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障害福祉
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BCP研修・訓練【障害福祉版】20分の講師台本・訓練シナリオ3本・確認テスト20問|放デイ・GH・生活介護

BCP研修と訓練のすべてがここに 障害福祉版 20分台本・訓練シナリオ3本・確認テスト20問
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BCP(業務継続計画)の研修を任されて、まず困るのは「うちのBCPって、どこにあるんだっけ」から始まることだと思います。令和6年の春に、ひな形を埋めて作った。法人の共有フォルダか、事務所の棚のファイルに入っている。職員のほとんどは、その存在を知らない。

この記事は、その状態から20分の研修と15分の訓練で、BCPを「職員が動ける計画」にするために書きました。

先に、あまり知られていない事実を2つ置きます。1つ目は、研修や訓練をやっていなくても、それだけでは減算にはならないことです。2つ目は逆に、感染症と災害のどちらか片方でも計画がなければ減算になり、しかも運営指導で見つかった月ではなく「基準を満たさなくなった月」まで遡ることです。どちらも厚生労働省のQ&Aに書いてあります。だからこの記事は、減算の話で脅すのではなく、計画が実在していて、職員がそれを知っている状態を、いちばん少ない手間で作ることを目的にしています。

この記事でわかること
  • BCPで事業者に求められている5つの義務と、減算になる条件・ならない条件(Q&Aの原文つき)
  • そのまま読み上げるだけの【20分版・講師台本】(逐語)
  • 15分でできる訓練シナリオ3本(地震・職員の集団感染・停電断水)と、その記録の残し方
  • 感染症の研修・訓練と一体で実施して、年間の回数を減らす組み方
  • ひな形を埋めただけのBCPが止まる10か所のチェックリストと、放デイ・GH・生活介護・就労の場面別の具体例
  • 判断が割れる演習10問、確認テスト20問、研修・訓練・見直しの記録様式
同じ形式で、身体拘束適正化研修【障害福祉版】と虐待防止研修【障害福祉版】もまとめています。どれも要件と減算が別建てなので、研修の記録は分けてください。
Contents
  1. この記事の使い方|まず「20分研修+15分訓練」の形を選ぶ
  2. BCPの研修が「形だけ」になる、3つの原因
  3. まず要件を確認する|義務は5つ、減算は1つ
  4. 研修と訓練は「一体実施」で回数を減らす|年間の組み方
  5. 研修時間に法令上の定めはない|20分でいい理由
  6. 【20分版・講師台本】そのまま読める逐語スクリプト
  7. 【訓練シナリオ3本】15分でできる机上訓練・実地訓練
  8. ひな形を埋めただけのBCPが止まる10か所|研修前のチェックリスト
  9. 放デイ・GH・生活介護・就労で「BCPが止まる場面」具体例24
  10. 【演習】判断が割れる10問|研修の2回目以降に
  11. 【確認テスト20問】研修の最後に配る理解度チェック
  12. 研修・訓練・見直しの記録様式
  13. 運営指導で見られるポイントと、記録のNG5
  14. よくある質問
  15. まとめ
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この記事の使い方|まず「20分研修+15分訓練」の形を選ぶ

BCP研修・訓練の4つの形(20分研修+15分訓練・感染症と一体・防災訓練に足す・外部研修と伝達)の図

この記事は長いので、全部読む必要はありません。BCPは感染症と同じく、「研修」と「訓練」が別々の義務です。最初に決めるのは、その2つを今年どう組むかだけです。

4つの形。迷ったら「20分研修+15分訓練」を同じ日に
形こういう事業所読むところ
20分+15分
(おすすめ)
時間が取れない。
ほとんどの事業所
【20分版・講師台本】を読み上げ、続けて訓練シナリオを1本だけ15分。計35分で、BCPの研修と訓練が1回ずつ終わります
感染症と一体感染症の研修・訓練を
年2回やっている
「研修と訓練は一体実施で回数を減らす」。感染症BCPの研修・訓練は、感染症対策の研修・訓練と一体で実施してよいと解釈通知に書かれています
防災訓練に足す避難訓練を
定期的にやっている
避難訓練の直後に、机上訓練を15分足す形。「逃げたあと、どう続けるか」は避難訓練では扱わないので、そこだけを足します
外部研修+伝達自分で話す自信がない後述のFAQ。ただし訓練は、自事業所の連絡網・物品・建物でやる必要があります
長い研修がよい研修ではありません。BCPはとくにそうです。60分かけて計画書を読み上げるより、15分で1回、実際に連絡網を回して「誰がつながらなかったか」を知るほうが、当日に効きます。

どの形でも、共通で使うもの

準備するのはこの5つだけ
使うものどこにあるか
自事業所のBCP実物を持ってくる。全文は配りません。配るのは後述の「1枚にまとめたもの」だけです
BCPの1枚まとめ「ひな形を埋めただけのBCPが止まる10か所」の表を、自事業所の言葉で埋めたA4・1枚。これが研修のレジュメになります
訓練シナリオ「15分でできる訓練シナリオ3本」から1本だけ選びます
確認テスト「【確認テスト20問】」——20分版なら10問に絞って構いません
記録様式「研修・訓練・見直しの記録様式」——研修と訓練で紙を分けます
後半の「場面別の具体例」「演習10問」は、2回目以降の研修の材料です。初回は読まなくて構いません。

BCPの研修が「形だけ」になる、3つの原因

BCPの研修が形だけになる3つの原因の図

BCPの研修は、ほかの研修以上に形だけになりやすいテーマです。理由ははっきりしていて、職員にとって「自分が何をする話なのか」が見えないからです。原因は3つあります。

原因1:計画書を読み上げて終わってしまう

ひな形から作ったBCPは、20〜40ページあるのが普通です。それを研修で読み上げると、職員の頭には何も残りません。職員が覚えておくべきことは、実は3つしかありません。「最初に誰に連絡するか」「自分は何時までに来るのか(来なくていいのか)」「何を止めて、何を続けるのか」。研修はこの3つに絞ります。

