就労系サービスと一般就労の役割分担、中間とりまとめ(9/17障害者部会)|9月22日の福祉ニュース
連休明けの厚生労働省まわりは、9月17日に開かれた会議の資料が今週じわじわ出てきています。今日はそのうち、前回(9月18日)ではまだ触れていなかった「雇用と福祉の役割分担」の中間とりまとめと、成年後見制度の地域連携の議論を中心に4件をまとめました。虐待・処分の新規公表は連休のため確認できませんでした。行き着く先は、就労系サービスの対象像の見直しと、地域の支援体制づくりです。
今日の4件を、30秒で
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①雇用と福祉の役割分担 | 一般就労可能なら雇用、困難なら福祉、を基本として整理 | 検討中(変わり得る) |
| ②成年後見の地域連携 | 都道府県の機能強化・市町村中核機関の設置促進を議論 | 検討中(変わり得る) |
| ③第78回保健文化賞 | 団体10件・個人5名が受賞、通算1,149件に | 公表済み |
| ④地域貢献助成の公募 | 上限50万円・総額2,000万円、9月30日締切 | 9月30日締切 |
決まっているのは③の受賞決定と④の募集要項だけです。①②は検討段階で、資料にも「今後の議論で変わり得る」と明記されています。
検討中①就労系サービスから一般就労へ、役割分担の中間とりまとめが出た
同じ第159回部会では、資料1(報酬改定の4つの論点)と資料4(生産性向上ガイドライン)を9月18日の記事で取り上げました。今回はそこでは触れていなかった資料2・3、「雇用と福祉の役割分担」の中間とりまとめを見ていきます。
何が出たのか
厚生労働省は2026年9月17日、社会保障審議会障害者部会(第159回)に、障害者就労に係る雇用福祉横断検討会の「雇用と福祉の果たすべき機能・役割と連携の基本的考え方(中間とりまとめ)」を報告しました。基本的な整理は「一般就労が可能な状態像にある者には一般就労で雇用機会を、一般就労が困難な者には福祉で移行支援または就労の場を」というもので、これを雇用と福祉それぞれの役割の基本とし、連携を強化するとしています。あわせて資料3では、一般就労中の人が就労系障害福祉サービスを一時的に利用する「復職支援」についても運用の明確化が検討課題として挙がりました。
| 年度 | 移行者数 | 内訳 |
|---|---|---|
| 平成24年 | 7,717人 | 就労移行支援4,570人/A型840人/B型2,307人 |
| 令和6年 | 28,943人 | 就労移行支援16,827人/A型5,998人/B型6,118人 |
同じ資料では、法定雇用率が適用される企業の実雇用障害者数も、平成17年の約27万人(身体障害者中心)から、令和7年には約70.5万人(身体373,914.5人・知的162,153.5人・精神168,542.0人)に拡大したと示されています。
現場にどう効いてくるか
資料は、就労継続支援A型の制度上の利用者像である「雇用契約に基づく就労は可能だが通常の事業所には雇用されにくい」状態像の範囲が、この20年で狭まってきていると明記しています。一方で就労系サービス全体の利用者数はB型を中心に増え続け、その増加数は一般就労への移行者数の増加を大幅に上回っている、という数字の並びも出てきました。個人的には、丁寧なアセスメントの実施が今後さらに求められる場面が増えるだろうと感じています。復職支援の運用がどう明確化されるかも、精神障害のある職員を抱える事業所にとっては見ておきたいところです。
検討中②成年後見制度、都道府県の機能強化を議論するWGが開かれた
何が出たのか
厚生労働省の成年後見制度利用促進専門家会議「地域における権利擁護の支援体制に係るワーキング・グループ」第3回が、2026年9月17日に開催されました。議題は「都道府県の機能強化による権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」と「地方公共団体による行政計画等の策定について」の2つです。市町村単独では対応が難しい専門的な判断や、複数市町村にまたがる広域連携体制の構築を、都道府県がどう後押しするかが論点になっています。この議論は第2期成年後見制度利用促進基本計画の期間内に位置づけられており、次期基本計画に向けて年度内も議論が続く見通しです。
現場にどう効いてくるか
意思決定支援を現場に浸透させることが最終的な狙いで、障害福祉の現場でも成年後見・任意後見の相談が絡む場面は少なくありません。市町村中核機関がまだ設置されていない地域で働く事業所にとっては、都道府県の後方支援がどう整理されるかによって、専門的な判断が必要な場面での相談先が変わってくる可能性があります。年度内の議論の行方は追っておきたいところです。
公表済み③第78回保健文化賞に、障害者アートの「はじまりの美術館」など15件
