連絡帳の書き方と例文集!クレームゼロ&作成時間が半減する3つのコツ
「お迎えの時間まであと少しなのに、まだ連絡帳が終わっていない」
毎日現場で子どもたちや利用者さんと全力で向き合いながら、隙間時間を縫って何冊もの連絡帳を書くのは本当に骨の折れる作業ですよね。特にケガやトラブルがあった日、あるいは逆に「特別なことが何もなかった日」は、白紙のページを前にペンが止まってしまうはずです。
こんな書き方でクレームにならないだろうか、冷たいと思われないだろうか。そんな不安やプレッシャーと日々戦いながら、あなたも連絡帳に向き合っているのではないでしょうか。
この記事では、保育士と介護福祉士の資格を持ち、現場で数え切れないほどの連絡帳を書いてきた私が、ご家族に心から安心してもらい、絶対にクレームにならない連絡帳の書き方のコツをお伝えします。また、私は6人の子どもを育てる父親でもあります。毎日仕事から帰ってきて連絡帳を受け取る「親の視点」からも、家族が本当に知りたいポイントをまとめました。
この記事を読むと、こんな悩みが解決します
- 何も書くことがない日でも使える、具体的な文例がわかる
- ケガやトラブルの報告でも、クレームにならず信頼に変える表現がわかる
- 白紙の前で悩む時間が減り、毎日の連絡帳業務が劇的に早く終わる
結論から言うと、安心感を与える連絡帳のコツは、事実だけを羅列するのではなく、その時の様子や専門職としての関わり、そして前向きな言葉を添えることです。
この記事を最後まで読めば、明日からの連絡帳業務にかかる時間が半分になり、ご家族との間に強固な信頼関係が築けるようになります。毎日頑張るあなたの負担がフッと軽くなるノウハウを詰め込みましたので、ぜひ最後までご覧ください。
保護者や家族は連絡帳に何を求めているのか

毎日たくさんの業務をこなしながら書く連絡帳。クレームになったらどうしよう、何か書き漏らしはないだろうか。そんな不安から、つい事実だけを羅列した業務日誌のような文章になってしまうことはありませんか。
私自身、現場で時間に追われている時は、何を書けば早く終わるか、どう書けばトラブルにならないかばかりを考えてしまっていた時期があります。
しかし、保護者やご家族が求めているものは、単なる業務報告ではありません。読み手の本当の気持ち、つまり潜在的なニーズを理解するだけで、何を書けばいいかという毎日の迷いは驚くほどなくなります。
その日の事実よりも様子や感情を知りたい
親や家族が本当に知りたいのは、事実の裏側にあるストーリーです。
保育士として連絡帳を書く時、私はこの親心を常に意識しています。ただの事実報告と、情景が浮かぶ報告では、ご家族の安心感が全く違います。
イマイチ事実だけの報告
給食のピーマンを完食しました。
理由:事実しか書かれていないと、ご家族は「無理して食べていないかな」と見えない部分に不安を感じてしまいます。
GOOD様子や感情を添えた報告
苦手なピーマンが出ましたが、隣のお友達が食べるのを見て、自分も!というように大きなお口を開けて頑張って食べていましたよ。その後の誇らしげな笑顔がとても素敵でした。
深掘り:結果に至るまでの「過程」と本人の「感情」を添えることで、映像として情景が伝わり安心感を与えます。
このように、誰といて、どんな表情をして、どんな感情だったのか。その情景が1本の映画のように目に浮かぶ文章こそが、家族の心を打ち、施設への信頼につながっていくのです。
離れている時間の安心感が最大のニーズ
これは介護の現場でも全く同じです。介護福祉士としてデイサービスなどでご家族と接していると、多くの方が言葉にはしない深い悩みを抱えていらっしゃいます。
今日もスタッフさんに迷惑をかけていないだろうか、機嫌よく過ごせただろうか。そして何より、施設に預けて自分だけが休んでいていいのだろうかという、わずかな罪悪感です。
