医療的ケアの報酬改定案、生活介護の看護職員配置と欠席時の加算(10/22検討チーム)|10月25日の福祉ニュース
今日は厚生労働省・こども家庭庁から新しい発表はありません。
そこで、今週10月22日の第66回「障害福祉報酬改定検討チーム」で出た医療的ケアの論点を、資料に沿って詳しく見ます。10月22日の記事では4サービスの論点を一覧にしましたが、今回は医療的ケアだけを抜き出し、いまの加算の単位数と、どこを変えようとしているのかを並べます。
行き着く先は、医療的ケアのある人を受け入れる事業所の看護職員の人数と、利用者が休んだ日の扱いです。
| 論点 | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①サービス横断の一覧 | 医療的ケアの論点は生活介護・短期入所・児童発達支援・放課後等デイサービス・障害児入所施設など5サービスにまたがる | 検討中(変わり得る) |
| ②常勤看護職員等配置加算 | 生活介護のいまの単位は定員別に6〜32単位/日×看護職員数。この加算の見直しを検討 | 検討中(変わり得る) |
| ③欠席時対応加算 | 生活介護は94単位・月4回まで。医療的ケア者が休んだ場合の拡充と、短期入所への新設を検討 | 検討中(変わり得る) |
| ④医療型短期入所 | 事業所は398。病院が主な担い手で、診療報酬より評価が低いという指摘を受けて評価を検討 | 検討中(変わり得る) |
| ⑤医療的ケア児支援法の改正 | 支援の対象を18歳以上にも広げる改正法が成立。令和9年4月1日施行 | 確定 |
決まっているのは⑤の法改正だけです。①〜④は検討チームで示された「検討の方向性」で、新しい単位数はまだ出ていません。
①医療的ケアの論点、5サービスに何が出ているか(厚生労働省・こども家庭庁)
検討中10月22日の資料は、最後に「医療的ケアに係る報酬・基準について(再掲)」というページを置き、これまでに示した医療的ケアの論点をサービスごとにまとめ直しています。
資料がまとめ直した論点の一覧
資料を出したのは、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部と、こども家庭庁支援局障害児支援課です。「現時点で提示したものの再掲」で、ほかのサービスは次回以降に議題にすると書かれています。
| サービス | 検討の方向性 |
|---|---|
| 生活介護 | 常勤看護職員等配置加算の見直し/医療的ケア者などが欠席した場合の欠席時対応加算の拡充/延長支援加算の拡充(医療的ケア者など重度の人の場合も) |
| 短期入所 | 医療型短期入所の供給体制を強める評価/体調不良で利用を取りやめた場合の欠席時の加算/介護老人保健施設・介護医療院が実施する場合の手続きのさらなる簡素化 |
| 児童発達支援・放課後等デイサービス | 支援実績のある事業所が、新たに受け入れる事業所に知識やノウハウを伝える取り組みの評価/医療連携体制加算(Ⅳ)(Ⅴ)の評価の充実/医療安全管理・緊急時対応体制などの評価の在り方 |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 通所への移行を進めるため、通所施設移行支援加算の算定上限回数の見直し |
| 障害児入所施設 | 主に重症心身障害児を支援する施設の保育士・児童指導員の人員基準の充実/いわゆる動ける医療的ケア児の受け入れ体制/福祉型での看護職員加配の評価の見直し |
出典:第66回 障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年10月22日)資料「施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」p.118〜119
並べると見える、共通の理由
理由として繰り返し出てくるのは「看護職員が確保しにくい」と「利用が少ない日も看護体制を保つ費用がかかる」の2つです。生活介護と短期入所の欠席時の加算は、どちらも後者を理由にしています。
障害児支援の論点は、これまでの検討チームで示されたものの再掲です(10月5日に示された障害児支援の論点は障害児支援の24論点をまとめた記事で扱っています)。今回の再掲で、子どもの事業所と大人の事業所の論点を同じ表で見比べられるようになりました。
②生活介護の常勤看護職員等配置加算、いまは6〜32単位×看護職員数(厚生労働省)
検討中資料は「必要な看護職員の確保のため、常勤看護職員等配置加算について見直しを検討してはどうか」とだけ書いています。どう見直すかの中身はまだありません。まず、いまの仕組みを確かめます。
いまの単位数と計算のしかた
