医療・福祉の新卒3年以内離職率、高卒49.4%・大卒39.1%(10/23厚労省)|10月23日の福祉ニュース
10月23日(金)、厚生労働省が令和5年3月に卒業して就職した人の「3年以内の離職状況」を公表しました。医療・福祉の分野は、高校卒で49.4%、大学卒で39.1%が3年以内に辞めています。
同じ日の夕方には、こども家庭庁の「幼児期までのこどもの育ち部会」(第16回)で、保育所保育指針などの改定に向けた保育・認定こども園の団体ヒアリングがありました。長野県からは、子どもの居場所「信州こどもカフェ」に災害用の備蓄食料1,128セットが寄贈されるという発表です。
3件を並べると、行き着く先はどれも「人と時間」です。新卒が残るかどうか、保育士の配置と就業時間、子どもの居場所を支える食料。数字の出どころと、事業所の側で読んでおきたい部分をまとめます。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①新卒の3年以内離職率 | 医療・福祉は高校卒49.4%(前年より0.2ポイント上昇)、大学卒39.1%(1.7ポイント低下) | 公表済み(統計) |
| ②保育所保育指針の改定 | 4つの団体が「取りまとめ(案)」に意見。保育三団体は配置基準の改善と、長時間保育・保育士の就業時間の検討を求めた | 検討中(変わり得る) |
| ③信州こどもカフェへの寄贈 | 日本郵便信越支社が災害用備蓄食料セット1,128セットを寄贈。10月29日に贈呈式 | 10月29日贈呈式 |
①は確定した統計の数字です。②はまだ指針の案に対する団体の意見を聞いた段階で、指針そのものは決まっていません。③は県が発表した寄贈と贈呈式の日程です。
①医療・福祉の新卒3年以内離職率、高校卒49.4%・大学卒39.1%(厚生労働省)
公表済み令和5年3月卒の就職者のうち、医療・福祉に就いた人の3年以内離職率は、高校卒が49.4%、大学卒が39.1%。高校卒はほぼ2人に1人で、前年より0.2ポイント上がりました。
全体と医療・福祉の数字
厚生労働省が10月23日に公表したのは、雇用保険の加入記録から集計した「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」です。全体では高校卒・大学卒とも前年より下がりました。
| 区分 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
| 全産業 | 36.9%(前年差 1.0ポイント低下) | 31.2%(前年差 2.6ポイント低下) |
| 医療,福祉 | 49.4%(前年差 0.2ポイント上昇) | 39.1%(前年差 1.7ポイント低下) |
| 医療,福祉の順位 | 離職率の高い産業の3位 | 離職率の高い産業の4位 |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」(令和8年10月23日公表)別紙2・別紙3。順位は「その他」を除いた産業の中での位置。中学卒は54.5%、短大等卒は43.1%です。
高校卒で医療・福祉より離職率が高いのは、宿泊業・飲食サービス業(61.6%)と、生活関連サービス業・娯楽業(61.1%)の2つだけです。大学卒では、この2つに教育・学習支援業(42.3%)が加わります。
事業所の規模で分けた数字も出ています。こちらは医療・福祉に限らない、全産業の数字です。
| 事業所の規模 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 61.3% | 58.2% |
| 5〜29人 | 53.3% | 50.6% |
| 30〜99人 | 45.5% | 39.7% |
| 100〜499人 | 36.4% | 31.7% |
| 500〜999人 | 29.4% | 29.0% |
| 1,000人以上 | 24.4% | 24.2% |
出典:同資料 別紙2・別紙3。産業別×規模別の数字ではありません。
小さな事業所ほど、最初の3年が勝負になる
規模別の表は全産業の数字ですが、5人未満で高校卒61.3%、1,000人以上で24.4%という差は大きいと感じました。職員30人未満の事業所で新卒を迎えるなら、この表の上の2段が自分たちの数字に近いと考えておいたほうがよさそうです。
大学卒の医療・福祉が39.1%まで下がった一方で、高校卒は前年より上がっています。新卒を受け入れている事業所なら、「誰が最初の1年の相談相手になるか」を決めておくだけでも違いが出そうです。
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②保育所保育指針の改定、4団体が配置基準や長時間保育で意見(こども家庭庁)
検討中10月23日17時からの育ち部会で、保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領などの改定に向けた「取りまとめ(案)」について、4団体が意見を述べました。指針の中身はまだ決まっていません。
4団体が出した主な意見
