【2026年10月6日の福祉ニュース】生活保護の4つの加算の検証方法、母子加算は名称見直しもなど4件
きょう10月6日の夕方、厚生労働省の社会保障審議会生活保護基準部会(第62回)が開かれ、生活扶助基準の体系の検証結果と、児童養育加算・母子加算・冬季加算・期末一時扶助の4つの加算の検証方法が資料で出ました。日曜の記事では議題までしか書けなかった会議です。
あわせて、横浜市が公表した放課後キッズクラブでの盗撮被害が疑われる事案、10月13日に開かれる成年後見制度利用促進専門家会議(第23回)、長野県飯田市の障がい者文化芸術作品展を取り上げます。行き着く先は、子育て世帯の生活費の線引きと、こどもの居場所で働く職員のスマートフォンの扱いです。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①生活保護の加算の検証 | 児童養育加算・母子加算・冬季加算・期末一時扶助の検証方法の案。母子加算は名称の見直しも検討する案 | 検討中 (変わり得る) |
| ②横浜市 放課後キッズクラブ | クラブ施設で盗撮されたとみられる40〜50人程度の児童の画像を、元職員が所持。市は全クラブに職員の私用スマホの持込み禁止を周知 | 公表済み (警察が捜査中) |
| ③成年後見の専門家会議 | 第23回の議題に「成年後見制度の見直し」を踏まえた権利擁護支援。民法改正(令和8年法律第45号)で後見・保佐は補助に一元化 | 10月13日開催 |
| ④飯田市 障がい者作品展 | 第12回障がい者文化芸術作品展、10月21日(水)〜25日(日)、飯田市美術博物館市民ギャラリー | 10月21日開幕 |
決まっているのは③④の日程と、③の前提になる民法改正の成立・公布です。①は部会に示された「検証方法の案」で、加算額はまだ何も変わっていません。②は警察の捜査中で、市は事実関係の確認結果を踏まえて再発防止策を検討するとしています。
①検討中生活保護の4つの加算、検証方法の案が出た。母子加算は名称の見直しも
何が出たのか
厚生労働省は10月6日(火)17時から、社会保障審議会生活保護基準部会の第62回を開きました。議題は「生活扶助基準の体系の検証について」と「児童養育加算、母子加算、冬季加算、期末一時扶助の検証方法について」の2つです。どちらも、次の生活保護基準の見直しに向けて、一般の低所得世帯の暮らしぶりと比べる作業の一部です。
資料2で示された4つの加算の検証方法は、次のとおりです。
| 加算 | 何と何を比べるか | 使うデータ |
|---|---|---|
| 児童養育加算 | 学校外活動費(塾・習い事・スポーツ月謝・交通費など)について、夫婦子1人世帯の低所得層(第1・十分位)と中位所得層(第3・五分位)の差を見る。あわせて第2・十分位との差も確認 | 令和6年全国家計構造調査の特別集計。文部科学省の子供の学習費調査で補足 |
| 母子加算 | ひとり親であることで増える費用(かかり増し費用)を推定。子を1〜3人持つ低所得の勤労者世帯に絞り、世帯年収なども条件にそろえて回帰分析する案 | 令和6年全国家計構造調査 |
| 冬季加算 | 10〜11月平均の支出を基準に、冬(12〜3月)と夏(7〜9月)に増える費目を地区別に確認し、現行の加算額と比べる | 家計調査(2021〜2025年)の特別集計 |
| 期末一時扶助 | 冬季加算の対象費目を除いたうえで、12月に増える支出を世帯人数別・級地別に出し、現行の額と比べる | 家計調査(2021〜2025年)の特別集計 |
出典:第62回社会保障審議会生活保護基準部会(令和8年10月6日)資料2
同じ資料には、いまの加算額などの数字も載っています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 母子加算(児童1人・在宅・1級地) | 月額18,800円(2級地17,400円、3級地16,100円)。令和8年4月時点 |
| 児童扶養手当(全部支給) | 月額48,050円(令和8年4月〜の見込額。令和7年度は46,690円) |
| 児童扶養手当の受給者数 | 777,962人(令和7年3月) |
| 12月の支出(夫婦子1人・勤労者・年収第1・十分位、年平均=100) | 12月は117.5、10〜11月平均は95.1 |
出典:第62回社会保障審議会生活保護基準部会(令和8年10月6日)資料2。12月の指数は家計調査の特別集計(2024年)
資料1の生活扶助基準の体系の検証では、令和6年全国家計構造調査の4,124世帯(年収第1・十分位)を使った回帰分析の結果が出ました。厚生労働省は論点として、年齢別の較差で係数が有意でないケースがあること、級地間の較差で上位の級地が下位の級地より低く出るケースがあることを挙げ、「今回の検証結果をどのように考慮することが考えられるか」と委員に投げています。
現場にどう効いてくるか
