家族支援加算の記録の書き方【令和6年度新設】相談援助記録の記入例と運営指導対策
放課後等デイサービス・児童発達支援の事業所では、家族支援加算の算定を始めたものの、相談援助記録の書き方に確信が持てないまま運用しているケースが少なくありません。家族支援加算は令和6年度報酬改定で新設された加算です。社内に参考にできる過去の様式がないまま、担当者が手探りで記録を作成している事業所も見受けられます。
家族支援加算は、相談援助を実施したという事実だけでなく、記録として残すことそのものが算定要件の一部です。記録が「相談援助を実施した」の一文で終わっていると、運営指導(旧・実地指導)の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。その場合、報酬の返還を求められることも考えられます。
この記事では、相談援助記録に記載すべき項目、OK例・NG例を比較した記入例、様式テンプレートの設計方法、そして運営指導で指摘されやすいポイントまで、実務に即して解説します。
家族支援加算とは(制度の位置づけ)

令和6年度報酬改定で家庭連携加算・事業所内相談支援加算が統合
家族支援加算とは、従来の家庭連携加算と事業所内相談支援加算が見直され、統合される形で新設された加算です。障害児の家族(きょうだいを含む)に対して、個別またはグループで相談援助を行った場合に算定できます。あらかじめ保護者の同意を得たうえで、個別支援計画に位置づけることが前提です。
計画的に実施することも前提になります。同意のない相談援助や、計画に位置づけられていない相談援助は算定対象になりません。この統合には、従来の2つの加算が対象とする場面が重複していた部分を整理するという側面もあります。
記録上も両加算が混在しないよう注意しましょう。家庭連携加算は主に居宅訪問による相談援助を想定した加算です。一方、事業所内相談支援加算は事業所内での相談援助を想定した加算でした。
両者は実施場所によって使い分けられていたものの、支援内容自体は共通する部分が多く、事業所側にとっても算定要件の判断が煩雑になりやすいという課題がありました。家族支援加算への統合により、実施場所にかかわらず一つの加算として整理されました。その結果、算定要件の理解や記録の設計もシンプルになったといえます。
ただし、既に家庭連携加算や事業所内相談支援加算の様式を運用していた事業所は注意してください。統合後の要件にあわせて記録項目を見直す必要があります。
家族支援加算(Ⅰ)個別・(Ⅱ)グループの単位数
家族支援加算(Ⅰ)は個別の相談援助、家族支援加算(Ⅱ)はグループでの相談援助が対象です。実施方法によって単位数が異なるため、まずは全体像を表で確認しましょう。
| 区分 | 実施方法 | 単位数 |
|---|---|---|
| Ⅰ(個別) | 居宅訪問・1時間以上 | 300単位 |
| Ⅰ(個別) | 居宅訪問・1時間未満 | 200単位 |
| Ⅰ(個別) | 事業所等で対面 | 100単位 |
| Ⅰ(個別) | オンライン | 80単位 |
| Ⅱ(グループ) | 対面 | 80単位 |
| Ⅱ(グループ) | オンライン | 60単位 |
いずれも30分未満の相談援助は原則として算定できません。ただし、家族側の事情により短時間になった場合は算定できる取り扱いがあります。両区分とも月4回を限度としています。
きょうだいで利用している場合は、それぞれのきょうだいにつき月4回ずつ算定される仕組みです。単位数を見比べると、居宅訪問がもっとも高く設定されている点が特徴です。一方で移動時間や訪問調整の手間もかかるため、事業所によっては対面やオンラインを組み合わせて運用しているケースも見られます。
また、家族支援加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同一日に算定することも可能とされていますが、それぞれ1回ずつという上限があります。同じ日に個別訪問とグループ相談を両方実施した場合の記録は、時間帯や実施方法が明確に区別できるよう記載しておくことが望ましいでしょう。単位数の設計が細かいこと自体が、記録の正確性が求められる理由の一つです。
ポイント
