連続勤務「13日超」を規制する案、法定休日の事前特定も論点に(10/30労働条件分科会)、10月30日の福祉ニュース
10月30日、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(第214回)で、労働時間のルールを見直す論点が出されました。中心は「13日を超える連続勤務を規制する案」と「法定休日をあらかじめ決めておく義務」です。
労働基準法の話なので、福祉・介護の事業所も全部が対象になります。夜勤や交代勤務で休みを回している職場ほど、勤務表の組み方に直接かかわります。
同じ日に9月分の有効求人倍率も公表されたので、あわせてまとめました。行き着く先は、シフト表と就業規則の休日の書き方です。
今日の4件を、30秒で
| ニュース | いちばん大事な一行 | いまの段階 |
|---|---|---|
| ①13日超の連続勤務の規制 | 今は4週4休なら制度上48日連続で働かせられる。これを13日までに抑える案 | 検討中 |
| ②法定休日の事前の特定 | どの日が法定休日かを前もって決める義務を法律に書くか | 検討中 |
| ③副業・兼業の割増賃金 | 2か所で働く人の残業代を、労働時間を足して計算する今の仕組みを見直すか | 検討中 |
| ④9月の有効求人倍率 | 1.19倍で前月から0.01ポイント上昇。新規求人倍率は2.19倍 | 公表済み |
①〜③は分科会に「どう考えるか」という形で出された論点で、まだ何も決まっていません。数字として確定しているのは④の求人倍率だけです。
①13日を超える連続勤務を規制する案(10/30労働条件分科会)
検討中今の休日のルールだと、4週4休なら制度上48日続けて働かせることができます。これを「13日を超える連続勤務はさせない」に変える案です。
今のルールで何日まで続けて働かせられるか
厚生労働省労働基準局は10月30日の分科会で、「13日を超える連続勤務を規制することについてどのように考えるか」という論点を示しました。労働基準法は「毎週少なくとも1回の休日」が原則ですが、「4週間を通じ4日以上の休日」でもよいという例外があります(第35条第2項)。
資料では、休日の与え方ごとに、制度上いちばん長く続けられる日数が並べられています。
| 休日の与え方 | 制度上の最長連続勤務 |
|---|---|
| 1週1休 | 12日 |
| 2週2休 | 24日 |
| 4週4休(変形週休制) | 48日 |
| 規制案(13日を超えてはならない) | 13日まで |
13日という線の根拠は、精神障害の労災認定基準です。「2週間以上にわたって連続勤務を行った」ことは、心理的負荷の出来事として評価表に入っています。資料が示した数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 令和7年度、2週間以上の連続勤務が主な出来事で「強」と判断された精神障害の労災支給決定 | 30件(うち自殺3件) |
| 同じ区分の令和6年度 | 36件(うち自殺7件) |
| ストレス強度「2週間以上にわたって連続勤務を行った」 | 5.63 |
| ストレス強度「1か月に120時間以上の時間外労働を行った」 | 5.53 |
| 最大14日以上連続で勤務した労働者(全産業、令和6年4〜6月) | 約2% |
| 同じく医療・福祉業(14〜20日0.5%、21〜27日0.1%、28日以上0.3%) | 計0.9% |
論点にはもう1つ、「事業場の実態に応じて特に必要な場合」に例外として一定の日数を超えて働ける仕組みを設け、その場合は健康確保措置を義務づけるか、という問いも入っています。例外を認めるかどうか、認めるなら何を条件にするかは、これからの議論です。
交代勤務の職場は「急な欠員」のときに効いてくる
医療・福祉業で14日以上続けて働いた人は0.9%で、全産業の約2%より少ない数字でした。ふだんの勤務表で13日を超える職場は多くないはずです。
引っかかりやすいのは、欠勤や退職で穴が空いて、同じ職員が休日に出て埋めたときです。今は36協定と休日労働の割増賃金で回せてしまう場面が、規制が入ると「その人はもう入れない」になります。
個人的には、例外の条件がどこまで広く取られるかが、夜勤のある職場にとっての分かれ目だと感じています。今のうちに、直近数か月の勤務実績で最長何日続いた人がいるかを一度数えておくと、議論が進んだときに慌てずに済みます。
②法定休日を前もって決める義務、振替のルールも論点に(10/30労働条件分科会)
検討中今の労働基準法には「法定休日を特定しなさい」という規定がありません。これを法律で義務づけるかどうかが論点として出されました。
今は通達で「定めるよう指導」にとどまっている
厚生労働省の資料によると、労働基準法は休日を特定することを求めておらず、昭和23年の通達で「具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導」することになっています。分科会の論点は、特定を義務づける場合の「特定の時期や方法」「変更(振替)のルール」をどう考えるか、です。
| 主な週休制 | 企業割合 |
|---|---|
| 何らかの週休2日制 | 92.6%(令和6年調査90.9%) |
| 完全週休2日制 | 65.5%(同56.7%) |
これまでの議論では、労働者側が「直前の変更などの恣意的な運用がされないルール」を求め、使用者側は「子どもの急病などによる急な欠勤の際に代替要員が確保できず、休日振替で対応せざるをえない場合もある」として、直前の変更の規制に慎重な意見を出しています。
勤務表で「どの休みが法定休日か」が分かるか
シフト制の事業所では、週の休みが日によって動くので、どれが法定休日かを決めないまま回していることがあります。義務になれば、勤務表を出す時点で法定休日を書き分ける作業が増えます。
