報酬改定、障害児支援24論点と介護5サービスの対応案(今週のまとめ)|10月10日の福祉ニュース
今日は土曜日で、厚生労働省・こども家庭庁とも福祉分野の新しい発表はありません。厚生労働省の10月9日付の報道発表は3件で、福祉にかかわるのは昨日の記事で取り上げた過労死等防止対策白書だけでした。
そこで今日は、今週(10月5日〜9日)に記事にした話を、出た日ではなくテーマで3つに組み直しました。報酬改定、身寄りや後見をめぐる「線引き」、働く側と処分です。最後に、これから締切や開催が来るものを日付順に並べています。並べてみると、障害児支援と介護の報酬改定案が、同じ週にそろって「人を何人置いたか」から「誰を受け入れ、どこにつないだか」を見る方向へ動いていました。行き着く先は、その「受け入れ」と「つなぎ」を、日々の記録で示せるかどうかです。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①報酬改定 (障害児・介護) |
5日に障害児支援の24論点、9日に介護の5サービスの対応案。どちらも「受け入れ」と「地域とのつなぎ」を評価する案が入った | 検討中 (変わり得る) |
| ②身寄り・後見の線引き | 死後事務支援などを第二種社会福祉事業にする改正法(令和8年法律第51号)の実務説明。生活保護は4つの加算の検証方法案。10月13日は成年後見の専門家会議 | 法律は確定 加算・予算は検討中 |
| ③働く側と処分 | 精神障害の労災請求で社会福祉・介護事業が706件と業種別1位。取手市はBCP未策定減算をかけずに請求した事業所に6か月の一部効力停止 | 公表済み |
| ④これからの締切・催し | 10月13日の専門家会議から11月30日締切の助成まで7件 | 10月13日〜 |
決まっているのは、②の改正社会福祉法と民法改正、③の白書と処分、④の日程です。①の論点・対応案、②の生活保護の検証方法と市町村向け事業(概算要求)は、資料にも今後の議論で変わり得る形で書かれています。
①検討中報酬改定、5日は障害児支援24論点・9日は介護5サービス。次回の日程は10月9日時点で未掲載
今週どこまで進んだか
厚生労働省は今週、障害と介護の両方で、令和9年度の報酬改定に向けた具体的な案を出しました。障害は10月5日の障害福祉報酬改定検討チーム第65回(こども家庭庁と合同)で障害児支援、介護は10月9日の社会保障審議会介護給付費分科会第269回で、定期巡回など5つのサービスです。
| 日付・会議 | 出たもの | 働く側・体制にかかわる主な案 |
|---|---|---|
| 10月5日(月) 障害福祉報酬改定検討チーム 第65回 |
障害児支援の論点24(全般3、児童発達支援・放課後等デイサービス12、居宅訪問型1、保育所等訪問支援2、入所施設6)。資料は191ページ | 児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を統合し、支援ニーズの高いこどもの受入れ状況なども含めて評価する新加算/「基礎・実践研修」を令和9年度から運営基準に位置付け/法定休暇で配置基準を割るときの人員基準の扱いの見直し |
| 10月9日(金) 介護給付費分科会 第269回 |
定期巡回・夜間対応型訪問介護、小規模多機能、看護小規模多機能、認知症グループホームの「改定の方向性」(資料1〜4) | 夜間対応型の統合(猶予は令和11年3月まで)に向け、24時間の通報・相談対応と日中の支援を行う定期巡回の評価/身寄りのない独居高齢者などを地域の多様な主体とつなぐ体制の評価(小多機・看多機)/グループホームの地域づくりにつながる取組の評価 |
出典:障害福祉報酬改定検討チーム 第65回資料「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和8年10月5日)、第269回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1〜4(令和8年10月9日)
24論点の数字と検討の方向性は10月5日の記事で区分ごとに表にしています。介護の5サービスの対応案と調査の数字は10月9日の記事で整理しました。
並べて見えること
障害と介護は別の会議ですが、案の向きがそろっていました。障害児支援の資料は、児童指導員等加配加算を児童発達支援の約8割、放課後等デイサービスの約9割の事業所が算定していることを挙げ、職種や経験年数だけでなく、受け入れているこどもの状況などを総合的に見る加算に組み替える案を出しています。介護の小多機・看多機では、身寄りのない独居高齢者などを生活支援や権利擁護の担い手とつなぐ体制を評価する案です。