30分未満の相談援助は原則算定不可。月4回が上限で、きょうだいはそれぞれ別に月4回までカウントされます。
対象となる相談援助の内容
家族支援加算の対象になるのは、障害児の子育てや、障害のある児童との生活等に関する相談援助です。ペアレントトレーニングの一環として講師を招いた講座を行う場合や、保護者同士の交流を目的とした保護者会を行う場合も、事業所の従業者がファシリテーターとして参画し、相談援助を行っていれば算定対象になります。反対に、事業所の従業者が介在せず、講師や参加者だけで進行する会は対象になりません。
単位数の区分が細かく分かれているため、実施方法と単位数の対応関係を記録の段階で誤らないよう整理しておくことが大切です。相談援助の内容としては、幅広いテーマが想定される仕組みになっています。児童の発達状況や特性の理解に向けた助言、学校や関係機関との連携方法についての相談、きょうだい児への関わり方についての相談など、家庭生活全体に関わる内容です。
一方で、日常的な近況報告や、支援内容を一方的に伝えるだけのやり取りは、相談援助として認められないおそれがあります。記録を作成する際は、単に「面談した」という事実だけで終わらせないようにしましょう。どのようなテーマについて、どのような相談援助が行われたのかを具体的に残しておくことで、後から算定要件を満たしていたかどうかを判断できます。
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記録がなぜ算定要件になっているのか
留意事項通知が求める記録事項
家族支援加算の算定要件では、相談援助を行った日時、担当者、相談内容の要点に関する記録を作成することが求められています。こども家庭庁支援局障害児支援課が令和6年5月17日付けで発出した事務連絡でも、個別支援計画書における家族支援の記載ポイントが示されています。そこでは相談援助や講座の実施といった具体例が挙げられています。
記録は個別支援計画とセットで運用されるものです。計画に位置づけた内容と、実際に記録された相談援助の内容が対応していることが求められます。両者が対応していない場合、算定要件を満たしているかどうかの確認が難しくなる点にも注意が必要です。
個別支援計画には、家族支援としてどのような相談援助を予定しているのか、頻度や方法とあわせて記載しておくことが一般的です。記録側では、その計画に沿って実際に実施した内容を残すことになります。計画と記録を突き合わせたときに矛盾がない状態を保つことが、算定の適正性を裏付ける材料になります。
計画の内容を変更した場合は、記録の運用もあわせて見直しましょう。両者の整合が崩れないようにする体制づくりが欠かせません。記録と計画の対応関係が崩れていると、運営指導の際に食い違いが生じます。
「計画上は月2回の予定だったのに、記録上は月4回実施している」といった状態は、算定の適正性そのものを疑われる原因になります。このため、計画を変更するタイミングでは記録シート側の運用ルールもあわせて見直す担当者をあらかじめ決めておくと安心です。両者のずれを未然に防げます。
アドバイス
個別支援計画の「家族支援」欄に、予定する相談援助の内容・頻度・方法を書いておき、記録はその計画に沿って残す。計画と記録を突き合わせたときに矛盾がない状態が、算定の適正性を裏付けます。
記録がないと算定不可となる理由
相談援助を実際に行っていても、記録が残されていなければ、算定要件を満たしていることを事後的に確認できません。運営指導では、実施した支援の裏付けとして記録を確認する運用が一般的です。記録の不備は、支援そのものが行われなかったとみなされてしまうおそれがあります。
とくに家族支援加算は新設されたばかりの加算です。参考にできる自社の過去様式がなく、記録の項目設計自体を後回しにしている事業所も見られます。記録を後付けで整備しようとしても、実施日時や相談内容の詳細を正確に思い出すことは容易ではありません。
結果として、記録の精度が下がるという課題を招きます。加算の算定は、事後的に第三者が確認できる状態になっていることが前提です。記録はその確認手段そのものにあたります。
