【2026年最新】介護・福祉の夜勤手当の相場は1回いくら?施設別比較と損しない働き方
「自分の夜勤手当って、他の施設と比べて安くないだろうか」
夜勤明け、気だるい体で給与明細を眺めながらそう感じたことはありませんか。あるいは、これから介護・福祉施設で夜勤に入ることを考えていて、「実際どれくらいもらえるの?」と不安を抱えている方もいるかもしれません。
問題は、夜勤手当の情報がバラバラすぎることです。特養・老健・グループホーム・障害福祉施設……施設の種類によって相場が大きく異なるのに、ひとくくりで「夜勤は稼げる」と言われても、自分の状況に当てはまるのかわかりません。
この記事でわかること
- ▶厚労省・医労連の最新データによる施設別の夜勤手当の相場一覧
- ▶深夜割増賃金の計算方法と、手当に含まれているか確認する方法
- ▶夜勤専従と常勤、年収が本当に高いのはどちらかの具体的な比較
- ▶看護師不在の夜に一人で命を守るための実践ノウハウ
- ▶手当を今より上げるための資格・施設選び・転職の優先順位
執筆者プロフィール
現役サービス管理責任者(サビ管)。独身時代に障害支援区分6(最重度)メインの生活介護・ショートステイ併設施設で夜勤を担当。現在は6人家族を支えながら、福祉業界の給与事情をシビアに見つめ続けています。
「夜勤は大変だから仕方ない」と諦める前に、まず全国相場と自分の手当を比較してください。同じ仕事内容でも施設によって年間10万円以上の差が生まれているのが現実です。

介護・福祉の夜勤手当の全国相場は1回いくら?施設別に徹底比較

施設の種類で手当は大きく変わる
「夜勤手当の相場」を調べると、サイトによってバラバラな数字が出てきます。その理由は単純で、施設の種類によって相場が根本的に違うからです。ここでは日本医療労働組合連合会「介護施設夜勤実態調査」および厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(2025年8月29日公表)」に基づき、施設別の夜勤手当の相場を整理します。
| 施設の種類 | 夜勤手当の相場(1回) | 看護師夜間常駐 | 主な負担の特徴 |
|---|---|---|---|
| 介護老人保健施設(老健) | 7,684円 | 原則あり(義務) | 医療ケア+リハビリ対応。看護師常駐の安心感あり |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 6,724円 | 基本なし(オンコール) | 重介護度の入居者が多く、身体介護の負担が大きい |
| 障害者支援施設・ショートステイ | 6,000〜7,000円 | 多くの施設でなし | 行動障害・重度知的障害への専門対応が求められる |
| グループホーム(認知症) | 5,550円 | なし(オンコール) | 少人数ケア。認知症の方の不穏対応が発生しやすい |
| 障害者グループホーム | 5,000円前後 | なし | 就労支援利用者が多く、身体介護は比較的少ない |
| 小規模多機能型居宅介護 | 5,400円 | なし | 通い・泊まり・訪問の複合対応で業務が多様 |
注意
老健の7,684円と障害者グループホームの5,000円との差は1回あたり約2,500円以上。月5回夜勤に入ると、年間で約15万円の差になります。「どこで夜勤に入るか」の選択が、年収に直結します。
深夜割増賃金(法定)と夜勤手当(施設独自)の違い
多くの求職者が混同しているのが、この2種類の手当の違いです。
- ▶深夜割増賃金(法定):労働基準法第37条第4項により、22時〜翌朝5時の労働に対して通常賃金の25%以上の割増支払いが義務付けられています。どの施設でも必ず支払わなければなりません。
- ▶施設独自の夜勤手当:施設が就業規則で独自に設定するものです。法的義務はなく、支給額は事業所によって大きく異なります。
アドバイス
転職・就職の際は「深夜割増賃金は別途支給されますか?それとも夜勤手当に含まれますか?」と必ず確認してください。手当が1回3,000円台以下の施設は全国平均よりかなり低水準です。「みんな同じだから仕方ない」という諦めは損します。
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夜勤専従と常勤はどちらが年収が高い?損しない働き方を選ぶ判断基準
一見稼げそうな夜勤専従の「落とし穴」
福祉業界の求人を見ていると、夜勤専従の非常勤で「1回18,000〜25,000円」という高単価の求人が目に入ります。常勤の夜勤手当6,000円と比べると、3〜4倍の差です。「こっちの方が稼げるのでは?」と思うのは自然なことです。しかし、年収ベースで計算すると逆転現象が起きます。
| 比較項目 | 夜勤専従(非常勤) | 常勤(日勤+夜勤兼務) |
|---|---|---|
| 月収の目安 | 20万円(月10回×2万円) | 25万円(基本給22万+手当3万) |
| ボーナス | なし | 50〜70万円(年2〜3ヵ月分) |
| 年収 | 約240万円 | 約350〜370万円 |