ご家族にとって連絡帳は、
離れて過ごしている時間の安心感を得るための唯一の窓口です。
レクリエーションの時、昔の歌を歌いながらご自身で手拍子をして、とても楽しそうな笑顔を見せてくださいましたよ。
このような、家では見せないような穏やかな様子や笑顔のエピソードが一つあるだけで、ご家族は心から救われます。預けてよかったんだ、本人が楽しく過ごしているなら私も少し休ませてもらおう、と安心できるのです。私たちの書く一文には、ご家族の心身を軽くする大きな力が宿っています。
厚生労働省の指針から見る情報共有の重要性
連絡帳で様子を伝えることは、単なる施設側のサービスや思いやりではありません。プロの専門職として行う、明確な根拠を持った支援の一つです。
国の指針による裏付け
厚生労働省が定める「保育所保育指針」の第4章子育て支援においては、子どもの育ちに関する保護者との緊密な連携と情報共有が求められています。
また、「介護保険法」に基づく指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準などにおいても、利用者やご家族へのサービス提供状況の報告や連携が義務付けられています。
私たちは、ただ対象者をお預かりしているだけの存在ではありません。ご家庭と一緒に本人を支えるチームの大切な一員です。
日々の連絡帳が、ご家族の安心を守り、深い信頼関係を築くための公的にも重要なコミュニケーションツールであるという専門職としての誇りを持っていたいですね。この意識を持つだけで、ペンを握る気持ちが少し前向きになるはずです。
安心感を生む連絡帳の基本ルール3つ

毎日ゼロから文章を考えるのは大変ですが、ご家族に安心感を与え、クレームを防ぐ連絡帳には明確なルールが存在します。私自身、この3つのルールを徹底するようになってから、書くスピードが上がり、ご家族との関係性が劇的に良くなりました。明日からすぐに使える実践的なテクニックと例文をご紹介します。
まずはポジティブな言葉で始める
文章の第一印象は、その後の内容をどう受け取るかを大きく左右します。これは心理学で「初頭効果」と呼ばれ、最初に与えられた情報が全体の印象を決定づけるというものです。ネガティブな報告をしなければならない日ほど、必ずポジティブな事実から書き始めるのが鉄則です。
仕事でクタクタになって帰宅し、連絡帳を開く。私自身、6人の子どもを育てる親として、最初の一文が明るい報告だとそれだけで疲れが吹き飛びますし、その後の少し耳の痛い報告も冷静に受け止められます。
NGいきなりネガティブな書き出し
今日は朝からご機嫌斜めで、おもちゃを投げてお友達とトラブルになってしまいました。
理由:読んだ瞬間にご家族が身構えてしまい、施設に対する不信感や自分への自責の念を生みやすくなります。
OKまずはポジティブな事実から
今朝は「おはよう!」と元気な声でお部屋に入ってきてくれましたよ。その後、少しお疲れが出たのかおもちゃを投げてしまう場面がありましたが…
理由:まずは元気に登所できた事実を認め、その後に状況を説明することで、クッション言葉の役割を果たし、受け入れやすくなります。
客観的な事実と専門職としての主観を分ける
連絡帳でのクレームの多くは、事実と職員の主観(勝手な解釈)が混ざってしまうことから起こります。ご家族は、自分の家族を職員の主観で決めつけられることを最も嫌います。
保育士や介護福祉士としての専門性は、起きた事実を正確に観察し、その背景にある理由をアセスメント(見立て)することにあります。事実と、それに対する専門職としての対応を明確に分けて書きましょう。
NG保育現場:事実と主観の混同
今日はわがままを言って給食を食べませんでした。
改善点:「わがまま」は職員の主観です。ご家族は「うちの子を厄介者扱いしている」と感じます。
