身体拘束廃止未実施減算を回避!運営指導クリアの書類3選とテンプレート
1. そもそも「身体拘束廃止未実施減算」とは?【令和6年度報酬改定対応】
2024年(令和6年度)の報酬改定で、障害福祉の現場に激震が走りました。それが身体拘束廃止未実施減算の超・厳格化です。
背景にあるのは、後を絶たない虐待事案です。これまでは「改善計画書を出せば許される」という風潮がありましたが、これからは「要件を満たさない=虐待リスクあり=即座に報酬カット」という厳しい運用に変わりました。
1. そもそも「身体拘束廃止未実施減算」とは?【令和6年度報酬改定対応】
2024年(令和6年度)の報酬改定で、障害福祉の現場に激震が走りました。それが身体拘束廃止未実施減算の超・厳格化です。
背景にあるのは、後を絶たない虐待事案です。これまでは「改善計画書を出せば許される」という風潮がありましたが、これからは「要件を満たさない=即座に報酬カット」という厳しい運用に変わりました。
行政は本気です。「知らなかった」では済まされない、事業所の存亡に関わるリスクを正しく理解しましょう。
経営を揺るがす「10%減算」の衝撃と適用条件
今回の改定で最も恐ろしいのは、定額減算ではなく「基本報酬全体からのパーセンテージ減算」になった点です。
- 施設系(入所・GH・生活介護等)
基本報酬の10%減算 - 通所系(就労・放デイ等)
基本報酬の1%減算
⚠ 恐怖の「遡り返還」シミュレーション
月間報酬500万円のグループホームで、運営指導により「2年前から要件を満たしていない」と判定された場合。
- 単月損失:50万円(常勤職員2名分が消滅)
- 年間損失:600万円
- 返還請求額:1,200万円(過去2年分)
※悪質な場合は指定取消処分の対象となり、事業継続が不可能になります。
「知らなかった」では済まされない!
運営指導でチェックされる4つの要件
減算を回避するためには、以下の4要件を「実効性のある形で」運用しなければなりません。書類があるだけでは不十分です。
✔ 運営指導員が見る「4つの急所」
「他施設のコピペ」は即バレます。自所のサービス形態に即した具体的記述が必要です。
「集まりました」だけでは無意味。議題に必ず「身体拘束」を含め、第三者委員の参加が推奨されます。
最大の落とし穴は「新規採用職員への研修漏れ」です。全職員の受講記録が必須です。
「誰が、いつ、なぜ」に加え、「解除に向けた検討経緯」がないとアウト。「漫然と続けていないか」が最大の争点です。
どこからが身体拘束?
現場で判断に迷う「グレーゾーン」の定義
「うちは拘束なんてしてないよ」という事業所ほど危険です。行政の解釈は広く、「利用者の自由を制限する行為」はすべて拘束とみなされます。
⚠ これらは全て「身体拘束」です
- ❶ フィンガー・ナックル(ミトン)
- 「抜管防止」だとしても、手続きなしでは違法です。
- ❷ Y字型拘束帯・腰ベルト・車椅子テーブル
- ポイントは「自分で外せるか」。外せないなら100%身体拘束です。
- ❸ つなぎ服(介護衣)
- 弄便やオムツ外しを防ぐための衣服。着脱の自由を奪う行為です。
- ❹ スピーチロック(言葉による拘束)
- 「ちょっと待って!」「座ってて!」という強い口調の制止は心理的虐待です。
- ❺ ドラッグロック(薬物による拘束)
- 職員の都合で、過剰な向精神薬により利用者を鎮静させる行為です。
これらを行うこと自体が即座に悪というわけではありません。命を守るために「緊急やむを得ない場合」は存在します。
問題なのは、「切迫性・非代替性・一時性」の手続きを踏まず、記録も残さずに、慣例として行っていることです。
\ 運営指導完全攻略! /
記事にそのまま使える「テンプレート」掲載


2. 【必須書類①】身体拘束等の適正化のための指針(完全防衛版)
減算回避のための最初のステップは、事業所の憲法とも言える「指針(ガイドライン)」の整備です。
はっきり申し上げます。「ネットに落ちている雛形をとりあえずファイルに綴じておけばいい」という考えは捨ててください。運営指導員は、指針の文言と現場の実態に1ミリでもズレがあれば、そこを徹底的に突いてきます。
ここでは、行政のチェックポイントを全て網羅し、かつ実務で運用可能なレベルまで落とし込んだ「完全防衛版テンプレート」を公開します。
運営指導員は「ここ」を見る!指針チェックの裏側
テンプレートを使う前に、彼らが何をチェックしているかを知っておきましょう。敵の手の内を知ることが最大の防御です。
