子どもがゲームをやめない、時間の目安・守れるルールの作り方・依存が心配なときの相談先【保育士が解説】
「何回言ったらやめるの!」と毎日言っているのに、子どもはゲームをやめない。取り上げれば大泣きし、寝る時間も遅くなる。「うちの子、このままで大丈夫かな」と心配になりますよね。
この記事では、保育士・介護福祉士として子どもと関わってきた立場から、子どもとゲームの上手な付き合い方をまとめました。子どもがゲームに夢中になる理由、画面を見る時間の目安、親子で守れるルールの作り方、そして「依存かも」と心配なときの相談先まで、公的な情報をもとに紹介します。
- 子どもがゲームに夢中になる3つの理由
- ゲームのよい面と、気をつけたい面
- 年齢別の、画面を見る時間の目安
- 親子で守れるルールの作り方(4つのステップ)
- 「やめられない」ときの声かけと、ゲーム以外の楽しみの作り方
- ゲーム障害(依存)が心配なときのサインと相談先
子どもがゲームに夢中になる3つの理由
「楽しすぎるからやめられない」だけではありません。ゲームには、子どもが夢中になりやすいしくみがあります。理由を知っておくと、頭ごなしに叱らずにすみます。
すぐに結果が出て、達成感がある
敵を倒せばすぐにレベルが上がり、クリアすれば効果音で「やった!」と感じられます。勉強や習いごとのように、成果が出るまで時間がかかるものと比べると、手軽に達成感が得られます。
失敗しても、何度でもやり直せる
ゲームでは、失敗しても誰にも叱られず、すぐにやり直せます。子どもにとっては安心して挑戦できる場所でもあります。
友だちとのつながりになっている
「昨日のイベントやった?」「あのボスの倒し方教えて」。今の子どもたちにとって、ゲームは友だちとの共通の話題であり、オンラインで一緒に遊ぶ場でもあります。「ゲームをしていないと話に入れない」という、子どもなりの事情もあります。
大人も、疲れているときについスマホの動画やSNSを見続けてしまうことがありますよね。子どもがゲームに夢中になるのは、だらしないからではありません。大切なのは、ゲームを敵にするのではなく、上手に付き合う力を育てることです。
ゲームのよい面と、気をつけたい面
「ゲームは悪いもの」と決めつける必要はありません。一方で、長時間の使い方には気をつけたい点もあります。
| よい面(使い方しだいで) | 気をつけたい面 |
|---|---|
| どうすればクリアできるかを考え、試し、やり直す経験ができる | 睡眠時間が減る。寝る前の画面は寝つきを悪くしやすい |
| 友だちと協力したり、話題を共有したりできる | 外遊びや体を動かす時間が減る |
| 好きなことに集中する経験になる | 近くを長く見続けることによる、目への負担 |
| ゲーム作りやプログラミングへの興味につながることもある | 課金、知らない人とのやりとりなど、お金や安全のトラブル |
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、子どもの睡眠にはスマートフォンやゲームなどの画面との付き合い方が強く影響するとして、家庭でルールを確認することがすすめられています。小学生は1日9〜12時間の睡眠がすすめられています。
画面を見る時間の目安
「1日何時間までならいいの?」はよく聞かれる質問です。国内では、すべての年齢に当てはまる公的な基準は決まっていませんが、世界保健機関(WHO)の指針などが参考になります。

図:画面を見る時間の目安(参考)
| 2歳未満 | WHOは、座って画面を見る時間はすすめないとしています(米国小児科学会は、家族とのビデオ通話は例外としています) |
|---|---|
| 2〜4歳 | WHOは、座って画面を見る時間は1日1時間まで、短いほどよいとしています |
| 小学生から | 時間の数字よりも、睡眠・食事・宿題・外遊びが守れているかを目安に、家庭でルールを決める |
同じ1時間でも、寝る時間を削っている1時間と、宿題も外遊びも終わったあとの1時間では意味が違います。寝る時間が遅くなっていないか、朝起きられているかを、いちばんの目安にしてみてください。
親子で守れるルールの作り方 4つのステップ
「ゲームは1日1時間!」と親が一方的に決めたルールは、なかなか守られません。人は、自分で決めたことのほうが守ろうとするものです。親子で一緒に作るルールの手順を紹介します。

図:守れるゲームのルールづくり 4つのステップ
一緒に決める 子どもに案を出してもらう
「宿題とお風呂は何時までに終わらせる?」「じゃあ、ゲームは何時までにしようか」と、子どもに考えてもらいます。親は「寝る時間は守る」「課金は相談してから」など、ゆずれない点だけを伝えます。
終わり方を決める 予告とキリのよいところ