資料2の中で目を引いたのは、母子加算の名称について「制度趣旨や給付対象の実態に即した名称への見直しを検討することとしてはどうか」と書かれた点です。前回(第61回・9月15日)の委員意見には「父子世帯も支給されているので、ひとり親加算とするなど」という発言があり、それが案として拾われた形です。児童養育加算も、こどもの健全育成のために使われるよう名称の変更を含めて検討するとされています。
相談支援や子育て支援の窓口で家計の相談を受ける人にとっては、加算の名前が変わるだけでも説明の仕方が変わります。個人的には、児童養育加算の比較対象が「学校外活動費」、つまり塾や習い事、スポーツの月謝に絞られている点を押さえておきたいと感じています。どの支出を「こどもに必要なもの」と数えるかで、のちに出る結果の読み方がまったく変わるからです。今回はまだ検証方法の段階で、加算額の見直しの有無は決まっていません。
②公表済み横浜市、放課後キッズクラブで児童40〜50人程度の盗撮被害の疑い。私用スマホの持込み禁止を全クラブに周知
何が出たのか
横浜市こども青少年局は10月6日、市内の放課後キッズクラブ1か所を利用する複数の児童に対する盗撮被害が疑われる事案について、警察による捜査が行われていることを記者発表しました。市の発表資料にある経過と対応は次のとおりです。
| 令和8年5月 | クラブを利用する児童の保護者から相談があり、警察が捜査 |
|---|---|
| 令和8年9月 | クラブ施設で盗撮されたとみられる40〜50人程度の児童の画像を、運営法人に勤務していた職員が所持していたことが確認された。職員は保護者から相談があった時点で既に退職 |
| 市の指導 | 運営法人に対し、警察の捜査への全面的な協力、児童の心のケアと相談体制の整備、実効性のある再発防止策を講じるよう指導 |
| 運営法人の対応 | 施設内に不審な設置物がないかの緊急点検、保護者への経緯・対応状況・再発防止策の説明、相談・問合せの体制づくり |
| 今後の対応 | 市内の全ての放課後キッズクラブ等に、職員の私用端末(スマートフォン等)の児童活動場所への持込み禁止を周知。安全管理体制の再点検。警察の確認結果を踏まえて再発防止策を検討 |
出典:横浜市こども青少年局 記者発表資料「放課後キッズクラブにおける盗撮被害が疑われる事案の発生について」(令和8年10月6日)。クラブ名・法人名は記事では書きません。
現場にどう効いてくるか
この件で一番具体的なのは、市が全クラブに求めた「職員の私用スマートフォンを児童の活動場所に持ち込まない」というルールです。こどもの写真を連絡帳や記録のために撮る場面は多く、私物の端末で撮ってしまう運用は、こどもが過ごす場所なら放課後の居場所でも保育でも障害児の通所でも起こり得ます。業務用端末で撮る、撮った画像の保存先と消去のルールを決める、休憩時の私物の置き場所を決める、といった点は、自分の事業所でもすぐ点検できます。
もう一つは時期です。12月25日に施行されるこども性暴力防止法では、放課後児童クラブは国の認定を受ける対象(民間教育保育等事業者)に入っています。9月23日の記事でQ&Aの改訂を取り上げましたが、研修や規程づくりを進めている事業所は、端末の扱いもその中で決めておくと二度手間になりません。今回の件は警察が捜査中で、市の発表も「疑われる事案」の段階です。
③10月13日開催成年後見制度利用促進専門家会議(第23回)、議題は制度の見直しを踏まえた権利擁護支援
何が出たのか
厚生労働省は10月6日、成年後見制度利用促進専門家会議(第23回)の開催案内を出しました。前提にあるのは、6月に成立した民法の改正です。
| 日時 | 令和8年10月13日(火)14:00〜16:00 |
|---|---|
| 形式 | 会場とWEB会議のハイブリッド開催。会場での傍聴は受け付けず、YouTubeでライブ配信 |
| 議題 | (1)成年後見制度の見直し等を踏まえた適切な権利擁護支援の実施 (2)成年後見制度の見直しの趣旨・内容等を踏まえた適切な権利擁護支援の浸透 |
| 前提の法改正 | 民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)。令和8年6月17日成立、6月24日公布 |
| 改正の中身(法定後見) | 後見と保佐の制度を廃止し、補助の制度に一元化。本人にとって必要な範囲で利用できるようにする |
| 施行 | 公布の日から2年6月を超えない範囲で政令で定める日 |
出典:厚生労働省「第23回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内」(令和8年10月6日掲載)、法務省「民法等の一部を改正する法律について」
現場にどう効いてくるか
9月22日の記事で書いたワーキング・グループは、都道府県による地域連携ネットワークづくりが中心でした。第23回は議題の2つとも「制度の見直し」が頭に付いていて、法改正の中身を地域の権利擁護支援にどう落とすかに話が移っています。