相談援助を行った担当者の記憶だけに頼った運用では、担当者が異動や退職をした場合に、支援の経過を追えなくなるリスクもあります。日々の記録作成を後回しにせず、実施した当日または近い日程のうちに記録を残す習慣づけが欠かせません。算定の適正性を保つうえでも実務上重要になります。
あわせて、記録が個人のメモ帳や口頭伝達のみにとどまり、事業所として組織的に保管されていない状態も避けたいところです。記録は担当者個人の所有物とはいえません。事業所として保管・管理すべき文書であるという前提に立ち、誰でも必要なときに確認できる場所に整理しておくことが、算定の裏付けとしての信頼性を高める第一歩です。
相談援助記録に記載すべき7項目

7項目チェックリスト
相談援助記録には、次の7項目を記載します。
| No. | 項目 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 実施日時・所要時間 | 30分未満は原則算定不可。開始・終了時刻を明記 |
| 2 | 実施方法 | 居宅訪問/事業所等での対面/オンラインを明記 |
| 3 | 対象家族・同席者 | 保護者本人か、きょうだいか、複数世帯かを明記 |
| 4 | 相談内容の要点 | 「実施した」だけで終わらせず具体的に記載 |
| 5 | 対応した担当者・職種 | 役職まで含めて記載 |
| 6 | 個別支援計画との紐付け | 保護者同意日を記載 |
| 7 | 次回に向けた方針 | 次回の相談援助や支援方針への反映を一言添える |
この7項目は、家族支援加算の算定要件として明記されている「日時・担当者・要点」の3点が土台です。加えて、運営指導で確認されやすい観点を組み込んで整理しています。実施方法や対象家族の情報は、単位数の区分や算定回数の管理と直結します。
記録シートの必須項目として位置づけることが欠かせません。担当者・職種の記載は、相談援助を行う職員が基準人員に含まれないという算定要件の確認にもつながります。単に名前を書くだけでなく役職まであわせて記載しておく方法が望ましいでしょう。
この7項目は、記録シートの列見出しとしてそのまま流用できる汎用性の高い構成です。既存の記録様式に不足している項目を洗い出す際のチェックリストとしても活用できます。すでに何らかの様式を運用している事業所であれば、まずはこの7項目と自事業所の様式を突き合わせてみてください。
抜けている項目がないかを確認するところから始めることをおすすめします。
項目ごとに書き方が甘くなりやすいポイント
「相談内容の要点」は「相談援助を実施した」という記載だけでは不十分とみなされる可能性があります。どのような相談があり、どのように対応したかを具体的に書きましょう。「次回に向けた方針」も同様です。
単発の記録で終わらせず、支援の継続性が読み取れる記載を意識しましょう。7項目は単なるチェック項目ではありません。第三者が記録を読んだときに支援の経過を再現できるかどうかという観点が土台になっています。
実務上とくに書き漏れが起きやすいのは、「対象家族・同席者」と「個別支援計画との紐付け」の2項目です。保護者以外にきょうだいが同席していた場合や、複数世帯合同で実施した場合は注意が必要です。誰が参加していたのかを漏れなく記載しないと、後から算定回数を正しく数え直すことが難しくなります。
また、個別支援計画への同意日を記載していないと、保護者同意の有無自体を確認する手段がなくなってしまいます。この2項目は他の項目以上に丁寧な記載を心がけましょう。記載が甘くなる背景には、担当者が「支援の内容は自分が覚えているから大丈夫」と考えてしまい、記録を後回しにする傾向があることも挙げられます。
しかし記録は担当者本人の備忘録ではなく、第三者が確認するための文書です。自分が異動・退職した後も引き継げる情報量を意識して記載しましょう。
注意
書き漏れが起きやすいのは「対象家族・同席者」と「個別支援計画との紐付け(保護者同意日)」の2項目。この2つが抜けると、算定回数の数え直しも同意の確認もできなくなります。
【記入例】相談援助記録シートの書き方(OK例・NG例)

この章では、実施方法別に3つの記入例を紹介します。いずれも一般的な支援場面を想定した例です。実際の記録作成時は自事業所の様式にあわせて調整しましょう。