どちらも「資格を持つ人を何人置いたか」より、「どんな人を受け入れ、外のどこにつないだか」を見ようとしています。個人的には、ここが改定全体のいちばん大きな流れだと感じています。人の数は勤務表で示せますが、受け入れやつなぎは、支援記録や会議録でしか示せません。単位数や要件はまだ出ていない段階なので、いまのうちに、受け入れの判断や関係機関との連絡が記録に残っているかを見ておくと、案が要件になったときに慌てずに済みます。
来週どこを見るか
厚生労働省の「審議会・研究会等開催予定一覧」(10月9日現在)には、10月12日〜23日の分として、障害福祉報酬改定検討チームと介護給付費分科会の次回は載っていません。どちらの開催一覧ページにも、次回の案内はまだ出ていません。今週の2回は、第65回が5日前の9月30日、第269回が前日の10月8日に開催案内が出ていました。来週は、まず案内が出るかどうかと、その議題がどのサービスかを見ることになります。
②確定・検討中身寄りと後見の線引き、死後事務支援は第二種社会福祉事業に。10月13日は成年後見の専門家会議
今週どこまで進んだか
今週は、家族が担ってきた支えを制度の側でどう引き受けるか、という話が3つ続きました。
| 日付 | どこが | 中身 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 10月6日(火) | 社会保障審議会 生活保護基準部会(第62回) | 児童養育加算・母子加算・冬季加算・期末一時扶助の検証方法の案。母子加算(児童1人・在宅・1級地)は現在月額18,800円。名称の見直しも検討する案 | 検討中(加算額は未変更) |
| 10月7日(水)公開 (セミナーは9日) |
厚生労働省老健局(第188回市町村セミナー 行政説明) | 日常生活支援・入院入所の手続支援・死後事務支援を第二種社会福祉事業に位置付ける改正法(令和8年法律第51号)の説明。市町村向け支援事業は令和9年度概算要求(地域支援事業1,858億円の内数+事項要求) | 法律は確定 予算は要求段階 |
| 10月13日(火)14:00〜16:00 | 成年後見制度利用促進専門家会議(第23回) | 議題は成年後見制度の見直し等を踏まえた権利擁護支援。前提の民法改正(令和8年法律第45号)で、法定後見の後見・保佐は補助に一元化。YouTubeでライブ配信 | 開催は確定 |
出典:第62回社会保障審議会生活保護基準部会 資料2(令和8年10月6日)、第188回市町村セミナー 行政説明1(厚生労働省老健局、令和8年10月7日公開)、第23回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内(令和8年10月6日掲載)、法務省「民法等の一部を改正する法律について」
生活保護の4つの加算は10月6日の記事、身寄りのない高齢者等の相談体制は10月8日の記事で、それぞれ資料の数字ごと表にしています。
並べて見えること
3件と①の小多機の案を並べると、一つの組み立てが見えてきます。死後事務や入院手続の受け皿は社会福祉法の側で事業として作り、相談の入口は地域包括支援センター・生活困窮者の自立相談支援・障害者相談支援の3つに置く。判断能力が落ちたときの支えは、後見・保佐・補助の3段階から、必要な範囲だけ使う補助に一本化する。そして介護報酬では、そこへ利用者をつなぐ事業所を評価する、という分担です。
市町村セミナーの資料は、ケアマネジャーが救急車への同乗や死後の手続きを「法定外業務」として引き受けている実態をはっきり書いていました。障害者相談支援事業も入口として名前が挙がっているので、高齢分野だけの話ではありません。13日の専門家会議では、改正の中身を地域の支援にどう落とすかが議題です。相談支援専門員やケアマネジャーが家族に説明するときにどんな言葉が使えるか、資料の書き方を見ておきたいところです。
③公表済み働く側と処分、精神障害の労災請求は社会福祉・介護事業が706件で業種別1位。取手市は一部効力停止6か月
今週どこまで進んだか
福祉で働く人の側の数字と、事業所の書類をめぐる処分も今週出ました。こどもの居場所での事案も1件あります。
| 公表日・どこが | 中身 | 段階 |
|---|---|---|
| 10月9日 政府・厚生労働省 |
令和8年版 過労死等防止対策白書。令和7年度の精神障害の労災請求は「社会保険・社会福祉・介護事業」が706件、支給決定が151件で、どちらも業種別(中分類)で1位。「医療、福祉」の労災決定は出来事の類型別で「対人関係」が最多 | 公表済み(閣議決定) |
| 10月9日 茨城県取手市 |
地域密着型通所介護・第1号通所事業に、指定の一部効力停止6か月(新規受入停止・報酬上限7割、令和9年4月8日まで)。業務継続計画を策定しないまま未策定減算をかけずに請求したことなどが理由。返還額は25,330円 | 処分決定 |