| 社会保険 | 非対象になるケースあり | 厚生年金・健康保険フルカバー |
| キャリアパス | 夜勤業務に固定される | サビ管・管理者へ昇進可能 |
ポイント
年収差は100万円以上になることがほとんどです。さらに住宅ローン審査など社会的信用の差も大きく、6人家族を養う立場になってから、この差の重みを痛感しました。
キャリアの観点から見た最大のリスク
夜勤専従の最も深刻なデメリットは、サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)へのキャリアパスが詰まることです。これらの上位職を目指すには、個別支援計画の作成・担当者会議への参加・日中の総合的な支援経験が不可欠です(厚生労働省「相談支援従事者研修・サービス管理責任者研修ガイドライン」に基づく要件)。
- ▶夜勤専従では日中業務に関われないため、サビ管資格に必要な実務経験が積めない
- ▶サビ管の月給は平均30〜35万円以上、年収500万円超えも現実圏
- ▶夜勤専従の「数年間の稼ぎやすさ」と長期キャリアを天秤にかけて選択することが大切
夜勤の仕事内容と1日の流れ|施設別に看護師不在時の対応も解説
施設によって「夜の責任者」は全く違う
「看護師がいれば安心」というイメージがあります。しかし、福祉施設の夜間体制の実態は、施設によって大きく異なります。
- ▶老健:原則として看護師が夜間も常駐。介護老人保健施設の設備・運営基準(厚生労働省令第40号)で規定されており、夜間の医療対応が保証されています。
- ▶特養・グループホーム・障害福祉施設:日中のみ看護師が在籍し、夜間はオンコール(電話対応のみ)体制が大半です。
注意
日本医療労働組合連合会「2021年介護施設夜勤実態調査」によると、介護施設全体の約85.5%が2交代制を採用し、そのうち5割を超える施設で夜勤は一人体制(ワンオペ)です。特養・障害施設・グループホームの夜間は、支援員や介護職員が一人で多くの命を守っているのが現実です。
障害者ショートステイ(短期入所)夜勤の現場体験
区分6(最重度)メインの障害者ショートステイの夜勤は、この「看護師不在の夜」の典型例です。自閉症に伴う激しいパニックがある方や、24時間見守りが必要な方が中心でした。
16:00〜21:00(受け入れから消灯まで)
最初の数時間が夜の成否を決めます。家族から引き継ぐ薬の確認は、種類・回数・食前食後の指定を職員2名でダブルチェックするのが鉄則です。てんかん薬や精神薬は、服薬タイミングがずれるだけで体調に影響します。
注意
「後で確認しよう」は絶対にNGです。受け入れ時に、ご家族の目の前で一緒に指差し確認するくらいの慎重さが命を守ります。
21:00〜翌6:00(巡視の夜)
1時間おきの居室巡視が基本ですが、リスクの高い方は15〜30分おきに確認します。医療的な処置はできなくても、以下の「違和感」を察知することが支援員の最重要スキルです。
- ▶「いつものイビキが聞こえない」→ 無呼吸の可能性
- ▶「体が異常に熱い気がする」→ 発熱の初期サイン
- ▶「視線が定まらず一点を見つめている」→ てんかん発作の前兆
行動障害(パニック)への対応
「帰りたい!」と夜中に叫び出す、自傷、スタッフへの噛みつきが深夜に発生することもあります。対応の鉄則は「受容と安全確保」です。
- ▶力で押さえつけると興奮が増します。「帰りたかったんだね」と気持ちを受け止める
- ▶届かない距離を保ちながら落ち着くのを待つ忍耐が必要
- ▶夜間はスタッフが少ないため、まず自分の身を守ることが最優先
認知症グループホームの夜勤との違い
同じ「看護師不在の夜」でも、認知症グループホームは利用者が1ユニット5〜9人と少人数です。身体介護の負担は比較的小さいですが、認知症の方の不穏(「家に帰る」「知らない人がいる」と混乱するなど)への個別対応が求められます。認知症の症状は一定ではなく、日によって穏やかだったり激しかったりするため、マニュアル通りにいかないことが前提となります。
自分の夜勤手当が低いと感じたら?適正額の確認方法と収入を上げる3つの手順
今すぐチェックすべき3つの比較ポイント
給与明細と照らし合わせて確認してください。
チェック①:夜勤手当の絶対額
施設別相場表と比較して、1回あたり3,000円未満なら全国平均を大きく下回っています。施設長や法人の労務担当者に相場データを示して見直しを相談する価値があります。
チェック②:深夜割増賃金が別途支給されているか
「夜勤手当に含まれています」という説明は、法定の深夜割増を手当の中に吸収しているケースがあります。時給換算で22時〜翌5時が通常時給の1.25倍以上になっているか計算してください。なっていない場合は労基法第37条違反の可能性があります。
チェック③:月の夜勤回数と年収の全体設計
夜勤手当だけでなく、基本給・賞与・処遇改善加算の配分を含めた年収トータルで比較することが必要です。処遇改善加算の職員への還元率は事業所によって大きく異なります。※加算の配分方法は自治体や事業所によって異なる場合があります。
転職を決断するボーダーラインとは