記入例①:居宅訪問・個別(家族支援加算Ⅰ)
NG例
保護者宅を訪問し、相談援助を実施した。
これでは実施時刻や相談内容が確認できません。記録として不十分な内容だと判断されるおそれがあります。誰が対応したのか、何を相談したのか、次にどうするのかがまったく読み取れないため、運営指導の際にもっとも指摘されやすい典型的な記載パターンといえます。
OK例
14時から15時10分(70分間)、児童宅を訪問し母親と面談。学校との連携方法について相談があり、連絡帳の活用方法と担任との情報共有のタイミングについて助言した。次回は父親も交えて療育方針を共有する予定。担当は児童発達支援管理責任者。
所要時間が明記されていることで、30分未満の算定不可要件との対応関係も確認しやすくなります。相談内容が具体的に書かれているため、次回以降に別の担当者が対応する場合でも、これまでの経緯を把握したうえで支援を継続できます。この記載方法の利点といえるでしょう。
居宅訪問は移動時間も発生します。訪問開始・終了時刻に加えて、相談援助自体の開始・終了時刻を分けて記載しておくと、より正確な記録になります。移動時間そのものは相談援助の所要時間には含まれません。
この区別が曖昧なまま「訪問時間」として一括で記載してしまうと、30分未満の算定不可要件を満たしているかどうかの確認が難しくなります。訪問先での面談開始から終了までの時間を明確に切り分けて記載する習慣が役立ちます。
記入例②:オンライン・グループ(家族支援加算Ⅱ)
NG例
オンラインで保護者会を実施。
こちらも実施時刻・参加世帯・相談内容のいずれも確認できない記載です。グループ相談援助として算定要件を満たしているかどうかの判断材料に乏しい記録といえます。
OK例
19時から19時50分(50分間)、カメラを使用したビデオ通話にて3世帯合同で実施。テーマはきょうだい児への関わり方。各家庭から困りごとを共有してもらい、事業所の職員がファシリテーターとして助言した。
グループでの相談援助はオンラインの場合、原則としてカメラを使用し、家族の様子が把握できる状態で実施することが求められています。保護者の通信環境によりカメラ使用が難しい場合は、電話等での実施もやむを得ない対応として認められています。ただし、その場合は当該状況を記録に残し、必要に応じて指定権者へ相談することをおすすめします。
グループ相談援助は2世帯から最大8世帯程度までを一組として行う運用が多く見られます。参加世帯数が多くなるほど、各世帯の相談内容を個別に把握し記載する手間が増える点にも留意しましょう。世帯数が多い場合は、共通のテーマについての全体的なやり取りと、個別に踏み込んだ相談があった世帯の内容とを分けて記載すると、後から振り返る際にも内容を把握できます。
参加世帯の名簿を別途整理しておくことも、記録の正確性を高める工夫の一つです。
記入例③:きょうだい同時利用のケース
NG例
きょうだい2名分の相談援助を実施。
これでは兄妹それぞれの算定回数が判別できません。同じ事業所を利用しているきょうだいであっても、家族支援加算はそれぞれ独立してカウントされます。まとめて記載してしまうと、月4回の上限管理ができなくなってしまいます。
OK例
兄について学校との連携内容、妹について生活面での対応方法をそれぞれ個別に相談援助した。月4回の算定回数は、兄・妹それぞれで別にカウントする。
きょうだいはそれぞれ独立して月4回までのカウントとなります。記録上も一人ひとりの回数が判別できる形にすることが大切です。同一の場で対応した場合でも、相談内容は児童ごとに分けて記載してください。
実施日が同じでも、兄・妹それぞれの相談援助記録として2件分作成しておくと、後から回数を数え直す際の手間も減らせます。相談援助を行う保護者が同一人物であったとしても、それぞれの児童の特性や課題に応じた相談援助を行う必要があります。記録の中で明確にしておくとよいでしょう。
きょうだいのケースは、事業所側の運用によっては1回の面談で両方をまとめて扱ってしまいがちな場面でもあります。まとめて対応すること自体は問題ありません。ただし、記録上は児童ごとに分けて残す意識を持っておかないと、月4回の算定上限を超えて算定してしまう、あるいは片方の児童分しか算定できていないといった誤りが発生してしまいます。