✔ 指導員の「心の中のチェックリスト」
「管理者が決める」ではアウトです。必ず「委員会」や「支援会議」といった合議体で決定するプロセスが明記されているかを見ます。
抽象的な表現は好まれません。「自傷・他害のリスク」「生命の危険」など、3要件(切迫性・非代替性・一時性)に触れているかが勝負です。
重要事項説明書や運営規定にも「身体拘束」の項目があるはずです。そこの記述と、この指針の内容が食い違っていると「管理体制不備」として指導対象になります。
【コピペ推奨】身体拘束等の適正化のための指針
(令和6年度報酬改定 完全対応版)
以下のテンプレートは、厚労省のガイドラインをベースに、現場での運用リスクを排除するための文言を追加したものです。
【 】の部分を自事業所に合わせて書き換えれば、そのまま正式な書類として機能します。
身体拘束等の適正化のための指針
制定:令和〇年〇月〇日
事業所名:【〇〇〇〇】
第1条(目的・基本方針)
当事業所は、利用者の尊厳と主体性を尊重し、利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束等を行わないことを基本方針とする。
本指針は、身体拘束等の適正化及び廃止に向けた体制整備、職員の意識啓発、発生時の適切な対応手順等を定め、もって利用者への虐待防止及び良質なサービスの提供に資することを目的とする。
第2条(身体拘束等の定義)
本指針における身体拘束等とは、利用者の身体を拘束し、その行動を制限する行為全般を指す。具体的には「障害者虐待防止の手引き」等に示される以下の行為を含む。
(1) 徘徊しないように、車いすやベッド等に縛り付ける。
(2) 手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
(3) 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
(4) 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
(5) その他、利用者の意思に反して行動を制限する一切の行為。
第3条(緊急やむを得ない場合の要件)
利用者の生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合は、以下の3要件を全て満たすことを前提とする。
(1) 切迫性:利用者本人又は他の利用者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
(2) 非代替性:身体拘束等以外の方法では、当該危険を回避することが極めて困難であること。
(3) 一時性:身体拘束等は一時的なものであること。
第4条(実施の決定手続き)
1. 身体拘束等の実施は、担当職員個人の判断では行わず、【身体拘束適正化検討委員会】において組織的に検討・決定する。
2. ただし、突発的な自傷・他害行為等により、委員会を開催する時間的猶予がない場合は、管理者、サービス管理責任者、看護師等の複数の職員による協議を経て実施することができる。この場合、事後速やかに委員会へ報告し、承認を得なければならない。
第5条(記録及び説明)
1. 身体拘束等を行った場合は、その態様、時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を専用の様式に詳細に記録する。
2. 実施にあたっては(緊急時は事後速やかに)、利用者本人及び家族等に対し、内容、目的、理由、拘束期間等を説明し、十分に理解を得るよう努めるものとする。
第6条(身体拘束適正化検討委員会)
身体拘束等の適正化に向けた検討を行うため、以下の通り委員会を設置する。
(1) 構成員:管理者、サービス管理責任者、【生活支援員、看護師、第三者委員】等。
(2) 開催頻度:年1回以上とし、虐待防止委員会と一体的に開催することができる。
(3) 役割:身体拘束実施状況の把握、事例検討、指針の見直し、職員研修の企画等。
第7条(職員研修)
全職員(非常勤職員を含む)に対し、身体拘束等の適正化に関する研修を年1回以上実施する。また、新規採用職員については採用時に実施する。
第8条(指針の閲覧)
本指針は、事業所内に掲示するとともに、重要事項説明書等を通じて利用者及び家族等に周知し、求めに応じていつでも閲覧可能な状態とする。
【サビ管直伝】この書き換えが「命取り」になる!