OK保育現場:事実と見立てを分ける
今日は給食の途中でスプーンを置き、首を横に振る姿がありました。お腹がいっぱいだったのか、眠気もあったのか、無理にお勧めせず様子を見ています。
深掘り:スプーンを置いたという「事実」と、眠気かもしれないという「見立て」、そして無理強いしないという「専門的な対応」を分けて書いています。
NG介護現場:事実と主観の混同
今日は一日ぼーっとしていて、レクリエーションも不参加でした。
改善点:「ぼーっとして」はネガティブな主観です。ご家族に「施設で放置されているのでは」という不安を与えます。
OK介護現場:事実と見立てを分ける
今日は窓の外を眺めて静かに過ごされる時間が多かったです。昨夜あまり眠れなかったとお聞きしていたので、ご自身のペースでゆっくり休息をとっていただきました。
深掘り:静かに過ごした「事実」を肯定的に捉え、事前の情報から体調を考慮し、あえて休ませたという「意図的な支援」であることを伝えています。
家庭での様子を気遣う一言を添える
連絡帳は施設からの一方的な業務報告書ではなく、家庭と施設をつなぐ交換日記のような存在です。施設での様子を伝えた後に、ご家族にボールを投げる一言を添えることで、双方向のコミュニケーションが生まれます。
厚生労働省の各種指針でも、ご家族への精神的なサポートや休息の支援が重要視されています。連絡帳を通じた何気ない一言は、孤立を防ぐ立派な家族支援です。具体的には、以下のような言葉を文末に添えてみましょう。
質問で終わったり、ご家族の苦労をねぎらったりすることで、保護者やご家族は「気にかけてくれている」と嬉しくなり、家庭での悩みも相談しやすくなります。この小さな一手間が、クレームを寄せ付けない強固な信頼関係を作ります。
シーン別 そのまま使える連絡帳の具体的な言い回し
基本のルールがわかっても、いざペンを持つと何を書けばいいか手が止まってしまうことはありませんか。特に大きな行事や出来事がなかった日ほど、連絡帳のスペースを埋めるのに苦労する方は多いはずです。
ここでは、私が保育士や介護福祉士として現場で実際に使い、ご家族から好評だった言い回しをシーン別にご紹介します。そのまま使える文例として、ぜひ参考にしてみてください。
特に大きな出来事がなかった日常の様子
現場で働く私たちにとって一番困るのが、特別なことが何もなかった日です。しかし、ご家族にとってはこの何もない日常こそが、平和で穏やかに過ごせたという最大の安心材料になります。
特別な出来事がなくても、着目するポイントを少しミクロな視点に変えるだけで、素敵な連絡帳になります。
イマイチ事実だけの事務的な報告
今日は機嫌よく遊んでいました。お昼寝もしっかりとれました。
理由:どの利用者さんにも当てはまる定型文のようで、個別性が全く伝わりません。
GOOD保育現場:こだわりのポイントを伝える
今日はブロック遊びに夢中でした。お気に入りなのか、赤色のブロックばかりを集めて小さなタワーを作っていましたよ。途中で崩れても諦めず、真剣な眼差しで取り組む姿がとてもかっこよかったです。
深掘り:何で遊んだかだけでなく、赤いブロックだけを集めるという本人のこだわりや、集中している時の表情を描写することで、その子らしさが伝わります。
GOOD介護現場:五感や心地よさを伝える
今日はいつもより少し長めにお昼寝をされていました。お目覚めの後はとてもスッキリされたお顔で、窓からの風を感じながら、温かいお茶を美味しそうに召し上がっていました。穏やかな時間が流れていましたよ。
深掘り:何もしていない時間を、休息をしっかりとり心地よく過ごせているという肯定的な表現に変換しています。ご家族の預けている罪悪感を和らげる効果があります。
少し頑張ったことや成長が見られたとき