ポイント
きょうだいは1回の面談でまとめて対応してもかまいませんが、記録は児童ごとに1件ずつ分けて作成し、月4回の上限を別々に管理します。
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様式テンプレートの設計と自社整備・外注の判断
記録シートに入れるべき項目
相談援助記録シートには、実施日、開始・終了時刻、実施方法、加算区分、対象者、同席者、相談内容の要点、対応方針、担当者名・職種、保護者同意日という10項目を列として設計します。あわせて、提供実績記録票との整合も欠かせません。提供実績記録票では、家族支援加算の区分に応じて番号を記載する形式になっています。
記録シート側の加算区分欄と実績記録票の番号が一致しているかを月次で確認する運用にしておくと、後から突合作業を行う際の負担を減らせます。項目数が多いと感じる場合は、実施方法や加算区分をプルダウンや選択式の入力欄にする方法があります。記入の手間を減らしながら記載漏れを防ぐ工夫として有効です。
紙の記録用紙を使う事業所であれば、あらかじめ10項目を印字したフォーマットを用意しておくだけでも、担当者ごとの記載レベルのばらつきを大きく減らせます。個別支援計画の家族支援欄に記載した支援方針と、実際の記録内容がずれていないかも定期的にチェックしましょう。運営指導への備えとしても安心です。
記録シートを新規に設計する際は、まず紙とExcelのどちらで運用するかを決めましょう。複数拠点を持つ法人であれば拠点間で様式がバラバラにならないよう、本部側でひな形を用意して展開する方法も検討に値します。記録システムを導入している事業所であれば、既存の入力項目のうち家族支援加算の要件に対応していない部分がないかをあらためて棚卸ししておくと、記録漏れの防止に役立ちます。
自社で設計するか、専門家に依頼するかの判断軸
記録様式の整備には、事業所の相談援助担当者が自社で設計・運用する方法があります。行政書士等の専門家に様式作成や運用チェックを依頼する方法も選択肢の一つです。自社対応は費用を抑えられる一方、担当者が制度理解に不安を抱えたまま運用を始めてしまう可能性もあります。
外部委託は費用が発生しますが、運営指導を見据えた様式設計や、算定要件との整合確認を専門家の視点で受けられる利点があります。どちらを選ぶかは、記録整備にかけられる社内工数と、運営指導での指摘リスクをどこまで許容するかという損益分岐で判断することになります。新設加算は自治体側の運用も定まりきっていない部分があります。
判断に迷う場合は指定権者や専門家へ確認しながら進めましょう。自社で設計する場合は、まず既存の個別支援計画や提供実績記録票のフォーマットを確認してください。そこに使われている用語や区分と齟齬が出ないように設計することが第一歩になります。
外部委託を検討する場合は、様式作成のみを依頼するのか、運用開始後の記載内容のチェックまで継続的に依頼するのかによって、費用感や関わり方が大きく変わってきます。依頼範囲を事前に整理しておくとスムーズです。
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運営指導(旧・実地指導)で指摘されやすいポイント
保護者同意・計画との不整合
保護者から口頭で同意を得ていても、同意日や同意の経緯が記録に残っていなければ、事後的に確認する手段がありません。また、個別支援計画には月2回の実施予定と記載されているのに、記録上は月4回実施している場合があります。計画と記録の内容がずれているケースも指摘の対象になり得ます。
個別支援計画の内容を変更した場合は、記録側の運用もあわせて見直しましょう。同意の取得方法についても、口頭のみで済ませるのではなく、同意書や計画書への署名といった形で残しておくと、後から確認できます。保護者の同意は一度取得すれば終わりというものではありません。
相談援助の頻度や方法を大きく変更する場合には、あらためて同意を得ておくことが望ましいとされます。同意の記録が曖昧なまま運用を続けてしまうと、運営指導の際に「そもそも同意があったのか」という根本的な部分から確認を求められることになりかねません。保護者同意の取得は、契約時にまとめて一度だけ行うものと誤解されがちです。
