障害福祉「欠席時対応加算」の記録例と要件!支給量は減る?他施設との調整は?現役サビ管が完全解説
「明日、休みます」
この電話一本で、配置したスタッフも用意した教材も宙に浮いてしまう。直前のキャンセルは、経営的にも精神的にも、現場にとって本当に痛いですよね。
損失を少しでも補填したい。でも「欠席時対応加算」は、実地指導で一番狙われやすい項目でもあります。「返還が怖くて請求できない」「記録になんて書けばいいかわからない」と、悩んでいる管理者さんも多いのではないでしょうか。
私は現役のサビ管・介護福祉士として現場に立ち、日々の上限管理事務も行っています。だからこそ、現場の痛みも、事務の複雑さも痛いほどわかります。
この記事では、単なる制度の解説はしません。監査に耐えうる「鉄壁の記録術」から、保護者への「角が立たない伝え方」、そして現場が一番知りたい「支給量への影響」まで、明日から使える実務ノウハウだけを凝縮しました。
この記事の結論(学べること)
- ● 実地指導で指摘されない具体的な記録の書き方
- ● 保護者の信頼を損なわない伝え方のテンプレート
- ● 支給量や他事業所利用時の現場の疑問解決
この記事を読んだ後のゴール
「これで合ってるかな?」とビクビクするのを終わりにして、
実地指導でも「どうぞ見てください」と胸を張れる自信を手に入れられる。
障害福祉の「欠席時対応加算」とは?要件と単位数をサクッと確認

急な欠席連絡。スタッフの配置も済んでいるし、おやつや教材も用意している。あーあ、とため息をつきたくなる瞬間です。私たち現場の人間にとって、直前のキャンセルは運営的にも精神的にもダメージが大きいですよね。
しかし、この欠席時対応加算は、単なるキャンセル料ではありません。急な事態に見舞われた利用者やご家族に対し、専門職として適切な相談援助を行ったことを評価する大切な報酬です。
まずは、この加算の基本となる単位数と、絶対に外せない算定要件を確認していきましょう。ここを曖昧にしたまま請求すると、実地指導で返還対象になりかねませんので、しっかり押さえておきます。
対象となるサービスと単位数
ほとんどの通所系サービスで算定が可能ですが、今回は放課後等デイサービスや児童発達支援、就労継続支援B型などを中心に解説します。
\ たかが1,000円、されど1,000円 /
単位数:1回につき 94単位
(地域区分によりますが、約1,000円前後です)
もし定員10名の事業所で、月に20回の急な欠席があったとしましょう。この加算を適切に算定できれば月額約2万円、年間では24万円もの差が生まれます。
この資金があれば、子どもたちの新しい教材を買ったり、職員へ還元したりすることも可能です。
算定するための3つの絶対条件
厚生労働省の報酬告示や留意事項通知に基づき、算定には以下の3つの条件がすべて揃っている必要があります。一つでも欠ければ算定できません。
条件1 急な欠席連絡であること
利用する日の「前々日、前日、または当日」に連絡があった場合を指します。
例:10月10日の利用予定 → 10月8日以降のキャンセル連絡ならOK。
条件2 理由が急を要するものであること
基本的には「急病、怪我、体調不良」などが該当します。
※旅行や学校行事は原則NGです。
最重要 相談援助を行っていること
単に「了解しました」と電話を切るのはNG。
体調確認や次回利用の調整など、専門的な相談援助を行い、記録に残す必要があります。
月4回までの回数制限
この加算は無制限に取れるわけではありません。以下のルールがあります。
1人の利用者につき、月4回まで
もし月に5回以上の急な欠席があっても、請求できるのは4回分だけです。
その月のご利用予定日数に関わらず(毎日利用でも週1利用でも)、上限は一律4回となります。
【コピペOK】実地指導で返還させない!欠席時対応加算の「記録」書式&文例集
実地指導で調査官が真っ先に見るのは、加算の算定根拠となる記録です。「電話を受けただけ」の事務連絡では、残念ながら報酬は認められません。
そこで、「絶対に指摘されない記録フォーマット」と、状況別の具体的な文例を用意しました。
記録に残すべき必須項目7選
支援記録(業務日誌)には、最低限以下の7つの項目が網羅されている必要があります。
- 連絡があった日時(日付と時刻)
- 連絡者(母、父、本人など)
- 連絡手段(電話、メール、LINEなど)
- 欠席の理由(具体的な症状や状況)
- 対応した職員名
- 相談援助の内容(ここが最重要)
- 次回の利用予定や連絡の取り決め
【保存版】そのまま使える記録シートのひな形
エクセル等で管理する場合、以下のような枠を作っておくと記入漏れが防げます。このまま印刷して手書き用シートとしても使えます。
2. 助言・対応:
【ケース別】記入例(見本)
上記のフォーマットに実際に記入した例です。新人職員さんへの指導用として参考にしてください。
ケース1:発熱・体調不良(最も多いパターン)
今朝から38.5度の発熱あり。喉の痛みを訴えており、食欲がなくぐったりしているため欠席。
①水分の摂取状況を確認。イオン飲料は少しずつ飲めているが、食事は摂れていないとのこと。
②無理に食事はさせず、脱水を防ぐためこまめな水分補給を優先するよう助言。近隣でインフルエンザが流行しているため、午後も解熱しなければ受診を検討するよう伝えた。
ケース2:メンタル不調・行き渋り(放デイなどで多い)