原因2:「訓練」を避難訓練のことだと思っている

消防計画にもとづく避難訓練は、命を守るための訓練です。BCPの訓練は、そのあとサービスをどう続けるか(どう再開するか)の訓練です。外に逃げたあと、送迎中の利用者はどうするのか。翌朝、職員が半分しか来られなかったら、誰の支援を続けて、何を止めるのか。避難訓練をしているから大丈夫、ではありません。扱っている場面が違います。

原因3:ひな形の空欄に、自事業所の「人」が入っていない

いちばん多いのがこれです。「対策本部長:管理者」「連絡担当:事務員」——役職は書いてあるのに、その人が不在のときに誰が代わるかが書いていない。災害も感染症も、管理者が来られない日に起きます。電話番号は法人の代表番号だけ。備蓄の欄は「3日分」とあるのに、どこに何があるかを誰も知らない。研修でこれを1つずつ埋めていくこと自体が、いちばん効く研修になります。

この記事で削ったもの・残したもの
削ったもの残したもの
BCPの歴史、事業継続マネジメント(BCM)の理論、計画書の全章の説明、ハザードの種類の網羅最初の連絡先・自分の参集ルール・止める業務と続ける業務の3つ/代わりの人の名前/実際に連絡網を回す訓練

まず要件を確認する|義務は5つ、減算は1つ

BCPの5つの義務と業務継続計画未策定減算(3%と1%)の図

BCPは令和3年度の報酬改定で全サービスに義務づけられ、3年の経過措置を経て令和6年4月から完全義務化されました。同じ令和6年度の改定で、業務継続計画未策定減算が新しくできています。まず、何が義務で、何が減算の対象なのかを分けて押さえます。

事業者に求められていることは5つ

運営基準(居宅介護なら基準第33条の2。ほかのサービスにも同じ内容の規定があります)と解釈通知を整理すると、求められているのは次の5つです。

BCPの5つの義務
義務中身減算との関係
① 計画の策定感染症と災害の両方について策定する。一体で1冊にしてもよい減算の対象
② 必要な措置計画に従って、必要な措置を講じる減算の対象
③ 周知計画の内容を従業者に周知する減算の要件ではない
④ 研修・訓練研修と訓練(シミュレーション)を定期的に実施する減算の要件ではない
⑤ 見直し定期的に計画を見直し、必要に応じて変更する減算の要件ではない
「減算の要件ではない」は「やらなくていい」ではありません。③〜⑤も運営基準上の義務です。運営指導では指導(文書指導)の対象になります。

研修・訓練は年1回以上。新規採用時は「望ましい」

回数は解釈通知に書かれています。居宅介護の例ですが、通所・居住系のサービスも同じ文言を準用しています。

従業者教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。

厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号)業務継続計画の策定等

訓練についても「定期的(年1回以上)」とされ、机上と実地を適切に組み合わせることが適切とされています。また研修の中身は「感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容」の共有なので、年1回の研修で感染症と災害の両方を扱うようにしてください。整理すると次のとおりです。

BCPの研修・訓練の回数
対象研修訓練新規採用時
障害福祉サービス全般
(GH、生活介護、就労A/B、居宅介護など)
障害児通所支援(放デイ・児発)
年1回以上年1回以上別に研修を実施することが望ましい
障害者支援施設
障害児入所施設
年2回以上年2回以上同上
感染症対策(衛生管理)の研修と取り違えないでください。感染症対策の研修・訓練は、通所・居住系で年2回以上、新規採用時は「必ず」です。BCPは年1回以上、新規採用時は「望ましい」。文言が似ているので、自治体の資料でも混ざっていることがあります。

業務継続計画未策定減算は、3%か1%

業務継続計画未策定減算(令和6年4月新設)
区分減算対象サービス
施設・居住系所定単位数の3%療養介護、施設入所支援(障害者支援施設が行う各サービスを含む)、共同生活援助(GH)、宿泊型自立訓練、障害児入所施設
その他所定単位数の1%上記以外のすべて(放デイ・児発、生活介護、就労A/B、居宅介護などの訪問系、相談支援 など)
減算はその事業所の利用者全員について、基準を満たさない事実が生じた月の翌月(1日に生じた場合はその月)から、解消された月までかかります。

減算になる条件・ならない条件|Q&Aの原文

ここがいちばん誤解されているところです。厚生労働省のQ&Aは、こう答えています。

感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合や、当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合に減算の対象となる。なお、(中略)業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない

厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」問14

つまり、減算を決めるのは「計画があるか」と「計画どおりの措置を講じているか」です。研修・訓練をやっていないことは、それだけでは減算になりません。ただし、ここで安心してはいけない理由が2つあります。

  • 片方だけでは「未策定」です。感染症BCPだけ作って、災害BCPがない(またはその逆)事業所は減算の対象です。コロナ禍に感染症BCPだけ急いで作った事業所に多いパターンです
  • 「必要な措置が講じられていない」も減算の対象です。計画書はあっても、書いてある体制や備えが実在しない状態がこれにあたりうるかは、指定権者が判断します。計画と実態が食い違っていないかを確かめる場が、研修と訓練です

減算は「見つかった月」ではなく「事実が生じた月」まで遡る

行政機関が運営指導等で不適切な取り扱いを発見した時点ではなく、「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡及して減算を適用することとなる。

厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」問15

Q&Aの例では、生活介護事業所が令和6年10月の運営指導で未策定と分かった場合(かつ、当時の経過措置の条件だった感染症の指針と非常災害計画も策定していなかった場合)、令和6年10月からではなく令和6年4月分の報酬から減算になります。運営指導は数年に1回なので、見つかったときには1年分、2年分の減算になっていることがありえます。