しかし家族支援加算の場合は、個別支援計画への位置づけとセットで確認される要件です。計画の作成・変更のタイミングごとに同意状況を見直す運用にしておくと、記録との整合も保てます。
相談内容の要点が具体性を欠くケース
相談内容の要点欄が「特になし」やごく短い一文で終わっている記録は、相談援助が形式的に行われたものと受け取られる可能性があります。記入例で示したように、誰が・いつ・何分間・どのような内容を相談し、どう対応したかが読み取れる記載を心がけましょう。運営指導の直前に記録を整備しようとしても、過去の相談内容を正確に思い出すことは難しい場合があります。
日々の記録作成の段階でこれらの点を意識しておくことが実務上の対策として有効です。担当者間で記載のばらつきが出やすい部分でもあるため、記載例を社内で共有しておくことも検討に値します。とくに複数の職員が交代で相談援助を担当している事業所では、記載のフォーマットや粒度がバラバラになりがちです。
定期的に記録を読み合わせる機会を設けましょう。具体性が不足している記載がないかをチェックする運用にしておくと、指摘を未然に防ぐことにつながります。読み合わせの場では、記載内容の正確性だけをチェックするのでは不十分です。
第三者が読んで支援の流れを理解できるかどうかという視点も重要です。児童発達支援管理責任者だけでなく、複数の職員でクロスチェックする体制を整えておくことが望まれます。担当者一人の感覚に頼らない客観的な記録の質を維持できます。
チェック
記録の読み合わせでは「正確か」だけでなく「第三者が読んで支援の流れを理解できるか」を確認する。児発管以外の職員も交えてクロスチェックする体制が望まれます。
運営指導当日の対応
運営指導当日は、記録と個別支援計画、提供実績記録票の3点を突き合わせて確認されるケースが多く見られます。記録が複数の職員によって作成されている場合、記載レベルにばらつきがあると指摘の対象になりがちです。事前に自事業所内で記載例を共有し、記載の粒度をそろえておく工夫が有効です。
指摘を受けた場合は、その場で改善策を説明できるよう、記録の改善履歴や見直し予定をあわせて準備しておくと安心です。運営指導では、記録の内容そのものだけでなく、記録を作成・確認する体制についても質問されることがあります。誰が記録を作成し、誰が内容を確認しているのかという運用フローを説明できる状態にしておくことが望まれます。
記録の信頼性を示す材料にもなります。指摘事項があった場合は、その場限りの対応にとどめないことが重要です。記録様式や運用フローそのものを見直すきっかけとして活用すれば、次回の運営指導に向けた備えにもつながります。
運営指導の結果は、口頭での指摘にとどまりません。後日文書で改善報告を求められることも少なくありません。指摘を受けた項目について、いつまでに、どのように改善するのかを社内で共有し、改善状況を記録に残すことが求められます。
事業所としての説明責任を果たすうえで重要な対応です。
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子育てサポート加算との記録の書き分け
両加算の記録の違い
子育てサポート加算は、家族支援加算とあわせて新設された加算です。保護者が支援場面を観察・参加したうえで、こどもの特性や関わり方について相談援助を行った場合に算定できます。
| 加算 | 記録の中心 |
|---|---|
| 家族支援加算 | 相談援助の内容そのもの |
| 子育てサポート加算 | 家族が支援場面をどう観察・参加したか |
家族支援加算の記録が「いつ・誰が・どのような相談援助を行ったか」を中心とするのに対し、子育てサポート加算の記録では「家族がどのように支援場面を観察・参加したか」という機会の提供部分の記載が必須になります。子育てサポート加算では、従業者1人につき最大5世帯程度までという複数世帯対応の目安があります。相談援助を行う家族支援加算とは体制面の考え方も異なります。