何かができるようになった時、つい結果だけを書いてしまいがちです。しかし、専門職としての腕の見せ所は、その結果に至るまでのプロセスや、本人の心の葛藤をどう読み取るかにあります。
できた結果を褒めるのはもちろんですが、できるようになろうと頑張った姿勢や、気持ちを切り替えた過程を丁寧に伝えてみましょう。
イマイチ結果だけを伝える
今日は自分でお片付けができました。えらかったですよ。
理由:悪くはありませんが、普段の様子が見えにくく、感動が薄くなってしまいます。
GOOD保育現場:葛藤と心の成長を伝える
お片付けの時間、最初はまだ遊びたい様子で少しだけ涙ぐんで葛藤していましたが、ご自身で「おしまい」と区切りをつけておもちゃ箱にナイナイできました。自分の気持ちに折り合いをつけられたことに大きな成長を感じ、私まで嬉しくなってたくさん褒めました。
深掘り:すんなりできたわけではなく、泣きたい気持ちを我慢したという裏側のストーリーを書くことで、親は我が子の見えない努力を知り、深く感動します。
GOOD介護現場:前向きな姿勢を伝える
リハビリ体操の時、いつもは少し痛がられる肩の運動ですが、今日は「いち、に」とご自身で声に出しながら最後までしっかりと取り組まれていました。少しでも良くしようとする前向きなお姿に、私たちスタッフもパワーをいただきました。
深掘り:機能が回復したかどうかという結果ではなく、辛いことにも自ら取り組もうとする心のエネルギーに焦点を当て、ご家族と喜びを共有しています。
お友達や他の利用者との関わりがあったとき
集団生活の中で、ご家族が一番気にしているのは他者との関わりです。お友達を叩いていないか、他の利用者さんに迷惑をかけていないか、常にハラハラしています。
だからこそ、他者への優しさや、和やかな関わりが見られた時は、絶好の連絡帳チャンスです。ご家族が一番安心するポイントを具体的に伝えていきましょう。
イマイチ抽象的な報告
今日はお友達と仲良く遊べていましたよ。
理由:何をしてどう仲良くしていたのか映像が浮かばず、ご家族の安心感には繋がりません。
GOOD保育現場:相手への優しさを描写する
おやつの時間、隣のお友達のコップが倒れそうになった時、サッと手を出して支えてくれました。お友達に「ありがとう」と言われて、少し照れくさそうにしているお顔がとても微笑ましかったです。周りをよく見て、優しい心が育っていますね。
深掘り:我が子が他者に優しくできているという事実は、親にとって何よりの誇りであり、最高に安心できるエピソードです。
GOOD介護現場:他者との温かい交流を伝える
レクリエーションの折り紙の際、隣のお席の方が折り方に迷われていると、「ここはこうやって折るのよ」と手本を見せながら優しく教えてくださいました。教えられた方も大変喜んでおられ、ご本人も得意げな表情を見せてくださり、とても和やかな雰囲気でした。
深掘り:施設という集団生活の中で、孤立せずに自分の役割や居場所を見つけていることが伝わり、ご家族の不安を払拭できます。
一番悩む ネガティブな出来事を伝えるときの書き方

現場で最もペンが重くなるのが、ケガや体調不良、利用者同士のトラブルなど、ネガティブな出来事を報告しなければならない時です。どう書けば怒られないだろうか、と不安になるお気持ちはとてもよくわかります。
しかし、実はこのネガティブな報告の時こそが、ご家族との信頼関係を深める最大のチャンスでもあります。誠実で配慮の行き届いた連絡帳は、クレームを防ぐだけでなく、この施設に任せておけば安心だという絶大な信頼に変わります。ここでは、絶対に外してはいけない鉄則と具体的な書き方をお伝えします。
ケガや体調不良を伝える時の鉄則
ケガや急な発熱などを伝える際、一番やってはいけないのが「専門職の勝手な推測」を書くことです。
