障害福祉で給与を増やすには?未経験から最短でキャリアアップして年収を上げる全手順
これから障害福祉の業界に飛び込もうとしている方へ。
求人票を見て、やりがいがありそうだと思う反面、世間で言われる福祉は稼げないという言葉が頭をよぎり、家族を養っていけるのか不安に感じていませんか。
この記事を書いている人
6人家族パパ「ユイン」
現役のサービス管理責任者 / 介護福祉士 / 保育士。
実務者研修教員講習も修了し、現場と教育の両面を知る10年以上の経験。6人家族の大黒柱として、福祉の給料で家計を支えています。
正直に言います。何も考えずにただ働いているだけでは、確かに給与は上がりにくい業界かもしれません。
しかし、働き方とキャリアの積み上げ方次第で、収入は確実に変えられます。特に2024年度の報酬改定以降、スキルと経験がある職員にはしっかり還元される仕組みが整ってきているのです。
- ● 未経験から最短5年で年収を上げる具体的なロードマップ
- ● 失敗しないための最初の施設選びの基準
- ● 無知で損をしないための資格取得の正しい順番
この記事では、甘い言葉だけの勧誘はしません。
私が現場で見てきた、本当に生活を豊かにするための現実的なルートを包み隠さずお伝えします。ぜひあなたの人生設計の参考にしてください。
障害福祉で給与を増やすには「仕組み」を知ることから

給与アップの「仕組み」を知る
まず最初に知っておくべきことは、障害福祉の給与の仕組みです。ただ闇雲に長く働くだけでは、劇的な給与アップは望めません。障害福祉で給与を増やすには、国が定めた加算制度を理解し、その恩恵を受けられるポジションに自分を置くことが重要です。
近年の法改正により、福祉・介護職員等処遇改善加算という制度が一本化され、現場で働く職員の給与を上げるための予算が国から事業所に支給されています。しかし、この手当は誰にでも均等に配られるわけではありません。資格を持っている人、役職に就いている人、そして特定の研修を受けている人に手厚く配分される傾向があります。
つまり、未経験からスタートする場合でも、どの資格をどの順番で取り、どのポジションを目指すかという戦略がなければ、給与は横ばいのままです。逆に言えば、正しいルートを進めば、未来は確実に変わります。
未経験からのキャリアアップ戦略は「実務者研修」から

「未経験なら初任者研修」は信じるな
多くの求人情報やブログでは、未経験ならまずは介護職員初任者研修から始めましょうと書かれています。しかし、最短でキャリアアップを目指すなら、私は最初から「実務者研修」を取得することをおすすめします。
推奨する2つの明確な理由
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二度手間を完全回避できる
3年後の国家資格「介護福祉士」受験には実務者研修が必須です。初任者を取ってから実務者を取ると、時間も費用も余分にかかることがあります。実務者に初任者が入っているので、実務者を受ければいいです。 -
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スタート給与が高い
実務者研修は上位資格のため、未経験でも基礎知識レベルが高いとみなされます。資格手当やスタート給与が高く設定される事業所も少なくありません。
最初は勉強が少し大変かもしれませんが、後のキャリアと給与を考えれば、ここでの頑張りは将来のあなたへの大きな投資になります。
5年後の年収を劇的に変える資格取得ロードマップ

ここからは、私が実際に歩んできた経験と、現在の制度を照らし合わせた、最も効率的かつ確実に年収アップを狙える5年間のロードマップを解説します。
多くの人がなんとなく過ごしてしまうこの5年間を、戦略的に過ごすかどうかで、その後の生涯年収に数千万円の差がつくと私は本気で考えています。
このロードマップは、単に資格を取るだけでなく、業界内でのあなたの市場価値を最大化するための生存戦略です。
1年目:入り口は「実務者研修」一択。あえて厳しい現場を選ぶ