ゲームは、キリが悪いところで止めると途中までの進み具合が消えてしまうことがあります。「5分前に声をかける」「次のセーブポイントまで」など、終わり方まで決めておくと、言い合いが減ります。タイマーを子ども自身にセットしてもらうのもおすすめです。
紙に書いて貼る 見える場所に
決めたルールは紙に書いて、リビングなど目に入る場所に貼ります。「言った・言わない」にならず、親が毎回注意しなくても、紙を指さすだけで伝わります。
ふり返る 守れたら認める、合わなければ見直す
守れた日は「時間どおりに終われたね」と認めます。守れない日が続くなら、ルールが合っていないのかもしれません。1〜2週間ごとに親子で見直しましょう。破ったときの罰を決めるより、守れなかったときにどうするかを決めておくほうがうまくいきます。
| ルールの例 | 平日は宿題とお風呂のあと、19時半まで/休みの日は午前と午後に1回ずつ/ゲーム機は寝る前にリビングで充電する/課金と、知らない人とのやりとりは必ず相談する |
|---|---|
| 使える機能 | ゲーム機やスマホには、遊べる時間や課金を保護者が設定できる機能(ペアレンタルコントロール)があります。ルールを決めたうえで、子どもと話し合って設定すると守りやすくなります |
「やめられない」ときの声かけ
| 言いがちな言葉 | 伝わりやすい言葉 | ポイント |
|---|---|---|
| 「いい加減にやめなさい!」 | 「あと5分だよ。キリのいいところで教えてね」 | 予告して、終わりを本人に決めさせる |
| 「ゲームばっかりして」 | 「今どこまで進んだの?」 | まずは関心を向ける |
| 「もう取り上げるからね」 | 「約束の時間だね。終わったらおやつにしよう」 | 次の楽しみで切り替えを助ける |
親がゲームに少し関心を持つだけでも、子どもは「わかってもらえている」と感じやすくなり、声かけが届きやすくなります。ふだんの関係づくりについては、子どもとの信頼関係を築く5つの習慣の記事でまとめています。
発達の特性などで、楽しいことからの切り替えがとても苦手な子もいます。終わりの時間をタイマーや絵で見せる、終わったあとの予定を先に伝えるなどの工夫が役立ちます。くわしくは発達障害の子どもとの関わり方の記事をご覧ください。
ゲーム以外の「楽しい」を増やす
ゲームを取り上げるだけだと、子どもは「楽しみを奪われた」と感じ、ひまになればまた「ゲームしたい」と言い出します。ゲーム以外にも夢中になれるものを増やしていくことが、遠回りのようで近道です。
家族でボードゲーム・カードゲーム
相手の表情を読む、順番を待つ、負けを受け入れるなど、アナログのゲームには人とのやりとりがたくさんあります。ゲーム好きの子は、ルールのある遊びが好きなことが多いので、入りやすい遊びです。
お手伝いを「クエスト」にする
「お風呂そうじクエスト」「配ぜんミッション」のように、お手伝いをゲーム風にすると、楽しく取り組める子もいます。ごほうびは、おやつを選ぶ権利などお金以外にするのがおすすめです。
遊ぶ側から「作る側」へ
工作、ブロック、料理など、自分で何かを作り出す遊びは、ゲームとは違う達成感があります。ゲームが好きな子なら、ゲーム作りやプログラミングに興味が広がることもあります。
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ゲーム以外の楽しみを探すとき、いきなりまったく別のジャンルに連れ出しても続かないことが多いです。我が家で手応えがあったのは、好きなものの延長線上にずらすやり方でした。遊ぶ側から作る側に回ると、同じ画面の前でも「消費」ではなく「制作」になります。- マイクラやゲーム制作を題材にしたプログラミング教室なら、本人にとっては「好きなことの続き」なので導入の抵抗が小さい
- 作ったものを人に見せる経験は、ルールを守る動機づけにもなる(「発表までに完成させたい」が生まれる)
- 集団が苦手な子でも、一人ずつ進度を変える形の教室なら通えることがある
「依存かも」と心配なとき ゲーム障害のサインと相談先
世界保健機関(WHO)は、国際的な病気の分類(ICD-11、2022年1月から発効)で、「ゲーム障害」を病気として位置づけました。ただし、ゲームが好きで長い時間遊んでいるだけでは、ゲーム障害ではありません。
| ゲーム障害の特徴 | 1.遊ぶ時間や頻度を自分でコントロールできない 2.ほかの興味や日常の活動よりゲームを優先する 3.問題が起きているのに、やめられない・さらに増える |
|---|---|
| 期間 | これらによって生活に大きな支障が出ている状態が、原則として12か月以上続く(重い場合はもっと短くても診断されることがある) |

図:家庭の工夫で様子を見る? 相談する?