看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算で1人以上置き、届け出た生活介護事業所が対象です。利用定員の区分ごとの単位に、常勤換算した看護職員の数(小数点以下は切り捨て)を掛けて、1日ごとに加算します。
| 利用定員 | 1日あたり(看護職員1人につき) |
|---|---|
| 5人以下 | 32単位 |
| 6人以上10人以下 | 30単位 |
| 11人以上20人以下 | 28単位 |
| 21人以上30人以下 | 24単位 |
| 31人以上40人以下 | 19単位 |
| 41人以上50人以下 | 15単位 |
| 51人以上60人以下 | 11単位 |
| 61人以上70人以下 | 10単位 |
| 71人以上80人以下 | 8単位 |
| 81人以上 | 6単位 |
出典:同資料p.49に引用された報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第6の3の2と、留意事項通知(平成18年10月31日障発第1031001号)。常勤換算員数の小数点以下は切り捨てます。
令和6年度の改定で、この加算は「看護職員の配置人数に応じた評価」に改められています。資料の令和6年度改定のまとめでは、例として定員11人以上20人以下で「28単位/日×常勤換算員数」が挙がっています。
受け入れていない事業所ほど「職員がいない」と答えている
資料は令和6年度の報酬改定検証調査から、医療的ケアのある人(重症心身障害者以外)の受け入れの課題を載せています。
| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 看護職員や喀痰研修修了者など、医療的ケアを実施できる職員が不足している | 69.6% |
| 医療的ケアの提供が難しい | 63.7% |
| 施設・設備面で受け入れが難しい | 63.4% |
出典:同資料p.53(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査)
資料は、医療的ケアのある利用者がいない事業所のほうが、これらの課題を挙げる割合が比較的高いとも書いています。受け入れている事業所より、受け入れていない事業所のほうが「無理」と感じている、という読み方ができます。
個人的に気になったのは、81人以上の6単位と5人以下の32単位の差です。定員が大きい事業所では、看護職員を1人増やしても1日6単位にしかなりません。見直しの幅がどの定員区分に厚く付くのかで、受け入れが増える事業所の顔ぶれが変わりそうです。
③欠席時対応加算、生活介護は94単位・月4回まで。短期入所にはまだない(厚生労働省)
検討中生活介護では医療的ケア者などが休んだ場合の拡充、短期入所では「他の通所サービスと同様」の欠席時の加算を新しく設けることが検討されています。
いまの算定ルール(生活介護)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 94単位 |
| 上限 | 1月につき4回 |
| 対象 | 利用を予定していた日に、急病等で利用を中止した利用者(その施設に入所している人は除く) |
| 連絡の時期 | 中止した日の前々日・前日・当日に連絡があった場合 |
| やること | 電話等で状況を確かめ、引き続き利用を促すなどの相談援助を行い、その内容を記録する。面会や自宅訪問までは要らない |
出典:同資料p.50に引用された報酬告示第6の7と留意事項通知(平成18年10月31日障発第1031001号)
「休んだ日」と「戻ってくる日」の手間をどう数えるか
資料が拡充の理由に挙げているのは、欠席時だけでなく利用再開時の手間です。医療的ケアの内容や健康状態の確認、家族や医療機関との連絡調整が、通常より多くなるとしています。
いまの要件は「電話で状況を確かめて記録する」ところまでです。拡充されたときに、再開時の確認や医療機関とのやりとりまで記録に求められるのかは、まだ書かれていません。休みが多い利用者について、誰と何を確かめたかを日付つきで残しておくと、どちらに転んでも困りません。記録の書き方は欠席時対応加算の記録例と要件にまとめています(放課後等デイサービス・児童発達支援向けの記事です)。
④医療型短期入所は398事業所、病院が担い手で評価が低いという指摘(厚生労働省)
検討中短期入所6,968事業所のうち、医療型は398。資料は「治療を目的とした診療報酬と比べてレスパイト等を目的とする障害福祉報酬による評価は低く」受け入れが広がりにくい、という指摘を載せています。
資料に載っている医療型短期入所の数字