同じ仕事内容・同じ地域で、夜勤手当の差が1回2,000円以上ある場合の影響を計算してみましょう。
- ▶月5回夜勤 → 月1万円の差
- ▶年間換算 → 12万円の差
- ▶5年間換算 → 60万円の差
アドバイス
「今の職場を辞めにくい」という心理的障壁を超えてでも動く価値がある差額です。転職活動は現職を続けながらできます。まず相場を把握し、情報収集から始めることが収入改善の第一歩です。
夜勤に向いている人・向いていない人の特徴【適性チェックリスト付き】
適性チェックリスト(5項目)
以下の5つの問いに直感で答えてみてください。3つ以上当てはまる方は、夜勤業務に適性があります。
- ▶マニュアルにないトラブルが起きた時、「まず安全確保」と体が動く
- ▶「なんとなく変」という違和感を大事にする、心配性なタイプだ
- ▶夜中の大変な出来事も、後で「ネタ」にして笑い飛ばせる
- ▶深夜、静かな職場で一人黙々と作業することに孤独を感じない
- ▶夜勤明けの平日昼間を有効活用できるライフスタイルが合っている
なぜ「心配性」が最大の武器なのか
逆説的に聞こえますが、夜勤で最も頼りになるのは「ちょっとした変化で報告してくる人」です。医療ケアができない支援員・介護士にとって、最大の専門性は違和感センサーの精度だからです。
現場からの声
「いつもはイビキをかくのに今日は静かすぎる」「部屋の匂いがいつもと違う」。豪胆で動じない人は、このサインに気づきにくい。繊細で少し心配性な人こそ、夜の番人として力を発揮します。
「責任が怖い」は危険信号
「自分の判断で何かあったらどうしよう」という不安が強すぎる方は要注意です。夜勤は判断の連続です。迷ったらすぐ管理者や看護師のオンコールに電話する行動力は必須ですが、電話する前に「間違いだったらどうしよう」と躊躇して行動が遅れると、取り返しがつかない事態を招くことがあります。
注意
不安で動けなくなるタイプの方は、夜勤に入る前に十分なOJTと緊急マニュアルの習熟が欠かせません。施設に「夜勤前の研修期間」があるか確認することをおすすめします。
夜勤手当を上げるために今すぐできること【資格・施設選び・転職の優先順位】
在宅介護を支える「最後の砦」としての役割
短期入所(ショートステイ)とは、障害や介護を必要とする方が自宅から離れ、数日〜数週間施設に宿泊するサービスです。介護保険サービスでは「短期入所生活介護」、障害福祉では障害者総合支援法第5条第8項に定める「短期入所」として位置付けられています。
このサービスが担う最も重要な機能がレスパイトケア(介護者の休息支援)です。障害のある子どもや家族を24時間365日支え続ける家族の心身の疲弊は計り知れません。「今夜だけは、物音を気にせずぐっすり眠りたい」という切実な願いを叶え、家族の共倒れを防ぐことがショートステイの根幹にある使命です。
現場からの声
サービス管理責任者として多くの家族と面談してきましたが、利用を決めた保護者が「やっと肩の荷が降ろせます」と涙を流される場面に何度も立ち会いました。利用者本人だけでなく家族の安定を守ることで、在宅生活の継続可能性が上がります。
利用者の多様性が「支援員を育てる」
ショートステイには要支援1〜要介護5(介護保険)や障害区分1〜6(障害福祉)まで幅広い方が利用します。毎日利用者が入れ替わる環境は、固定メンバーしか関わらない特養や障害者施設とは異なり、月100人以上の多様な方と関わるスキルが短期間で身につくという特性があります。
- ▶医療依存度の高い高齢者への対応経験
- ▶知的障害を伴う重度の行動障害がある成人への支援経験
- ▶障害のある子ども(5歳前後)への対応経験
同じ「夜勤」という業務でも、これほど多様な対応経験が積める職場は多くありません。ショートステイでの夜勤経験は、福祉職としてのキャリアを広げる上で非常に有効な実績になります。

まとめ:夜勤手当の相場を把握して「損しない現場」を選ぼう
この記事のポイント
- ▶施設別の夜勤手当相場は1回5,000〜7,700円。老健が最高、障害者グループホームが最低水準
- ▶常勤vs夜勤専従では年収差が100万円以上になることがある
- ▶看護師不在の夜は、支援員・介護職の「違和感センサー」が命を守る
- ▶自分の手当が相場より低いなら、転職で年間12〜15万円以上の改善も可能
「夜勤は大変だから仕方ない」と諦める前に、まず自分の手当が全国平均と比べてどの位置にあるかを確認してください。夜の現場を守るプロとして、正当な対価を受け取ることはあなたの権利であり、長く働き続けるための土台でもあります。
朝を迎えて「今日も無事だった」と感じるあの静かな達成感。それはこの仕事だけが持つ特権です。
参考文献・出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年8月29日公表)
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2025年8月29日公表)
日本医療労働組合連合会「2021年介護施設夜勤実態調査」
障害者総合支援法第5条第8項(短期入所の定義)/労働基準法第37条第4項(深夜割増賃金)