両加算は制度の趣旨が近い部分もあるため、記録シートを設計する際に項目を混同しないよう注意しましょう。あらかじめどちらの加算に対応する記録なのかが一目で分かる様式にしておくことが望まれます。とくに新人職員や異動してきたばかりの職員にとっては、両加算の違いが分かりにくく、記録の欄を取り違えてしまうことも起こり得ます。
記録シートのタイトルや見出しに加算名を明記しましょう。必要な記載項目もあわせて色分けや配置の工夫で区別しておくと、記載ミスを減らせます。
併算定時の注意点
両加算は同一日に算定することも可能ですが、時間や内容が重なる場合は併算定できないとされています。そのため記録上も、両加算の時間帯が重複していないことが確認できるよう、開始・終了時刻を分けて記載しておく必要があります。実際の運用では、1枚の記録シートに両加算の欄を並べて作り、時間帯が重複していないかをその場で確認できるようにしている事業所もあります。
担当者が違う場合でも、月次の突合作業でこの重複チェックを行う運用にすると安心です。後から算定誤りに気づける体制になります。自治体によって両加算の運用解釈が異なる場合もあるため、判断に迷う論点は指定権者へご確認ください。
とくに、子育てサポート加算の観察・参加の時間帯の一部で相談援助的なやり取りが発生した場合、どちらの加算として扱うべきか判断に迷うことがあります。事前に整理しておくことをおすすめします。実務上は、支援場面の観察という位置づけのまま進めるのか、途中から個別の相談援助に切り替えるのかを、あらかじめ職員間で共通認識を持っておくことが大切です。
記録の書き分けにも一貫性が生まれます。判断に迷いやすい場面としては、子育てサポート加算の観察中に保護者から個別の悩みを相談され、その場で助言に発展するケースが挙げられます。こうした場合は、観察の時間と相談援助の時間を分けて記録する方法があります。
その日は子育てサポート加算のみで算定し、あらためて家族支援加算としての相談援助の機会を設定するという整理の仕方も考えられます。
注意
家族支援加算と子育てサポート加算は同一日に算定できますが、時間・内容が重なる場合は併算定できません。両加算の開始・終了時刻を分けて記録しておきましょう。
よくある質問(Q&A)
記録は誰が作成・確認すべきか
記録は相談援助を行った担当者本人が作成し、児童発達支援管理責任者が内容を確認する体制が望ましいとされています。相談援助を行う職員に資格の制限は設けられていません。ただし、支援の単位ごとに必要な基準人員には含められない点に注意が必要です。
児童発達支援管理責任者以外の職員が相談援助を担当する場合であっても、最終的な内容確認は児童発達支援管理責任者が行いましょう。記録の質を一定水準に保つ体制を整えておくことが望まれます。事業所の規模によっては、相談援助を担当できる職員が限られることもあります。
誰がどのような場合に相談援助を担当できるのかを、あらかじめ事業所内で整理しておくと、記録作成の責任の所在も明確になります。担当者を固定しすぎると、その職員が不在の際に相談援助自体が滞ってしまうリスクもあります。複数の職員が対応できる体制を整え、誰が担当しても一定の記録水準を保てるよう、記載例やテンプレートを共有する工夫が有効です。
新人職員が相談援助を担当する場合は、いきなり一人で対応させないことが大切です。経験のある職員が同席したうえで記録の書き方を学ぶ機会を設けるなど、教育面での配慮もあわせて行うと、記録の質を長期的に安定させられます。
電話等での急な相談は記録すればよいか
突発的な相談援助は家族支援加算の対象外です。加算算定用の記録には含めません。ただし支援経過として別途ケース記録に残しておくこと自体は、他のトラブル対応の証跡として有用です。
保護者から急な相談の電話があった場合、その場での対応内容を家族支援加算の記録に含めてしまうと、計画的な実施という要件を満たしていないとみなされるおそれがあります。突発的な相談への対応記録と、計画的な家族支援加算の記録は、様式や保管場所を分けて区別しておきます。後から混同を防ぎやすくなります。
突発的な相談が頻繁に発生する場合は、計画的な相談援助の機会をあらためて設定するとよいでしょう。家族支援加算として算定できる形に整理し直すという運用も検討に値します。電話対応の頻度が高い保護者がいる場合は、その背景にある困りごとを個別支援計画の中で家族支援の対象として位置づけましょう。