使用者側の意見にある「急な欠勤で休日振替」は、福祉の現場でもよくある場面です。振替を何日前までにと決められると、急な欠員の埋め方そのものを考え直すことになりそうです。就業規則の休日の条文が「4週4休」「シフトによる」だけになっていないか、見ておきたいところです。
③副業・兼業の残業代、労働時間を足して払う仕組みの見直し(10/30労働条件分科会)
検討中2つの職場で働く人の割増賃金を、両方の労働時間を足して計算する今のやり方をどうするか、が論点に出ました。
今の通算ルールと、分科会の問い
労働基準法第38条は、事業主が違う職場でも労働時間を通算すると定めています。厚生労働省の通達(令和2年9月1日)では、労働者の申告などで把握した他社の労働時間を足し、法定労働時間を超えた部分のうち自社で働かせた時間に割増賃金を払う、という順番が示されています。
| 規定 | 他社の労働時間を足すか |
|---|---|
| 法定労働時間(第32条) | 足す |
| 時間外・休日労働の合計 単月100時間未満・複数月平均80時間以内 | 足す |
| 36協定で延ばせる時間の限度 | 足さない |
| 休憩・休日・年次有給休暇 | 足さない |
分科会の論点は「労働者が副業・兼業をする理由や、割増賃金の制度趣旨も踏まえつつ、どう考えるか」と、副業する人の健康確保にどんな措置が要るか、の2つです。使用者側からは割増賃金を通算の対象外にする方向の意見、労働者側からは通算と割増賃金の遵守を徹底すべきという意見が出ています。
掛け持ちの職員がいる事業所が見ておくこと
福祉の仕事は、日中の事業所と夜勤のアルバイトを掛け持ちする人が珍しくありません。今のルールでは、後から契約した側の事業所が割増賃金を払う場面が出やすく、雇う側が副業者の採用をためらう理由になっています。
ただ、残業代の通算がなくなっても、時間外・休日労働の単月100時間未満などの上限は通算のままの論点です。採用のときに他の勤務先と時間を聞いておく手順は、どちらに転んでも残しておく方がよさそうです。
④9月の有効求人倍率は1.19倍、新規求人倍率は2.19倍(10/30厚労省)
公表済み厚生労働省が10月30日に公表した9月分の一般職業紹介状況で、有効求人倍率は前月から0.01ポイント上がりました。
9月の数字
| 指標 | 9月 | 前月との差 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 1.19倍 | +0.01ポイント |
| 新規求人倍率 | 2.19倍 | +0.13ポイント |
| 正社員有効求人倍率 | 1.01倍 | +0.01ポイント |
| 有効求人 | 前月比0.0%増 | ― |
| 有効求職者 | 前月比1.4%減 | ― |
| 職業 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|
| 介護サービス職業従事者 | 3.94倍 | 6.49倍 |
| 社会福祉専門職業従事者 | 2.55倍 | 4.66倍 |
9月の新規求人(原数値)は前年同月より0.4%減りました。産業別では製造業(8.2%増)、情報通信業(5.9%増)などが増え、生活関連サービス業,娯楽業(6.7%減)、卸売業,小売業(6.3%減)などが減っています。都道府県別(就業地別)では、最高が福井県と山梨県の1.74倍、最低が大阪府の0.96倍でした。
求職者が減っている、という読み方
全体の求人は前月とほぼ同じ(0.0%増)で、求職者が1.4%減ったことで倍率が上がっています。仕事を探す人の数そのものが減っている月でした。
職業別に見ると、介護サービスの職業は有効求人倍率3.94倍でした。全体の1.19倍は季節調整値なので単純には比べられませんが、1人の求職者に約4件の求人がある計算です。
採る側の人数が増えないなら、①②の休日のルールがどう決まるかは、今いる職員に長く働いてもらえるかの話にもつながります。若手の離職の数字は10月23日の記事(医療・福祉の新卒3年以内離職率)にまとめています。
今日のまとめ
今日の4件は、どれも「職員の働き方の枠」の話でした。連続勤務の上限、法定休日の決め方、掛け持ちの時間の数え方が労働基準法の側で動き始め、その一方で仕事を探す人は前月より1.4%減っています。報酬改定の議論とは別のところで、勤務表と就業規則が変わる可能性が出てきた日です。
次に見ておきたい日程です。
- 11月5日(木)14時〜……こども家庭審議会 社会的養育・家庭支援部会(第9回)。議題に「児童養護施設等における業務継続計画(BCP)の策定等」が入っています(保育所のBCPの案は10月27日の記事で扱いました)
- 日程未定……労働条件分科会で、連続勤務規制・法定休日・副業兼業の議論の続き
参考にした一次情報
| 資料名 | 出どころ |
|---|---|
| 第214回労働政策審議会労働条件分科会(資料) | 厚生労働省(令和8年10月30日) |
| 資料No.1-1 労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について | 厚生労働省 労働基準局(令和8年10月30日) |
| 資料No.1-2 労働時間法制の具体的課題について(法定休日、連続勤務規制、副業・兼業) | 厚生労働省 労働基準局(令和8年10月30日) |
| 一般職業紹介状況(令和8年9月分)について | 厚生労働省 職業安定局(令和8年10月30日) |
| 第9回 社会的養育・家庭支援部会の開催について | こども家庭庁(令和8年10月30日) |
①連続勤務の規制、②法定休日の特定、③副業・兼業の割増賃金は、分科会に論点として示された段階で、今後の議論で変わり得ます。最終的な取り扱いは公表資料でご確認ください。