私たち保育士や介護福祉士は医師ではありません。そのため、おそらく風邪だと思います、ただの擦り傷なので大丈夫だと思いますといった素人判断や推論を連絡帳に書くことは、絶対に避けなければなりません。後から重大な疾患や骨折が判明した場合、施設側の判断ミスとして大きなトラブルに発展します。
ケガや体調不良を伝える時の鉄則は、事実のみを正確に伝えること、そして謝罪、原因、処置、今後の対策をセットで書くことです。
国の指針による裏付け
厚生労働省のガイドラインや各指定基準においても、事故や急病発生時のご家族への速やかな連絡と、客観的な事実に基づいた説明が厳しく求められています。推測を交えない正確な記録は、ご家族への誠意であると同時に、施設と職員自身を守るための重要な盾にもなります。
NG推測や素人判断が入った報告
お昼寝の後に少しおでこが熱かったですが、機嫌は良いのでただの疲れだと思います。様子を見てあげてください。
理由:ただの疲れという根拠のない判断は非常に危険です。受診の機会を遅らせる原因にもなります。
GOOD客観的事実と処置のみを伝える
14時のお目覚めの際にお体が熱く、検温すると38.2度ありました。すぐにお電話でお伝えできず申し訳ありません。水分はしっかりと摂れており、現在は看護師の見守りのもと静かにお布団で休まれています。ご帰宅後、念のためかかりつけ医にご相談いただけますと幸いです。
深掘り:時間、体温、現在の水分摂取量という客観的な数値と事実のみを記載し、施設内で安全に処置していること、そして医療機関への受診を促すという完璧な流れです。
トラブルを伝える時の配慮
お友達を噛んでしまった、他の利用者さんと口論になってしまったなど、相手がいるトラブルの報告はさらに気を使います。ここで絶対に守るべき配慮は、相手の個人情報を出さないことと、どちらか一方を悪者にしないことです。
〇〇ちゃんに叩かれましたというような直接的な表現は、保護者同士のトラブルの火種になります。また、施設内でのトラブルは、未然に防げなかった施設側の見守り不足が根本にあります。そのため、まずは職員の仲介が遅れたことへの謝罪を必ず入れることが、ご家族の怒りを鎮めるための重要なクッションになります。
NG一方を責め、相手の名前を出してしまう
おもちゃの取り合いになり、〇〇くんに腕を噛まれてしまいました。冷やしたので大丈夫です。
理由:ご家族の怒りの矛先が相手の子どもに向かってしまいます。また、施設としての責任感が感じられません。
GOOD施設側の責任に触れ、双方の気持ちに寄り添う
本日は痛い思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。ブロック遊びの途中でお友達と同じおもちゃを使いたくなり、トラブルになってしまいました。私たちの仲介が間に合わず反省しております。すぐに冷やして処置を行い、お互いに「ごめんね」とタッチをして、その後はまた一緒に遊ぶことができました。明日からはより一層見守りを強化してまいります。
深掘り:相手を匿名にし、職員の配置不足への謝罪と今後の対策を明記しています。お互いの関係が修復できていることまで伝えると、ご家族は安心します。
言い回しを変えるだけで印象は大きく変わる
日々の生活の中で、どうしても気になる行動や、少し手を焼いてしまう場面は誰にでもあります。しかし、それをそのままネガティブな言葉で連絡帳に書いてしまうと、ご家族は深く傷つきます。
そこで活用したいのが、物事の捉え方を肯定的に変換するリフレーミングという技術です。言葉の視点を少し変えるだけで、マイナスに見えていた行動が、その人らしさというプラスの側面に変わります。
現場ですぐに使えるポジティブ変換表
- 落ち着きがない → 好奇心が旺盛で、色々なものに興味を持っている
- 頑固で言うことを聞かない → ご自身の意思をしっかりと持っておられる
- 神経質で気にしすぎる → 周りの変化に気づける繊細で優しい心を持っている
