訪問介護の初回加算と、ケアマネの障害福祉サービス調整を評価する案(10/19給付費分科会)|10月19日の福祉ニュース
10月19日(月)の午前、社会保障審議会 介護給付費分科会(第271回)が開かれ、厚生労働省が訪問介護・居宅介護支援など訪問系6サービスについて、令和9年度介護報酬改定の「対応案」を示しました。
訪問介護では初回加算と同一建物減算の作り直し、居宅介護支援では介護保険と障害福祉サービスを両方使う人の調整を報酬で評価する案が出ています。同じ日に、厚生労働省は職場の健康づくりの指針を改正し、東京都は次期障害者計画の専門部会の傍聴募集を始めました。
どれも、サービス提供責任者やケアマネジャーの動き方、管理者の要件、職員の健診の案内といった、事業所の人の配置と段取りに行き着く話です。4件をまとめました。
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①訪問介護 | 算定率52.0%の初回加算を、サ責のアセスメント訪問やオンライン面談でも取れるようにする案。同一建物減算は報酬区分の見直しに置き換える案 | 検討中(変わり得る) |
| ②居宅介護支援 | 介護保険と障害福祉サービスを併用する人の調整業務を評価する案。特定事業所加算(A)は廃止、管理者は主任ケアマネでなくてもよくする案 | 検討中(変わり得る) |
| ③職場の健康づくり指針 | 厚生労働大臣が「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を改正。がん検診など「二次予防」を事業者の取組に位置づけ | 確定(10月19日公示・適用) |
| ④東京都 障害者計画 | 第十一期東京都障害者施策推進協議会 第4回専門部会を11月2日に開催。傍聴は10月23日(金)まで申込 | 10月23日締切 |
決まったことは③だけです。①②は厚生労働省が分科会に出した「対応案」の段階で、単位数(いくらになるか)はどの案にも書かれていません。
①訪問介護、初回加算(算定率52.0%)の要件を広げ、同一建物減算は報酬区分の見直しへ(10/19分科会)
検討中サービス提供責任者(サ責)が同行しなくても、アセスメントのための訪問やオンラインでの面談を評価する案が出ました。
サ責の負担と移動コスト、資料に書かれた案
厚生労働省は第271回の資料1で、サ責が人手不足のため自分も訪問に出ざるを得ず、記録や請求の事務も重く、訪問介護計画の作成・見直しに手が回っていないと課題を書いています。そのうえで、初回加算・定期巡回との連携・同一建物減算の3点に対応案を出しました。
| 項目 | いま | 対応案 |
|---|---|---|
| 初回加算 | +200単位/月。サ責が初回(または初回の月)に訪問するか、訪問介護員の初回訪問に同行した場合。算定率52.0% | 「新たに訪問介護計画を作るためにサ責が利用者宅を訪問してアセスメントした場合」も対象にする |
| サ責のオンライン対応 | 評価の仕組みなし | 訪問介護員が利用者宅にいる間に、サ責がオンラインで面談・状況確認した場合も評価できる仕組みを検討 |
| 定期巡回との連携 | 令和9年度から夜間対応型訪問介護が定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合 | 訪問介護事業所が、同一法人外の定期巡回(定期巡回・随時対応型訪問介護看護費Ⅲ)と連携して日中の随時訪問をする場合の評価を検討 |
| 同一建物減算 | 10%・15%・12%などの減算(令和6年度改定で12%を新設) | 減算による評価に代えて、移動コストやサービス提供の実態を反映した報酬区分の見直しを検討 |
出典:第271回 社会保障審議会 介護給付費分科会(令和8年10月19日)資料1。初回加算の単位数・算定率は同資料の算定状況の表から。
中山間・人口減少地域の戸別訪問については、移動コストへの対応も含めて「経営の予見性を高められるような報酬設計」を考えるとしたうえで、詳しくは人口減少をテーマにした別の回で議論すると書かれています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 請求事業所数 | 35,497事業所 |
| 利用者数 | 約111万人(約60%が要介護2以下) |
| 1事業所あたりの平均利用者数 | 31.3人(介護予防を除く) |
| 収支差率 | 令和4年度7.8%/令和5年度11.1%/令和6年度9.6% |
出典:第271回 資料1の参考資料(第259回・令和8年6月29日の資料を再掲したもの)。収支差率は全国平均で、資料も「地域の特性や事業所規模・事業形態等に応じて様々」と書いています。
サ責の1日の組み方に跳ね返るところ
初回加算の案が通れば、サ責が同行できなかった月でも、計画を作るための訪問をきちんと記録しておけば評価の対象になり得ます。いまのうちから、アセスメントで訪問した日と内容を、同行の記録とは分けて残しておくと後で困りません。