戦略1:入り口は「実務者研修」一択
まずスタートラインですが、多くの未経験者が選ぶ介護職員初任者研修は飛ばしてください。最初から実務者研修の取得を目指します。
なぜ「いきなり実務者」なのか?
理由は明確です。3年後に控える国家資格、介護福祉士の受験には実務者研修の修了が必須だからです。初任者研修を受けてから実務者研修を受けると、二度手間になります。
「未経験で大丈夫?」と不安になる必要はありません。実務者研修のカリキュラムには初任者研修の内容がすべて含まれています。つまり、最初から上位資格である実務者研修を取ることで、二度手間を防ぎつつ、知識のベースが高い状態で現場に入ることができます。これは初期の給与交渉でも有利に働きます。
戦略2:あえて「重度支援」の現場を選ぶ
そして働く場所ですが、ここは戦略的に生活介護や短期入所、施設入所支援といった、重度の障害支援を行う事業所を選んでください。
正直に言えば、仕事は大変です。しかし、ここで強度行動障害や重度の身体介助のスキルを身につけておけば、この先のキャリアで怖いものはなくなります。
楽な現場で5年過ごした人と、厳しい現場で5年揉まれた人では、転職市場での評価額が全く違います。今の「楽」を取るか、未来の「高評価」を取るか。キャリアアップを目指すなら答えは決まっています。

3年目:国家資格「介護福祉士」で最初の年収アップ
3年目の分岐点:資格と役職で年収の壁を越える
現場での実務経験が3年に達する、もしくはその年度中に達する見込みであれば、迷わず最短で介護福祉士の国家試験を受験してください。最初に実務者研修を済ませているあなたなら、スムーズに受験資格を満たし、合格ラインに到達できるはずです。
介護福祉士を取得すると、国からの特定処遇改善加算の配分対象として優先順位が上がります。これにより、月額の資格手当だけでなく、ボーナスや一時金での還元が増える事業所が多いです。ここでまず、最初の確実な年収アップを実現します。
ここからが本音の話です。キャリアアップのために、3年目頃からは現場のリーダーを目指すことを強く意識してください。
なぜなら、介護福祉士の資格手当だけで上がる給与には限界があるからです。大体の職場において、大幅に年収を増やすには「役職」がつかないと難しいのが現実です。現場を回す力、後輩を指導する力をアピールし、リーダーや主任のポジションを勝ち取ることで、給与テーブルのランクを一段階上げることができます。

3年目〜5年目:勝負の2年間。サビ管基礎研修と「サブ武器」の習得
3年目〜5年目:OJT期間は「黄金の投資タイム」
介護福祉士を取得したら、すぐにサービス管理責任者の基礎研修を受講してください。ここからが、周りと差をつける最も重要な期間です。
基礎研修修了後、実践研修を受けるまでには原則として2年間のOJT期間が必要です。(※制度改正により要件を満たせば6ヶ月への短縮も可能ですが、私はあえてこの期間をじっくり使い、自分の武器を増やすことをおすすめします)
この2年間で手に入れるべき「2つの武器」
重度の現場で働いていれば、この研修の重要性が痛いほど理解できるはずです。知識が整理されるだけでなく、この資格保持者は事業所の「加算対象」になります。つまり、あなたがいるだけで事業所の売上が上がるため、絶対に手放せない人材になれます。
将来を見据えた「裏ワザ」がこれです。これは、将来「実務者研修の講師」として教壇に立つための資格です。
実際に講師として登壇するには「介護福祉士として5年の経験」などが必要ですが、講習自体はこの時期に受けておくことが可能です。
現場での体力勝負に限界を感じた時、「講師業」という別の収入源を持っておくことは、精神的な余裕にも繋がります。私はこの資格を持っていたことで、キャリアの選択肢が大幅に広がりました。