経過措置は、就労選択支援を除いて終わっています

減算には、令和7年3月31日までの経過措置がありました。

  • 多くのサービス:感染症の予防及びまん延防止のための指針と非常災害に関する具体的計画を整備していれば、減算を適用しない
  • 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援・自立生活援助・就労定着支援・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援・計画相談支援・障害児相談支援・地域移行支援・地域定着支援:「非常災害に関する具体的計画」の策定が求められていないことを踏まえ、令和7年3月31日まで減算を適用しない
  • 就労選択支援(令和7年10月創設):令和9年3月31日まで減算を適用しない

令和7年4月1日からは、就労選択支援を除くすべてのサービスで経過措置なしです。「指針と非常災害計画があるから大丈夫」は、もう通りません。

研修と訓練は「一体実施」で回数を減らす|年間の組み方

感染症対策・避難訓練と一体で実施するBCP研修・訓練の年間計画の図

研修の担当者がいちばん苦しいのは、回数です。感染症対策で研修2回・訓練2回、BCPで研修1回・訓練1回、ほかに虐待防止・身体拘束・避難訓練。数えるだけで嫌になります。でもBCPは、ほかの研修・訓練と重ねてよいと明記されている数少ないテーマです。

感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。

厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」業務継続計画の策定等(訓練についても同じ趣旨の規定あり)

つまり感染症BCPの研修・訓練は、年2回やっている感染症対策の研修・訓練の中に組み込めます。残るのは災害BCPの研修・訓練だけです。こちらは、定期的にやっている避難訓練の日に続けて実施するのが現実的です。

年間の組み方の例(通所・居住系)
時期やることこれで満たすもの
6月避難訓練 → 続けて災害BCPの20分研修+15分訓練(シナリオ①地震)災害BCPの研修1回・訓練1回/非常災害対策の避難訓練
10月感染症対策の研修 → 続けて感染症BCPの机上訓練(シナリオ②職員の集団感染)感染症対策の研修1回・訓練1回/感染症BCPの研修1回・訓練1回
2月感染症対策の研修・実地訓練(嘔吐物処理など)/BCPの見直し(訓練で出た穴を反映)感染症対策の研修2回目・訓練2回目/BCPの定期的な見直し
随時新規採用者にBCPの1枚まとめを使って10分の個別研修新規採用時の研修(望ましい)
一体で実施しても、記録には「どの研修として実施したか」を両方書いてください。「感染症研修」とだけ書いた記録は、BCPの研修としては数えてもらえない可能性があります。記録の書き方は後述の様式で示します。

なお、事業所が浸水想定区域や土砂災害警戒区域にあり、市町村の地域防災計画に名前が載っている場合は、水防法・土砂災害防止法による「避難確保計画」の作成と、避難訓練の実施・その結果の市町村長への報告も義務です(令和3年7月から訓練結果の報告が義務化)。BCPとは別の法律の義務なので、まだ確認していない場合は市町村の防災担当に問い合わせてください。BCPの災害の想定は、この区域の情報(ハザードマップ)から作ります。

研修時間に法令上の定めはない|20分でいい理由

解釈通知が求めているのは「定期的(年1回以上)な教育」と「研修の実施内容の記録」です。何分やれという文言はありません。見られるのは時間ではなく、BCPの具体的な内容を職員間で共有しているかと、それが記録に残っているかです。

BCPこそ、短い研修のほうが効く理由

BCPは、発動したときに職員が計画書を開いている余裕はありません。揺れている最中、熱を出した職員から朝5時に電話が来たとき、頭に残っているものだけで動きます。だから研修のゴールは「理解」ではなく、3つのことを体が覚えている状態です。それなら長い講義より、20分で3つに絞って、15分で1回やってみるほうが確実です。

短くするときに、削ってはいけない3つ

20分でも最後まで残す3つ
残すものなぜ
① 最初の連絡先誰に、何で(電話・LINE・安否確認アプリ)連絡するか。その人がつながらないときの2番目まで。ここが止まると、残りは全部動きません
② 自分の参集ルール震度いくつで、自動的に事業所へ向かうのか。来なくていいのは誰か(自宅に子どもや要介護の家族がいる職員)。決めていないと、全員が「行くべきか」で迷います
③ 止める業務・続ける業務職員が半分になったら、何をやめるか。入浴・創作活動・外出は止める、服薬・食事・排泄・見守りは続ける、のような優先順位。現場で迷う時間がいちばん長いのがここです
削ってよいもの:BCPとBCMの違い、ガイドラインの章立ての説明、ハザードの種類の一覧、行政の制度の経緯。必要な人が計画書で引けば足ります。

「20分では短すぎると言われませんか」への答え

言われたら、こう答えてください。「時間の定めはありません。内容は計画の具体的な内容の共有で、記録はこれです」。そして記録の内容欄に、扱った3つ(連絡・参集・優先業務)と、訓練で見つかった穴を書いておく。それで説明は通ります。逆に、90分の研修を予定して結局実施できず、記録が1年飛ぶほうがはるかに危ういです。

【20分版・講師台本】そのまま読める逐語スクリプト

BCP研修20分版の時間配分の図

ここが本命です。そのまま読み上げて20分になるように書いてあります。〔 〕は自分の事業所の言葉に置き換える場所です。準備するのはBCPの1枚まとめ(後述の10か所チェックを埋めたもの)と、白紙のメモ用紙だけです。

20分の配分
時間内容ねらい
0〜2分導入「うちのBCPを見たことがある人」と聞く。知らないのが普通だと最初に言う
2〜6分BCPとは何か避難計画との違いを1本で説明する。「逃げたあと、どう続けるか」
6〜13分その場で3問連絡・参集・優先業務を、職員に答えてもらう形で確認する
13〜17分うちの1枚1枚まとめを配り、空欄・古い情報をその場で直す
17〜20分1つ決める自分が今日帰ってからやることを1つ書く(家族との連絡方法など)