昨日の学校でのトラブルを引きずり「行きたくない」とパニックになっているため欠席。
①現在は自室にこもっているとのこと。無理に来所させず、自宅でクールダウンする時間を設けるよう提案。
②保護者に対し、本人が落ち着いて話し出すまでは無理に理由を聞き出さず、見守るよう助言した。
サビ管からのポイント
様式(フォーマット)を整えておくことで、誰が電話に出ても「何を聞くべきか」が明確になり、記入漏れを防げます。上記の枠組みを参考に、事業所の記録シートを見直してみてください。

支給量は減る?他事業所と被ったら?現場の「潜在的疑問」を全解決
ここからは、教科書的なマニュアルにはあまり詳しく書かれていないけれど、現場では頻繁に直面する疑問についてお答えします。
保護者への説明や、他事業所との調整で迷わないよう、私が実際に現場で判断している基準をQ&A形式でまとめました。
Q1. 欠席時対応加算を使うと、受給者証の「支給日数」は消化されるの?
これは保護者の方が一番心配されるポイントです。「休んだのに日数を使われてしまったら、行きたい日に行けなくなるのでは?」と不安になられることがあります。
安心してください。欠席時対応加算は、あくまで「加算」であり、サービスの「利用日数」にはカウントされません。
例えば、月に10日の支給決定を受けているお子さんがいたとします。
その月、実際に10回利用して、さらに別に1回急な欠席があった場合でも、その欠席分に対して加算を算定することは可能です。利用日数10日 + 欠席加算1回 という請求になります。
保護者への伝え方
「お休みされた日の分は、利用できる日数(チケット)は減りませんのでご安心ください。ただ、急な対応への費用として数百円の自己負担(1割負担の場合)だけ発生します」とお伝えすると、納得していただきやすいです。
Q2. 同日に「他事業所」を利用していた場合は?
これは請求事務でのミスナンバーワンです。特に複数の事業所を併用しているお子さんの場合に注意が必要です。
例えば、A事業所(放デイ)を利用予定だったけれど、急遽キャンセルして、その日にB事業所(放デイや日中一時など)を利用したというケースです。
障害福祉サービスのルールでは、原則として「実際にサービス提供を行った実績」が優先されます。そのため、同じ日にどこかの事業所を利用している事実があれば、キャンセルされた側の事業所は欠席時対応加算を請求することはできません。
後で「知らなかった」とならないよう、他事業所と併用している利用者の場合は、月末の実績確認の際に「あの日、そちらを利用されましたか?」と確認連携を取るのが確実です。
Q3. 同日に「病院(医療機関)」を受診した場合は?
体調不良で欠席する場合、その足で病院に行くことはよくありますよね。医療機関の受診は障害福祉サービスではないため、同日であっても問題なく算定できます。
むしろ、記録の中に「午前中に小児科を受診し、インフルエンザA型の診断を受けた」といった具体的な受診内容が書かれていると、欠席理由の正当性がより強固になります。
受診結果を聞き取ることも大切な「相談援助」の一つですので、積極的に確認して記録に残しましょう。
【上級編】知らないと損する!?現場の裏話&注意点
ここまで読んでいただいた勉強熱心なあなたにだけ、さらに一歩踏み込んだ「現場のリアル」をお伝えします。
マニュアルには詳しく書いていないけれど、知っておかないと後で困る「台風時の対応」や「LINE連絡の落とし穴」についてです。
実は…「台風・大雪」の時は判断が分かれます
台風や大雪の予報が出ている時、加算が取れるケースと取れないケースがあるのをご存知でしょうか。ポイントは「誰が休むと決めたか」です。
✕ 加算NG(事業所都合)
「台風が来るので、事業所を閉所します」と事業所側が判断して休みにした場合。
※これは「サービス提供体制が確保されていない」ため、欠席時対応加算は算定できません。
◎ 加算OK(利用者都合)
事業所は開所してスタッフも待機しているが、保護者が「危険なので休ませます」と判断した場合。
※急なキャンセル(安全確保のための欠席)として扱われ、相談援助を行えば算定可能です。
この違いは非常に大きいです。事業所を開けて待機していたのに、結果的に全員キャンセルになった…という場合は、全員分の加算算定の可能性があります(もちろん要件を満たせばですが)。
便利だけど危険?「LINE・メール連絡」の落とし穴
最近はLINEで欠席連絡を受ける事業所も増えていますよね。便利ですが、ここに大きな落とし穴があります。
「既読スルー」や「スタンプ1個」では、相談援助とみなされない可能性が高いのです。
LINE連絡で加算を取るための鉄則
- 保護者からの「休みます」に対し、必ず具体的な文章で返信すること。
- 文面で「お熱は何度ですか?」「水分は取れていますか?」と質問を投げかけ、ラリー(やり取り)の履歴を残すこと。
- もし文章でやり取りが難しい場合は、「折り返し電話」をして相談援助を行い、その旨を記録に残すこと。
実地指導の際、連絡手段がLINEである場合は、そのトーク履歴の提示を求められることもあります。「了解スタンプ」だけで終わらせないよう、職員間で周知徹底しましょう。
上限管理事業所としての「ここだけの話」
あなたが上限管理を行っている場合、他事業所から「欠席時対応加算」の請求が上がってくることがあります。
この時、「利用者負担額」はどうなると思いますか?