5年目:サビ管「実践研修」修了。管理職として高年収のステージへ

5年目:キャリアの完成と「選べる」人生の始まり
OJT期間を経て実践研修を修了すれば、晴れてサービス管理責任者として正式に配置が可能になります。
この時点であなたの手元には、以下の強力な「4つのカード」が揃っていることになります。
あなたが手に入れた市場価値
- ✅ 介護福祉士 (国家資格・信頼の証)
- ✅ サービス管理責任者 (必置資格・管理職)
- ✅ 強度行動障害支援者 (加算対象・専門職)
- ✅ 実務者研修教員講習修了 (人材育成・教育者)
なぜこの組み合わせが「最強」なのか。それは、事業所にとって「売上を作れて(加算)」、「人を育てられて(教員資格)」、「管理もできる(サビ管)」人材は、高給を払ってでも確保したい存在だからです。
特に「教員講習修了」を持っていると、社内研修の講師を任せることができるため、外部研修費の削減にも貢献できます。経営者に対して、単なる労働力以上の価値を提案できるのです。
ここまで来れば、年収アップは向こうからやってきます。今の職場で管理者やサビ管として大幅な昇給を交渉するもよし、好条件を提示してくれる他の法人へ転職するもよし。
会社にしがみつく必要はありません。「いつでも他に行ける」という実力と資格を持つこと。これこそが、家族を守りながら自分らしく働くための、私が提案する最短かつ最強の5カ年計画です。
参考:厚生労働省 サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修制度の改正について
最初の職場選びで「重度障害施設」を選ぶべき理由
最初の職場選びで「重度障害施設」を選ぶべき理由
方向性が決まったら、次は働く場所選びです。ここがキャリアアップにおける最大の分かれ道と言っても過言ではありません。
楽そうだからという理由で、軽度の利用者様が多い施設や、家事代行のような業務が中心の職場を選ぶのはおすすめしません。なぜなら、障害福祉で給与を増やすには、高い専門性が求められるからです。
私が推奨するのは、あえて生活介護や短期入所といった、比較的重度の障害をお持ちの方が利用される施設を選ぶことです。
重度の現場では、以下の「一生モノのスキル」が叩き込まれます。
- ✅ 高度な身体介護スキル(食事・入浴・排泄のプロ技術)
- ✅ 強度行動障害への対応(パニック・自傷への冷静な対処)
- ✅ 多職種連携力(看護師やPT/OTとの協働経験)
- ✅ 医療的ケアの知識(喀痰吸引などの基礎理解)
重要 「潰しが効く」人材になるために
若い時期にこうした困難な現場で揉まれることで、支援者としての足腰が鍛えられます。ここで培った経験は、将来どのような施設に転職しても通用する強力な武器になります。
逆に、楽な現場で時間を過ごしてしまうと、いざ給与の良い職場へ行こうとした時にスキル不足で通用せず、キャリアが頭打ちになってしまうリスクがあるのです。
現場のリアルな話をします。
重度障害の現場を経験した人が、将来的に軽度の現場へ転職するのは簡単です(いわゆる「イージーモード」に感じます)。しかし、軽度しか経験していない人が、給与アップのために重度の現場へ行くのは非常にハードルが高く、挫折する人が多いのが現実です。
また、将来あなたが「サービス管理責任者」になった時、重度の現場を知っていることは「現場スタッフの気持ちがわかるリーダー」としての信頼に直結します。最も大変な支援を知っているからこそ、説得力のある支援計画が作れるようになるのです。