0〜2分:導入

[読み上げ]

今日はBCP、業務継続計画の研修です。20分で終わります。このあと15分だけ訓練をします。

最初に聞きます。うちの事業所のBCPを、実際に開いて読んだことがある人、手を挙げてください。

〔※挙手を待つ。たいていほとんど挙がらない〕

ありがとうございます。挙がらなくて普通です。責めるつもりはまったくありません。計画は〔◯年〕に作って、〔事務所の棚/共有フォルダ〕に入っています。今日の目的は、あれを全部覚えることではありません。

今日、持って帰ってほしいのは3つだけです。最初に誰に連絡するか。自分はいつ来るのか。何を止めて、何を続けるのか。この3つです。

2〜6分:BCPとは何か

[読み上げ]

BCPと聞くと難しそうですが、言っていることは1つです。

うちは毎年、避難訓練をしています。あれは命を守るための計画です。BCPは、そのあとの計画です。逃げたあと、どうやって支援を続けるか。止まったら、どうやって再開するか。

たとえば、〔夕方の送迎中〕に大きな地震が来たとします。車の中には〔3人〕の利用者さんがいます。そのあと、誰に連絡しますか。事業所に戻りますか、ご家庭に向かいますか。電話がつながらなかったら、どうしますか。

あるいは冬に、職員の〔半分〕がインフルエンザで休んだとします。明日の支援は、何をやめて、何を続けますか。

こういうことを、起きる前に決めておくのがBCPです。BCPには「感染症」と「災害」の2つがあって、うちはどちらも作ってあります。国の決まりで、研修と訓練を年に1回以上やることになっていて、今日がその1回です。

そして大事なことを1つ。BCPは、来られない人を責めるための計画ではありません。自分や家族が被災した人、熱がある人は、来なくていい。それを先に決めておくための計画でもあります。

6〜13分:その場で3問

[読み上げ]

では、3問だけ聞きます。正解を当てるクイズではありません。答えが割れたら、そこがうちの計画の穴です。

1問目。夜中に大きな地震がありました。あなたは無事です。最初に、誰に、何で連絡しますか。メモに書いてください。

〔※30秒待って、何人かに聞く。答えがばらばらなら、それが今日の成果〕

うちの計画では、〔管理者の◯◯さんに、安否確認のLINEグループで〕です。◯◯さんにつながらないときは、〔サビ管の◯◯さん〕です。電話はつながりにくくなるので、〔LINE/災害用伝言ダイヤル171〕を使います。

2問目。その地震は震度〔6弱〕でした。あなたは事業所に来ますか、来ませんか。

〔※挙手で聞く〕

うちの計画では、〔震度6弱以上なら、連絡を待たずに、家族の安全を確認してから参集できる人は事業所へ向かう〕です。ただし、〔小さいお子さんや介護が必要な家族がいる人〕は、まず家族の安全を優先してください。来られない人は、〔LINEで「来られない」と一言〕だけ送ってください。それで十分です。

3問目。次の日、来られた職員は〔普段の半分〕でした。やめるものを1つ、絶対に続けるものを1つ、書いてください。

〔※30秒待って聞く〕

うちの計画では、続けるのは〔服薬・食事・排泄・見守り〕、止めるのは〔入浴・外出・創作活動〕です。〔放デイの場合:サービス提供自体を休止するかどうかは管理者が判断し、ご家庭には◯時までに連絡します〕。

13〜17分:うちの1枚

[読み上げ]

今の3つを、1枚にまとめたものを配ります。〔※1枚まとめを配る〕

この紙を見て、間違っているところ、古いところを探してください。辞めた人の名前が残っていないか。電話番号は合っているか。備蓄の場所は本当にそこか。

〔※2分待つ。指摘があればその場で赤ペンで直す〕

ありがとうございます。今の指摘は、そのまま計画の見直しに使います。今日の研修で、うちのBCPは今より正しくなりました。

17〜20分:1つ決める

[読み上げ]

最後です。今日、家に帰ってからやることを1つだけ書いてください。

たとえば、家族と「災害のときはどこで落ち合うか」を決める。災害用伝言ダイヤル171の使い方を、体験利用できる日(毎月1日・15日など)に一度試す。スマホの充電器を通勤かばんに入れる。職員自身と家族が無事でないと、BCPは動きません。

〔※書いた紙は回収して、研修記録に添付する〕

では、このあと15分、訓練をします。今の3つを、実際にやってみます。

【訓練シナリオ3本】15分でできる机上訓練・実地訓練

15分でできるBCP訓練シナリオ3本(地震・集団感染・停電断水)の図

解釈通知は、訓練の方法を問わないとしたうえで、机上と実地を適切に組み合わせることを求めています。机上訓練は「状況を読み上げて、どう動くかを話し合う」もの、実地訓練は「実際に連絡網を回す・物を出す・動く」ものです。15分なら、机上10分+実地5分を1本のシナリオの中で組み合わせるのがいちばん手軽です。

訓練の進め方(どのシナリオでも共通)
  1. 進行役(管理者以外がよい)が状況カードを1枚ずつ読み上げる
  2. 参加者は計画書を見ないで、自分ならどう動くかを答える
  3. 答えが出たら、計画書の該当ページと照らし合わせる
  4. 計画と違った答え・誰も答えられなかった問いを、記録係がそのまま書き出す
  5. 最後の5分で、実地の動作を1つだけやる(連絡網を回す、備蓄を出す、など)
訓練の成果物は「うまくできたこと」ではなく、書き出された穴のリストです。これがそのまま計画の見直しの材料になります。

シナリオ①:夕方、送迎中に震度6弱(災害BCP)