- 集団行動ができない → 自分のペースを大切にして、じっくり物事に取り組める
ネガティブな出来事や気になる行動をお伝えする時こそ、専門職としての温かい眼差しと思いやりが最も試される瞬間です。言葉を丁寧に選ぶことで、ピンチを大きな信頼関係の構築へと変えていきましょう。
信頼をさらに深める「返信のコツ」と守るべき適切な距離感
連絡帳を書いていて、実は一番緊張するのが「ご家族からのメッセージへの返信」ではないでしょうか。時には深刻な悩みや、施設への要望、あるいは日々の愚痴のような内容が書かれていることもあります。
どう返せば正解なのか、どこまで踏み込んでいいのか。ここでは、ご家族との絆をさらに深めるための「返信のコツ」と、プロとして守るべきマナーについて深掘りします。
ご家族からのメッセージにどう返信するか
ご家族が連絡帳に何かを書いてくださる時は、あなたを信頼して「聞いてほしい」というサインを出している時です。まずはその気持ちを丸ごと受け止めることから始めましょう。
返信に迷った時は、以下のステップを意識してみてください。
返信の3ステップ
1. 受容と共感:「昨夜は大変でしたね」「お疲れ様でした」と、まずはご家族の労をねぎらいます。
2. 現場での様子を繋げる:「今日はその分、お昼寝でぐっすり休まれましたよ」と、家庭の状況を汲んだケアをしたことを伝えます。
3. 寄り添いの姿勢:「いつでもお話聞きますので、無理しないでくださいね」と、味方であることを伝えます。
馴れ馴れしさと親しみやすさを混同しない
信頼関係が築けてくると、ついつい言葉遣いが崩れてしまったり、プライベートな内容に踏み込みすぎたりしてしまうことがあります。しかし、連絡帳はあくまで「公的な文書」であることを忘れてはいけません。
特に、ご家族の家庭環境やプライバシーに関わる情報を書く際は、細心の注意が必要です。サービス管理責任者として多くのスタッフを見てきましたが、仲良くなった後の「一言」が火種になってしまうケースは少なくありません。
プロとしての境界線
「昨日スーパーで見かけましたよ!」「お父さんと喧嘩したって聞きました」といった内容は、親しみを込めたつもりでも、人によっては「監視されている」「家庭内に踏み込まれた」と不快に感じる場合があります。
連絡帳には、あくまで「本人の支援に繋がる情報」を中心に記載し、プライベートな話題は対面での立ち話など、状況に合わせて使い分けるのがプロの立ち振る舞いです。
温かい言葉を届けつつも、相手を尊重する「適切な距離感」を保つこと。これが、長く良好な関係を続けるための秘訣です。
信頼を失う絶対にやってはいけないNGな書き方
ここまで、ご家族に安心してもらうための書き方をお伝えしてきました。しかし、どんなに良いエピソードを書いても、たった一つのNGな表現で、築き上げた信頼が一瞬にして崩れてしまうことがあります。
特に、良かれと思って書いたことが、ご家族を深く傷つけてしまうケースは現場で後を絶ちません。ここでは、忙しいと無意識のうちにやってしまいがちな、絶対に避けるべきNGな書き方とその改善策をお伝えします。
一方的な報告や要望の押し付けになっている
「爪を切ってきてください」「夜はもっと早く寝かせてください」「お着替えの補充をお願いします」といったご家庭への要望は、書き方に細心の注意が必要です。
現場の私たちからすれば、安全な生活のための事務的なお願いかもしれません。しかし、毎日必死に子育てや介護をしているご家族がこれを読むと、「家でのケアができていない」「ダメな親(家族)だ」と激しく責められているように感じてしまいます。
お願いをする時は、決して相手をコントロールしようとせず、「一緒に見守っていきましょう」というスタンスを伝えることが大切です。
NG一方的な命令になっている