何が出たのか
第一生命保険が主催する第78回「保健文化賞」の受賞者が、2026年9月1日に決定・公表されました。厚生労働省・朝日新聞厚生文化事業団・NHK厚生文化事業団の後援によるもので、団体10件・個人5名の合わせて15件が選ばれています。福祉に近い受賞では、福島県の社会福祉法人安積愛育園が運営する「はじまりの美術館」が、障害者アートの枠組みにとらわれない表現活動を通じて、障害に対する先入観の払拭と孤立防止に取り組んできた点を評価されました。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 今回の受賞者 | 団体10件・個人5名(計15件) |
| 通算受賞者数 | 762団体・個人387名(合わせて1,149件) |
| 賞金 | 団体200万円・個人100万円(厚生労働大臣表彰状もあわせて授与) |
現場にどう効いてくるか
表彰の枠組みそのものより、「はじまりの美術館」の業績紹介に「障害者アートの枠組みにとらわれず」という評価軸がそのまま書かれている点に注目したい。日々の創作活動や地域との接点づくりを続けている事業所であれば、こうした顕彰制度への応募を検討できる可能性があります。応募期間は例年2月〜4月ごろなので、来年度に向けて頭の片隅に置いておいて損はありません。
9月30日締切④こくみん共済coopの地域貢献助成、公募締切まで1週間あまり
何が出たのか
| 名称 | 2026年度 地域貢献助成 |
| 主催 | こくみん共済coop(全国労働者共済生活協同組合連合会) |
| 募集期間 | 2026年8月31日(月)〜9月30日(水) |
| 形式 | Web応募フォームによるオンライン申請 |
| 対象 | 子どもの孤立防止、困難を抱える親子の支援、地域の防災・減災活動、環境保全活動等に取り組むNPO法人・一般社団法人・市民団体等(設立1年以上の活動実績) |
| 助成額 | 1団体1事業まで、上限50万円(助成総額2,000万円を予定)・申請無料 |
| 申込期限 | 2026年9月30日(水) |
| 申込先 | こくみん共済coop 地域貢献助成 応募フォーム |
現場にどう効いてくるか
障害福祉に限定した助成ではありませんが、対象に「子どもの孤立防止」「困難を抱える親子の支援」が明記されているため、放課後等デイサービスや相談支援の現場に近い活動でも申請を検討できます。締切まで1週間あまりしかないので、応募要項と申請書のダウンロード、必要書類の準備は早めに動いた方がよさそうです。
今日のまとめ
4件を横に並べると、共通しているのは「誰がどこまで支えるか」の線引きの整理です。雇用と福祉の役割分担も、成年後見の都道府県による後方支援も、線引きをどう引き直すかという議論でした。保健文化賞と地域貢献助成は、その支える側の活動に光を当てる・後押しする話として並べています。
- 2026年9月30日……こくみん共済coop地域貢献助成の申込締切
- 継続審議……雇用福祉横断検討会・成年後見制度利用促進専門家会議WGの議論
- 2027年4月施行予定……令和9年度障害福祉サービス等報酬改定
参考にした一次情報
- 社会保障審議会障害者部会(第159回)の資料について|厚生労働省(令和8年9月17日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76264.html
- 雇用と福祉の果たすべき機能・役割と連携の基本的考え方(中間とりまとめ)|厚生労働省 資料2:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001750493.pdf
- 成年後見制度利用促進専門家会議 地域における権利擁護の支援体制に係るWG(第3回)|厚生労働省(令和8年9月17日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76183.html
- 第78回「保健文化賞」受賞者が決まりました|厚生労働省(令和8年9月1日):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75807.html
- 第78回「保健文化賞」受賞者の決定について|第一生命保険株式会社(2026年9月1日):https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2026_016.pdf
- 2026年度 地域貢献助成|こくみん共済coop:https://www.zenrosai.coop/zenrosai/csr/josei.html
①②は検討段階の内容です。資料にも、今後の議論で変わり得ると明記されています。最終的な取り扱いは、厚生労働省の公表資料でご確認ください。