上記のテンプレートを使う際、特に注意してほしいポイントが2点あります。ここを間違うと、せっかくの指針が逆に首を絞めることになります。
- ❶ 「虐待防止委員会と一体開催」の罠
-
第6条で「一体的に開催できる」としていますが、運営指導では「本当に身体拘束の話もしましたか?」と疑われます。
議事録のタイトルを「虐待防止委員会」だけにするのは危険です。必ず「虐待防止・身体拘束適正化検討委員会」という名称にするか、議事録内で明確に議題を分けてください。「ついで」の開催だと思われない工夫が必要です。 - ❷ 「通所」特有のリスク記述(第4条の補足)
-
就労継続支援や放課後等デイサービスの場合、最も拘束リスクが高いのは「送迎中」と「パニック時のクールダウン」です。
第4条(実施の決定手続き)の項目に、以下の文言を追加することを強く推奨します。
「送迎車内でのシートベルト以外の固定具の使用や、パニック時の静養室(カームダウンルーム)への誘導についても、身体拘束等に該当する可能性があることを認識し、同様の手続きを経て慎重に判断する。」
この一文があるだけで、「うちはリスクを理解して運用している」という強力なアピールになります。
指針が完成したら、必ず「全職員に回覧」し、読んだ証としてサインをもらってください。指針は作って終わりではなく、職員に浸透していることが要件の一つだからです。
3. 【必須書類②】適正化検討委員会&研修実施記録(鉄壁のエビデンス)
指針ができたら、次はそれを運用する「組織」と「教育」の証拠作りです。
運営指導員は、書類の山の中から「形骸化」の匂いを敏感に嗅ぎ取ります。「日付だけ変えたコピペ議事録」や「参加者が不明瞭な研修報告書」は、格好の餌食です。
ここでは、行政のツッコミを未然に封じ、減算リスクをゼロにするための「最強の議事録」と「研修管理セット」を伝授します。
委員会は「誰」と「いつ」やる?
運営指導員を納得させる開催実績の作り方
要件は「年1回以上」ですが、実務上はそれだけでは不十分なケースが多々あります。指導員がチェックするのは以下の「質の担保」です。
✔ 指導員が議事録で確認する3つの「急所」
ここが最大の難関です。行政は「身内だけの馴れ合い会議」を嫌います。
どうしても第三者委員(地域住民、有識者等)の日程が合わない場合は、「資料を事前に送付し、意見を求めた記録」や「後日報告し、助言をもらった記録」を議事録に添付してください。「外部に関与させる努力」の跡があれば認められます。
今回の議題だけでなく、「前回の委員会で決めた対策(例:センサーの導入)はどうなったか?」という効果検証の記述がないと、指導員から「やりっぱなしですね」と指摘されます。
「身体拘束ゼロでした」で終わらせてはいけません。「不穏行動があり、拘束一歩手前だった事例(ヒヤリハット)」を議題に挙げ、「なぜ拘束せずに済んだか(または拘束すべきだったか)」を議論した形跡を残してください。
【テンプレート】指導回避率100%を目指す
「身体拘束適正化検討委員会 議事録」
このテンプレートは、運営基準の要件を網羅するだけでなく、「現場への周知」までを一気通貫で証明できる仕様になっています。
身体拘束適正化検討委員会 議事録
| 日時・場所 |
令和〇年〇月〇日 14:00~15:00 当事業所 カンファレンスルーム |
|---|---|
| 出席者 |
管理者:〇〇 サビ管:〇〇、看護師:〇〇 生活支援員:〇〇、〇〇 第三者委員:〇〇(※欠席の場合:資料送付済み・後日意見聴取予定) |
1. 報告事項(現状把握)
□ 実施なし
□ 実施あり(件数:〇件、対象者:〇名)
(2) ヒヤリハット・虐待防止関連の報告
・ 利用者A氏の他害行為に対し、一時的に手首を掴んで制止した事例あり(拘束に該当するか検討が必要)。
・ 送迎車内でのパニックにより、安全確保が困難だった事例あり。
2. 検討内容(原因分析・対策)
・ 現場意見:突発的な殴打があり、他の利用者を守るために制止はやむを得なかった。