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 短期入所の事業所数(うち医療型) | 6,968(398) |
| 医療型の利用者のうち30歳未満 | 約76% |
| 医療型の利用者のうち身体障害者/障害児 | 約50%/約40% |
| 都道府県が医療型の整備のためにしていること:運営等に関する財政支援 | 42.9%(n=28) |
| 同:病院・診療所への開設依頼 | 32.1% |
出典:同資料p.85〜92。事業所数は国保連(令和8年4月実績)。
介護の施設にも入口を広げる方向
医療型短期入所は介護老人保健施設や介護医療院でも実施できます。令和6年度改定で、介護老人保健施設が指定申請するときの書類が簡素化されましたが、資料は「更なる対応を求める声もある」として、手続きをさらに簡素化する方策を検討するとしています。
資料は、20歳以上30歳未満の利用が増加傾向にあるとも書いています。成人した医療的ケアのある人の受け皿を、病院の外にどこまで広げられるか。ここが⑤の法改正と重なってきます。
⑤医療的ケア児支援法の改正、18歳以上も対象に。令和9年4月1日施行(国会)
確定報酬の論点の背景として、資料は医療的ケア児支援法の改正法(令和8年法律第77号)を挙げています。令和8年7月31日に公布され、令和9年4月1日に施行されます。
改正で何が変わるか
法律の名前は「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」になります。資料の概要から要点を抜き出します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の拡大 | 医療的ケア児だった人で、成人後も恒常的に医療的ケアが欠かせない人などを「医療的ケア児等」に含める。重症心身障害者も支援の対象にする |
| 施策の充実 | レスパイト・通学支援などの日常生活支援、就労の支援、住居の確保など |
| 支援センター | 都道府県などの医療的ケア児等支援センターが、相談・情報提供に加えて、個別避難計画の作成への協力や災害時の市町村と連携した情報提供などを担う |
| 施行 | 令和9年4月1日(令和9年度の報酬改定と同じ時期) |
出典:同資料p.58〜59「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律 概要」
法律と報酬が同じ月に動く
法律が18歳以上を支援の対象に入れ、同じ令和9年4月に報酬改定が来ます。②〜④の論点は、法律で広げた対象を、実際に受け入れる事業所の側で支えるための手当てという位置づけです。
特別支援学校を卒業したあとの受け入れ先を考えるとき、生活介護の看護体制と短期入所の数は、家族にとっても事業所にとっても同じ問題の表と裏になります。単位数が出たら、この記事の表と並べて差分を確かめます。
今日のまとめ
医療的ケアの論点は、看護職員を置く費用と、利用がない日の費用を、どこまで報酬で見るかという一点に集まっています。生活介護は今ある2つの加算(常勤看護職員等配置加算・欠席時対応加算)の見直し、短期入所は欠席時の加算の新設と医療型の評価、そして背景に令和9年4月施行の法改正、という並びです。
次に見ておきたい日程です。
- 10月26日(月)14:00〜16:00……第33回 介護報酬改定検証・研究委員会(Web会議。資料は当日10時までに掲載予定)
- 10月28日(水)15時……第22回 こども家庭審議会障害児支援部会(検討チーム第65回までの障害児支援関係の議論を報告)
- 次回以降の検討チーム……強度行動障害の状態にある人への支援や、残りのサービスの医療的ケアの論点
- 令和9年4月1日……医療的ケア児支援法の改正法の施行(ここは決まっています)と、令和9年度障害福祉報酬改定
10月22日の会議全体(施設入所支援・生活介護・短期入所・療養介護の12論点)は10月22日の福祉ニュースで一覧にしています。
参考にした一次情報
- 第66回「障害福祉報酬改定検討チーム」資料|厚生労働省(令和8年10月22日)
- 施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫(PDF)|厚生労働省・こども家庭庁(令和8年10月22日)
- 第33回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会(Web会議)を開催します|厚生労働省(令和8年10月23日)
①〜④は検討チームで示された「検討の方向性」で、資料にも今後の議論で変わり得ると明記されています。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