| 10月6日 横浜市こども青少年局 |
放課後キッズクラブ1か所で、児童40〜50人程度の盗撮被害が疑われる事案。市は全クラブに、職員の私用端末を児童の活動場所に持ち込まないよう周知 | 公表済み(警察が捜査中) |
出典:令和8年版 過労死等防止対策白書 第1章(令和8年10月9日公表)、取手市「市指定事業者に対する行政処分について」(令和8年10月9日)、横浜市こども青少年局 記者発表資料(令和8年10月6日)
横浜市の件の経過と市の指導内容は10月6日の記事、白書の数字と取手市の処分理由は10月9日の記事に書いています。
並べて見えること
3件はばらばらに見えますが、どれも「決めていなかったこと」が後から問われています。取手市の件は、返還額が2万5千円ほどでも、BCPがないのに減算をかけなかったことが不正請求として扱われ、6か月の新規受入停止になりました。横浜市の件では、私物のスマートフォンを活動場所に持ち込むかどうかのルールが、事案のあとで全クラブに示されました。白書の数字は、職員が傷つく原因の最多が長時間労働ではなく「対人関係」だったことを示しています。
個人的には、今週の3件から自分の事業所で点検できるのは3つだと感じています。BCP(感染症と自然災害)の策定日を書類で示せるか。こどもや利用者を撮る端末と、撮った画像の保存先が決まっているか。ハラスメントや対人関係の相談を受けたあと、誰が何をするかが管理者一人に寄っていないか。どれも、何か起きてから作り直しても遅い書類です。12月25日にはこども性暴力防止法の施行も控えています。
④10月13日〜これから締切・開催が来るもの、7件を日付順に
何が出ているのか
今週の記事で取り上げた会議・催し・助成のうち、今日の時点でまだ先にあるものを日付順に並べ直しました。日時・費用は各主催者ページの表記のままです。
| 日付 | 名称(主催) | 中身 | 申込 |
|---|---|---|---|
| 10月13日(火)14:00〜16:00 | 第23回成年後見制度利用促進専門家会議(厚生労働省) | 制度の見直しを踏まえた権利擁護支援が議題。会場傍聴は受け付けず、YouTubeでライブ配信 | 不要(配信を視聴) |
| 10月14日(水)〜20日(火) | 「CHIYODAアートプログラム」展(東京都千代田区ほか) | 認知症の人の社会参加を研究するプログラムの作品展。明治大学中央図書館ギャラリー、入場無料 | 不要 |
| 10月16日(金) | TOKYOみみカレッジ2026の合理的配慮の事前相談(東京都) | この日までに申し込むと、より万全の対応が可能。期限後も相談はできる | 事前相談窓口へ連絡 |
| 10月21日(水)〜25日(日) | 第12回 障がい者文化芸術作品展(長野県飯田市社会福祉協議会) | 飯田市美術博物館 市民ギャラリー | 不要 |
| 11月3日(火・祝)10:00〜16:00 | TOKYOみみカレッジ2026(東京都) | 日本大学文理学部キャンパス(世田谷区)。入場無料、メインステージはライブ配信。ミニ講座などは事前予約 | 入場は不要(一部予約制) |
| 11月7日(土)〜10日(火) | ねんりんピック彩の国さいたま2026(第38回全国健康福祉祭埼玉大会) | 美術展は応募493点から78点の入賞が決定済み | ― |
| 11月30日(月)締切 | 「子育ての『壁』を乗り越えるプロジェクト」助成(社会福祉法人群馬県共同募金会) | 総額300万円(予定)、3〜5件程度。群馬県内で1年以上活動する非営利団体。財源はコープぐんまのはがき・切手回収の寄付 | 共同募金会のページから申請 |
出典:厚生労働省 第23回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内、千代田区 報道発表(令和8年10月7日)、TOKYOみみカレッジ2026 特設サイト(10月10日確認)、飯田市社会福祉協議会(10月6日)、厚生労働省 ねんりんピック美術展の決定について(令和8年10月8日)、群馬県共同募金会 助成ページ(10月10日確認)
現場にどう効いてくるか
いちばん近いのは13日の専門家会議です。会場での傍聴はできず、配信で見る形なので、相談支援や地域包括の担当者は、資料が出たら②の改正社会福祉法の説明と並べて読むのが早いと思います。
群馬県共同募金会の助成は、群馬県内で活動する子育て支援の団体に限られますが、財源が家庭に眠っていた未使用のはがきや切手の寄付だという点は、ほかの地域でも真似できる仕組みです。千代田区と飯田市の作品展は、①で見た「地域とつながる取組」の具体的な形として、利用者の創作活動をどこで見せるかを考える材料になります。
今週のまとめ