同一建物減算を「減算」ではなく「報酬区分」で分ける案は、集合住宅への訪問が多い事業所ほど影響が大きくなりそうです。区分の切り方と単位数はまだ書かれていないので、個人的には、自分の事業所の利用者のうち同じ建物の人が何割かを、今のうちに数えておくのがよさそうだと感じました。
定期巡回と夜間対応型の統合案は10月9日の記事、前回(第270回)の通所介護の送迎の案は10月14日の記事でまとめています。
②居宅介護支援、障害福祉サービスとの調整を評価し、特定事業所加算(A)は廃止する案(10/19分科会)
検討中介護保険と障害福祉サービスを併用する利用者の調整業務を、報酬で評価する案が出ました。管理者の要件も変わる案です。
「障害高齢者への支援」として出た案と、加算・管理者の見直し
厚生労働省は第271回の資料6で、ケアマネジャーの論点を「高齢者像の変化」「業務負担の軽減」「制度改正に伴う対応」の3つに分けて対応案を出しました。障害福祉サービスとの調整は、1つ目の論点の中に「障害高齢者への支援の強化」として入っています。
| ケアマネ1人が担当する併用者の数 | 0人 | 1人 | 2人 | 3人以上 | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|
| 割合(1,078件) | 59.4% | 17.0% | 5.2% | 4.1% | 14.3% |
出典:第271回 資料6(令和4年度老人保健健康増進等事業の調査を再掲)。「3人以上」は資料の3人2.7%・4人0.7%・5人以上0.7%を足したもの。資料は、併用者を担当するケアマネが一定程度いる一方、併用者は1か月の労働投入時間が「1割程度多くなっている」と書いています。
| 項目 | 対応案 |
|---|---|
| 障害福祉サービスとの調整 | 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用する場合の調整業務を評価する |
| 特定事業所加算(A) | 算定事業所が2%を下回り目的を達していないとして廃止。1年の経過措置。24時間連絡体制や研修を他事業所と連携して行うことは、上位の区分でも認める |
| 特定事業所加算(Ⅰ) | 「要介護3〜5の利用者が40%以上」の要件を廃止 |
| 管理者の要件 | 主任ケアマネであることは求めない。代わりに、ケアマネで5年の実務経験等を持つ者とする |
| 研修の受講 | 更新制の廃止に合わせ、定期的な研修を受けている者の配置を求める。正当な理由なく未受講の者を配置したら減算 |
| オンラインモニタリング | 主治医を含む関係者の合意を得る手続きを、柔軟に行えると示す |
出典:第271回 社会保障審議会 介護給付費分科会(令和8年10月19日)資料6。研修の受講と管理者の責務は、ケアマネを置く他のサービスにも同様に広げる案です。
相談支援専門員とのやりとりが「仕事」として数えられるか
同じ資料には、併用者のうち相談支援専門員と連携して対応した利用者が「0人」と答えたケアマネが66.7%、という数字もあります。介護保険と障害福祉の両方を使う人の調整は、これまで報酬の上では見えにくい仕事でした。評価の要件がどう書かれるかで、相談支援専門員との連絡記録の残し方が変わりそうです。
障害福祉の側から見ると、65歳を過ぎて介護保険に移る利用者の引き継ぎに関わる話でもあります。障害福祉サービスと介護保険のヘルパーの違いは、居宅介護(ヘルパー)の選び方の記事で整理しています。
管理者を主任ケアマネに限らない案は、主任ケアマネが辞めたら管理者がいなくなる、という小さな事業所の心配を軽くする方向です。一方で、研修を受けていない人を置くと減算になる案もセットなので、職員ごとの研修の受講状況は一覧にしておいた方がよさそうです。
③職場の健康づくり指針を改正、がん検診など「二次予防」を事業者の取組に(10/19公示・適用)
確定健康診断やがん検診で早く見つけて早く治す「二次予防」が、事業者の健康保持増進措置にはっきり入りました。
改正された指針に書かれたこと
厚生労働大臣は10月19日、労働安全衛生法第70条の2第1項にもとづく「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を改正し、公示しました(健康保持増進のための指針公示第13号)。同じ日から適用されています。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 二次予防の位置づけ | 生活習慣病予防などの一次予防に加え、健康診断等による早期発見・早期治療を健康保持増進措置として明記 |
| 受診勧奨の対象 | 5つのがん(胃・肺・大腸・乳・子宮頸)の検診と精密検査。女性特有の健康課題(月経困難症、更年期障害等)、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患の検査と専門医への受診 |