こども家庭審議会「幼児期までのこどもの育ち部会」(第16回)の議題は「保育所保育指針等に関する関係団体ヒアリング」の1つでした。対象は、文部科学省の幼児教育WGとこども家庭庁の保育専門委員会がまとめた「取りまとめ(案)」です。
| 団体 | 主な要望 |
|---|---|
| 保育三団体(日本保育協会・全国私立保育連盟・全国保育協議会・全国保育士会) | 三要領・指針の一本化。すべての子どもの育ちの基礎に「養護」があると明記。職員の配置基準の改善(看護師・栄養士・調理員・事務員の配置も精査)。長時間保育と保育士等の就業時間の検討。解説書づくりに現場の声を反映し、告示後に周知の研修を |
| 全国認定こども園連絡協議会 | 園の取組を在園時間の長さや小学校の内容の先取りで評価しないこと。在園時間が長い子どもの生活リズムへの配慮を、具体的な実践につなげること |
| 全国認定こども園協会 | 0歳からの「教育」が文字や数の早期教育と取り違えられないよう注意書きを。乳幼児期のスクリーン利用への配慮。幼児教育センターをすべての自治体で |
| 認定こども園連盟 | 意見書と投影資料を提出 |
出典:こども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会(第16回・令和8年10月23日)資料1〜4-2
数字が出ているのは2か所です。保育三団体の意見書には、朝から夜まで11時間以上園にいる子どももいる、と書かれています。全国認定こども園協会は、文部科学省の令和7年度幼児教育実態調査を引いて、幼児教育センターの設置は都道府県で83.0%、市町村で14.9%と示しました。
「11時間以上」と配置基準が同じ紙に並んだ意味
保育三団体の意見書は、指針の「ねらい」を達成するための環境として、配置基準の改善と、長時間保育・保育士の就業時間の検討を同じ項目に入れています。指針の文言の話に見えて、中身は人の配置の話です。
同じ意見書には「今年度末の告示化にあわせて解説書を作成すると伺っています」とあります。告示が年度末なら、園内研修や指導計画の見直しは来年度の話になります。発達が気になる子どもの相談につながる幼児期の健診の動きは、5歳児健診の実施率と国の検討会の記事にまとめています。
③信州こどもカフェに災害用備蓄食料1,128セット、10月29日に贈呈式(長野県)
10月29日贈呈式日本郵便株式会社信越支社が、郵便局で備蓄している災害用備蓄食料セット1,128セットを、長野県内の「信州こどもカフェ」などに寄贈します。県が10月23日に発表しました。
寄贈の中身と日程
長野県と日本郵便は、平成30年7月に包括連携協定を結んでいます。今回の寄贈はその連携を背景にしたものと、県の発表に書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 寄贈する側 | 日本郵便株式会社 信越支社 |
| 寄贈品 | 災害用備蓄食料セット 1,128セット(保存水・保存米飯・保存パン・保存ビスケット・非常用トイレ) |
| 配る先 | 信州こどもカフェ等(県内242か所、令和8年3月時点) |
| 贈呈式 | 令和8年10月29日(木)午前10時〜10時20分、長野県庁 本館3階 第三応接室 |
出典:長野県 県民文化部こども若者局次世代サポート課 発表(令和8年10月23日)
真似できるのは「協定」を入口にするところ
子どもの居場所を運営する側が企業に一件ずつ頼むのではなく、県と企業の包括連携協定を通して、県が配り先をまとめています。受け取る側は242か所あるので、個別に交渉していたら届かなかった量です。
子ども食堂や学習支援の場を運営している事業所なら、自分の地域の自治体がどの企業と包括連携協定を結んでいるかを、子ども・若者の担当課に聞いてみる価値があります。
今日のまとめ
①は新卒が3年もたずに辞める割合、②は長い時間を園で過ごす子どもを見る保育士の配置と就業時間、③は子どもの居場所を支える物資。どれも、制度の文言より先に「人と時間がどれだけあるか」が問われている話です。
②の指針の改定は、団体の意見を聞いた段階です。保育三団体の意見書によれば告示は今年度末の予定で、それまでに案の文言が変わる余地があります。
次に見ておきたい日程です。
- 10月28日(水)15時……第22回こども家庭審議会 障害児支援部会
- 10月29日(木)午前10時……長野県庁で信州こどもカフェ等への寄贈の贈呈式(ここは決まっています)
- 令和8年度末……保育所保育指針などの告示(保育三団体の意見書の記載による)
参考にした一次情報
- 新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します|厚生労働省(令和8年10月23日)
- 別紙2 新規高卒就職者の離職状況(PDF)・別紙3 新規大卒就職者の離職状況(PDF)|厚生労働省(令和8年10月23日)
- 幼児期までのこどもの育ち部会(第16回)議事次第・資料1〜4-2|こども家庭庁(令和8年10月23日)
- 信州こどもカフェ等への災害用備蓄食料セット寄贈・贈呈式の発表|長野県(令和8年10月23日)
②の保育所保育指針などの改定は「取りまとめ(案)」に団体が意見を述べた段階で、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