今週の3つのテーマを並べると、どれも「つなぐ先」と「残す記録」の話でした。報酬改定は、受け入れたこどもや、地域の資源につないだ高齢者を評価する案に動き始めました。身寄りや後見の線引きは、家族が担ってきた支えを、事業と相談の入口として制度の側に移す組み立てです。処分と白書は、BCPや端末のルール、相談の受け止め方といった、決めておかなかったことが後から問われることを示しました。案の段階の話も、いま手元の記録がそれを示せる形になっているかを先に見ておくと、要件が出たときに動きやすくなります。
次に見ておきたい日程です。
- 2026年10月13日(火)14:00〜16:00……第23回成年後見制度利用促進専門家会議。YouTubeでライブ配信(ここは決まっています)
- 2026年10月16日(金)……TOKYOみみカレッジ2026の合理的配慮の事前相談の目安日
- 2026年10月17日(土)10:00……長野県社会福祉表彰(知事表彰)の表彰式(ここは決まっています)
- 未定……障害福祉報酬改定検討チーム・介護給付費分科会の次回(10月9日時点の開催予定一覧には未掲載)
- 2026年11月30日(月)……群馬県共同募金会「子育ての『壁』を乗り越えるプロジェクト」助成の申請締切
- 2026年12月25日(金)……こども性暴力防止法の施行(ここは決まっています)
- 2027年4月1日……改正社会福祉法の主な施行日、令和9年度報酬改定の予定時期
- 2027年4月8日……取手市の処分による一部効力停止の終了日
参考にした一次情報
| 資料 | 出どころ |
|---|---|
| 第65回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料 | 厚生労働省(令和8年10月5日) |
| 障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫(PDF) | 厚生労働省・こども家庭庁(令和8年10月5日) |
| 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(開催一覧) | 厚生労働省(10月10日確認) |
| 第269回社会保障審議会介護給付費分科会 資料 | 厚生労働省(令和8年10月9日) |
| 社会保障審議会(介護給付費分科会)開催一覧 | 厚生労働省(10月10日確認) |
| 審議会・研究会等開催予定一覧 | 厚生労働省(令和8年10月9日現在) |
| 第62回社会保障審議会生活保護基準部会 資料 | 厚生労働省(令和8年10月6日) |
| 第188回市町村セミナーの資料について | 厚生労働省(令和8年10月7日) |
| 行政説明1 地域における頼れる身寄りがいない高齢者等に係る相談支援体制の整備について(PDF) | 厚生労働省老健局(令和8年10月7日公開) |
| 第23回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内 | 厚生労働省(令和8年10月6日掲載) |
| 民法等の一部を改正する法律について | 法務省 |
| 「令和8年版 過労死等防止対策白書」を公表します | 厚生労働省(令和8年10月9日) |
| 報道発表資料 2026年10月 | 厚生労働省(10月10日確認) |
| 市指定事業者に対する行政処分について | 取手市(令和8年10月9日) |
| 放課後キッズクラブにおける盗撮被害が疑われる事案の発生について | 横浜市こども青少年局(令和8年10月6日) |
| 「CHIYODAアートプログラム」展を開催 | 千代田区(令和8年10月7日) |
| TOKYOみみカレッジ2026 特設サイト | 東京都(10月10日確認) |
| 第12回 障がい者文化芸術作品展 を開催します! | 飯田市社会福祉協議会(2026年10月6日) |
| 第38回全国健康福祉祭埼玉大会の開催及び美術展における厚生労働大臣賞等の決定について | 厚生労働省(令和8年10月8日) |
| 「子育ての『壁』を乗り越えるプロジェクト」助成 | 社会福祉法人群馬県共同募金会(10月10日確認) |
| 令和8年度社会福祉表彰(知事表彰)の表彰式を実施します | 長野県(令和8年10月9日) |
①の障害児支援の論点と介護の対応案、②の生活保護の加算の検証方法と市町村向け支援事業(概算要求)は、検討チーム・分科会・部会に示された案の段階で、資料にも今後の議論で変わり得ると明記されています。③の横浜市の件は警察が捜査中で、市の発表も「疑われる事案」の段階です。④の催し・助成の条件は各主催者のページで最新の記載をご確認ください。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


