔らかくする・裏ごしするといった工夫は有効とされています。線引きは本人が知っているかどうか。「にんじん、細かくしてあるよ」と伝えたうえで出すのは工夫、黙って混ぜて後からバレるのは信頼の問題になります。

Q. 発達障害だと偏食が出やすいのですか?

A. 感覚の過敏さがある場合、食べ物の味・食感・におい・見た目への反応も強く出やすくなります。ただし「偏食があるから発達障害」ではありません。定型発達の子にも感覚タイプの偏食は普通にあります。気になるのは、食事以外(服・音・におい・手の汚れなど)にも感覚の偏りが重なっている場合です。その場合は偏食だけを切り離さず、全体を相談してください。音や光、服の素材などにも過敏さがある場合は、子どもの感覚過敏への対応|6つの感覚別チェックと、学校に配慮を求めるときの伝え方で環境の整え方をまとめています。

Q. 保育園・幼稚園では食べるのに、家では食べません。なぜですか?

A. よくあります。理由はだいたい3つで、①周りの子が食べている、②家より空腹の状態で食卓に着いている、③家では「食べなくても代わりが出る」と学習している、です。①は家では再現できませんが、②と③は調整できます。おやつと食事の間隔を空ける、食べなかったときに別メニューを出さない。この2つだけでも変わることがあります。

Q. 頑張っているのに全然進みません。

A. ゴールの置き方を疑ってください。「食べた/食べない」の2択で見ていると、ほぼ毎日が失敗になります。ARFID資料にあるとおり、スプーンを持てた、においを嗅げた、口に入れられた——ここまで全部を「進んだ」として数えてください。そして挑戦は週1〜3種類まで。それ以上やろうとしているなら、ペースが速すぎます。

まとめ

子どもの偏食|要点
  • 偏食は年齢では減らない。遊び食べ・むら食いとは性質が違う(乳幼児栄養調査)
  • まず3タイプに切り分ける——①感覚 ②関心の低さ ③こわい体験。タイプ3は受診を急ぐ
  • 判断の基準は品目数ではなく体重と成長。成長曲線に沿っていれば急がなくていい
  • 進め方は小さじ1杯、週1〜3種類まで。においを嗅げただけでも一歩
  • 強制・隠して混ぜる・交換条件・比較・完食強要はやめる
  • 栄養は「量→種類→バランス」の順。順番を逆にすると消耗する
  • 給食は「完食」ではなく「嫌いにならないこと」を目標に。手引も画一的な指導を戒めている

偏食の相談を受けるとき、私がいちばん伝えたいのは「これは親の努力不足ではない」ということです。同じ家庭の中でも、子どもによってまったく違う。それくらい、本人側の要因が大きい。

できることは、環境を整えて、小さじ1杯ずつ、気長に見慣れさせることだけです。地味ですが、これがいちばん確実です。焦らなくて大丈夫。まずは今日、成長曲線に点をひとつ打つところから始めてください。

あわせて読みたい

参考にした一次情報

  • 厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」第1部(図16 現在子どもの食事で困っていること)
  • 獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター「回避・制限性食物摂取症(ARFID)とは/ARFIDのためのステップ表 ver.2.0a」
  • 文部科学省「食に関する指導の手引-第二次改訂版-」(平成31年3月)第5章 給食の時間における食に関する指導

※この記事は一般的な情報提供であり、診断や治療を目的としたものではありません。体重の減少や成長の停滞がある場合は、必ず小児科を受診してください。

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

ABOUT ME
室長:ユイン
室長:ユイン
介護福祉士・保育士・サビ管
福祉の現場 × 4児の父親
福祉と子育てを、現場の目線で。
グループホーム・放課後等デイサービスでの支援・管理経験をもとに、福祉の制度や働き方、子育てに役立つ情報を発信しています。
支援歴10年以上
20代後半から、グループホームの施設長・放課後等デイサービスの管理者を経験。
4児の父親
現場で働きながら4人の子どもを育て、仕事と子育ての両立に向き合っています。
資格・研修
介護福祉士保育士サービス管理責任者
3級ファイナンシャル・プランニング技能士実務者研修教員講習会 修了強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)防火管理者(甲種)
記事URLをコピーしました