状況カード(読み上げ用)
カード状況問い
1〔16時40分〕、震度6弱の地震。送迎車2台が外に出ていて、それぞれ利用者〔3人〕が乗っている。事業所には職員〔3人〕と利用者〔5人〕運転中の職員は、まず何をするか。事業所の職員は、まず何をするか
2揺れが収まった。携帯電話がつながりにくい。送迎車の1台と連絡が取れない誰が、どの手段で、何回まで連絡を試すか。それでもつながらなければどうするか
3ご家庭から「迎えに行けない」と連絡が来た利用者が〔2人〕いる。管理者は外出先で戻れない今夜、誰がどこで利用者を見守るか。管理者の代わりに判断するのは誰か
4翌朝。断水している。職員は〔4人中2人〕しか来られない今日、サービスを提供するか休止するか。誰が判断し、ご家庭に何時までに連絡するか
実地の5分:その場で全員のスマホから、安否確認の連絡(LINEグループや安否確認アプリなど。訓練日が毎月1日・15日などの体験利用日に重なれば災害用伝言ダイヤル171も)を実際に送ってみる。何分で全員の返信がそろったか、誰がつながらなかったかを記録します。

シナリオ②:職員の集団感染で、半分が出勤できない(感染症BCP)

状況カード(読み上げ用)
カード状況問い
1月曜の朝6時。職員〔2人〕から発熱の連絡。前の週に利用者〔1人〕がインフルエンザと診断されていた連絡を受けた人は、次に誰に何を伝えるか。今日のシフトは誰が組み直すか
2午前中に、さらに職員〔1人〕と利用者〔2人〕が発熱。出勤できる職員は通常の半分止める業務を3つ、続ける業務を3つ挙げる。法人内の応援は誰に頼むか
3〔GHの場合〕発熱した利用者の居室をどう分けるか。夜勤者が1人のとき、発熱者と非発熱者をどう支援するかゾーニング(区域を分けること)の場所と、防護具の置き場所は計画どおりか
4保健所・指定権者への報告が必要な人数になった誰が、どこに、何を報告するか。ご家族への連絡は誰が、どの文面でするか
実地の5分:防護具(マスク・手袋・ガウン・フェイスシールド)と消毒液の備蓄を実際に出して数える。計画に書いた量と合っているか、使用期限が切れていないかを確認します。この訓練は感染症対策の訓練と一体で実施した扱いにできます(記録には両方を書く)。

シナリオ③:停電と断水が24時間続く(災害BCP)

状況カード(読み上げ用)
カード状況問い
1台風で〔19時〕に停電。〔GHの場合:夜勤者1人、利用者5人〕。復旧の見込みは不明明かりはどこにあるか。冷蔵庫の中の食品はいつまで使うか
2電気で動く医療機器(吸引器・在宅酸素など)や、充電が必要な機器を使っている利用者がいるバッテリーは何時間もつか。切れる前に、誰に連絡して、どこへ移るか
3翌朝、断水も始まった。トイレが流せない簡易トイレは何回分あるか。飲み水は1人何リットル、何日分あるか
4服薬中の利用者の薬が、あと〔2日分〕しかないお薬手帳や処方の情報はどこにあるか。かかりつけの薬局が閉まっていたらどうするか
実地の5分:懐中電灯・ランタン・簡易トイレ・飲料水・非常食を実際に置き場所から持ってくる。かかった時間と、なかった物を記録します。夜勤帯の訓練なら、1人で全部持ってこられるかを見てください。
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ひな形を埋めただけのBCPが止まる10か所|研修前のチェックリスト

ひな形を埋めただけのBCPが止まる10か所のチェックリストの図

研修の前に、管理者が自分で計画書を開いて、次の10か所を確認してください。ここに空欄や古い情報があるBCPは、当日に動きません。そして、この10か所を自事業所の言葉で埋めたものが、そのまま研修で配る「1枚まとめ」になります。

BCPの10か所チェック(1枚まとめの元になる表)
#確認するところ止まるパターン
12つそろっているか感染症BCPだけ、災害BCPだけになっていないか(片方だけは未策定扱いで減算)
2判断する人と代わりの人「管理者」とだけ書いてあり、不在時に誰が判断するかがない
3連絡の手段と順番法人の代表番号しかない。電話がつながらないときの手段(LINE・171など)がない
4参集の基準「状況に応じて参集」とだけある。震度や警報の基準、来なくていい人が決まっていない
5優先業務全部の業務が並んでいるだけで、人が半分になったときにやめる業務が書いていない
6利用者の情報緊急連絡先・服薬・医療的ケア・食形態の一覧がパソコンの中にしかない(停電で見られない)
7備蓄の量と場所「3日分」とあるが、どこに何がいくつあるかを誰も言えない。期限が切れている
8ハザードハザードマップを見ていない。浸水・土砂の区域に入っているのに想定が地震だけ
9外部との連携法人内の応援、協力医療機関、近隣の事業所、市町村・保健所の担当窓口の番号がない
10最終更新日作成日のまま。辞めた職員の名前、変わった電話番号が残っている
6番は、とくに見落とされます。利用者の情報をクラウドの記録システムだけで管理している事業所は、停電・通信障害の日に誰の薬が何なのか分からなくなります。紙で1部、持ち出せる場所に置いておくことを計画に書いてください(個人情報なので保管場所と管理者も決めます)。

放デイ・GH・生活介護・就労で「BCPが止まる場面」具体例24

ガイドラインのひな形は、サービスの種類ごとの事情までは書いてくれません。研修の2回目以降は、自事業所に近い場面を3つ選んで演習の材料にしてください。

放課後等デイサービス・児童発達支援(1〜6)