爪が伸びていて危険なので、ご自宅で切ってきてください。
理由:正論ですが、相手の状況への配慮がなく、冷たく突き放された印象を与えます。
GOOD相手を気遣うクッション言葉を添える
今日、お外で遊んでいる時に爪が少し伸びていることに気がつきました。お友達とぶつかった時にケガにつながってしまうかもしれないので、週末お時間がある時にご自宅でもご様子を見ていただけると助かります。いつもご協力ありがとうございます。
深掘り:「お時間がある時に」「見ていただけると助かります」といった柔らかい表現に変え、最後にお礼を添えることで、ご家族は素直に受け入れることができます。
専門用語ばかりで伝わらない
保育や介護の現場に長くいると、職員同士の会話の延長で、無意識のうちに連絡帳にも専門用語を使ってしまいます。しかし、ご家族は福祉の専門家ではありません。
国の指針による裏付け
厚生労働省が定めるサービス提供の基本方針においても、利用者やご家族に対する「分かりやすい説明」が明記されています。どれほど質の高い支援をしていても、言葉が難しくて伝わらなければ、それは支援していないのと同じことになってしまいます。
専門用語を使わずに、中学生でも情景が思い浮かぶような日常の言葉に噛み砕いてお伝えすることが、プロとしての誠実な対応です。
現場でよくある専門用語の言い換え表
- 傾眠傾向にあります → うとうとと眠られている時間が多かったです
- 離床時間が短かったです → ベッドから起きて過ごされる時間が少なかったです
- 微細運動が上手になりました → 指先を使った細かい遊びがとても上手になりました
- 執着が見られました → 〇〇のおもちゃをとても気に入って、ずっと大切そうに遊んでいました
事務的で冷たい印象を与えてしまう
複数の連絡帳を急いで書いていると、つい事実だけを箇条書きにしたり、「特になし」「変わりありません」といった定型文だけで済ませてしまいたくなることがあります。
しかし、これを毎日受け取るご家族は、「施設で本当はどう過ごしているのだろう」「うちの子(親)に関心がないのかな」と孤独感や不信感を抱くようになります。連絡帳は業務日報ではありません。
NG記号や定型文だけの報告
(食事:全量摂取、排泄:あり、機嫌:良)本日は変わりなく過ごされました。
理由:冷たい印象を与え、預けている家族の温かい気持ちをすり減らしてしまいます。
GOOD人間味のある温かい一文を添える
今日も変わりなく、穏やかな一日でしたよ。お食事もしっかりと全量召し上がられ、その後は窓辺で日向ぼっこをしながら気持ちよさそうに微笑んでいらっしゃいました。その優しいお顔に私も癒やされました。
深掘り:特別な出来事がなくても、職員が本人の温かい表情に関心を持ち、大切に思っているという愛情が伝わります。
ほんの少し、あなたの温かい目線というスパイスを足すだけで、事務的な報告書は心を通わせる手紙に変わります。相手の顔を思い浮かべながら、血の通った言葉を届けることを意識してみてください。
忙しい業務の中で連絡帳を早く書くコツ

毎日何冊もの連絡帳を書くのは、本当に骨の折れる作業ですよね。一人ひとりに寄り添った温かい文章を書きたいという思いとは裏腹に、お迎えの時間は刻一刻と迫ってきます。
ここでは、質を落とさずに連絡帳の作成時間をグッと短縮するための、具体的な3つのコツをお伝えします。
日中のメモ書きを習慣にする
文章を書くのに一番時間がかかるのは、何を書くか思い出す時間です。夕方の忙しい時間に、午前中の出来事をゼロから引っ張り出すのは至難の業です。
解決策は、日中に小さなメモ帳を持ち歩き、気づいた瞬間にキーワードだけを書き留めておくことです。サッと取り出せる胸ポケットサイズのリングノートなどがおすすめです。活動の切り替えの時や、トイレ誘導のちょっとした合間に数秒でメモする習慣をつけるだけで、連絡帳にかかる時間は半分以下になります。