私「ユイン」の障害福祉装備

OPERATOR PROFILE
私「ユイン」の障害福祉装備
6人家族の大黒柱 / 障害福祉歴10年以上選手
現在の所持スキル・資格
これまでの歩み
1年目〜5年目
生活介護・短期入所にて修行
5年目でようやく実務者研修を取得。
※今思えば、もっと早く資格を取るべき期間でした。
6年目
国家資格「介護福祉士」取得
現場のプロとして認められるも、最短ルートより3年遅れの取得。
7年目〜10年目
管理者・サビ管への挑戦
共同生活援助(グループホーム)管理者、放デイ管理者を歴任。サビ管基礎・実践研修を受講。
11年目
キャリアの完成・フル装備へ
強度行動障害・実務者教員・保育士を一気に取得。講師業や子育て支援も可能な状態に。
現在
介護業をしながら「人生設計室」室長として発信
6人家族を支えながら、自身の経験をブログで発信中。
正直、若い頃は「給料なんて低くてもいい、やりがいがあれば」と思っていました。
しかし、それは間違いでした。
6年目の時点で、もし今の私が持っている知識があれば、もっと早く資格を取得し、もっと高い給与で家族を楽にさせられていたはずです。
「無知は、自分自身を苦しめる」
今更ながらそう痛感しています。だからこそ、これから障害福祉を目指すあなたには、私のような遠回りをしてほしくない。私が10年かけて辿り着いた場所に、あなたには5年で到達してほしい。このブログ記事は、そんな願いを込めて書いた「最短ルートの地図」です。
サビ管としての転職が給与最大化のタイミング
5年後、あなたは「選ばれる側」から「選ぶ側」になる
未経験からスタートして最短5年程度。このロードマップを走り抜けた時、あなたは単なる「福祉職員」ではありません。以下のスキルセットを兼ね備えた、市場価値の極めて高いプロフェッショナルになっています。
あなたが手にする「4つの最強装備」
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国家資格
介護福祉士
現場スキルの証明と信頼のベース -
管理職
サービス管理責任者
事業所の配置基準を満たす必須人材 -
専門職
強度行動障害支援者(実践)
「重度障害者支援加算」などの売上直結スキル -
教育者
実務者研修教員講習修了
人材育成・内部研修の内製化が可能
POINT なぜ、これが「高収入」に直結するのか?
ここまでカードが揃えば、障害福祉業界においてあなたは間違いなく「希少人材(レアカード)」です。
多くの事業所が喉から手が出るほど欲しいのは、ただ資格を持っている人ではありません。
「現場の苦労を知り尽くし(介護福祉士・強行)」、「管理業務ができ(サビ管)」、「職員を育てられる(教員)」即戦力です。
経営者からすれば、あなたを採用することは、教育コストの削減と売上の向上(加算)が約束されているようなものなのです。
自分で条件を選べる「自由」を手に入れよう
このタイミングこそが、障害福祉で給与を最大化する絶好の機会です。
条件の良いホワイトな法人へ好待遇で転職するもよし。今の職場で「これだけのことができます」と提示して大幅な昇給を勝ち取るもよし。
もう、会社にしがみつく必要はありません。「嫌ならいつでも他に行ける」という圧倒的な実力が、あなたと家族の生活を守る最強の盾になります。
障害児施設という選択肢
「障害児」という選択肢。サビ管研修は児童分野でも最強のパスポート
障害福祉のフィールドは、大人の支援だけではありません。「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」といった、障害のある子どもたちを支援する児童分野も大きな市場です。
もしあなたが「子供が好き」「将来は療育にも関わりたい」と考えているなら、ここにも大きなキャリアの抜け道(ショートカット)が存在します。
実は現在、大人向けの「サービス管理責任者」と、子供向けの「児童発達支援管理責任者(児発管)」の研修は統合されています。
つまり、サビ管の研修を修了していれば、児童分野の管理責任者としても働くことが可能です。(※実務経験の分野要件は確認が必要ですが、資格としての効力は共通です)。
大人の施設で経験を積んでサビ管を取り、その後、児童分野へ管理者として転職する。このルートも完全に有効です。
未経験・無資格から「先生」と呼ばれるまでの2年計画
最初から児童分野(放課後等デイサービスなど)で働き始めた場合、以下のルートで確実にキャリアアップできます。
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2年で「児童指導員」へ
高卒以上であれば、障害福祉で2年の実務経験を積むだけで「児童指導員任用資格」を満たします。無資格でも2年頑張れば、有資格者としてカウントされるようになります。 -
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強度行動障害研修で「加配」要員へ
児童分野でも「強度行動障害支援者養成研修」は強力です。これを持っていると「加配職員(専門的なケアを行うための追加スタッフ)」として算定できるため、事業所からの評価が跳ね上がります。 -
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保育士があれば無双状態
もし余裕があれば「保育士」の資格も視野に入れてください。児童福祉において保育士は最強のカードです。これがあるだけで選べる職場の幅が一気に広がります。
大人の支援でキャリアをスタートしても、将来的に「やっぱり子どもに関わりたい」と思った時、積み上げた資格(サビ管・強行研修)はそのまま使えます。
「大人も子供もいける」という状態を作っておくこと。これが、景気や制度の変化に左右されない最強のリスクヘッジになります。

まとめ
まとめ:障害福祉は「戦略」次第で、最高の仕事になる
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
最後に、これから現場に出るあなたに一つだけ伝えたいことがあります。
障害福祉の仕事は、決して「誰でもできる簡単な仕事」ではありません。
利用者の人生を支え、時には命を守る。そこには高度な専門知識と技術、そして何より「人への深い想い」が必要なプロフェッショナルの仕事です。
だからこそ、私は強く思います。
「正しい努力をしている人が、正当に評価され、豊かになるべきだ」と。
給与を最大化する「最初の5年間」の鉄則
- ✔ 入り口は「初任者」ではなく「実務者研修」から。
- ✔ あえて「重度の現場」を選び、一生モノのスキルを磨く。
- ✔ 3年で「介護福祉士」、5年で「サビ管」へ最短で駆け上がる。
- ✔ 「強度行動障害」や「教員講習」で、希少価値を高める。
この戦略があれば、家族を養い、自分自身の人生も豊かにすることは十分に可能です。
「福祉だから清貧であれ」なんて言葉に縛られる必要はありません。あなたが経済的に満たされ、心に余裕があってこそ、利用者さんにも最高の支援ができるのですから。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
もし道に迷ったら、またこの「人生設計室」に戻ってきてください。
これから一歩を踏み出すあなたが、数年後に現場の最前線で胸を張って活躍されていることを願っています。
ユイン
参考:厚生労働省 福祉・介護職員の処遇改善について https://www.google.com/search?q=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigo_shokuin/index.html