  1. 学校からの迎え送迎の途中で災害。学校に戻るのか、事業所へ向かうのか、ご家庭へ向かうのかが決まっていない
  2. 保護者への引き渡しのルールがない。祖父母や近所の人が迎えに来たとき、渡してよいかを誰が判断するか
  3. 保護者と連絡が取れないまま夜になる。事業所で預かり続ける場合の、食事・寝る場所・職員が計画にない
  4. 学校が休校になった日の朝からの利用が一気に増える。感染症流行時に受け入れ人数をどう絞るか
  5. パニックになりやすい子、大きな音が苦手な子の落ち着ける場所と持ち物(イヤーマフなど)が決まっていない
  6. アレルギー食・食形態の配慮が必要な子の非常食が用意されていない

グループホーム(7〜12)

  1. 夜勤・宿直が1人の時間帯に起きる。応援が来るまでの数時間を、1人でどう回すかが書いていない
  2. 日中、利用者が日中活動先や職場にいるときに災害。誰がどこに安否を確認しに行くか
  3. 住居が複数あるGHで、どの住居から先に回るかの順番がない
  4. 発熱した入居者と、そうでない入居者の部屋とトイレを分けられない間取り。どこまで分けるかを先に決めていない
  5. 世話人・生活支援員の多くがパートで、家庭の事情で来られない。シフトが組めない日の最低人数
  6. 入居者の服薬の管理を世話人1人だけが把握している

生活介護・短期入所(13〜18)

  1. 吸引器・経管栄養のポンプ・電動ベッドなど電気が必要な機器。停電時のバッテリーの持ち時間を知らない
  2. 嚥下食・刻み食の非常食がない。普通の非常食は食べられない利用者がいる
  3. 送迎車が使えないときの車いす利用者の帰宅方法
  4. 入浴を止めたときの清拭の手順と物品
  5. 短期入所で、迎えに来られない家族がいて滞在が延びる。受け入れの上限と判断者
  6. てんかん発作など医療的な対応が必要な利用者の、協力医療機関への連絡手段

就労継続支援A型・B型(19〜24)

  1. 受注した作業の納期。止めるのか、どこまで続けるのか、取引先への連絡は誰がするか
  2. A型で雇用契約のある利用者の休業の扱い(賃金・連絡)が決まっていない
  3. 公共交通機関で通う利用者が帰れなくなる。帰宅困難時に事業所で待機させる判断
  4. 施設外就労・施設外支援で事業所の外にいるときの連絡と集合場所
  5. 食品を扱う作業での感染症流行時の作業停止の基準
  6. 利用者が一人暮らしで、休業中に安否を確認する方法がない

【演習】判断が割れる10問|研修の2回目以降に

正解が1つに決まらない設問です。答えを当てるのではなく、自事業所の計画にどう書いてあるか(書いていないか)を確かめるために使います。解説は「考え方の目安」です。

演習1|震度5強。あなたは非番で自宅にいる。家族は無事。事業所に向かうべきか。
目安 計画の参集基準しだいです。基準が「震度6弱以上で自動参集」なら、5強は連絡待ち。割れた場合は、参集基準が職員に伝わっていません。基準そのものより、「迷ったら誰に聞くか」を決めておくのが先です。
演習2|管理者に連絡がつかない。サビ管も被災して来られない。今日の休止を誰が決めるか。
目安 計画に判断者の順番(3番目まで)があれば、その人です。なければ、その場の最年長者や常勤者が抱え込むことになります。3番目の名前まで書いておくことを見直しの宿題にしてください。
演習3|送迎中に地震。事業所まで5分、利用者の家まで15分。どちらへ向かうか。
目安 一般には近くて安全が確認できる場所へ。ただし道路状況・保護者の在宅・利用者の特性で変わります。「運転手が判断してよい」と計画に書いておくと、無線や電話がつながらなくても動けます。
演習4|保護者ではなく、近所の知人が「頼まれた」と迎えに来た。引き渡すか。
目安 事前に登録された引き取り者以外には、原則として渡さないのが一般的です。保護者に確認が取れない場合の扱いを、契約時に決めて計画に書いておきます。
演習5|職員の半数が休み。入浴予定の利用者が「どうしても入りたい」と言う。
目安 優先業務の考え方では止める業務ですが、清拭や足浴など代わりの方法を示せると納得を得やすくなります。止める業務ごとに「代わりに何をするか」まで書いてある計画は強いです。
演習6|自分の子どもの学校が休校になった。出勤すべきか。
目安 BCPは職員の家庭の事情を前提に作るものです。来られない人を責めない、と管理者が明言しておくことが大切です。そのうえで、子連れ出勤を認めるかどうかも事前に決めておくと、人手の見通しが立ちます。
演習7|停電中、記録システムが使えない。今日の支援記録はどうするか。
目安 紙の記録用紙を備蓄に入れておき、復旧後に転記するのが現実的です。記録が途切れると、報酬請求の根拠も途切れます。
演習8|同じ法人の別の事業所から応援が来た。初めて会う利用者ばかり。何を渡すか。
目安 利用者ごとの「これだけは」カード(名前・服薬・食形態・禁忌・落ち着く方法)。応援者が最初の1時間で必要な情報を1枚にしておくと、受け入れが速くなります。
演習9|備蓄の水は「3日分」と書いてある。実際に何リットルあればよいか。
目安 飲料水は1人1日3リットルが一般的な目安です。利用者と職員の人数×3リットル×日数で計算し、実際の量と比べてください。計算してみると足りていなかった、ということがよくあります。
演習10|BCPの見直しは、毎年やらないといけないか。
目安 基準は「定期的に見直し、必要に応じて変更」です。年1回と決まってはいませんが、職員の入れ替わり・電話番号・利用者の変化は毎年あるので、訓練のあとに毎回見直すのがいちばん自然です。

【確認テスト20問】研修の最後に配る理解度チェック

そのまま印刷して使える◯×問題です。研修記録の「理解度の確認」欄は、これを添付するだけで埋まります。20分版なら1〜10問だけで十分です。

配るときは解説を伏せて印刷し、回収後に解説を読み上げてください。間違いが多かった問題は、計画の伝わっていない部分です。見直しの材料にします。

基本編(1〜10問)