| 連携・両立支援 | 医療保険者等との連携、治療と就業の両立支援を明記 |
| 取組の例 | 社内掲示やメールでの案内、市町村の検診の受診勧奨、受診のための休暇や特別休暇の付与、受診費用の助成など |
出典:厚生労働省「『事業場における労働者の健康保持増進のための指針』について(公示)」(令和8年10月19日)と、指針本文(PDF)。
福祉の事業所でまずできること
指針は事業場すべてが対象で、福祉の事業所も含まれます。指針に並んでいる取組の例は、休憩室への掲示や、職員への一斉連絡で市町村の検診の日程を流すことから始められるものです。
月経困難症や更年期障害といった女性特有の健康課題が名前つきで入ったことは、シフトの組み方や休みの取り方を見直すきっかけになりそうです。検診のための休暇を就業規則にどう書くかは、事業所ごとの判断になります。
④東京都の次期障害者計画、第4回専門部会は11月2日。傍聴は10月23日(金)締切
10月23日締切教育・就労・交通・住まいなど、障害福祉以外の分野の取組と論点整理が議題です。対面とオンラインで傍聴できます。
開催の概要(東京都の発表どおり)
東京都は10月19日、「東京都障害者・障害児施策推進計画(令和6年度〜8年度)」の次の計画づくりに向けた専門部会の開催を発表しました。
| 名称 | 第十一期東京都障害者施策推進協議会 第4回専門部会 |
| 主催 | 東京都 福祉局 障害者施策推進部 企画課 |
| 日時 | 令和8年11月2日(月曜日)13時30分〜16時30分 |
| 形式 | 会場(東京都庁第二本庁舎31階 特別会議室27)/オンライン会議併用 |
| 議題 | 1)障害福祉以外の分野の取組 2)論点整理 3)東京都障害者団体連絡協議会との意見交換 |
| 傍聴 | 対面またはWeb会議システム(Microsoft Teams)。希望者が多い場合は、傍聴者にのみ10月26日(月曜日)までにメールで連絡 |
| 申込期限 | 10月23日(金曜日)まで、東京都の発表ページの申込フォームから |
| 申込先 | 東京都の報道発表ページ |
出典:東京都「第十一期東京都障害者施策推進協議会第4回専門部会の開催について」(令和8年10月19日)。会議資料は当日配布、議事録は後日、福祉局のホームページに公開されます。
誰が聞きに行くと役に立つか
「論点整理」が議題に入っているので、次の計画で何が柱になるかが見えてくる回です。都内で障害福祉の事業所を運営している管理者や、新しい事業所の開設を考えている人には、オンラインで聞ける分だけでも価値があります。
教育・就労・交通・住まいといった分野が並ぶので、学校との連携や住まいの確保で困っている事業所は、どの分野の話が論点に残るかを見ておくとよさそうです。
今日のまとめ
①②は、人が足りない中で専門職の時間をどこに使ってもらうか、という同じ問いへの案でした。サ責は同行より計画づくりへ、ケアマネは障害福祉との調整も仕事として数える方向です。③④は、働く人の健康と地域の計画という、事業所の外側の土台の話です。
次に見ておきたい日程です。
- 10月23日(金)……東京都 第4回専門部会の傍聴申込の締切
- 10月23日(金)17:00〜19:00……こども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会(第16回)。保育所保育指針等に関する関係団体ヒアリング(YouTube Liveで配信)
- 10月26日(月)……東京都 専門部会の傍聴者への連絡期限(希望者が多い場合)
- 11月2日(月)13:30〜16:30……東京都 第4回専門部会
参考にした一次情報
- 第271回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料|厚生労働省(令和8年10月19日)
- 【資料1】訪問介護(PDF)|厚生労働省(令和8年10月19日)
- 【資料6】居宅介護支援(PDF)|厚生労働省(令和8年10月19日)
- 「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」について(公示)|厚生労働省(令和8年10月19日)
- 事業場における労働者の健康保持増進のための指針(PDF)|厚生労働省(令和8年10月19日)
- 第十一期東京都障害者施策推進協議会第4回専門部会の開催について|東京都(令和8年10月19日)
- こども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会(第16回)について|こども家庭庁(令和8年10月19日)
①訪問介護と②居宅介護支援は、介護給付費分科会に厚生労働省が出した対応案の段階です。資料にも「検討してはどうか」と書かれており、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