- ゲームをやめさせようとすると、暴れる・物を壊すなど、家庭で止められない
- 学校を休みがちになった、昼夜が逆転している
- 課金や、夜中のプレイが止まらない
- 本人も「やめたいのにやめられない」と困っている
| 相談先 | できること |
|---|---|
| かかりつけの小児科 | 睡眠や体調も含めて相談できる。必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえる |
| 保健センター・精神保健福祉センター | 子どもの心や依存の相談。家族だけでの相談もできる |
| 依存症の専門外来 | ネット・ゲーム依存の治療を行う医療機関。国内では久里浜医療センターが2011年にネット依存の専門外来を始め、各地に広がっている |
| 学校(担任・スクールカウンセラー) | 登校のしぶりや、友だち関係の背景も含めて相談できる |
ゲームへの依存の背景に、学校でのつらさや、発達の特性、気持ちの落ちこみなどが隠れていることもあります。ゲームだけを問題にするのではなく、子どもの困りごと全体を相談してみてください。
よくある悩み 考え方の例
Yahoo!知恵袋やSNSでは、子どもとゲームについてこんな悩みがよく見られます。個々の投稿をそのまま載せるのではなく、よくある悩みをまとめて書き直しています。
「友だちはみんな持っているのに、うちだけ禁止でいいの?」
家庭の方針は家庭ごとに違ってかまいません。ただ、完全に禁止すると、友だちの家でしか遊べなくなり、親の見ていないところで長時間遊ぶことにもなりかねません。持たせるかどうかより、持たせるならどんなルールで使うかを考えるほうが現実的です。
「勝手に課金されていた」
まずは、ゲーム機やスマホの保護者向けの設定で、課金に制限をかけましょう。子どもには、ゲームの中のお金も本物のお金だということを、具体的に説明します。高額な請求があったときは、消費生活センター(消費者ホットライン「188」)に相談できます。
「親もスマホばかり見ていると言われてしまった」
子どもは大人の姿をよく見ています。食事中はみんなスマホを置く、寝る前は親も画面を見ないなど、家族全体のルールにすると、子どもも納得しやすくなります。
よくある質問
Q. ゲームは何歳から持たせていいですか?
決まった年齢はありません。時間を区切って終われるか、困ったときに親に相談できるかを目安に、家庭で判断してください。持たせるときは、最初にルールを一緒に決めることが大切です。
Q. ゲームをすると、頭が悪くなりますか?
ゲームそのものより、睡眠や勉強、外遊びの時間がけずられることの影響が大きいと考えられます。生活のリズムが守れているかを見てください。
Q. 取り上げたら、暴れるようになりました。
急に取り上げると、強い反発が起きやすくなります。まずは落ち着いているときに、ルールを一緒に決め直すところから始めましょう。暴力がある、家庭で止められないときは、ひとりで抱えこまず、上の相談先を頼ってください。
Q. YouTubeなどの動画も、ゲームと同じように考えればいいですか?
はい。ゲーム、動画、SNSをあわせた画面を見る時間全体でルールを考えると、管理しやすくなります。
まとめ
- 子どもがゲームに夢中になるのは、達成感・やり直せる安心・友だちとのつながりがあるから
- 時間の目安は、WHOの指針で2歳未満はすすめない、2〜4歳は1日1時間まで。小学生からは睡眠・生活が守れているかを見る
- ルールは一緒に決める、終わり方を決める、紙に貼る、ふり返る
- 取り上げるより、ゲーム以外の楽しみを増やす
- 暴れる・学校に行けない・課金が止まらないなどのときは、早めに相談
ゲームを完全に遠ざけるより、自分でコントロールする力を少しずつ育てていくことが大切です。今日、お子さんがゲームをしていたら、叱る前に「そのゲーム、なんていう名前?」と聞いてみてください。そこから、ルール作りの話し合いが始められます。
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- WHO「Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age」(2019年)
- WHO「ICD-11(国際疾病分類 第11版)Gaming disorder」
- 独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター
- こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境」