NG記憶に頼って書く
夕方の忙しい時間になってから、「今日、午前中は何をして遊んでたっけ?」と他の職員に聞きながら思い出す。
理由:思い出す作業に一番時間がかかり、焦りからエピソードの内容も薄くなってしまいます。また、他の職員の手を止めることにも繋がります。
GOODキーワードだけをメモしておく
日中、ポケットに入れた小さなメモ帳に、「10時 砂場 トンネル 笑顔」「お昼寝前 少し涙」など単語だけをサッと書き留めておく。
深掘り:いざ書く時にこのキーワードを見るだけで、当時の情景がパッと鮮明に蘇り、スラスラと文章を組み立てられます。記憶の引き出しを開ける最高のカギになります。
自分なりの型を作っておく
白紙の連絡帳を前にして、どう書き始めようと悩む時間はもったいないです。文章の構成(型)をあらかじめ自分の中で決めておくと、パズルをはめ込むように早く書くことができます。
型を持つことの隠れたメリットは、日によって文章量やトーンがブレなくなることです。誰が読んでも安定したクオリティの文章になるため、施設としての信頼感も上がります。
迷わないための文章構成の黄金比(1:7:2)
- 1割:ポジティブな書き出し (登所時の様子や、元気なご挨拶など)
- 7割:メインエピソード (メモしておいた日中の具体的な様子、専門職としての見立て)
- 2割:結び・気遣いの一言 (ご自宅での様子への質問や、週末へのねぎらい)
この3つのブロックの配分を意識して、先ほどのメモ書きのキーワードをメインエピソードに当てはめていくだけで、読みやすく温かい連絡帳があっという間に完成します。
連絡帳アプリの導入
近年はICT化が進み、紙の連絡帳からスマートフォンやタブレットで入力できる連絡帳アプリへの移行も急速に進んでいます。もし職場で導入の検討ができる環境であれば、これほど業務効率化と質の向上に直結するものはありません。
手書きの温もりも大切ですが、職員の負担が減り、その分利用者と向き合う時間が増えるのであれば、アプリの導入は現場にとってもご家族にとっても非常に大きなメリットになります。日々の業務に追われている方は、施設長や管理者へこうしたツールの活用を提案してみるのも一つの有効な手段です。
まとめ 連絡帳は信頼を築く最高のコミュニケーションツール
ここまで、保護者やご家族に安心してもらえる連絡帳の書き方と、具体的な言い回しについてお伝えしてきました。
毎日時間に追われる中で、連絡帳を「こなさなければならない業務」と感じてしまうことは誰にでもあります。どう書けばクレームにならないだろうか、と不安な気持ちでペンを握る日もあるでしょう。
しかし、視点を少し変えてみてください。連絡帳は、ご家族の不安を取り除き、あなた自身と施設への絶大な信頼を築き上げるための「最高のコミュニケーションツール」なのです。
今回ご紹介した「ポジティブな言葉から始める」「事実と専門職の見立てを分ける」「ご家庭を気遣う一言を添える」という基本ルールや、ネガティブな言葉を前向きに変換するリフレーミングの技術は、明日からすぐに使えるものばかりです。
明日からの連絡帳業務を、少しでも前向きに
最初から完璧な文章を書こうとする必要はありません。まずは日中のメモ書きを習慣にし、あなたが見つけた「その人らしい素敵な瞬間」を一つだけ書き留めることから始めてみてください。その小さな気づきが、ご家族の心を打つ最高のエピソードになります。
毎日現場で奮闘し、対象者だけでなくそのご家族の人生までをも支えているあなたの仕事は、本当に尊く素晴らしいものです。この記事が、あなたの毎日の連絡帳業務の負担を少しでも軽くし、ご家族との温かい絆を結ぶためのお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。