Q1|BCP(業務継続計画)は、災害や感染症が起きたときに、支援を続ける・早く再開するための計画である。
◯ 避難の計画ではなく、その後どう続けるかの計画です。
Q2|BCPは「感染症」と「災害」のどちらか一方を作ればよい。
× 両方が必要です。片方だけでは未策定として減算の対象になります。1冊にまとめて作ることはできます。
Q3|BCPの研修と訓練は、障害福祉サービス事業所では年1回以上実施する。
◯ 解釈通知で「定期的(年1回以上)」とされています。障害者支援施設は年2回以上です。
Q4|避難訓練をしていれば、BCPの訓練をしたことになる。
× 避難訓練は命を守る訓練、BCPの訓練は役割分担の確認や、発生時に実践する支援の演習です。扱う場面が違います。
Q5|BCPの訓練は、机上訓練だけでもよい。
△(×寄り) 方法は問われませんが、机上と実地を適切に組み合わせながら実施することが適切とされています。毎年机上だけで済ませるのは避けてください。
Q6|大きな地震のあと、電話がつながらないことがある。
◯ 通話は集中してつながりにくくなります。LINEなどのメッセージや災害用伝言ダイヤル171を計画に入れておきます。
Q7|自分や家族が被災したときでも、職員は必ず出勤しなければならない。
× まず自分と家族の安全を確保します。来られない場合は、その旨を一言連絡すれば十分です。
Q8|職員が半分になったときに「やめる業務」を、あらかじめ決めておく。
◯ 優先業務の選定はBCPの中心です。続ける業務(服薬・食事・排泄・見守りなど)と、止める業務を分けておきます。
Q9|利用者の緊急連絡先や服薬の情報は、パソコンの中にあれば十分である。
× 停電や通信障害で見られなくなります。紙で持ち出せる形にもしておきます。
Q10|うちの事業所で、災害時に最初に連絡する相手は〔   〕で、つながらないときは〔   〕である。
記入 自事業所の計画どおりの名前が書ければ正解です。書けなかった人が多ければ、周知が足りていません。

実務編(11〜20問)

Q11|BCPの研修や訓練をしていないと、それだけで業務継続計画未策定減算になる。
× 減算の条件は計画の未策定と、計画に従った措置を講じていないことです。研修・訓練・周知・見直しの有無は減算の要件ではありません(ただし運営基準上の義務です)。
Q12|BCPが未策定だと運営指導で分かった場合、減算は分かった月の翌月から始まる。
× 基準を満たさない事実が生じた時点まで遡って減算されます(Q&A問15)。
Q13|グループホームの業務継続計画未策定減算は、所定単位数の3%である。
◯ 共同生活援助は施設・居住系として3%。放デイや生活介護などは1%です。
Q14|グループホームや放デイでは、減算の経過措置は今も続いている。
× 令和7年3月31日で終了しました。例外は就労選択支援だけで、令和9年3月31日まで減算が適用されません。
Q15|感染症BCPの研修は、感染症対策(衛生管理)の研修と一体で実施してもよい。
◯ 解釈通知で認められています。訓練も同じです。記録には両方の研修として実施したことを書きます。
Q16|新規採用の職員には、BCPの研修を別に実施することが望ましい。
◯ BCPは「望ましい」です。感染症対策の研修は新規採用時に「必ず」なので、取り違えないようにします。
Q17|BCPは一度作れば、見直す必要はない。
× 定期的に見直し、必要に応じて変更することが義務です。訓練で見つかった穴を反映させます。
Q18|災害の想定は、事業所のある地域のハザードマップをもとに決める。
◯ 解釈通知も、想定される災害は地域によって異なるので実態に応じて設定するとしています。
Q19|浸水想定区域などにある事業所は、BCPとは別に避難確保計画と避難訓練(結果の報告)が必要な場合がある。
◯ 水防法・土砂災害防止法の義務です。市町村の地域防災計画に名前が載っているかを確認します。
Q20|BCPの研修と訓練には、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
◯ 解釈通知にそう書かれています。送迎・調理・事務・宿直の職員も対象です。参加できなかった人には後日フォローします。

研修・訓練・見直しの記録様式

解釈通知は研修の実施内容を記録することを求めています。訓練と見直しも、実施した事実を残さないと説明ができません。紙は3枚に分けます。

様式1:BCP研修 実施記録

研修実施記録(そのまま転記して使えます)
欄記入例注意点
研修名業務継続計画(BCP)研修
(災害・感染症)
どちらのBCPを扱ったかを書く。感染症対策研修と一体なら「感染症対策研修・感染症BCP研修(一体実施)」と両方書く
実施日時〔◯年◯月◯日〕
17:30〜17:50(20分)
前回から1年を超えていないか
講師〔役職・氏名〕外部研修なら主催者名と研修名
受講者全従業者〔◯〕名中
〔◯〕名
分母は送迎・調理・事務・宿直を含む全従業者。名簿を添付
欠席者対応〔◯月◯日〕に
個別実施予定
空欄にしない
内容①BCPの目的と避難計画との違い
②最初の連絡先・参集基準・優先業務の確認
③1枚まとめの読み合わせと修正
3行以上。「BCPについて」の1行では中身が分かりません
理解度の確認確認テスト(10問)。Q10の正答〔◯〕名結果の要約を1行
計画への反映連絡網の電話番号2件を修正。見直し記録へこの欄があると、研修と見直しがつながって見えます