実は、欠席時対応加算も「総費用額」に含まれるため、原則として利用者負担(1割負担)が発生します。
ただし、その利用者がすでに「負担上限月額(例:4,600円)」に達している場合、利用者の支払いは実質0円になります。
「休んだのにお金がかかるの?」とクレームになりそうな場合でも、上限額に達しているご家庭であれば、「今月は上限まで利用されているので、この加算による追加のお支払いはありません」と説明できれば、スムーズに納得していただけることが多いです。

「休みなのにお金がかかるの?」保護者トラブルを防ぐ伝え方

管理者や請求担当者が一番頭を悩ませるのが、この「保護者への説明」ではないでしょうか。
「利用していないのにお金を払うなんて納得できない」
そう言われてしまうと、心が折れそうになりますよね。しかし、伝え方ひとつで保護者の反応は劇的に変わります。
鉄則:契約時の「重要事項説明書」で握っておく
トラブルの9割は「聞いていなかった」から始まります。契約の際、重要事項説明書の加算一覧を読み上げるだけでなく、必ず以下のニュアンスを付け加えてください。
【契約時の説明トーク例】
「急な体調不良などでキャンセルされる場合、前々日までにご連絡いただければ費用はかかりません。
ですが、前日や当日の急なキャンセルの場合は、スタッフの人員配置が済んでしまっているため、『欠席時対応加算』として1回1,000円程度の1割負担(100円前後)が発生します。
その代わり、お休みの間も電話で様子を伺ったり、次の利用に向けた調整をしっかりさせていただきますね。」
ここで「キャンセル料です」と言い切るのではなく、「スタッフを確保している費用」であり「電話相談への対価」であることを伝えておくのがポイントです。
「ペナルティ」ではなく「安心料」に変える魔法の言葉
実際に請求が発生した月、保護者の方にどう伝えるか。私はいつもこう伝えています。
「お休みの日も、私たちは〇〇君と繋がっています」
「罰金」や「キャンセル料」という言葉は使わず、「安否確認」と「支援の継続」を強調します。
「お休みの日も、〇〇君の体調が心配で電話させていただきました。この加算は、来所できなくても私たちがサポート体制を整えていた証であり、〇〇君の安全を見守るための費用なんです」
こう誠実に伝えることで、「休んだのにお金を取られた」ではなく、「休んでいる間も気にかけてくれた」という信頼に変わります。
まとめ:正しい知識で「経営」と「支援」を守ろう
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
欠席時対応加算について、網羅的に解説してきました。最後に要点を振り返りましょう。
【この記事のまとめ】
- 算定条件は「前々日~当日の連絡」「急な理由」「相談援助」の3点セット。
- 単なる事務連絡はNG。「状況把握・助言・次回調整」を必ず記録に残す。
- 月に4回まで算定可能で、支給日数は減らない。
- 他事業所利用日は算定不可だが、病院受診日はOK。
- 保護者には「キャンセル料」ではなく「見守り・支援の対価」として伝える。
この加算は、事業所の経営を安定させるための権利であると同時に、利用者が来所できない時こそ専門職としての力を発揮するチャンスでもあります。
「たかが1,000円」とあなどらず、丁寧な記録と温かい対応を積み重ねてください。
その積み重ねが、実地指導で指摘されない強固な体制を作り、何より保護者からの深い信頼に繋がっていくはずです。
日々の業務、本当にお疲れ様です。この記事があなたの事業所の助けになれば、同じ福祉職としてこんなに嬉しいことはありません。