障害福祉や介護の事業所では、利用者の契約やお金の管理で後見人・保佐人とやり取りする場面があります。「後見」「保佐」という区分がなくなり、必要な範囲で使う補助に一本化されると、誰に何の権限があるのかの確認の仕方も変わってきます。施行はまだ先ですが、個人的には、相談支援専門員やケアマネジャーが利用者の家族に説明する場面を想定して、13日の資料で国がどんな言葉を使うかを見ておきたいところです。
④10月21日開幕飯田市の第12回障がい者文化芸術作品展、10月21日〜25日の5日間
何が出たのか
社会福祉法人飯田市社会福祉協議会は10月6日、市内で文化芸術活動に取り組む障がいのある人の作品展「第12回障がい者文化芸術作品展」の開催を案内しました。共催は飯田市です。
| 名称 | 第12回 障がい者文化芸術作品展 |
|---|---|
| 主催 | 社会福祉法人飯田市社会福祉協議会(共催:飯田市) |
| 日時 | 令和8年10月21日(水)〜10月25日(日)9:30〜17:00(21日は13:00から、25日は14:00まで) |
| 形式 | 会場展示(飯田市美術博物館 市民ギャラリー/長野県飯田市) |
| 対象 | どなたでも鑑賞可 |
| 費用・申込 | 主催者ページ・チラシに入場料と事前申込の記載はありません |
| 問合せ先 | 飯田市社会福祉協議会 地域福祉課 地域福祉推進係(TEL 0265-53-3182)/主催者ページ |
出典:飯田市社会福祉協議会「第12回 障がい者文化芸術作品展 を開催します!」(2026年10月6日)と開催チラシ
現場にどう効いてくるか
12回続いている作品展で、チラシには第11回の優秀賞・実行委員長賞の作品が載っています。社協が主催し市が共催する形なので、自分の地域で利用者の作品を発表する場をつくりたい事業所には、まず社協に相談するという順番の参考になります。国でも、厚生労働省の障害者文化芸術活動推進有識者会議(第11回)が10月7日に開かれる予定です(日曜の記事で日程を紹介しています)。地域の作品展と国の会議が同じ週に並ぶので、あわせて見ておくと、文化芸術の活動がどこで支えられているかがつかみやすくなります。
今日のまとめ
4件を並べると、どれも「線をどこに引くか」の話でした。①は生活保護の加算で、こどもやひとり親に必要な費用をどの支出で測るか。②は、こどもが過ごす場所に職員の私物の端末を持ち込ませるかどうか。③は、後見・保佐・補助の3段階の線引きそのものをなくして、必要な範囲だけ支える形に変える話です。④は、利用者の作品を地域に見せる場を社協と市がどう分担して続けているか、の一例です。①は検証方法が固まると数字の結果に進むので、母子加算のかかり増し費用がどう推定されるかを追っていきます。
次に見ておきたい日程
- 2026年10月7日(水)……障害者文化芸術活動推進有識者会議 第11回(予定)
- 2026年10月13日(火)14:00〜16:00……第23回成年後見制度利用促進専門家会議。YouTubeでライブ配信(ここは決まっています)
- 2026年10月21日(水)〜25日(日)……第12回障がい者文化芸術作品展(飯田市美術博物館 市民ギャラリー)(ここは決まっています)
- 2026年12月25日(金)……こども性暴力防止法の施行(ここは決まっています)
参考にした一次情報
- 第62回社会保障審議会生活保護基準部会 資料|厚生労働省(令和8年10月6日)
- 資料1 生活扶助基準の体系の検証について(PDF)|厚生労働省(令和8年10月6日)
- 資料2 児童養育加算・母子加算・冬季加算・期末一時扶助の検証方法について(PDF)|厚生労働省(令和8年10月6日)
- 放課後キッズクラブにおける盗撮被害が疑われる事案の発生について|横浜市こども青少年局(令和8年10月6日)
- 第23回成年後見制度利用促進専門家会議 開催案内|厚生労働省(令和8年10月6日掲載)
- 民法等の一部を改正する法律について|法務省
- こども性暴力防止法の概要(PDF)|こども家庭庁
- 第12回 障がい者文化芸術作品展 を開催します!|飯田市社会福祉協議会(2026年10月6日)
①の生活保護の加算は、基準部会に示された検証方法の「案」の段階で、資料にも今後の議論で変わり得る形で書かれています。加算額の見直しの有無や名称はまだ決まっていません。②は警察の捜査中の事案です。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。



[…] 個人的には、加算のつけ方が「地域ケア会議に金融機関や交通事業者を呼んだら1回いくら」という作りになっているのが気になりました。事業所の側でできるのは、身寄りのない利用者の件で「誰が何をしたか」を記録に残し、地域ケア会議に出せる形にしておくことだと思います。10月6日の記事で紹介した成年後見制度利用促進専門家会議(第23回)も10月13日にあり、権利擁護の側の議論と並べて見ると流れがつかみやすくなります。 […]