・ 検討結果:今回は「緊急避難的措置」として許容範囲だが、常態化すれば拘束(フィジカルロック)にあたる。
・ 対策案:予兆(大声を出す等)が見られた時点で、静かな環境へ誘導する手順を統一する。クールダウンエリアの整備を行う。
3. 決定事項(Next Action)
② 本日の内容を含めた職員研修を来月実施する。
③ 指針の第4条(緊急時の対応)の一部を見直す。
4. 職員への周知方法
□ 掲示板への掲示・回覧
□ 申し送りノートへの記載
⚠ その書き方、「やってる感」だけです!
- ✕ NG:結果だけの記録
- 「身体拘束について話し合った。特に問題なし。」
→ 議論のプロセスが見えず、本当に会議をしたのか疑われます。 - 〇 OK:プロセスが見える記録
- 「〇〇の事例について、A職員からは~という意見、B職員からは~という意見が出た。検討の結果、~という対応に決定した。」
→ 誰がどんな意見を出したかまで書くと、実効性の証明になります。
研修を実施した「証拠」を残せ!
運営指導で提出を求められる「3点セット」
研修は「年1回以上」かつ「新規採用時」に実施義務があります。
ここで最も恐ろしい落とし穴は、「中途採用者への研修漏れ」です。4月入職者はやっていても、10月入職者が抜けているケースが非常に多いのです。
「口頭で教えました」は通用しません。以下の3点セットが揃って初めて「実施済み」とみなされます。
✔ 鉄壁の研修エビデンス・セット
「厚労省の手引き」を配るだけでも良いですが、表紙をつけて「令和〇年度 第1回 身体拘束適正化研修資料」と明記し、「日時・場所・講師名」を入れることで正式な書類になります。
パソコン入力の名簿では「勝手に名前を使った」と言われかねません。必ず本人直筆のサインをもらってください。欠席者には後日資料を渡し、「〇月〇日 資料受領」とサインをもらう追跡管理が必要です。
「聞いて終わり」にしないための証拠です。「拘束の3要件を書いてください」等の簡単なテストや、「明日からの支援で気を付けること」を一言書かせるレポートをセットにしましょう。
【参考】これさえ入れればOK!研修レジュメの必須項目
- 身体拘束の定義と具体例:
(スピーチロックやドラッグロック等のグレーゾーンを含む) - 身体拘束がもたらす弊害:
(利用者の身体機能低下、精神的苦痛、職員の感覚麻痺) - 緊急やむを得ない場合の3要件:
(切迫性・非代替性・一時性の詳細解説) - 当事業所の指針確認:
(発生時の連絡体制、虐待発見時の通報義務) - 事例検討(グループワーク):
(「こんな時どうする?」という現場レベルのディスカッション)
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4. 【必須書類③】緊急やむを得ない身体拘束の記録(3要件の完全攻略)
ここが今回の記事の最重要パートです。
指針や委員会が完璧でも、実際の拘束記録に不備があれば、すべてが水の泡になります。
多くの事業所が陥る罠、それは「同意書と経過記録をごちゃ混ぜにした独自の簡略様式」を使ってしまうことです。これにより、「いつ同意を得たのか」「日々の再検討は誰が責任を持つのか」が曖昧になり、運営指導で『手続き不備』として減算対象になります。
正解は一つです。厚生労働省が示しているモデル様式通りに、「開始時の説明書(記録1)」と「日々の経過観察・再検討記録(記録2)」を明確に分けること。これ以外に身を守る術はありません。
最大の難関!「切迫性・非代替性・一時性」をどう記録するか
記録用紙を書く前に、絶対に外してはならない「3つの呪文」があります。抽象的な言葉は命取りです。「興奮して危険だった」では通用しません。
✔ 指導員を納得させる「記録の変換術」
✕ NG:「興奮して暴れたため」
〇 OK:「自身の頭部を壁に激しく打ち付けており(回数:約10回/分)、網膜剥離や裂傷による大量出血の危険性が極めて高かったため」