定期的な相談援助の機会として組み込み直すことで、突発対応に頼らない支援体制に移行できます。事業所としては、突発的な相談を無下に扱うのではなく、その内容を踏まえて計画的な相談援助へとつなげる視点を持つことが望ましいといえます。突発対応の記録自体も、後日の計画見直しの材料として活用できるよう、簡潔にでも残しておくとよいでしょう。
ポイント
突発的な電話相談は家族支援加算の対象外。ケース記録には残しつつ、加算用の記録とは様式・保管場所を分けて管理します。
記録の保存期間はどのくらいか
障害福祉サービスの記録は、運営基準において完結の日から5年間の保存が求められるのが一般的です。自治体の条例によって保存期間が延長されている場合もあります。必ず指定権者の基準をご確認ください。
保存期間の起算点となる「完結の日」の考え方についても、自治体によって解釈が分かれることがあります。あわせて確認しておくと安心です。紙の記録を長期間保管する場合は、保管スペースの確保が課題になりがちです。
電子化による保管方法も選択肢の一つとして検討する価値があります。電子化する場合は、記録の改ざん防止や、誰がいつ記録を作成・修正したかを追跡できる仕組みを備えたシステムを選びましょう。保存期間中は、記録が破損・紛失しないようバックアップ体制を整えておくことも重要です。
クラウド型の記録システムを利用する場合は、事業所が契約を解約した後もデータを取り出せるのか、保存期間中のデータ移行手順がどうなっているのかを、契約前に確認しておきましょう。紙とデータを併用している事業所も多く見られます。どちらが正本にあたるのかを明確にしておかないと、運営指導の際にどちらを提示すべきか判断に迷う場面が生じます。
正本と控えの位置づけをあらかじめ社内ルールとして整理しておくことも、記録管理の実務上重要なポイントです。
様式は指定権者ごとに違うか
統一の全国様式は定められていません。各事業所が7項目を満たす形で独自に設計するのが基本です。ただし自治体によっては参考様式を公開している場合もあります。
事前に窓口へ確認しておくとよいでしょう。指定権者によっては、運営指導の際に使用している様式の提出を求められることもあります。様式を新規に作成した場合や大きく変更した場合は、事前に指定権者へ相談しておくとトラブルを避けやすくなります。
複数の事業所を運営している法人であれば、様式を統一しておきましょう。法人内での記録の質を均一に保ちやすくなるというメリットもあります。様式の自由度が高いということは、裏を返せば事業所側の設計力が問われるということでもあります。
他の事業所の様式をそのまま流用するのではなく、自事業所の職員体制や支援スタイルに合わせて項目を調整しましょう。実際に運用しながら使いにくい部分を改善していく姿勢が、長期的に運営指導にも耐えられる様式へと育っていきます。様式を一度作って終わりにしないことも大切です。
運営指導での指摘や、実際に記録を作成する職員からのフィードバックをもとに、半年から1年に一度は見直す機会を設けておくと、制度の変化や現場の実情にあわせた様式を維持できます。
家族支援加算の記録整備、まず着手すべきことは
家族支援加算は、相談援助を実施したことに加えて、記録として残すことそのものが算定要件になっている点が大きな特徴です。要点を整理すると、次のとおりです。
- ▶記録には実施日時・方法・対象者・相談内容の要点・担当者・計画との紐付け・次回方針の7項目を含める
- ▶NG例のような一文だけの記録は運営指導で指摘されやすく、OK例のように具体的な事実を記載することが望ましい
- ▶記録様式の整備は自社で行うか専門家に依頼するかを、社内工数とリスク許容度で判断する
- ▶子育てサポート加算など類似加算との時間・内容の重複にも注意する
まずは自事業所の記録シートを見直し、今回紹介した7項目が網羅されているかを確認するところから着手することをおすすめします。記載内容が算定要件を満たしているか判断に迷う場合は、指定権者または障害福祉に詳しい行政書士等の専門家へご確認ください。