様式2:BCP訓練 実施記録

訓練実施記録
欄記入例
訓練名・種別災害BCP訓練(机上+実地)/シナリオ:送迎中の震度6弱
実施日時・参加者〔◯月◯日〕17:50〜18:05/〔◯〕名(名簿添付)
想定状況カード4枚の内容(シナリオを添付)
実地で行ったことLINEの安否確認を全員送信。全員の返信まで〔8〕分。〔1〕名は通知オフで届かず
見つかった課題①管理者不在時の判断者が職員に知られていない ②送迎車の連絡手段が個人携帯のみ ③引き渡しルールを保護者と共有していない
対応・期限①判断者3番目まで計画に追記(〔◯月〕)②〜③は次回委員会で検討
「問題なし」と書かないでください。課題が1つも出ない訓練は、訓練ではなく確認作業です。課題が書いてある記録のほうが、実際に訓練をした証拠として強くなります。

様式3:BCP見直し記録

見直し記録(計画書の最終ページに綴じる)
見直し日きっかけ変えたところ確認者
〔◯年◯月◯日〕訓練(◯月◯日)判断者に3番目を追加。連絡網の番号2件修正〔管理者〕
〔◯年◯月◯日〕職員の退職連絡網・役割分担表から削除、後任を記入〔管理者〕
計画書の表紙に「最終更新日」を書き、この記録とそろえておきます。作成日のままの計画書は、それだけで「見直していない」と見られます。

運営指導で見られるポイントと、記録のNG5

当日、机に並べるもの
  • 感染症BCPと災害BCP(1冊でも2冊でも可。両方の内容があること)
  • 研修の実施記録・受講者名簿・資料(直近1年分以上)
  • 訓練の実施記録(机上か実地かが分かるもの)
  • 見直しの記録(最終更新日が分かるもの)
  • 職員への周知の方法が分かるもの(1枚まとめの配布、掲示など)
記録のNG5
NGなぜまずいか
① 研修名が「感染症研修」だけ一体実施したつもりでも、BCPの研修として実施したことが読み取れない
② 訓練記録がない研修記録の中に「訓練も実施」と1行あるだけ。訓練は別の義務なので、別の紙で残す
③ 毎年、机上訓練だけ机上と実地の組み合わせが求められている
④ 計画の作成日が令和3〜5年のまま見直しの記録がなく、職員の名前や電話番号が古い
⑤ 「課題なし」訓練の成果が書かれておらず、実施の実態を疑われる

よくある質問

Q. BCPはひな形を使ってもいいのですか。
使って構いません。厚生労働省のガイドラインや研修動画、ひな形が公開されています。ただし空欄を自事業所の情報で埋めないと「計画に従った措置」が成り立ちません。10か所チェックで確認してください。
Q. 法人で1つのBCPを作っています。事業所ごとに必要ですか。
法人共通の計画でも構いませんが、事業所ごとの連絡先・参集・優先業務・備蓄・ハザードは事業所別に書く必要があります。法人の本部の電話番号しかない計画は、事業所の現場では動きません。扱いは指定権者に確認してください。
Q. 外部のBCP研修に参加すれば、事業所の研修をしたことになりますか。
参加した職員の研修にはなりますが、事業所の従業者全員への周知と、自事業所の計画にもとづく訓練は別に必要です。参加者が事業所内で伝達研修をする形にしてください。
Q. 小さな事業所で、職員が4人しかいません。
人数が少ないほど、1人欠けたときの影響が大きいので、優先業務と応援の頼み先がより大事になります。解釈通知(居宅介護の例)では、研修・訓練を他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えないとされています。近くの事業所と合同訓練をするのも1つの方法です。
Q. 研修を動画で行ってもいいですか。
研修の方法に定めはありません。この記事の20分版台本はそのまま動画の原稿になります。ただし訓練は、自事業所の連絡網や備蓄を実際に動かす部分があるので、集まってやる回を年に1回は作ってください。
Q. 研修と訓練は同じ日でいいですか。
構いません。この記事のおすすめもその形です。記録は研修と訓練で分けてください。
Q. 放デイ・児発もBCPの減算はありますか。
あります。障害児通所支援も業務継続計画未策定減算の対象で、所定単位数の1%です。研修・訓練も年1回以上です。
Q. 減算になっているかもしれないと気づいたら、どうすればいいですか。
まず計画を整備し、速やかに指定権者(都道府県・市町村)に相談してください。減算は事実が生じた時点まで遡るので、自己点検で気づいた場合の扱いも含めて、指定権者の指示に従います。

まとめ

最後に、この記事でいちばん伝えたいことを5つだけ。

BCPの研修・訓練を、明日やるとしたら
  1. まず計画が2つそろっているか確かめる。感染症と災害、片方だけでは未策定です。減算は見つかった月ではなく、事実が生じた月まで遡ります
  2. 研修は20分でいい。職員が覚えるのは「最初の連絡先・自分の参集ルール・止める業務と続ける業務」の3つだけです
  3. 訓練は15分で、必ず1つは実際に動かす。連絡網を回す、備蓄を出す。誰がつながらなかったかが、その日の成果です
  4. 感染症の研修・訓練と一体で実施できる。ただし記録には両方の名前を書きます
  5. 訓練のたびに計画を直す。最終更新日が作成日のままの計画は、どれだけ立派でも当日には動きません
そしてもう1つ。BCPは、職員とその家族が無事であることが前提の計画です。研修の最後に「来られないときは来なくていい。一言だけ連絡を」と管理者が言うこと。それが、いちばん現場の不安を減らします。

この記事の台本・シナリオ・テスト・様式は、すべてコピーして自事業所用に書き換えて使ってください。義務づけられている研修の全体像は、【障害福祉】令和6年度報酬改定で義務化された研修で確認できます。感染症そのものの対策は障害福祉の感染症対策【2026年版】にまとめています。

参考にした一次情報

・厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号)業務継続計画の策定等
・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問14・問15
・厚生労働省「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」
・水防法・土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(要配慮者利用施設の避難確保計画)

本記事は上記をもとに、障害福祉の実務向けに整理したものです。個別の取扱いは指定権者の判断によります。最新の内容は必ず出典元でご確認ください。

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