※ポイント:「怪我の予見」を具体的に書くこと。
✕ NG:「説得したが無理だった」
〇 OK:「環境調整(静養室への誘導)、職員の交代、距離を取っての見守り等を順次試みたが、自傷行為が止まらず、他に利用者を守る代替手段がなかった」
※ポイント:「いきなり拘束したわけではない(プロセス)」を証明すること。
✕ NG:「落ち着くまで」
〇 OK:「15分ごとに観察を行い、入眠または自傷停止を確認次第、直ちに解除する」
※ポイント:「漫然と行わない」ための解除条件を明記すること。
【記録1】まずはこれ!「身体拘束に関する説明・同意書」
(※開始時・変更時に使用)
拘束を行う前(緊急時は直後)に、必ずご家族へ説明し、同意を得るための書類です。
厚労省の手引きにある「解除することを目標に鋭意検討を行う」という誓いの文言を入れるのが最大のポイントです。
緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書
1. あなたの状態が下記のA・B・Cをすべて満たしているため、緊急やむを得ず、下記の方法と時間等において最小限度の身体拘束を行います。
2. ただし、解除することを目標に鋭意検討を行うことを約束いたします。
A. 切迫性(生命・身体への危険性):
(例:頭部への自傷が激しく、網膜剥離や裂傷の危険が極めて高いため)
B. 非代替性(他に方法がない理由):
(例:居室環境の変更やマンツーマン対応を行ったが、自傷を防止できなかったため)
C. 一時性(解除の条件):
(例:興奮状態が落ち着き、入眠を確認次第、速やかに解除する)
| 身体拘束の方法 (場所・部位・内容) |
□ ミトン・手袋 □ ベルト □ つなぎ服 □ 施錠 □ その他( ) |
|---|---|
| 拘束の時間帯 及び時間 |
□ 24時間 □ 夜間のみ( : ~ : ) □ 不穏時・パニック時のみ |
| 拘束開始および 解除の予定 |
開始:令和 年 月 日 時より 終了:令和 年 月 日 時まで |
施設名・代表者: ㊞
説明者(記録者): ㊞
上記の件について説明を受け、身体拘束の実施について確認いたしました。
令和 年 月 日
氏名(署名): ㊞
(本人との続柄: )
【記録2】現場職員はこれを書く!「経過観察・再検討記録」
(※実施の都度記入・家族サイン不要)
厚労省の手引きでは「経過観察・再検討記録」という名称になっています。この「再検討」という言葉が超重要です。
単なる観察日記(寝ていた、起きた等)では減算されます。「まだ拘束が必要か?」「解除できるか?」を常にジャッジした痕跡を残さなければなりません。
緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・再検討記録
※日々の心身の状態等の観察を行い、拘束継続の必要性(再検討結果)を必ず記載すること。
| 月日時 | 日々の心身の状態等の観察・再検討結果 | カンファレンス 参加者名・記録者 |
|---|---|---|
|
〇月〇日 14:00 |
【観察】興奮状態続き、大声での威嚇あり。水分提供するもコップを投げる。 【再検討】他害の危険性が依然として高く(切迫性)、代替手段なし。 ⇒ 拘束を継続する。 |
(サビ管)〇〇 (支援員)△△ |
|
〇月〇日 15:30 |
【観察】入眠を確認。呼吸状態安定。 【再検討】他害の危険性が消失したと判断。 ⇒ 直ちに拘束を解除する。 |
(サビ管)〇〇 (支援員)△△ |
⚠ サビ管が教える「運用の急所」
- ❶ 「約束」の言葉が最大の防御
- 【記録1】にある「解除することを目標に鋭意検討を行うことを約束いたします」という一文。これは厚労省の手引きにある魔法の言葉です。これがあるだけで、「安易な拘束ではなく、苦渋の決断である」という事業所の倫理観を行政に示すことができます。絶対に削らないでください。
- ❷ 経過記録は「ミニ・カンファレンス」だ!
-
【記録2】の右端に「カンファレンス参加者名」という欄を設けました。これは、一人の職員の独断ではなく、「複数名で検討した(組織的判断)」という証拠を残すためです。
サビ管と現場職員がその場で話し合い、「よし、解除しよう」と決めたプロセスこそが、減算を防ぐ最強のエビデンスになります。
5. 【実例解説】運営指導で指摘されるNG記録 vs 称賛されるOK記録
記録とは、単なる業務日誌ではありません。万が一の時に、あなたと事業所を守るための「証拠(エビデンス)」です。
運営指導員は、記録の行間から「職員の都合でやっていないか?」「安易に隔離していないか?」を冷徹に見抜きます。
ここでは、実際に指導対象となりやすい「NG記録」と、それを修正した「OK記録」を対比し、指導員がどこを見て「減算」を決めるのか、その裏側を徹底解説します。
よくある失敗事例:主観的で感情的な記録
現場が混乱している時に書きがちなのが、この「日記レベル」の記録です。「大変だったんです!」という気持ちは伝わりますが、行政文書としては0点です。
✕ 実際に指導対象になったNG記録
「夕食後、利用者が急に興奮して暴れ出し、他害があったため、危険と判断しやむを得ず個室に入れた。落ち着くまで様子を見た。」
【指導員のツッコミポイント】
- 「興奮して」が主観的すぎる:
大声を出しただけ?物を投げた?職員がパニックになっただけでは?客観的な危険度(切迫性)が伝わりません。 - 「他害」の内容が不明:
誰を、どうしたのか?殴ったのか、噛んだのか?それによって相手が怪我をするリスクはあったのか? - プロセス(非代替性)が欠如:
「暴れた→即個室」に見えます。説得は?場所の移動は?職員交代は?「いきなり拘束」は虐待認定されます。 - 「落ち着くまで」は漫然とした拘束:
具体的な解除条件がなく、職員の気分で閉じ込めていると判断されます。
改善事例:客観的で論理的な記録
NG例を、3要件(切迫性・非代替性・一時性)に基づいて書き直すとこうなります。これが「自分と事業所を守る記録」です。
〇 運営指導員も納得するOK記録
「18:30、ホールにて他利用者(B氏)への顔面殴打が見られ、流血・転倒の危険性が極めて高かったため(切迫性)、職員2名で口頭制止および他利用者との距離確保を試みたが、攻撃行動が収まらず(非代替性)、他者の安全確保のため、クールダウンを目的として15分間限定で(一時性)静養室へ誘導し、施錠を行った。」
【ここが評価される!】
- 事実(Fact)を書いている:
「興奮」ではなく「顔面殴打」と書くことで、誰が見ても「それは止めないとヤバい」と分かります。 - 努力のプロセスが見える:
「口頭制止」「距離確保」「職員2名で対応」など、拘束以外の手段を尽くしたことが証明されています。 - 期限(Limit)がある:
「15分間限定」と宣言することで、漫然とした隔離ではないことをアピールしています。
【特典】そのまま使える!「NGワード」→「OKワード」変換辞書
主観的な言葉を、行政好みの客観的な言葉に変換するリストです。
これを印刷してスタッフルームの壁に貼っておくだけで、記録の質が劇的に上がり、指導員からのツッコミが激減します。
| ✕ 主観的(NGワード) ※理由があいまい |
〇 客観的(OKワード) ※事実・動作・数量 |
|---|---|
| 暴れた | 手足を激しく動かし、周囲の備品(椅子・食器)を投げつけた |
| 大声を出した | 「帰りたい」「〇〇!」等の発言を、他の部屋まで聞こえる音量で10分以上繰り返した |
| 言うことを聞かない | 職員の「座ってください」という声掛けや誘導に応じず、その場に座り込んだ |
| パニックになった | 自分の頭を両手で叩く自傷行為が5分以上継続し、制止を受け入れない状態 |
| 他害があった | 隣にいた利用者A様の腕を強くつかみ、噛みつこうとする動作が見られた |
| 不潔行為があった | 自らの排泄物を手で触れ、壁や床に塗り付ける行為が見られた |
| 危険だったため | 転倒による骨折や、頭部打撲による重大な事故につながる可能性が極めて高かったため |
| 落ち着くまで | 自傷行為が停止し、職員の声掛けに対してうなずく等の反応が見られるまで |
💡 サビ管からのアドバイス
記録を書く際は、「現場を見ていない第三者(運営指導員)が読んでも、映像が浮かぶか?」を常に意識してください。
「暴れた」では映像は浮かびませんが、「椅子を投げた」なら誰もが危険性を理解できます。このひと手間が、事業所の信頼を守ります。
6. まとめ:運営指導は「準備」が9割。今すぐ対策を!
ここまで、身体拘束廃止未実施減算を回避するための「3つの必須書類」と「運用ノウハウ」を、私の実体験に基づいて解説してきました。
厳しいことも書きましたが、これらは全て「書類さえ整っていれば100%回避できるリスク」です。逆に言えば、準備を怠ると、一瞬で数百万円を失う可能性があるということです。
しかし、私たちサービス管理責任者が本当に目指すべきなのは、減算回避ではありません。「利用者さんの尊厳を守り、職員が法的に守られる環境を作ること」。これに尽きます。
運営指導員は見抜く。「整合性」という名の嘘発見器
最後に、最も重要なアドバイスをします。
運営指導員が現地で何をしているかご存じでしょうか?彼らは単体の書類を見ているのではありません。「書類間の整合性(つじつま)」を見ています。
🔍 恐怖の「突き合わせチェック」とは?
指導員は、以下の書類を横に並べて見比べます。
- 「個別支援計画書」には拘束の記載がないのに…
➡「業務日誌」には「興奮したので静養室へ誘導」と書いてある。 - 「身体拘束記録」には「14:00解除」とあるのに…
➡「サービス提供記録」では「15:00まで送迎中」になっている。 - 「指針」では「委員会で決定する」となっているのに…
➡「議事録」にはその案件が載っていない。
結論:嘘やコピペは必ずバレます。「事実」に基づき、全ての書類が一本の線で繋がるように整備してください。
サビ管の仕事は「書くこと」ではなく「浸透させること」
立派な指針を作っても、現場の職員がそれを知らなければ意味がありません。
運営指導では、現場職員へのヒアリングが行われることがあります。
指導員:「緊急時に拘束を行う場合、誰の許可が必要ですか?」
職員:「えっ?その場の判断で…」
この一言でアウトです。減算確定です。
今回作成した指針やマニュアルは、必ず「職員会議で読み合わせ」を行い、パート職員を含めた全員に「うちは組織で決定するんだ」という意識を植え付けてください。
【最終確認】提出直前に震えないための
「絶対防衛チェックリスト」
最後に、運営指導の通知が来たその日に、真っ先に確認すべき項目をリスト化しました。
単なる有無の確認ではなく、「指導員がどこを突いてくるか」という視点を入れています。
⚠ 身体拘束廃止未実施減算・完全回避リスト
今日紹介した知識とツールが、あなたの事業所を守る「最強の盾」になることを確信しています。
次の出勤日に、まずは「現状の指針と記録の突き合わせ」から始めてみてください。


